「ガンダムポメラ」フォトレビュー
~随所に見られるマニア向けのこだわり

ポメラDM11G

12月10日 発売
価格:39,900円



 12月の発売に先駆け、先だってキングジムが発表したデジタルメモ端末「ポメラ」のガンダムコラボレーションモデル「DM11G」を試用する機会を得たので、ここに紹介したい。なお、以下の写真はサンプルのものなので、製品版では若干の変更が入る可能性もある。

 同社が初代ポメラを発売したのは今からちょうど2年前。用途はテキストの入力のみという割り切った仕様、ATOK搭載、折りたたみ式で、キーピッチ17mmを確保したキーボードなど、他に類を見ない製品であることから、大きな注目を集めた。

 しかも、出荷台数は同社の予想を超えて発売から1年間で10万台超と好調で、その後もプレミアムモデルや女性向けモデルなどが追加投入された。

 2年が経った今でも、やはり売れているそうで、新たに機動戦士ガンダムとのコラボレーションモデルを発売するに至った。

 今回、同社がコラボレーションの相手としてガンダムを選んだのは、まずガンダムが2009年にTV番組放送開始から30周年を迎え、今年はガンダムのプラモデルが発売されて30周年という節目であるのが1つ。

 また、この製品が持つ「ニッチなガジェット」という性格も、製品のコンセプトに大きく影響を与えた。過去のポメラシリーズのユーザーは、30~44歳程度の男性が多い。この層はガンダムのコアなファンと重なる。実際、協業したバンダイが行なった調査によると、この層におけるガンダムの認知度は80%以上で、過半数がとても好きと答えているという。

 そしてポメラは、2~3万円するデジタル端末でありながら、機能はテキスト入力だけというニッチな製品。その点を考慮し、数あるガンダムのキャラの中から、(シャアは例外だが)主役級であるガンダムなどは外し、あえてランバ・ラルやジオン軍を選んだのだという。

 そのこだわりは、製品の天板に良く現われている。この手のバリエーションものでは、ただ色が違う、あるいはステッカーによる装飾に留まるものが多い。しかし、3種類あるDM11Gの天板は、型そのものが異なり、全く別のデザインになっている。また、キーボードの文字と付属ポーチのロゴの刻印も異なる。

シャア・アズナブルモデルランバ・ラルモデルジオン軍モデル
キーボードの刻印も異なる
キーボードを展開する際の注意書きには、こんな遊び心が見られる

 さらに、電源のオン/オフ時に、ガンダムのタイトルや、名台詞がイラストつきで表示されたり、辞書にガンダム関連の用語約800語が収録されるなど、細かなところまで作り込みが行き届いており、まさにマニア向けの仕上がりとなっている。

各モデルに付属のポーチ。表面のロゴが刻印されている起動/終了時にガンダムのロゴや、名場面、モビルスーツなどが表示される
シャア・アズナブルモデルの名場面の一部
ランバ・ラルモデルの名場面の一部
ジオン軍モデルの名場面の一部

 使い勝手について、キーボードや液晶といったメインのハードウェアは、初代の「DM10」を踏襲しているので、詳細なレポートは過去記事を参照していただくとして、ここでは簡単なインプレッションにとどめたい。

 本体サイズは、147×104×28~32mm(幅×奥行き×高さ、モデルによって異なる)で、重量は約340g(ランバ・ラルモデルのみ約350g)と、ちょっと厚手の文庫本とちょうど同じくらいだ。上着のポケットに入れて持ち運ぶのはちょっと無理があるが、カバンに入れる分には全く問題ない。ポーチにいれると、サイズは一回り大きくなる。

 電源は2秒で起動するので、取り出してすぐ使うことができる。クラムシェル型のノートPCのように液晶を開くと、さらに横方向に折りたたまれたキーボードが展開する。

 キーピッチは約17mmと、一般的なキーボードより若干狭い。特殊キーや数字キーなどは、縦幅がさらに短い。そのため、最初は窮屈な感じを受け、タッチタイプでは特に周辺のキーではミスしてしまうかもしれない。ただし、慣れでカバーできる範囲だと思われる。

 正確なキーストロークは分からないが、3mm程度はありそうで、十分深い。タッチはやや固め。端のキーは、下の部分が空洞になっているが、これによって本体が傾いたり、キーボードがたわんだりすることは皆無で、非常に安定している。

 日本語入力システムは前述の通りATOKで、バージョンは2007相当となる。入力スタイルは、ATOK式とMS-IME式から選択できる。文字入力以外でも、マウスがないこと、解像度が低いことを除いては、Ctrl+Xで切り取り、Ctrl+Vで貼り付けといった、キーボードショートカットなども含め操作感はPCとほぼ同じで、PCユーザーなら、何の違和感もなく日本語入力を行なうことができるだろう。

右側面左側面底面
正面背面大きさは単行本とほぼ同じ
利用時の姿液晶の視認性は高いボタン電池の上にあるカバーをずらすことで、キーボード右端の下側が支えられる
PCとUSBでつないでデータのやりとりが可能microSDカードも搭載可能電源は単4形電池×2

 内部仕様については細かな改善が図られており、DM10とDM20の中間くらいになっている。詳細は下表を参照して欲しい。

【表】各機種の仕様
品番DM10DM11GDM20DM5
LCDサイズ4型4型5型4型
解像度VGAVGAVGAQVGA
価格27,300円39,900円34,650円20,790円
大きさ(幅×奥行き×高さ、折りたたみ時)145×100×30mm145×100×28~32mm145×100×33mm145×104×31.0mm
大きさ(使用時)250×100mm250×100mm250×110mm250×104mm
重さ(電池含まず)340g約340~350g370g285g
使用電池単4形アルカリ×2本単4形アルカリ×2本単4形アルカリ×2本単4形アルカリ×2本
  単四形エネループ×2本単四形エネループ×2本単四形エネループ×2本
バックアップ電池CR2032CR2032CR2032CR2032
電池寿命(アルカリ乾電池)20時間20時間20時間25時間
電池寿命(エネループ)非対応15時間15時間20時間
消費電力(電源オフ時)1.5mW1.5mW1.5mW1.5mW
消費電力(オートパワーオフ時)10.5mW10.5mW10.5mW10.5mW
トップパネル付替え×××
モデルスタンダードモデルガンダムコラボレーションプレミアムモデルフレンドリーモデル
本体色パールホワイト
プレミアムブラック
トワイライトオレンジ
パッションレッド
レーシングシルバー
ターコイズブルー
シャア・アズナブルモデル(アカ)
ランバ・ラルモデル(アオ)
ジオン軍モデル(ミドリ)
リザードブラック
バイソンブラウン
クールブラック
スパークリングシルバー
ピンクゴールド
microSDスロット
microSDHC対応×○(16GBまで対応)○(16GBまで対応)○(16GBまで対応)
USB接続
     
     
1ファイル文字数制限(全角)8,00028,00028,0008,000
本体メモリサイズ108KB89MB89MB108KB
フォルダ作成機能××
階層1251
ファイル検索機能(ファイル名)××
フォルダ検索機能(フォルダ名)××
ソート機能(日付/名前)×
辞書登録数(7文字換算)1002001,000100
定型文×××
搭載文字サイズ24/32/4824/32/4812/20/24/32/40/48/6412/16/20/24
自動改行設定(1~53)××
カーソル位置設定××
制御文字表示××
ATOKオプション辞書×××
文章情報:総文字数
文章情報:総行数××
文章情報:指定文字数×××
文章情報:指定行数×××
文章情報:スクロールバー×××
QRコード表示×○(最大全角3,200文字)○(全角3,200文字)×
ショートカット一覧×
タイムスタンプ設定××
180度反転表示×××
電池設定(アルカリ/エネループ)×
キーバインド設定×××
キー割付設定×××
キーロック設定×
メニュー言語切り替え設定×
日付メモ×
UNDO/REDO回数1回1回5回1回

 先にも述べたとおり、ポメラシリーズは、話題性そして実売の点で一定の成功を収めた。今回の新製品も話題性は高い。欠点をあげるとすれば価格だろう。

 表では、初代DM10の価格を27,300円としているが、これは発売当時の希望小売価格で、現在、店頭では13,000円を切っている。DM11Gは、実売価格こそ39,900円より多少下がるだろうが、DM10の実勢価格に比べて2倍以上になるのは確実。本体以外にも、DM10にはないポーチが付属するといった違いはあるものの、割高感は拭えない。基本的にガンダムファンに向けたコレクターズアイテムとして考えるべき製品なのだ。

 個人的には、次はポメラの機能面での挑戦に期待したい。例えば、コンセプト的にあえて禁じている印象が強い通信機能付きなどもトライしてほしい。最近はモバイルWi-Fiルーターも増えてきたので、それを使えば、3GでなくともWi-Fiがあるだけで、常時接続ができる。Twitter対応も期待したい。基本性能面では、辞書のさらなる強化や、ATOKのバージョンアップも期待したいところだ。

 文字入力に特化することで、その位置を確保してきたポメラだが、そろそろバリエーションを広げても良い時期だと思うのだ。

(2010年 11月 8日)

[Reported by 若杉 紀彦]