イベントレポート
開発者に向け、Windows 8.1の新機能を公開
(2013/6/28 00:00)
米カリフォルニア州・サンフランシスコにおいて、開発者向けのカンファレンスMicrosoft Build 2013が開幕した。かねてより情報が出ていたBlueこと、Windows 8.1のお披露目の舞台となるカンファレンスだ。初日の基調講演にはMicrosoft CEOのスティーブ・バルマー氏が登壇、新たなWindowsの旅立ちについて声高にアピールした。
6,000人の参加者を前にCEO Steve バルマー氏の基調講演で開幕
開会を宣言するアナウンスのあと、ステージに登場したスティーブ・バルマー氏は、約6,000人の参加者がサンフランシスコに集まったことを告げ、そのほかにも全世界で、この瞬間をWebキャストなどで見ていることを報告した。
もちろん、参加しているのはハードウェアベンダーや、ソフトウェアデベロッパの面々だ。これから始まるカンファレンスでは、Windowsはもちろん、Windows Phone、Windows Azureなどについても語られることが告げられた。
バルマー氏が協調したのは、このBuildカンファレンスが、2012年秋に開催された前回のカンファレンスから、ほとんど間を置かずに開催されたことだ。そして、Windows 8.1もまた、Windows 8から1年未満でリリースされる。同氏はこれを「Rapid Release」と呼んでいた。変化の激しい時代において、そのスピードは重要だ。
また、Microsoftがいかに変革に対して努力しているかをアピール。企業として、ソフトウェアカンパニーからサービス&デバイスカンパニーへと転身しようとしていることも併せて紹介された。
そして、待望のWindows 8.1を、今まさに公開するにあたり、Windows周辺のエコシステムが大きく変わるきっかけになると述べた。同氏の言葉通り、まさに、その瞬間、プレビュー版が公開された。
基調講演会場には、Wi-Fi環境が構築されていて、参加者は自由に利用できたが、バルマー氏は、今すぐここでダウンロードできると、http://preview.windows.comのURLを告げた。実際、その場でページにアクセスすると、ダウンロードページが公開され、ダウンロードが可能となっており、基調講演のメモをとりながら、講演が終わる頃には、数回の再起動を繰り返した後、手元のPCはWindows 8.1へのアップグレードに成功した。
このあと、バルマー氏は、ノキアから発売される新しいスマートフォン「Lumia 928/925/521」を、Beautiful New Phonesとして紹介した。Windows Phoneからハードウェアを紹介するというところがユニークだ。
さらに、米国内キャリアのSprintから、HTCとSamsungの端末が発売されることも発表されている。
新たなステージとしてのタブレットの台頭に対応
続いてバルマー氏は、Windows Deviceの新たなステージとして、小さなタブレットや、タッチタブレット、そして、どこでもタッチで操作できるノートPCやAll-in-One、そして、2-in-1タブレットについて言及、Acerから発売が発表されたばかりの8型タブレットを紹介。今回の参加者には、この実機が配布されることを告げると、会場は大きく沸いた。
8型のタブレットながら、Windows 8のフル機能が使えることがアピールされ、Officeもプリインストールされることから、例えば学生にとっては完璧な端末になるのではないかとバルマー氏。宿題をやるにはもってこいだと協調した。
スモールタブレットのフォームファクタはとても重要で、これが今後のパーソナルコンピューティングの革新を起こすのではないかとバルマー氏。今回は、「タッチ、タッチ、タッチ、タッチ、タッチ、モアタッチ」と叫び、会場を沸かせた。
バルマー氏は、このクリスマスには、ほとんどのデバイスがタッチに対応するだろうとし、タッチはとても価値ある機能で、PCのフォームファクタに革新を起こすことを告げた。マウス、キーボードを使うのは大変だが、タッチはとてもカジュアルだとし、ステージの上に並ぶタッチデバイスの数々を紹介した。
また、Windows 7の時代からわずかな間で、継続的に新しいマシンが登場し、Core i7を搭載しながらも、バッテリも長持ちし、きわめてパワフルなPCが登場していることを紹介。新しいカテゴリとしての2-in-1フォームファクタについても語り、Intelとの関係を想像させるような内容についても触れた。
Windowsストアアプリについては、それが充実してきていることのアピールも忘れない。Flipboard、Facebook、fantasy footballなどの新しいアプリが紹介され、それらが全部のWindows機で楽しめるとした。現在、約100,000のアプリが使えるようになり、生産性の進化を起こそうとしているとした。
スタートボタンも復活しデスクトップも一新
一方、クラッシックなデスクトップアプリについては、デスクトップといわゆるモダンインターフェイスで新たな融合が試みられることが告げられた。モダンアプリとしてミリオンセラーアプリが生まれ変わり、新しい環境とブレンドされる。そして、デスクトップ体験がモダンになるというのだ。
また、スタートボタンの復活が告げられると、またもや会場は大喝采。今回は、起動直後にデスクトップからブート可能になるとバルマー氏が紹介すると、会場は笑いにつつまれた。そしてバルマー氏は毎日使う多くのアプリには、マルチタスクは必須だからこそ、Windowsなのだという。
さらに、最後のハイライトとして、新しくサーチエンジンとの統合について触れられ、GoogleとBingの検索についてブラインドテスト評価を行なったところ、Bingの圧勝だったことについても報告された。
windows 8.1ではBingがそのバックエンドを支援する。「みなさんが開発しているアプリを支援するのがBing」なのだとバルマー氏。これから詳細をお見せしましょうと、基調講演のバトンをWindows担当Vice Presidentのジュリー・ラーソン-グリーン氏に渡した。
Acerの8型タブレットがクローズアップ
ステージに登場したラーソン-グリーン氏は、この3年余りで、ハードウェアの世代が変わったことを告げ、アップデートとして新しいシリコンによって自然に作られたAcerの端末を紹介した。これが前述のの8型タブレットだ。
オンスクリーンキーボードの使いやすさは、スペースバーのフリックやジェスチャーなどのサポートにより、大幅によくなっている。
また、標準メールも大きなアップデートが施され、受信箱管理の使いやすさが高まり、ソーシャルアップデートを確認できたり、メールを自動分類できるなど、WebのOutlook.comでサポートされるような機能のほとんどが導入されていることが紹介された。
また、検索との統合については、クラウドからローカルまでを統合して検索が行なわれるスマートサーチが紹介され、ワンストップでさまざまな情報が得られることがアピールされた。いわゆる検索結果のマッシュアップだ。さらにマップも統合され、レストランやそのメニューも簡単に見つかる。
待ち受けスクリーンも変わった。自宅のパブリックエリアに置かれたタブレットでは、ライブスライドショーでクラウドのSkyDriveと、ローカルのHDDに保存された数々の写真が表示されていく。
そうこうしているうちに、Skypeで連絡が入り、ロックスクリーンからダイレクトに応答して対話ができることが紹介された。
スタートスクリーンについては、大きなタイル、小さなタイルがサポートされ、また、美しい背景をお好みで設定できることもアピールされていた。
これら、Windows 8.1の新機能については、別途紹介することにしたい。
さまざまな環境を提供するWindowsだが、今回は、約5,000の新しいAPIが追加され、開発環境についても大幅なブラッシュアップが行なわれている。マルチディスプレイでディスプレイごとに異なるスケーリングができるようになったことなど、待望の機能もある。そして、参加者には、いち早く8.1を試してもらうために、Windows 8.1をプリインストールし、開発環境も整えた「Surface Pro」が配布されることが、ここで告げられた。2,000ドルを超える参加費が必要なカンファレンスだが、これだけのハードウェアが揃えられれば参加者もうれしくないわけがない。
最後にバルマー氏がもう一度登場。基調講演の内容を振り返り、隅から隅まで、たくさんの新しさが満載のWindowsファミリーデバイスをよろしくと愛想をふりまき、基調講演のステージを終えた。