レビュー

Kindle for PC日本語版を試してみた

〜タッチ操作にはやや難あり

10型のYOGA Tablet 2 with WindowsでKindle for PCを利用しているところ

 Amazon.co.jpは21日に、Windows用電子書籍閲覧ソフト「Kindle for PC」日本語版を提供開始した。電子書籍プラットフォーム最大手であるKindle本が日本のユーザー、そしてマンガや雑誌など国内の書籍にもようやく対応したとあって、ユーザーの関心はかなり高い。そこで、手元の環境にインストールして、簡単にではあるが先行するAndroid版と比較しつつその使い勝手を検証してみた。

 まずはKindle for PCのページからソフトをダウンロードしてインストールする。初回起動時にはAmazon.co.jpのアカウントとパスワードを入力するダイアログが表示される。ここも1つのポイントで、これまでも日本語Windowsに英語版のKindle for PCをインストールすることはできたが、紐付けられるアカウントは米国のAmazon.comのものだったので、UIのローカライズ以前の問題として、Amazon.co.jpで購入した本は閲覧できなかった。なお、今回検証はしていないが、すでに英語版をインストールしていると、日本語版をインストールする際にアカウントとの紐付けがうまくいかなくなることがあるらしいので、該当する人は日本語版導入前に英語版をアンインストールしておこう。

 ソフトを起動するとライブラリ画面が表示され、自分が所有しているタイトルの一覧が表示される。この時点ではコンテンツはローカルにダウンロードされていないので、読みたいものをダブルクリックしてダウンロードする。ダウンロードしたものは、オフラインでも読めるので、飛行機などで移動時に重宝するだろう。なお、通常、1冊あたり同時にダウンロードできるのは端末6台までとなっている。

初回起動時にAmazon.co.jpのアカウントを入力
ライブラリ画面
書籍をダブルクリックするとダウンロードが始まる
ライブラリはテキスト表示にも変更可能

 日本語書籍については、縦書きやルビも問題なく表示される。リフローにも対応しているので、ウインドウのサイズや解像度に応じてきちんと表示される文字数・行数が変わってくる。

 フォントについては、フォント種の変更はできない。Android版ではできるので、ここは将来改善して欲しい。一方サイズは変更可能。数十段階程度変更できるので、端末の画面サイズや視力に応じて最適なモノを選べるだろう。また、画面上の表示幅(余白)や背景色(白、セピア、黒)も変更できる。行間幅は変更できない。

 デスクトップアプリではあるが、フルスクリーン表示モードを搭載しており、この場合はタスクバーなども全て消え、コンテンツとKindle for PCのUIだけが表示されるので没入感が高まる。もちろん、タブレットの場合は、縦横の画面回転ができるので、縦持ちして読むこともできる。

 しおりを挟んだり、メモを書き込んだり、検索といった機能はAndroid版同様に搭載。言葉を選択して、デジタル大辞泉を始めとする各国語の辞書を引くこともできる。ただし、電子書籍内の登場人物や地名、画像といった書籍の「骨格」となる主要キーワードをピックアップし、キーワードに関連した情報を表示する機能「X-Ray」機能は未実装だ。

和書を表示させたところ。縦書きや、縦横混在、ルビも問題なく表示される
フォントサイズやページ表示幅、背景色などを変更可能
フォントサイズを最大にしたところ
フォントサイズを最小にしたところ
長時間の読書だと、セピアの方が目への負担が小さいかも知れない
フルスクリーンモードにすると、タスクバーなどWindowsのUIは全て消え、左端にKindle for PCのメニューが表示されるだけとなる
目次などを表示可能
言葉を選択して、辞書を引くことができる
AndroidではX-Ray機能があるが、Windows版にはまだないようだ
オプション→一般
オプション→登録
オプション→コンテンツ
オプション→注釈
オプション→言語
オプション→辞書
オプション→ネットワーク

 マンガについては、Android版同様、見開き表示が可能。デスクトップPCや、ある程度大きな画面のノートPCなどで見る際は、横向きが標準となるので、縦横比的に見開きの方が見やすくなるし、紙で著者が意図した通りのコマ割りを再現できる。

 残念なのは、スワイプなど指でなぞる操作に対応していない点だ。ページをめくる際は、スワイプするのではなく、左端(戻る場合は右端)あたりをタップする。これについては、操作性にさほど影響はないが、マンガ閲覧時は、表示幅の変更ができず、縦向きにしても常に左右に余白が表示されるのは少し気になる。なお、キーボード、マウスについては、カーソルキーやホイールによるページめくりができる。

 それよりも難点なのが、マンガを読む場合、画面を125/150/200/400%に拡大できるのはいいが、これはピンチイン/アウトでは操作できず、プルダウンから選ぶか、拡大/縮小ボタンを何度かタップする必要がある。そして、拡大した状態ではタッチ操作では画面をスクロールできず、マウスによるドラッグ操作が必要となるのだ。解像度や画面サイズが小さい場合、ルビが読めず拡大縮小しながら読み進めることもあるが、Windows版ではそれをやるにはマウスが必須ということで、タブレットの操作性は改善の余地がだいぶある。

マンガを表示させたところ(著作権保護のためぼかしを入れています)
見開き表示も可能。カラーにも対応
フルスクリーンで縦画面表示させたところ
実用性は低いが、縦画面で見開きも可能
最大400%まで拡大できるが、この状態でタッチではスクロールできない

 以上、ごく簡単にではあるが、Kindle for PC日本語版を触ってみて感じたのは、タッチ操作への対応が未熟という点だ。とは言え、これまでWindowsタブレットでは困難だったKindle本の閲覧ができるようになったという事だけでも大きな前進であり、ユーザーにとっては非常にありがたいだろう。また、タッチの操作性に難があるとは言え、マンガで拡大縮小せず、ページを順に送っていくだけなら何の問題もない。Kindleをすでに利用しているユーザーなら、是非とも導入すべきソフトだろう。

(若杉 紀彦)