イベントレポート
【iLounge Pavilion/Mac編】
Mac製品をより快適に利用するための各種周辺機器を紹介
(2013/1/17 00:00)
International CESにおける企画展示の1つとしてすっかり確立してきたのが「iLounge Pavilion」だ。運営側の発表によれば、2012年比で約2倍の展示スペースに拡大している。例年のCESレポートでもたびたび紹介しているが、このiLounge PavilionがCESに登場したのは2010年のこと。ほぼ同時期に米サンフランシスコで開催されていたMac/iOS関連の展示会であるMacworld(現在はMacworld|iWorldに名称を改めた)が、Appleの出展見送りなどから縮小傾向になったことをきっかけに、関連コミュニティであるiLoungeが受け皿的な役割を果たして、出展者の大規模な移籍が行なわれた。
その後も、iOSデバイスを中心にApple関連製品のニーズが好調に上昇を続けていることもあって、年を追うごとに展示スペースを拡大し続けている。2011年には2倍、2012年には1.5倍、そして2013年にはさらに2倍になったことで、企画展示が始まった2010年比では、約6倍にまでその規模を拡大したことになる。
ここまで大きくなると例年使用していたラスベガスコンベンションセンター・北ホールの半分だけでは収まらなかったようで、2013年は隣接ホテルであるLVHのコンベンション施設の約半分もiLounge Pavilionの展示スペースへと変わっていた。北ホールの残り半分は自動車関連のブースで、さすがにこのエリアをLVH側へと持って行くのは難しいのだろう。ちなみにデジタルヘルス関連のパビリオンも2012年まではこの北ホールにあったのだが、こちらも同様に展示規模が拡大していることから、南ホールへと移動している。
iLounge Pavilionの展示の中心はiPhoneをはじめとするiOSデバイスをターゲットにした製品だが、本稿ではまずMac関連の周辺機器を中心にいくつか紹介する。
独自のワイヤレス充電ソリューションでMac製品周りを固める
CESやIFAに合わせて着実に新製品の発表を行なっているのが、Mobee Technologyだ。最初に本誌で紹介したのは2010年末に発売された「Magic Charger」で、これはApple純正のApple Magic Mouseの電池部分を交換することでワイヤレス充電に対応させる製品。同社はこのワイヤレス充電ソリューションを中心にラインナップの拡大を続けており、やはりApple純正の「Apple Wireless Keyboard」や「Apple Magic Trackpad」をワイヤレス充電にする周辺機器などを次々に送り出してきた。現在は、それらのベースステーションとなる「Magic Feet」が充電台兼USB Hubとして製品の中核になっている。
今回発表されたのは、このMagic Feetによるワイヤレス充電機能を利用する製品群だ。「Magic Tunes」は、流行りのBuletooth接続するポータブルスピーカー。iOSデバイスやMacなどとBluetoothで接続して音楽再生が行なえるほか、iPhoneなどの発着信に応じるスピーカーフォンとしても利用できる。既存のBluetoothスピーカーにはない特徴は、前述のワイヤレス充電に対応していることで、Magic Feetはもちろん、Magic Chargerの充電台でもワイヤレス充電が可能になっている。内蔵バッテリの容量や、充電時間、連続稼働時間などの仕様詳細は追って公開されるとのことだが、価格は99ドルで2013年3月の出荷を目指している。
同じくMagic Feet、Magic Chargerをワイヤレス充電台として使えるのがポータブルバッテリの「Magic Juice」。ワイヤレス充電が可能なポータブルバッテリとしては、すでに日本でQi(チー)対応製品がパナソニックやドコモなどから販売されているので製品ジャンルとしての新鮮さはないが、自社ブランドの製品だけで完結しているのは注目すべき点だ。
現在、ワイヤレス充電の規格はワイヤレスパワーコンソーシアムの提唱するQiと、北米でデファクトスタンダードとなっているPowerMatの2つが主流だが、Mobee Technologyのワイヤレス充電は、このいずれにも属していない。それでもここまで製品ラインナップが揃ってくれば、MacおよびiOS製品周りでデスクトップを固めるのならば十分にありということになるかも知れない。
Magic Juiceの詳細な製品仕様は現時点で非公開。バッテリ容量は最大5,200mAhで、iPadに対して1回、あるいはiPhoneに対して2回のフル充電が可能と説明されている。ブースには大小2つのモデルが展示され、2013年3月に79ドルでの出荷を目指している。USBによる出力先は、30ピンコネクタ、Lightningコネクタ、Mini USB、Micro USBとのこと。コネクタ部分がこれらに対応するアダプタとなる模様だ。
充電ソリューションとしては、2A出力のウォールアダプタ「Magic Link」も出展された。グリーンに点滅するイルミネーションUSBケーブルが付属する。USB出力先は30ピンコネクタ、Lightningコネクタ、Mini USB、Micro USBとなっており、前述のMagic Juiceと同様。価格は49ドルで、やはり2013年3月出荷の見通し。日本市場ではプレアデスシステムデザインが同社製品の販売代理店となっており、既存製品の多くは国内でも販売されている。今回発表された製品も日本市場に対して出荷される見込みは高い。
・Mobee Technologyのページ(英文)
http://www.mobeetechnology.com/
MacBook用ドッキングステーション「Horizontal Dock」
筆者もそうだが、MacBook製品を持ち歩き、職場や自宅ではいわゆるリッドクローズドモード(クラムシェルモード、液晶を閉じた状態)にして外付けのディスプレイにつなぐことで、デスクトップのように利用しているユーザーは少なくない。PCではThinkPadをはじめとする一部のノートブックにポートリプリケータが充実している製品もあるが、Mac製品には純正のポートリプリケータが存在しないので何かと手間がかかる。
例えば筆者の使うMacBook Pro Retinaディスプレイモデルの場合、USB 3.0×2、外部ディスプレイ用のHDMI、同じく外部ディスプレイ用のThunderbolt(Mini DisplayPort)、Thunderbolt to FireWireアダプタ、PC用ステレオスピーカーにつなぐ音声出力、そしてACアダプタと計7本ものケーブルやアダプタをその都度抜き差ししている。あらためて考えてみると、えらく手間がかかっているものだ。
手っ取り早いのはApple Thunderbolt Displayを使うこと。主体はポートリプリケータではないが、Thunderboltを利用することで同様の結果が得られる。リッドクローズドモードで使う選択肢としては十分で、これなら2~3本の抜き差しで上記と同様のことができる。とは言え「ディスプレイ」という存在が重く、また今のところは27型しか選択肢がないというネックもある。
そうした理由で、サードパーティによるポートリプリケータやドッキングステーションのニーズはそれなりに高い。従来は「BookEndz」あたりが定番だったが、ここ数年は「HENGE DOCKS」が、対応機種の幅広さやカスタマイズの柔軟さなどで使い勝手が良さそうだ。
そのHENGE DOCKSが2013年の第3四半期からの出荷を目指している製品が「Horizontal Dock」である。2012年に紹介した垂直型に対し、Horizontal(水平)設置型というわけである。
搭載されるインターフェイスの数も充実しており、USB 3.0×6ポート、FireWire 800、Gigabit Ethernet、SDカードスロット、音声出力、最大3つの外部ディスプレイポートを備えている。USB 3.0 Hub機能などもあり、セルフパワーで動作する。オプションで専用ソフトウェアを利用することができ、ポータブル時とHorizontal Dock接続時で自動的にMacBookの各種プリセット(電源管理やGPUモードなど)を変更できる。
展示されていたのはMacBook Pro Retinaディスプレイモデルの15インチ用だったが、製品化に際しては、現行の11/13インチのMacBook Air、13/15インチのMacBook Pro Retinaディスプレイモデルに対応する各モデルが用意される見通し。価格は仕様によって異なり、外部ディスプレイ出力インターフェイスがMini DisplayPortのものは249ドルから、Thunderboltに対応するものは349ドルからとなっている。出荷時期は前者が2013年の第3四半期で、後者は第4四半期となる見込み。Thunderbolt製品はコントローラチップの関係からか、同製品に限らず出足が鈍い。
現時点でAppleはMagSafe2アダプタの外部へのライセンスを行なっていないので、MacBook本体への給電をどうするかは興味のあるところだが、前述の垂直型では純正アダプタのコネクタをそのまま利用する構造をとっていることから、Horizontal Dockでも同様の解決策を目指している可能性がある。
BookEndzやHENGE DOCKSの従来製品の場合、コネクタの接続は一括とはいえ人の手によって物理的に差し込む作業だったが、Horizontal Dockはセルフパワーということもあって、正面右側にあるパワーボタンの操作で“ウィーン”とコネクタが機械的に差し込まれるようだ。このあたりのギミックも面白そうで、製品化がかなり楽しみである。
・HENGE DOCKSのページ(英文)
http://hengedocks.com/
かゆいところに手が届くMac向けの各種周辺機器
かゆいところに手が届く、もう少し手軽な周辺機器は、Kanexのブースで見ることができる。Kanexを筆者が取りあげる機会の多いのは、わりと早いタイミングで新しいMac製品のちょっと足りない部分を補うような周辺機器をリリースしてくるからだ。ちなみに、同社はサードパーティとしては数少ないThunderbolt対応ケーブルの販売も開始している。CESでのリリース時は純正品より安い価格設定だったが、CES終了後にAppleが純正のThunderbopltケーブルの価格を引き下げたため、定価はほぼ同等になった。長さのバリエーションは0.5m、1m、2m、3mの4種類で、1mと3mは純正品にはない長さとなる。
新製品の1つは「USB 3 Gigabit Ethernet + Hub」。USB 3.0に対応したバスパワーの3ポート Hubと、Gigabit Ethernetアダプターが一体となった製品だ。AC給電用の5Vコネクタもあり、アダプタを用意すればセルフパワーのUSB 3.0 Hubとしても使える。現行のMacBook AirとMacBook Pro RetinaディスプレイモデルにはEthernetのポートがない。LANへの接続は内蔵の無線LAN機能を利用するか、「Thunderbolt to Gigabit Ethernetアダプタ」を使って有線で接続することになる。つまり有線接続したい場合には、Airでは1つしかないThunderboltのポートを占有してしまう。
しかし、USB 3.0接続のGigabit Ethernetアダプタであれば、2つあるUSB 3.0ポートの一方が使える上、前述のHub機能でほかのUSB 3.0機器も同時接続が可能だ。職場や自宅での利用はもちろん、出張時などの持ち運びでも、一体化されているだけに手軽に取り扱える。価格は59ドル。
同時に単機能のUSB 3.0対応のGigabit Ethernetアダプタ「USB 3 Gigabit Ethernet」も発表されている。Apple純正のUSBアダプタもあるが、同製品はUSB 2.0対応で100Base-TX接続となるので、Thunderboltポートを消費せずにGigabit Ethernetを利用するのにはお勧めだ。価格は49ドル。
IFA 2012の記事でも触れたが、出張族の道具としては「mySpot」がある。これはUSBのバスパワーで動作する有線のEthernet入力を無線アクセスポイント化する製品だ。前述のように、有線のEthernetしかないような環境でも、MacやiOSデバイスなど内蔵無線LAN機能しかない機器でインターネット接続やプライベートネットワーク構築を可能にする。一体化されたUSBコネクタは電源の供給のみに利用するので、Mac本体に取り付けてもいいし、USB電源アダプタなどを通じて、コンセントにつないでも構わない。価格は49ドル。
そして「meDrive」は、iOSデバイスとMac/PCに対応するファイルサーバー。USBバスパワーで動作し、USBポートにHDDやフラッシュメモリなどのストレージを取り付けて利用する。EthernetのケーブルをWi-Fiアクセスルーターに接続すれば、ローカルネットワークでiOS、Mac、PC間のファイル共有が可能。iOSデバイス用のファイル管理アプリケーションは、iTunesのApp Storeから無償でダウンロードできる。価格は99ドル。
・Kanexのページ(英文)
http://www.kanexlive.com/