JEITA、ディスプレイ/プリンタなどの需要予測を発表

会見に臨んだJEITAの情報端末企画委員会のメンバー
2月26日発表



委員長の熊白侃彦氏(沖電気)
 社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)は、2001年の情報端末装置に関する世界および日本市場の実績および2004年までの市場動向予測を発表した。

 今回、発表したのはディスプレイ、プリンタ、磁気記憶装置、光ディスク装置、イメージスキャナ、OCRの6分野。

 「2001年の状況を全般的に見ると、経済状況の低迷や米国同時多発テロ事件の影響などによって、やや下落傾向にある。だが、2003年には上向いてくるだろう」(JEITA情報端末企画委員会・熊白侃彦委員長=沖電気工業)としている。


●ディスプレイ

 2001年のディスプレイ市場は、当初の予測を下回る結果となった。なかでもCRTディスプレイは、液晶ディスプレイへのシフトが進展したことの影響を受け、前年比13%減の9,753万台。国内ではさらに落ち込みが激しく33%減の362万台となった。

 液晶ディスプレイに関しては、27%増の1,534万台となり、国内でも17%増の341万台。しかし、国内の金額ベースでは、前年並みとなる0.2%減の2,743億円となった。これまで普及が進まなかった欧米での液晶ディスプレイ需要が増加したほか、国内における液晶ディスプレイの低価格化が大きく影響したといえる。

 2004年までの需要予測では、CRTディスプレイは18%減の8,033万台、液晶ディスプレイは「極端な値上がりがない限りは需要が失速することはない」(JEITAディスプレイ専門委員会・中野義彦主査)として、4,920万台に達する221%増と大幅な伸びを見せると予測している。

試作品として展示されたノートPCと接続したマルチディスプレイ
 「液晶ディスプレイの需要拡大については、低価格化の影響もあるが、マルチディスプレイ用途といった新たな利用創出も期待される」(中野主査)とした。

 マルチディスプレイ用途の考え方としては、ノートPCの横にもう1台の液晶ディスプレイをセカンドディスプレイとして設置、これを1台のディスプレイとして使用することを見込んでいる。

 今回の記者会見では、マルチディスプレイとしての利用を提案する試作品を展示、「今後は、画素ピッチ数、画面サイズ、高さなどをノートPCの仕様に合わせた製品が出てくることになるだろう」(中野主査)とアピールした。


●プリンタ

 プリンタ市場に関しては、2001年は金額ベースで4%増の5兆989億円、台数では3%減の8,408万台となった。とくに、構成比の大半を占めるインクジェットプリンタが前年比5%減の6,036万台と予測作業の開始以来、初のマイナス成長。

 インクジェットプリンタのマイナス要因については、「経済環境の影響と、パソコンと同時に購入するというこれまでのプリンタの購入方法だけでは飽和状態に達し始めたのが原因」(JEITAプリンタ専門委員会・伊藤弘子委員長)としている。

 ページプリンタは、1%増の1,179万台。カラーページプリンタは、安価な製品が投入されたにも関わらず、横ばいとなった。また、徐々に縮小傾向にあるドットマトリマックスプリンタは台数ベースで11%減の361万台となったが、今後、保守の容易性、低ランニングコストといった点で産業振興拡大地域を中心に需要が根強いと予測している。

 急成長を遂げたのが、スキャナ、FAX、コピーなどの機能を有したMFP(マルチファンクションプリンタ)。小型パーソナル機は、入力系統の機能や操作性の向上、省スペース性が評価され、SOHO向けの導入が促進、中高速機は、ネットワーク機能、ペーパーハンドリング機能の強化などでオフィスに導入されており、MFP全体で台数ベースで15%増の831万台と、ほかの方式が伸び悩むのを尻目に成長を遂げた。

 今後の需要動向としては、景気の回復とともに2002年から復調すると予測しており、2005年まで1桁台後半の成長を続けると予測、2005年には2001年比32%増の1億1,138万台に達するとした。その原動力となるのがインクジェットプリンタで、2005年には同34%増の8,061万台に達すると見ている。

 「製品の単価低下による裾野の拡大、小型・省電力などのインクジェット技術を生かした付加価値カテゴリの形成、パソコンの周辺機器の枠を越えた分野への展開が拡大することで、着実に成長を続ける」(伊藤委員長)と予測している。

 また、今後の製品動向として、「従来は印字速度、画質といった印字性能の高低によって価格差がつけられてきたが、今後は、プリンタの低価格化によって、同じ価格帯のなかで異なる技術方式が混在し、用途によって棲みわけられる水平分岐の状況が見られるだろう」としている。

 つまり、ある価格帯において、単機能プリンタとMFP、あるいは方式が異なるプリンタが混在し、競合する構図ができるというわけだ。言いかえれば、プリンタの価格低下が進展し、すべてのプリンタ製品がほぼ同一の価格帯まで下がってくることになる。


●固定磁気ディスク装置

 固定磁気ディスク装置(HDD)は、デスクトップやサーバーなどで利用される3.5インチHDDと、ノートPC向けが主体となる2.5インチHDDに区分して集計されている。

 2001年の実績は、2.5インチHDDが3%増の3,326万台、国内では9%増の805万台。3.5インチHDDは3%減の1億5,869万台、日本では8%減の1,151万台。出荷台数に占める2.5インチHDDの比重は、全世界が17%であるのに対して、日本では41%を占めており、ノートPCの需要が高い日本ならではの状況が浮き彫りとなった。

 HDDの需要動向は、基本的にはパソコンの需要動向に大きく影響されるため、今後の見通しとしてはパソコン本体同様、国内では2002年までは停滞するものの全世界的に見れば回復基調に転じ、2003年以降は国内市場も回復すると見ている。

 2.5インチHDDは、年平均成長率15%増で推移し2004年には5,045万台に、下落した3.5インチHDDも、今後はゲーム機や情報家電、車載機器などでの利用が見込まれることから、年平均成長率11%増で推移し2004年には2億1,953万台の出荷規模が見込まれる。


●光ディスク装置

 光ディスク装置は、CD-ROMドライブ、DVD-ROMドライブ、CD-R/RWドライブ、CD-R/RW+DVD-ROMコンボドライブ、追記書き換え型DVDドライブ、MOドライブの6つのカテゴリに分類して調査している。ゲーム機やDVDプレーヤーは含まれない。

 この6つの製品を合計した市場規模は、1億7,555万台で、前年比7%減。とくに日本では、14%減の1,810万台と落ち込みが激しかった。

 「2000年に過剰生産した製品の在庫処分が、2001年の出荷数量減少に影響している」(JEITA光ディスク専門委員会・吉田紹一委員長)というのが原因。だが、これも昨年6月に解消しており、今後は安定した需要拡大が見込めるとしている。

 今後の予測としては、2002年は、過去の経験則から、パソコンの全出荷量の1.4倍となる1億8,300万台とし、2003年は、追記書き換え型光ディスクが成長、パソコンの標準光ディスク装置としてCD-R/RWが主流になるとした。また、2004年には追記型への置き換えがさらに進み、なかでも追記書き換え型DVDドライブが最も高い伸張を見せると予測した。

 こうした動きによって、2004年には2億1,154万台の光ディスク装置が出荷され、内訳はCD-ROMドライブが4,120万台(2001年比55%減)、DVD-ROMドライブが3,910万台(同45%増)、CD-R/RWドライブが7,220万台(同58%増)、CD-R/RW+DVD-ROMコンボドライブが3,810万台(同340%増)、追記書き換え型DVDドライブが1,850万台(同1327%増)、MOドライブが239万台(同37%増)とした。追記書き換え型DVDドライブの今後の伸び率が急速であることがわかる。


●イメージスキャナ

 イメージスキャナは、コンシューマ市場が中心となるフラットベットスキャナが構成比で97%(台数)を占めており、同分野の動向がそのまま市況に反映される。

 高解像度化、高速インターフェイスの採用、フィルムスキャン機能を搭載した新製品の登場により、2001年の前半は順調に推移したものの、後半は需要停滞の影響を受け、国内市場全体では、台数で1%減の164万台、金額で5%減の277億円となった。

 2004年には、2001年比6%増の196万台、金額ベースでは、15%増の318億円と予測している。

 フラットベッド型は引き続き、高解像度化、高速インターフェイスの採用、フィルムスキャン機能といった機能強化が進むことで、ホームページや年賀状による写真入力需要などに支えられ、年率5~6%で増加するとしている。

 一方シートフィードスキャナは、ペーパーレスニーズに支えられ、年率15~20%程度で伸張、フィルムスキャナは、デジタルカメラの高画質化によって今後は市場が縮小すると予測している。


●OCR関連機器/ソフト

 2001年のOCR市場は5%減の約15万台、金額ベースで前年比横ばいの156億円としており、なかでも、2000年に大幅な伸びを見せた文書用OCRのソフトが減少したのが要因としている。

 今後は、経費削減やデータエントリーニーズ、ドキュメント電子化ニーズによって、年率5~10%増の伸びを見込んでおり、2004年には190億円の市場規模に達すると予測している。

 しかし、「最近では認識技術が進歩し、文字認識だけでなく帳票フォーマット認識、図形認識へと対象範囲が拡大しつつあり、これが認識モジュールとしてほかのアプリケーションソフトや業務システムに組み込まれるケースが増加している。こうした動きが顕著になれば、OCR市場全体を引き上げる原因となり、2004年の190億円を大きく上回る可能性もある」(JEITA OCR専門委員会・井上恵一委員長)とした。

□JEITAのホームページ
http://www.jeita.or.jp/
□ニュースリリース
http://it.jeita.or.jp/statistics/intelterm/2001/
□関連記事
【2月5日】JEITA、2001年の国内パソコン出荷は前年割れと発表
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0205/jeita.htm

(2002年2月26日)

[Reported by 大河原克行]

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