AMD、2002年のロードマップを公開。すべての製品を0.13μm化
~CPU出荷数は780万個、シェアは20%を確保

日本AMD株式会社
堺和夫 代表取締役社長

1月18日発表



 日本AMD株式会社は18日、米本社の決算発表を受けてプレスカンファレンスを開催、2002年のロードマップなどを公開した。

■Intelの独占を崩した2001年、ASPも向上

IntelとAMDの同世代CPUのダイサイズを比較
 「とうとうIntelの独占に終止符を打ちました」堺和夫代表取締役社長の第一声でプレスカンファレンスは始まった。Athlon XP/モバイルAthlon 4/Athlon MPなどの投入によりAMDの認知度が上昇し、市場における一定のポジションを築くことができた、と2001年のAMDを振り返ったもの。さらに、米国特許取得ランキングでIntelを抜いたこと、Intelの同世代のCPUと比較するとAMD製品のほうがダイサイズが小さいことなどをあげ、技術的にも優位にあることを強調した。

 2002年は引き続き、デスクトップ、ノート、サーバー/ワークステーションの全分野でのラインナップ拡大、64bit CPUの投入などにより、2001年は20%にとどまった市場シェアを30%まで拡大すべく、認知度の向上を図るとした。


吉沢俊介 取締役
 続いて吉沢俊介取締役から2001年第4四半期と2001年通期決算のハイライトが発表された。2001年第4四半期については売上げが9億5,200万ドルで対前期比24%増となるも、フラッシュメモリ市場の落ち込みの影響で、1,600万ドルの赤字となった(前期は9,700万ドルの赤字)。

 売上げのうち、プロセッサが占めるのは7億300万ドル(対前期比50%増)。数量ベースでも780万個を記録し、プロセッサに関しては過去最高の数字を記録した。なかでも注目されるのは、プロセッサ1個あたりのASP(平均販売単価)が第3四半期の60ドルから90ドルに上昇したことで、単価の高いAthlon XPがよく売れたことを示す数字となっている。プロセッサと並ぶAMDの主要製品であるフラッシュメモリに関しては、7%の売上げ減となった。

 2001年通期では、売上げは38億9,200万ドル(対前年比16%減)だが、6,000万ドルの赤字となった。赤字の原因はFab14/15の閉鎖に伴う一時的な損失で、これを除けば黒字になる、とした。プロセッサの売上げは24億ドル(対前年比4%増)で販売個数は3,100万個(対前年比16%増)となっている。

■2002年中にすべてのCPUを0.13μmに移行、SFFや薄型ノートPCもターゲットに

マイクロPGAパッケージ(左)と通常のPGAを比較するサム・ローガン マーケティング本部長
 新技術とロードマップと新技術についてはサム・ローガン マーケティング本部長が発表した。

 まず、SFF(Small Form Factor)デスクトップPC向けCPU用の技術として「Cool‘n’Quiet」を発表。昨年発表された日立「FLORA 330サイレントモデル」のCPU「低消費電力版Athlon 1500+」に搭載された技術で、CPUクロックを動作状況に応じてアクティブに制御するもの。同様な技術としてモバイルCPU用に「Power Now!」という技術があるが、Power Now!にある電圧制御は、Cool‘n’Quietでは行なわれない。

 ローガン本部長は「Cool‘n’Quietは小型化と静音化のための技術であり、ノートPCのバッテリー寿命を伸ばすためのPower Now!とはアプローチが違う。電圧制御が無くてもSFFの小型化・静音化は可能であり、むしろシステム側に電圧制御関連のハードウェアが不要になるため、コスト的に有利」としている。

 さらに、これまで同社のラインナップになかった、薄型軽量モバイルノートPC向けCPU用の技術として「マイクロPGAパッケージ」を披露。563ピンでサイズも33×33mmと小さく、高さを抑えるためにピンを短くしたもの。

 マザーボードにハンダ付けされるBGAパッケージでは、搭載されたCPUが陳腐化してしまってもそのままにしておくしかないが、マイクロPGAならCPUを新しいものに差し替えて出荷できる。これにより、マザーボードメーカーの在庫リスクを減らし、柔軟なSCM(Supply Chain Management)を構築できる、としている。

 なお、エンドユーザーによるCPUの差し替えも可能なように見えるが、「ノートPCでは熱管理機構などが複雑になっており、エンドユーザーがCPUに触れるのは困難になるのではないか」(ローガン本部長)とのことだ。マイクロPGA製品は2002年前半に登場する予定。

 最後に2002年のロードマップが公開された。2002年前半には0.13μm版Athlon XP/モバイルAthlon 4/Athlon MPである「Thoroughbred/Thoroughbred MP」と、0.13μm版Duron/モバイルDuronとなる「Appaloosa」が投入される。後半には0.13μmプロセスに加えてSOIが採用されたAthlon XP/モバイルAthlon 4/Athlon MPである「Barton/Barton MP」が投入される。 また、64bit CPU「ClawHammer」は2002年後半の登場となった。

2002年のロードマップ
(別ウィンドウで大きな画像を開きます)
Cool`n'Quietに対応したFLORA 330サイレントモデル
通常のPGA(左)とマイクロPGA(中)。右はマイクロPGA用ソケット。上部のネジを締め込むと、ピンを押さえて固定できる 通常のPGA(左)とマイクロPGAのピン。マイクロPGAのピンは短い
 

□日本AMDのホームページ
http://www.amd.com/japan/
□ニュースリリース
http://www3pub.amd.com/japan/news/corppr/nr22020.html
□関連記事
【2001年12月22日】日立、低消費電力版Athlon XP 1500+搭載の省スペースPC
~低消費電力、静音性にフォーカス
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20011221/hitachi.htm
【2001年1月18日】AMD、2001年のロードマップを公開。今年後半のAthlonは1.7GHz
~史上最高の決算を受けて、シェア30%を目指す~
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010118/amd.htm

(2002年1月18日)

[Reported by tanak-sh@impress.co.jp]

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