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次世代光ディスク「Blu-ray Disc」に関する発表会を開催
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Blu-ray Discロゴ |
松下電器など9社は、次世代大容量光ディスクに関する共同記者会見を開催、次世代光ディスク規格「Blu-ray Disc」を策定したと発表した。今後この仕様を関連業界に提案するとともに、2002年春をめどにライセンスを開始するという。
「Blu-Ray Disc」は、最大27GBの記録が可能な光メディア規格。トラックピッチをCD/DVDの約半分の0.32μmに微細化し、CDやDVDと同じ12cmのディスクの片面に、最大27GBのデータを繰り返して、記録/再生可能となる。
参加しているのは、LG電子、日立製作所、松下電器産業、パイオニア、ロイヤルフィリップスエレクトロニクス、サムスン、シャープ、ソニー、トムソンマルチメディアの9社。
メディアはカートリッジ式 | 9社の代表が集まって会見を行なった |
「Blu-ray Disc」では、405nmの青紫色レーザーや開口数(NA)0.85の対物レンズ、光透過保護層厚0.1mmのディスク構造を採用することで、大容量化を実現した。デジタルハイビジョン環境でのビデオレコーディングにフォーカスした規格となっており、データ転送レートは36Mbps、映像記録方式はMPEG-2、音声はAC3/MPEG-1 Layer2などをサポート。映像音声多重化方式はMPEG-2トランスポートストリーム。
著作権保護機能も装備、メディアはカートリッジ式となっている。なお、同規格はDVDフォーラムで策定したものでなく、あくまで9社が共同で策定したものとなっている。主な仕様は以下のとおり。
【主な仕様】
・記録容量:23.3/25/27GB
・レーザー波長:405nm(青紫色レーザー)
・レンズ開口数(NA):0.85
・データ転送レート:36Mbps
・ディスク直径:120mm
・ディスク厚:1.2mm(光透過保護層厚:0.1mm)
・記録方式:相変化記録
・トラック方式:グルーブ記録
・トラックピッチ:0.32μm
・最短ピット長: 0.16 / 0.149 / 0.138μm
・記録面密度: 16.8/18.0/19.5 Gbit/inch2
・映像記録方式: MPEG-2ビデオ
・音声記録方式: AC3、MPEG-1 Layer2など
・映像音声多重化方式: MPEG-2トランスポートストリーム
・カートリッジ寸法: 約129×131×7mm
なお、記録容量が23.3~27GBとまちまちなのは、「まだ、開発途上なので3つの容量で掲載している(ソニー執行役員 西谷清氏)」とのことで、メディア生産時の精度の問題で、コストを重視して23.3GBで作るメーカーもあれば、精度を上げ容量重視で27GBで作れるメーカーもあるという。
ソニー 高篠静雄 執行役員専務 |
発表会では、まずソニー 執行役員専務の高篠静雄氏が概要を解説した。「Blu-ray Disc」を今後の大きな伸びが予想される、デジタル放送向けの規格と位置づけ、「大容量記録」、「簡単な操作性」、「安全かつ確実な保存」といった市場の要求に答える規格であることを説明した。当初は、デジタル放送の記録向けとしてスタートするが、将来的にはコンピュータ向けの記録ドライブとして展開していく可能性もあると述べた。
松下電器産業 三木専務 |
その後、松下電器産業株式会社 代表取締役専務の三木氏が技術説明を行なった。0.32μmの狭トラックピッチ化(DVDは0.74μm)や405nmの短波長レーザー(同650nm)などの採用により大容量/高密度化が実現したことを説明し、今後の展開として、現在は片面1層のみだが、片面2層で50GB記録を目指すほか、高転送レート化などを目指していくという。
物理フォーマットの主な特徴 | 大容量化 | 高密度化 |
パイオニア 杉本昌穂 技術戦略最高顧問 |
また、パイオニアの杉本昌穂 技術戦略最高顧問は、将来的な展望を解説した。まずは日本市場がメインとなるとし、「BSデジタルハイビジョンは、2000年の開始以来、昨夏は低迷したが、年末には上昇してきている。オリンピックやサッカー ワールドカップなど大きなスポーツイベントもあり、2002年末には500万世帯が、2003年には800万世帯にデジタルハイビジョンが普及するだろう。“Blu-ray”もそうした流れのなかで、PDPなどの大画面TVなどと、お互いに刺激しあいながら普及するだろう。また、地上波デジタルの始まっている米国や、韓国などが次の市場となるだろう」と今後の動向について説明した。
ソニー 西谷清 執行役員 |
質疑応答は、上記9社の代表のほか、ソニー執行役員 西谷清氏が同席し行なわれた。
まず、今回の発表に及んだ経緯と、9社に東芝が含まれていない点について質問が及んだ。
ソニー西谷氏は「1年前の光ディスク関連の学会「ODS」で、ここにならんでいる9社が、ブルーレーザーで、波長405nmなどの基本的な点で一致していた。そこで同じフォーマットを作ろうということで始まったのが、おおまかな経緯だ」とし、東芝については「東芝さんにお問い合わせいただきたいというのが、私の立場から言えること」と述べた。
また、具体的な製品化の時期については、「仕様はほぼ確定しているが、商品化はまだいつといえる段階ではない(ソニー 高篠氏)」、「全くノーコメント(松下電器 三木氏)」、「現在はVer.0.9の段階であり、Ver.1.0が策定でき次第、商品化時期を公表する。現段階では未定(パイオニア 杉本氏)」という。
なお、既存のDVDとの互換性については、「規格上ではかからなくてもいい。ただし、現実的に無視することはできないので、製品化段階では対応することになるだろう(パイオニア杉本氏)」という。また、松下電器の三木専務は、「もともとDVDレコーダ(RAMや-RW、+RWなどに)が分かれているのは消費者にはありがたくない。Blu-Rayでサポートするとこで、今、DVD-RAMをお買いいただいても安心ですよ。と言いたい」と述べた。
また、従来のDVD市場との関係については、「従来のDVDはNTSC用、Blu-ray Discはハイビジョン用という住み分けができる(パイオニア杉本氏)」としている。
DVDフォーラムとの関係については、「今回、こうした形で提案したが、この9社はフォーラムのコミッティーであるし、130を越える参加者もフォーラムにいる。いい関係をとって、このフォーマットを広めるために、さまざまな協力をしていきたいと思う」と説明された。
□ニュースリリース
(2002年2月19日)
[Reported by usuda@impress.co.jp]
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