特別企画
4人の識者が語る、いますぐにでもWindows 10に乗り換えるべき理由
~Windows 7サポート終了まであと2年半
提供: 日本マイクロソフト
2017年7月10日 06:00
PC Watch読者の8割(スマートフォン/タブレットを除く)はWindows PCでアクセスしている。そのなかでもっとも多いのはWindows 10で49.26%となる。Microsoftによれば、Windows 10は過去もっとも速いペースで採用が進んでいるといい、それを裏付ける数値といえる。一方、それに続くのは、Windows 8.1ではなくWindows 7の43%だ。Windows 8.1の割合は5.94%でしかない。
この数字からはいくつかのことが読み取れるが、1つ言えるのは、Windows 10どころか8.1にも移行せずWindows 7にとどまっているユーザーが多くいるということだ。現在のマシンに大きな不満がないのであれば、なかなか移行に踏み切れないかもしれない。しかし、アーキテクチャの古いシステムを使い続けることには潜在的なリスクが伴うことを認識すべきだ。
この企画では、Windowsやセキュリティ関連の動向に詳しい大河原克行氏、笠原一輝氏、清水理史氏、山田祥平氏の4名に、それぞれの視点でWindows 10へ乗り換えるメリットについて語ってもらった。
なお、日本マイクロソフトからも、先日以下のようなムービーが公開された。会社での利用シーンを舞台に、誰もが思い当たる Windows 7 PCで苦労した/失敗した「あるある」を、ユニークに表現している。本稿と合わせてご覧いただきたい。
大河原氏の所見~サポート終了時には、品薄の影響で新OS搭載PCの調達が遅れ導入が困難に
2017年4月11日にWindows Vistaの延長サポートが終了してまだ3カ月。だが、業界の関心は、早くもWindows 7の延長サポート終了へと移行している。
Microsoftの製品サポートは、製品発売後、最低5年間のメインストリームサポートと、最低5年間の延長サポートによって、合計で最低10年間提供されることになっており、Windows 7の延長サポートの終了は、これにのっとって、いまから約2年半後の2020年1月14日に迎えることになっている。つまり、2020年7月に開催される東京オリンピック/パラリンピックのタイミングでは、Windows 7は「サポート切れ」の状態になっているわけだ。
延長サポートが終了すると、セキュリティ更新プログラムや有償サポートを含む、すべてのサポートが受けられなくなる。日本マイクロソフトでは、最新となるWindows 10への移行を推奨している。
すでに業界の関心がWindows 7へと移行している理由はいくつかある。
1つは、このままでは、Windows XPのサポート終了時以上の混乱が起こると予想されている点だ。IDC Japanによると、Windows 7の延長サポートが終了する1年前の2019年におけるWindows 7搭載PCの残存率は、全企業のPCのうち34.6%に達すると推計している。
これは、Windows XPの延長サポート終了1年前の時点で、Windows XP搭載PCの残存率が29.3%であったことと比較しても高い比率となっている。じつに、3台に1台以上がWindows 7のままという状態だ。とくに大企業に比べて中堅中小企業での遅れが目立つと、IDC Japanでは指摘する。
2014年4月8日にサポートが終了したWindows XPでは、消費税増税前の駆け込み需要が重なり、PCの品薄が発生。業界団体である一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)のパソコン出荷統計によると、2013年度第4四半期(2014年1~3月)は、前年同期比30.5%増と大幅に伸長。国内のPC出荷台数は過去最高を記録し、主要各社は増産に追われた。
業界が懸念しているのは、需要の集中によって、PCの生産が追いつかないという点だけではない。その反動によって、2020年以降のPC市場全体の低迷につながると予測される点が大きな懸念材料となっている。
実際、Windows XPのサポート終了後、PC市場の低迷は長期化。JEITAの調査では、23カ月連続で前年割れという事態に陥った。IDC Japanの推計で示されたように、Windows 7の残存率がWindows XPを上回るのであれば、Windows XPの延長サポート終了時を上回る「騒動」が発生する可能性もあるというわけだ。
これは、ユーザーにとっても、悪影響を及ぼす。実際、Windows XPのサポート終了時には、品薄の影響で新たなOSを搭載したPCの調達が遅れ、結果として、サポート終了時点までに導入が完了しなかったという例も見られた。
JEITAの出荷統計でも、サポートが終了した2014年4月には前年同月比46.9%増、そして、5月には同23.3%増という成長を遂げているが、これはまさに、サポート終了までにPCが調達できなかったことの表れだ。こうしたことが起こらないように、早い段階からの移行を心掛けたい。
また、IDC Japanでは、「企業ユーザーにとっても単年でのPCの大量買い替えは、急激なIT予算の出費となり、他のIT予算や、会社の経費全体に対し大きな負担になると考えられる」と指摘。駆け込み導入に頼るのではなく、期間をかけた段階的な移行を提案している。
もう1つ、業界内で懸念しているのが、今回のWindows 10への移行は、単に最新のOSに入れ替えるだけではすまない点だ。というのも、Windows 10では、WaaS(Windows as a Service)と呼ぶ新たな考え方を採用。それにあわせた仕組みの導入や、ルールの変更が求められる。情報システム部門にとっては、運用、管理の方法にまでメスを入れることになる。
WaaSは、Windows 10をベースに、新たな機能を追加していくというものであり、約半年のサイクルで、改善を積み重ねていくことになる。これによって、最新機能や最新のセキュリティ対策が可能になる。
Windowsの進化は、数年に一度、新たなOSへと大きくバージョンアップするのがこれまでの慣例であったが、WaaSの仕組みは、iPhoneやiPad、Androidですでに採用されているものであり、Windowsも同様の仕組みに移行したと言える。
だが、常に最新のOSを利用することを前提としているため、Microsoftが提示するライフサイクルにあわせて、機能強化が進められ、企業ユーザーは、それにあわせて、使用しているアプリの対応を図らなくてはならない。これまでは、企業ユーザーが、独自のサイクルによってWindowsのバージョンを変えたり、セキュリティパッチを当てることで、アプリの対応を進めてきたわけだが、WaaSの仕組みを採用しているWindows 10ではこの前提が崩れることになる。
Windows 10では、半年に一度のペースで、大規模なアップデート(バージョアップではない)が行なわれているが、このサイクルにあわせて、いかに効率的にアプリの互換性検証を行なうかといったことも、Windows 10環境では考えなくてはならない。
日本マイクロソフトでは、「Windows 10への移行は、継続的に最新化されるITインフラへの移行を意味する。そのためには、どのような形で、どんなアップグレードが、どのような頻度で行なわれるのかを理解しておく必要がある。また、アップグレード時に、すぐに対応できることはなにか、すぐに対応できないことはなにかを知り、それに向けた対策をしておく必要がある。情報システム部門やIT管理者には、従来のWindowsとは異なる考え方やアプローチが必要になる」と語る。
Windows 10には、4つの更新モデルが存在する。機能追加の受け取り時期を早めることができる「Insider Preview(IP)、4~8カ月間隔でOSの機能追加を行なう「Current Branch(CB)」、機能追加の受け取り時期を4カ月間遅らせる「Current Branch for Business(CBB)」、特定用途の固定端末向けに機能追加を一切受け取らない「Long-Term Servicing Branch(LTSB)」である。
これによって、早期に最新機能を利用したり、検証時間や対策時間を十分に確保し、それからアップデートを行なったり、OSの安定化を見極めてから導入したりといったことが可能になる。ただ、CBでも、CBBでも、時限的な猶予が生まれるだけで、最終的には新たなアップデートを適用することは避けられない。
日本マイクロソフトは、Windows XPのときには積極的な訴求が1年前からスタートしたが、同社新年度がはじまる2017年7月以降、Windows 7のサポート終了に向けた訴求活動を積極化させる考えだ。それは、Windows 10への移行は、Windows XPのサポート終了時とは、レベルが異なることに起因している。
Windows 10への移行は、これまでの移行とはレベルが違う。そして、このままでは、新たな環境への移行に伴うPCへの需要の集中は、Windows XPのときに比べても大きなものになると予測されている。
そう考えると、サポート終了期限まで、まだ2年半というよりも、もう2年半を切っているという言い方が適しているのは間違いない。