写真で見るASUSTeKのIntel X79 Expressマザー
~次期Core i7「Sandy Bridge-E」対応

P9X79 DELUXE



 Intelの次期ハイエンド向けCPU「Sandy Bridge-E」(開発コードネーム)がもうまもなく登場予定となっている。今回、そのSandy Bridge-Eに対応したASUSTeK製のマザーボード「P9X79 DELUXE」と、「P9X79 PRO」の2モデルをCPUに先立って入手できたので、写真を中心にレポートする。

 Sandy Bridge-EはソケットLGA1366のNehalemに代わる次期のハイエンド向けCPU。ソケットはLGA2011に変更され、それに伴いコンパニオンチップセットもIntel X79 Expressになっている。COMPUTEX Taipei 2011で多くのメーカーが対応マザーボードを展示していたが、今回入手したものはより製品版に近い仕上がりになっている。

●P9X79 DELUXE

 P9X79 DELUXEは上位モデルと思われるバージョンで、最大8ポートものUSB 3.0を搭載していることが特徴だ。

パッケージ見開きによる特徴説明パッケージ背面の特徴説明

 まず、ソケットから見ていくと、従来のLGA775/1155/1156/1366はいずれもレバーが1つのみだったのに対し、LGA2011では2つに増えていることがわかる。外すためにはまず蝶番側のレバーを外し、それから逆のレバーを起こしてロックを解除する仕組みだ。パッケージの大型化に伴い、安定したソケットの接触を提供するためであろう。なお、CPU名は「Core i7」を踏襲するようだ。

 また、CPUクーラーの留め方も、従来のプッシュピン型からネジ留め式に変更されるようだ。ネジはソケットの金具に直接留められるようになっており、バックプレートは使用しない。このため従来のCPUクーラーとは互換性がないようだ。また、このネジ穴から背面に通すための穴は別のシールで塞がれており、もし将来的にバックプレートを利用したCPUクーラーが登場したとしても、なんらかの工夫が必要になると思われる。

P9X79 DELUXELGA2011のソケットはまず片側のレバーを引き上げる必要があるその後もう片方のレバーを引き上げる
LGA2011のソケットソケットの背面にはバックプレートを装備。また、CPUクーラー装着用の穴が塞がれているのがわかる

 VRM部は「NEW DIGI+」と呼ばれるデジタル回路が採用されている。裏面にまで実装が及び、合計20フェーズ回路のようだ。なお、VRMのヒートシンクはヒートパイプでI/Oパネル部まで伸びているが、外したところI/Oパネル側のチップには接していなかった。おそらくヒートシンクの放熱面積を広げるための工夫だろう。

VRM部の実装取り外したVRM部のヒートシンク

 メモリスロットは8基と非常に多い。一般的にメモリスロットはCPUの片側についているのだが、本製品ではCPUの両側に装着するようになっている。またスロット色の配分やマニュアルから、4チャネルのアクセスになっているとみられる。

 拡張スロットはPCI Express x16形状が4基、同x1が2基。付属のケーブルから、NVIDIA SLIとAMD CrossFire Xをサポートしているとみられる。ATX規格標準は7基だが、本製品はVRMやメモリスロットの配置などから、6基にせざる得なかったのだろう。

 チップセット側のヒートシンクも外してみたところ、Intel X79 Expressが1チップ構成であることが確認できた。本機ではヒートパイプで従来のノースブリッジに相当する部分にヒートシンクが伸びているが、この下はVRMが実装されており、ヒートシンクもそれに接していない。これも放熱効果を稼ぐためのものだと思われる。

 バックパネルインターフェイスはUSB 3.0×6、Power eSATA×2(ASMedia ASM1061)、USB 2.0×4、Gigabit Ethernet×2(うち1基はIntel 82579V、1基はRealtek 8111E)、S/PDIF、音声入出力。これ以外にBluetooth 3.0+HS/Wi-Fiコンボモジュール(IEEE 802.11b/g/n対応)とアンテナが添付されており、バックパネル部に装着できるようになっている。

 ちなみに、搭載チップを見ていくと、ASMediaのUSB 3.0ホストコントローラ「ASM1042」が3基装着されており、うち2基はバックパネル、1基は前面パネル用となっているようだ。ASM1042自体は2ポートしか持たないため、バックパネルI/O前段でVIA TechnologiesのUSB 3.0 Hub「VL810」によって4ポートに増やしている。また、この実装からもわかるよう、Intel X79 Express自体はUSB 3.0をサポートしないようだ。

 内部ストレージインターフェイスはSATA 6Gbps×4、SATA 3Gbps×4となっている。このSATA 6Gbpsポートのうち2基はMarvellの「88SE9128」による実装で、独自のIntel SRTに似たSSDキャッシュ技術が利用できるようだ。また、この実装から推測するに、Intel X79 Express自体のSATA構成は下位のIntel Z68 Expressなどと同様、SATA 6Gbpsを2基しか持たないと思われる。

 このほか目立った実装としてはオンボードのPOSTコード表示用7セグメントLED、パワー/CMOSリセット/リセットボタンなど。また、バックパネルボタン1つでUSBメモリからBIOSを更新できる「USB BIOS Flashback」機能、そしてASUSお馴染みの省電力チップ「EPU」、オーバークロックチップ「TPU」、メモリの相性問題を自動的に解決する「MemOK」も搭載している。

Intel X79 Expressチップセットチップセット側のヒートシンク
バックパネルI/O付近の実装。VIAのUSB 3.0 Hub「VL810」やIntelのGbE「82579V」、ASMediaのSATA「ASM1061」などが見えるバックパネル用USB 3.0コントローラ「ASM1042」バックパネルI/O
拡張スロットは合計6基Marvellの「88SE9128」を装備し、SATA 6Gbps×2ポートを追加
SATAポートは印字から見るに6Gbps対応が4基、3Gbps対応が4基POSTコード表示用7セグメントLEDやパワー/CMOSリセット/リセットスイッチなど

●P9X79 PRO

 スロット構成などは上記のDELUXEと同等だが、VRMの実装が10フェーズに簡略化されているほか、Bluetooth 3.0/Wi-FiコンボモジュールがBluetooth 2.1+EDRとなり、USB 3.0ポートが2基、Gigabit Ethernetポートが1基(Realtek 8111Eが省かれている)少ない。そのほかの実装はほぼ同等で、コストを抑えたモデルと見られる。

P9X79 PROのパッケージP9X79 PRO拡張スロット構成はDELUXEと同じ
マザーボード裏面VRM部の実装も簡略化されている
バックパネル用USB 3.0コントローラは1基のみバックパネルはDELUXEから簡略化されている

(2011年 10月 26日)

[Reported by 劉 尭]