ニュース

NVIDIA、4K解像度に最適化した「GeForce GTX 980 Ti」

〜DirectX 12_1に完全対応

GeForce GTX 980 Ti

 米NVIDIAは1日(台湾時間)、4K解像度でのゲームプレイに最適化したビデオカード「GeForce GTX 980 Ti」を発表した。

 価格は649ドルで、999ドルの最上位の「GeForce GTX TITAN X」と、499ドルハイエンドの「GeForce GTX 980」の間に位置する。ダイはTITAN Xと共通のGM200で、メモリ容量も同じ6GB(6,144MB)。CUDAコア数を3,072基2,816基に削減して低価格化した。

 これにより大容量メモリが必要とされる4Kゲームに対応できるとしており、2世代前のGeForce GTX 680において「The Witcher Wild Hunter」が19fps、「Grand Theft Auto V」が28fps、「Project CARS」が18fpsと非実用的な4K解像度で、GTX 980 Tiでは順に45fps、61fps、47fpsと現実的なフレームレートでプレイできるとしている。

 そのほかの仕様は、ベースクロックが1GHz、Boostクロックが1.075GHz、L2キャッシュが合計3MB、テクスチャユニットが176基、ROPが96基となっている。メモリクロックは7,010MHz駆動のGDDR5で、バス幅は384bit、メモリバンド幅は336.5GB/sec。TDPは250W。

GeForceによる世界最大級のPCゲーミングプラットフォーム
GeForce GTX 980 Tiと旧製品の性能比較
最新ゲームも4K解像度でプレイできる

 また、本製品を含むGM20x世代(つまりGeForce GTX 960以降)で、「FEATURE LEVEL 12_1」と呼ばれるDirectX 12だけが持つ機能に対応していることを明らかにした。

 既報の通り、NVIDIAはFermi世代から、RadeonはGCN世代からDirectX 12に対応し、ローレベルのAPIをサポートすることで、対応ゲームではGPU性能を引き上げられるのだが、これらはAPIの中で定められている「FEATURE LEVEL 12_0」という、DirectX 12が持つ最も基本的な機能までの対応であった。

 FEATURE LEVEL 12_1では新たに、開発者が設定したパラメータをテクスチャに付加し、ゲーム中にそのパラメータの変化によって、そのテクスチャだけをストリームし直す「Volume tiled resources」に対応。これによりより少ないメモリ帯域でリアルな表現が可能になるという。

 もう1つは、あるジオメトリに対してピクセルで塗りつぶしを行なう際に、必ずジオメトリの外まで塗りつぶしを行なう「Conservative Raster」。これまでジオメトリのラスタ処理を行なう際は、ジオメトリがピクセルに対して50%入っているかどうかで塗りつぶしを行なうかどうか決めていたが、この方法だとレイトレーシングによる影を生成した場合、ピクセルが欠けてしまうため影が欠けてしまう可能性があった。Conservative Rasterではこの問題を回避できるとしている。

DirectX 12の到来
GM20xシリーズではDirectXのFEATURE LEVEL 12_1に対応。GM10x以前のシリーズでは対応できないという
Volume tiled resources
Conservative Raster
Conservative Rasterにより、レイトレーシングによる影の生成で影の欠けがなくなる
製品比較

VRへの性能最適化やG-SYNCの詳細も

GeForce製品担当プロダクトマーケティングマネージャー ガラフ・アガーワル氏

 GeForce GTX 980 Ti事前説明会では、VR(仮想現実)を実現するヘッドマウントディスプレイ(HMD)に対する性能の最適化と、G-SYNCだけが持ちFreeSyncにはない機能の特徴についても解説された。

 Oculus Riftを始めとするHMDは、実際の画面と目の位置が非常に近くても目の焦点が合わせられるよう、液晶で表示された画面を光学レンズで補正して映し出しているのだが、光学レンズは周辺に歪みがあるため、表示される画像を最初から歪ませておき、レンズを通して見た時に歪みが生じないようにしている。このため、レンダリングされた画像を歪ませる際に“捨ててしまう”ピクセルが存在する。

 逆に、最初から“捨られる”ピクセルを生成しなければ、それだけメモリ帯域が減り、性能が向上できる。このアプローチを取ったのが、同社の「Multi-Res SHADING」だ。同社の開発者支援ブランド「GameWorks」を通してこの仕組みを提供し、GPUメモリ帯域の有効利用を促進。これによりVRにおける性能を1.3〜2倍向上できるとしている。

HMDへの最適化。レンズの歪みを考慮して生成される画像で捨てられるピクセルを、最初から生成しないことによりメモリへの負荷を軽減する

 一方、描画フレーム速度とディスプレイのリフレッシュレートを同期させ、ティアリング(出力と描画のタイミングのズレによる画像のズレ)を軽減するG-SYNCに関しては、競合となるFreeSyncにはない「G-SYNC Variable Overdrive」という機能を挙げた。

 ご存知の通り、液晶ディスプレイの応答速度を向上させる手法として、目標とする色以上の電圧を素子に掛け、目標とする色に達する速度を早める「オーバードライブ」があるのだが、G-SYNCのようリフレッシュレートが可変となる場合、色差だけで電圧差を計算する単純なオーバードライブ駆動だと、リフレッシュレートが高い場合(時間が短い場合)は目標の色に達することができず、逆に低い場合(時間が長い場合)は目標の色を超えてしまう。

 そこでG-SYNC Variable Overdriveは、次のフレームの負荷(つまりリフレッシュレートの速度)と色を予測し、リフレッシュレートが高くなりそうな場合はより高い電圧を、逆に低そうな場合はより低い電圧によるオーバードライブ駆動を行なう。これによりG-SYNCがオンの場合でもオーバードライブによる残像の少ない映像が得られるという。

 もう1つはウィンドウモードでのゲームプレイ時も、G-SYNCをオンにできるようになった点。これにより攻略サイトを参照しつつプレイする場合でもフリッカーが発生しない状態にできるとしている。

 なお、液晶パネルは最低リフレッシュレートが設定されているのだが、それを下回るfpsとなった場合、単純に同じフレームを複数回送ることで対応しているという。例えば最低30Hzのパネルにおいて10fpsとなった場合は3倍、7fpsとなった場合は5倍(35Hzは可能)の画像を送るという。

 これらの仕組みがあるため、G-SYNCは液晶側にも専用のモジュールが必要となり、またG-SYNCに最適化したパネルが必要となるとした。競合のAMD FreeSyncと比較すると高価となってしまうが、先述の通りゲームプレイに最適化されているのがアドバンテージであり、そのスタンスを貫くため、FreeSyncへの対応予定はないとした。

 また、ノートPCにおいてはスケーラーが不要なため、G-SYNCのモジュールがなくても対応パネルであればG-SYNCに対応できる。GIGABYTE、MSI、ASUS、Clevoの4社からG-SYNC対応ノートPCが発売される。

G-SYNCだけに搭載されるさまざまな機能。これらはゲームのための機能であり、FreeSyncにはない特徴としている

(劉 尭)