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AIがDota 2で世界最強のプロを破る。イーロン・マスク氏設立の団体が開発

Dendi選手との対戦の様子

 米Open AIは11日、同団体の開発したAIが人気の高い競技RTS「Dota 2」において、世界トッププレイヤーへの勝利したと発表した。Open AIは、TeslaのCEOとしても知られるイーロン・マスク氏が代表を務める非営利団体で、機械学習をはじめとするAI関連の基礎研究を行なう。

 Dota 2の公式大会The Internationalで行なわれたこの対戦は、1v1(1対1)、BO3(2本先取)という条件のもとで、プロゲーミングチームNAVIに所属するDendi選手を相手としたもの。開発されたAIは模倣学習や木探索を用いず、完全に1からAI自身が学習したことを特徴とする。

 Dota 2は特性の異なる100を超えるヒーローの中から1つを選び、さらにアイテムの組み合わせや戦略、選択するアイテムによって数え切れないほど多くの状況が存在し得る。さらに、将棋のような対称で対戦相手の戦略が明らかなゲームと異なり、不確実性のもとで意思決定を行なう必要があるため、研究対象として注目される分野であり、GoogleなどもStarCraft ⅡでAIの開発を行なっている。

 さらに、RTSタイトルを経験したことのある読者なら知ってのとおり、RTSには戦略以外にもユニットで対戦相手のユニットを取り囲む「ボックス」や逐次距離をとることで被弾を最小限にする「引き撃ち」といったマイクロマネジメント(マイクロ)も勝敗を分ける要素の1つだ。

 一方で、特徴的なのはAIの1分あたり操作量は人間のプレイヤーの平均と同程度であるということだ。これは決してAIがマイクロを行なっていないわけではなく、AIは独自に編み出したマイクロを学習し活用するものの、Dota 2においては1分間の操作量とプレイヤーの強さには強い相関がないとのことだ。

 Open AIでは今後、協力的に行動できるAIによるチーム戦や、人間を交えたチームを構成できるAIの開発を目標として活動する。