オムロン/テムザック、恐竜型の警備ロボットを発表
~FOMA端末で遠隔操作も可能

3月26日発表



 オムロン株式会社株式会社テムザックは、両社が共同開発した恐竜型の4足歩行を使った警備ロボット「M2Mロボットシステム」を発表した。

発表会で説明にあたった株式会社テムザック代表取締役社長の高本陽一氏

 M2Mロボットシステムは、恐竜型の4足歩行ロボットと、オムロンが開発した遠隔制御技術「M2M(マシン・ツー・マシン)システム」を組み合わせた、ホームセキュリティ向けシステム。

 25日に発表された、三洋電機/テムザック共同開発のユーティリティロボット「T7S TYPE1」と「T7S TYPE2」をベースにM2MシステムやFOMA端末などを組み込んだもの。

 ロボットの設計・開発はテムザックによるもの。同社としては初めての多関節歩行システムを備えたロボットとなる。

 M2Mシステムは、固定カメラや防犯センサーなどを遠隔管理・制御するシステム。各種センサーからの情報は「M2Mセンタ」を経由して、さまざまな端末に送信することができる。M2Mシステムにロボットを組み合わせることにより、移動ができるカメラを備えた柔軟性のあるシステムが構築できるようになるという。

 会場で公開されたロボットは、「t-Dragon トリケラトプス」と、「t-Dragon ステゴサウルス」の2種類。それぞれ歩行速度などのスペックが異なり、ステゴサウルス型のものにはFOMA端末を内蔵する。トリケラトプス型では、4足による動歩行を実現したとしており、時速約0.6kmで移動が可能。25度ずつの方向転換や横歩き、後退などの動作ができる。ステゴサウルス型のロボットでは、移動方式や速度が異なるが、今回のデモではトラブルが発生したため、残念ながら歩行デモは実施されなかった。

 ステゴサウルスの頭部には小型カメラ付きのFOMA端末を搭載。外出先からでもFOMA端末を使ってリアルタイム映像を見ることができる。ロボット本体は音声入力による操作も可能で、外出先から音声で「前進」、「後退」などと指示も出せる。認識できる言葉は約20種類。また、恐竜の鳴き声を模した音声で吠えることも可能なほか、会話モードで直接相手と通話することもできる。

 なお、今回発表されたロボットについては、あくまで試作品としている。そのため、今後開発を進めるにあたって移動速度を上げる予定で、半年後をメドに、時速2.5~3km程度で移動できるように改善するという。現在のバッテリ駆動時間は1時間半程度。

 3月28日より開催されるROBODEX2002で一般公開される予定で、ホームセキュリティ向けのシステムとして今後1年以内に事業化を目指す。

横からみたところ 鼻先にはセンサー類を搭載している 着ぐるみの中にあるロボットのつま先(?)が見える

ステゴサウルス型ロボット。残念ながら歩行デモは行なえなかった スタンドの上に置いてFOMAで映像を撮影するデモなどが実施された 口の中に内蔵されたFOMA端末。PanasonicのP2101Vと思われる

動画
ムービー1:前進 (約1.5MB) ムービー2:横歩き (約1.9MB)
ムービー3:斜め後ろに後退 (約1.8MB) ムービー4:左へ方向転換 (約1.7MB)

 発表会では株式会社テムザック代表取締役社長の高本陽一氏が、「これまでは、商用化できるシステムを作るよりも、ロボットを先に作ってしまうことが多く、順序が逆になっていた」と挨拶。「ロボット単体の事業化は難しい。オムロンのM2Mシステムと組み合わせることで、さまざまな事業展開をしていきたい」と語った。

 引き続き、オムロン株式会社執行役員副社長の増田英樹氏が挨拶。「ロボットの欠点はコンピュータを積まなければならないこと。優秀なロボットにするためには、大容量のコンピュータを積む必要があるが、M2Mシステムを使えば外部に頭脳を置くこともでき、無限大の可能性が期待できる」とM2Mシステムへの自信を見せた。

株式会社テムザック代表取締役社長 高本陽一氏 オムロン株式会社執行役員副社長 増田英樹氏

 「固定センサーだけでなく、ロボットを組み合わせることで、より充実した現場の状況を把握できる。昨年の米国のテロ以来、セキュリティに対する意識は高まっているが、今回のシステムは世界に例をみないシステムだ」とも語った。

 質疑応答では、三洋電機のロボットとの関係について質問され、「三洋電機は、実際に製品化する際にロボットを量産してもらうなど、下請けのようなもの。システム全体の設計や販売などはオムロンとテムザックが行なう」(オムロン 増田氏)と説明した。

 「なぜ恐竜の形をしているのか?」という質問には、「相手を威嚇するという意味も込めてデザインしている。また、ロボットとしてはメタリックなイメージがあるが、こういったデザインのほうがロマンがある」と説明された。

 また、「4足歩行にする必要はあるのか? 車輪で走るなど、もっと単純なシステムのほうが安価ではないか?」という質問に対しては、「4足なら階段を登ったり、その場で方向転換をするなど、きめ細かい動きが可能だ。しかし、4足歩行にこだわっているわけではなく、よりよい方式の移動方法があれば検討したい」と述べた。

 なお値段については、「某社のロボットでは“高級車1台”という表現がされていたが、我々の製品では軽自動車なみの価格にしたい」と語った。

□オムロンのホームページ
http://www.omron.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.omron.co.jp/press/p0327.html
□テムザックのホームページ
http://www.tmsuk.co.jp/
□ニュースリリース (PDF)
http://www.tmsuk.co.jp/jap/press/020326.pdf
□関連記事
【3月25日】三洋、テムザックと共同で4足歩行ロボットを開発
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0325/sanyo.htm

(2002年3月26日)

[Reported by kiyomiya@impress.co.jp]

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