NEC、他社製パソコンの生産、保守、サポート事業に乗り出す
~来年度末には中国生産を7割に拡大



 日本電気株式会社(NEC)は、来年度末をめどに、PCの生産量の7割を中国生産へとシフトすると同時に、他社製PCの生産・修理事業にも本格的に乗り出す考えを明らかにした。

●中国へのシフトとともに、国内拠点を再編

NECソリューションズ
富田克一執行役員常務

 同社では、現在、PCの完成品の1割を中国で生産しているほか、マザーボードに関しては、昨年10月以降、全量を中国生産へと移行させている。今回のPCの中国生産への大幅シフトは、製造コストの削減が大きな狙いで、来年度の黒字化に向けた重要な施策となる。

 具体的には、台湾の複数のメーカーにPCの生産を委託、これらのメーカーの中国拠点を利用して生産を行なう。NECの生産担当者が生産技術面での支援を行ない、品質レベルの維持や納期の安定化にも取り組む。同時に、サプライチェーンマネジメント(SCM)システムの見直しにも着手している。

 これにあわせて、国内の群馬事業場、米沢事業場の2拠点の再編を行なう。デスクトップPCの生産を行なっていた群馬事業場は、修理・診断の拠点へと業態を転換、事業場の社員などを中心に500人規模で新会社を設立し、NEC製PCのほか、他社製PCの修理なども行なう。

 ノートPCの製造を行なっていた米沢事業場は、群馬事業場のデスクトップ製造ラインの一部を移管、国内唯一のPC製造拠点として、来年度末には、全出荷量の3割を生産することになる。「生産の対象となるのは、直販向けや、コマーシャル向け製品。具体的に、どのモデルを米沢で作るということは決めていないが、来年度後半には、ある程度、生産するモデルが絞りこめるだろう」(NECソリューションズ・富田克一執行役員常務)という。

●他社製品の生産・修理に加えてサポートも

 今回の中国生産の加速と、国内の生産拠点の再編に伴って、NECでは、他社製品の生産、保守、サポートにも積極的に乗り出す姿勢を示している。

 生産に関しては、すでに昨年4月の段階で西垣浩司社長が、「3年後には他社からのOEMによる生産を10%程度にしたい」との方針を掲げており、今年度、少量だが実績が出始めている段階。生産を担当する「NECカスタムテクニカ」では、今回の中国生産の増加とともに、OEM生産事業を拡大する考え。

 また、群馬事業場をベースに設立する修理の専門会社でも、他社製品の修理などを行なう予定で、「競合メーカーであるということで取り扱わないというのではなく、ビジネスとして手が組めるのであれば、他社製品の修理を請け負う体制を取りたい」(富田常務)として、全国規模で展開する保守専門会社の「NECフィールディング」の窓口を通して、他社製PCの修理受付も行なっていく考え。さらに、電話サポート窓口である121コンタクトセンターでも、他社からのサポート委託事業の獲得に積極的に乗り出す考えだ。

 「昨年10月にパーソナルグループの体制を分社化したが、これによって水平分業化の仕組みができた。水平分業のなかでは、NECの製品だけに対応すればいいというのではなく、これらのリソースをいかに有効に活用するかという点が重要になる。NEC以外の製品を取り扱うことは水平分業化では当然の流れ」(富田常務)として、生産、保守、サポートという各領域で他社製品を取り扱っていく姿勢を見せている。

 同社のパーソナル事業は今年度赤字が決定的だが、来年度以降の新たな収益確保の手法として、他社製PCの取り扱いに乗り出すといえる。

□NECのホームページ
(2月27日現在、この件に関する情報は掲載されていない)
http://www.nec.co.jp/

(2002年2月27日)

[Reported by 大河原克行]

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