イーディーコントライブ、違法コピー防止技術「ProRing」

ProRingを使ったサンプルCD-ROM

2月14日発表



 イーディーコントライブ株式会社は14日、CD-ROMの違法コピーを防止するための技術「ProRing」を発表した。

 ProRingは、従来同社で「RingPROTECH(リングプロテック)」と呼ばれていたコピープロテクト技術。2001年7月頃から、現在まで約40社のソフトウェアメーカーが採用しているという。

 RingPROTECHは、CD-ROMの記録面にあらかじめリング状の無信号部分を作成し、CD-RWのライティングソフトなどでの読み込み時にエラーセクタとして認識させ、コピーを防止するもの。エラーセクタを読み飛ばすことが可能なソフトでも、コピーに数時間を要するため、事実上コピーは難しい。

 リングの状態をPCR(プロテクトチェックルーチン)とよばれるDLLを併用して識別することで、さらに正確なディスクの判別が可能。

 今回発表されたProRingでは、新たにリングが複数配置可能になったほか、以下の2つの機能をPCRに追加した。

 1つめの「仮想CDドライブ対策」では、メディアが物理的なドライブ上で動作しているか、ソフトウェアによる仮想的なドライブ上で動作しているかを判断し、仮想ドライブ上で動作していた場合は動作しないようにする。

 2つめの「メディア判別機能」では、CD-ROMに書き込まれたデータなのか、CD-RWに書き込まれたデータなのかを判断し、CD-RWに書き込まれていた場合には動作しないようにするもの。

 ProRingの組込方法は以下の3種がある。

・Ringのみのプロテクトタイプ
 無信号部分だけを作成するもっとも単純なタイプ。実行ファイルがCD内に存在し、CDをドライブに挿入したまま使うことが多い素材集やデータ集などで有効という。

・Ring+PCR(インストーラ)プロテクトタイプ
 インストーラにPCRを仕込み、セットアップ時に不正なディスクであるかどうかをチェックする。ビジネスソフトなど、インストール後にCDを必要としないタイプのソフトに有効としている。

・Ring+PCR(アプリケーション)プロテクトタイプ
 アプリケーション起動時に、正規のCDがセットされているかどうかを確認するキーディスクタイプ。ゲームソフトや辞書、教育ソフトなどに有効という。

 対応OSはWindows 95/98/Me/NT 4.0/2000/XPおよびMac OS 8.1~9.2。なお、リングが多ければ多いほどコピーは困難となるが、1本で約40MBの容量を消費する。当初は日本では2本、韓国では4本のリングが入ったものが導入される予定で、それぞれ80MB、160MBを消費するため、無闇に増やすことはできない。

ProRingのしくみ RingPROTECHを導入した実績のある企業 ProRingに掛かるコスト一覧



イーディーコントライブ株式会社取締役 小椋量友紀氏

 会場ではイーディーコントライブ株式会社取締役の小椋量友紀氏がプレゼンテーションを行なった。

 冒頭ではまず、「CD-Rドライブの普及とともにCD-ROMの不正コピーが増加しており、日本では年間約2,000億円の損害が出ていると言われる」と、国内における被害状況を説明。続いて各国での違法コピー率を示し、「アメリカでは24%、日本では37%、中国では94%が違法にコピーされている。アメリカでは市場規模が大きくなっていながら、率は横ばい状態で、比較的違法コピーに対する意識があるといえる。逆に日本では前年との比較で8%近くも上昇しており、飛び抜けて上昇している」と述べた。

 また、韓国での例をあげ、「韓国ではADSLを始めとしたブロードバンド回線が非常に普及しているが、それに伴って違法コピーが問題になっている。CDイメージを作成してそれをインターネット上にアップロードするという手口がもっとも多く、ADSL回線を使えば、600MB程度のデータを1時間程度でダウンロードできてしまう。日本でも急激にADSLが普及しているが、かならず問題になる」と指摘した。

 「日本では新品を購入したユーザーがCD-Rへコピーし、その後中古ショップへ売るというケースも多い。中古市場などへ流出することで、本来長期的に売れる商品でも、極めて短い期間しか売れず、メーカーは新製品を出さざるを得ないという、自転車操業的な状況に陥ってしまう。強力なコピープロテクトを施すことで、そういった市場への流出を防ぎ、結果的に販売本数が伸びると考えている」としながらも、「ただし、コピーユーザーが潜在的に将来の正規ユーザーになる可能性も否定できない。コピーユーザーを単に排除するのではなく、例えば、コピーができても、そのディスクは体験版として動作する、というような方法もProRingでは可能になっている」などと語った。

 同氏はProRingのコンセプトとして、「視覚的に確認できる独自のRing」、「安定した動作」、「簡単な組込作業」の3点をあげ、ProRingが既存のプロテクト技術よりも優れたものであることをアピールした。

 視覚的な効果としては、ProRingが導入されたメディアでは、記録面に視認可能なリングが作成されるため、「プロテクトがされている」という認識をユーザーに与えることができ、不正コピーへの抑止力になるとしている。

 安定した動作としては、すでにRingPROTECH技術を導入したソフトとしては100万本が出荷されており、特に不具合は確認されていないとしている。セーフディスクなど、既存のプロテクト技術では一部のCDドライブで読み込みができなくなるなどの不具合が見られるが、ProRingではそういったトラブルは報告されていないという。また、組込作業についてはPCRなど簡単なDLLを組み込むだけで対応可能とし、ソフトの制作者側に負担をかけないという。

CD-Rの普及に伴う違法コピーの増加 各国の違法コピーの状況。日本における1年間の被害額は約2,000億円という 中古市場が与える出荷本数への影響

 質疑応答では 「現在、韓国の「世韓メディア」にライセンス供与を行なっておりProRingを扱えるのは、イーディーコントライブと世韓メディアの2社だけということだが、将来的には他国への展開もあるのか?」という質問に対して「他国へ展開する予定はあるが、具体的にはなにも決まっていない」と回答した。

 「RingのみでPCRを使わない場合でもOSに依存するのか?」という質問には、「CDの論理フォーマットに依存するため、OSに依存する。特にMac OSのHFSフォーマットなどには対応しないので、ハイブリッド化してからISO9660フォーマット上にRingを作成している」とした。

□イーディーコントライブのホームページ
http://www.ed-contrive.co.jp/

(2002年2月14日)

[Reported by kiyomiya@impress.co.jp]

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