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「Surfaceは脅威ではない」とPCメーカー7社中6社が回答

〜日本コンピュータシステム販売店協会が新春特別セミナーを開催

1月21日開催

 一般社団法人日本コンピュータシステム販売店協会(JCSSA)は21日、東京・内幸町の帝国ホテルで「平成26年新春特別セミナー」を開催。ハードウェアメーカー7社が、「2014年 わが社の製品・販売戦略」をテーマにプレゼンテーションを行なった。

 来場者の関心は、Windows XPサポート終了に合わせた旺盛な需要後の反動への対策。各社からも4月以降の新たな商材の提案が行なわれた。プレゼンテーション終了後には、同協会のセミナー委員会の委員長を務めるリコージャパンの窪田大介専務執行役員が、ハードメーカー各社に対して公開質問を行ない、「日本マイクロソフトのSurfaceは、PCメーカー各社のビジネスにとって脅威になるか」との質問に、7社中6社が「脅威にはならない」と回答した。

NECの庄司信一氏

 7社のプレゼンテーションにトップバッターで登壇したのがNECだ。NECの庄司信一執行役員常務は、「さまざまな場所、環境で、業務のスマート化に役立つデバイスを、クラウドなどのソリューションと一括で提供するのがNECのスマートデバイス戦略。その中心となるのはタッチという直感的な分かりやすい操作と、優れた携帯性を持つタブレットとなる」とし、WindowsタブレットとAndroidタブレットの両面から、スマートデバイスビジネスを推進していく姿勢を強調した。

 「Windowsタブレットは、豊富な機能を活かし、教育分野や過酷な環境で利用できる端末として、あるいはシステム連携を重視する顧客に対して提案し、Androidタブレットは、特定の業種/業務用に、コストパフォーマンスを活かした提案を行なっていくことになる。また、企業向けにタブレットを迅速、安全、最適なコストで提供するために、カスタマイズで対応する『NEC Solution Tablets』を2013年12月に発表した。ニーズに合わせたカスタマイズメニューを用意している」などと述べた。

日本ヒューレット・パッカードの那須一則氏

 続いて登壇した日本ヒューレット・パッカード(日本HP)プリンティング・パーソナルシステムズ事業統括執行役員パートナー営業統括本部第二営業本部本部長の那須一則氏は、「2012年にスタートした新たな経営体制の下、事業の再構築を行なう中で、HP最大の強みはパートナーとの協業であることを再定義した。2014年は挑戦の年であり、投資を継続していく」とグローバルでの事業姿勢について説明。

 さらに、「2014年は、Windows XPからの移行が大きなテーマになる」とし、同社が毎週、Windows XPからの移行を促進する広告を掲載し続けていること、セキュリティ製品の強化などを行なっていることを示しながら、「こうした成果もあり、日本HPは市場を上回る成長を遂げ、2013年7〜9月は国内第3位のシェアを獲得した。シンクライアントも昨年の2倍以上の実績になっている。3月に向けては、これまで以上に大きなビジネスが想定される」とした。

 その一方で、Windows XPからの置き換え需要が一巡した後の新たな商材提案として、2015年7月にサポートが終了するWindows Server 2003からの移行需要や、タブレットによる新たなワークスタイルの提案、同社が国内ナンバーワンシェアを持つというワークステーション、モバイルプリンタや高速プリンタによるプリンティングソリューションなどによるビジネス拡大を挙げた。

 「LTEとFeliCaに対応した企業向けUltrabook、ウルトラスリムモデルの4分の1の容量の極小デスクトップ、世界初のUltrabookワークステーションのほか、今夏にはHP Cloud OSを提供する。年度末は潤沢な製品供給体制を確立する一方で、パートナー向けの販売支援策も強化し、新たな商材による提案も進めていく」とした。

富士通の齋藤邦彰氏

 次に登壇した富士通執行役員ユビキタスビジネス戦略本部長兼パーソナルビジネス本部長の齋藤邦彰氏は、「2020年には、約260億の機器がネットワークにつながり、デジタル世界がますます拡大する。PC、タブレット、自動車、ゲームなどのほか、あるゆる分野に向けてICTが広がり、ICTが人の社会を支えることになる。富士通はインターフェイスからプラットフォームまでを提供し、ヒューマンセントリックな社会を支えていくことになる」とした。

 タブレットによるICTの広がりとして、防水、防塵、耐薬品設計を実現した「ARROWS Tab Q704/H」および「ARROWS Tab Q584/H」について説明。「使える場所を増やすことが、企業のイノベーションを加速することになる。どこでも安心して利用できる独自のセキュリティ技術がある」などと説明した。

 さらに、島根富士通におけるカスタマイズサービスの柔軟性についても触れ、顧客の要望に合わせて、個別設定、マスターインストール、ラベル貼りといった細かいニーズにも対応。ものづくり受託サービスによって、高品質、低コスト、短納期、多品種小ロット、1台単位のカスタマイズが可能になることを、ビデオを通じて紹介。「富士通は、これからも皆様とともに、永きに渡り、すべてのお客様に最適なソリューションを提供します」と締めくくった。

日立製作所の岩崎秀彦氏

 エンタープライズの領域から説明をしたのが、日立製作所情報・通信システムグループ情報・通信システム社事業執行役員プラットフォーム部門COO兼ITプラットフォーム事業本部長の岩崎秀彦氏だ。

 「情報活用によるサービスの革新によって、ビジネスの革新、社会インフラの高度化、安全・安心な生活を実現することで、社会イノベーションへと繋がることになる。日立はその原動力になる」と前置きし、「日立は大量のデータを集め、そこから価値を生み出し、活用するための統合プラットフォームを提供している。その上で重要性を増してきたクライアントに注目し、データへのスムーズなアクセスの実現や、人と人とのコミュニケーションを促進する。それに経験や知識といった知を活用し、プラットフォームとして集結させていくことになる」などと述べた。

 また、クライアント環境構想策定支援コンサルティングとシステム資産・運用最適化ソリューションの2つのサービスメニューで構成される日立クライアント統合ソリューションを2013年12月に発表。これを活用して、日立グループ8万人の社員を対象に、デスクトップの仮想化を実現したほか、損害保険ジャパンが、38,000人の社員がこれを利用している例を出しながら、今後も同ソリューションの事業拡大に意欲をみせた。

 Windows XPのサポート終了については、「ユーザーにとって、前向きな投資機会に繋がるものと考え、これを機に、業務の棚卸しを行ない、延命するアプリケーションは何か、拡張するアプリケーションは何かということをユーザーと一緒になって考えたい。その中で、デバイスへの非依存型のシステムを提案していく」などとした。

ソニーマーケティングの鈴木功二氏

 法人向けにも事業を拡大し始めているソニーマーケティングの取締役執行役員専務の鈴木功二氏は、「Windows XPのサポート終了、消費税増税前の駆け込み需要もあり、市場は今活況を呈している。この活況を維持したまま、右肩上がりで事業を伸ばすために、新たなワークスタイルの提案を付加することが必要。これによって業界を盛り上げたい」とし、具体的な提案として、1つの端末を社内外で使い分ける「2-in-1スタイルの提案」、オフィスと外出用に別々の端末を使い分ける「PCとタブレットの2台活用の提案」を行なう姿勢を示した。

 2-in-1スタイルの提案では、「VAIO Duo」シリーズおよび「VAIO Fit A」シリーズの特徴を説明。ソニー生命ではDuoシリーズを社員全員で採用し、タブレットモードで保険の説明を行ない、契約時にはペンで電子署名をしてもらうという新たなワークスタイルを実現している例を示した。また、PCとタブレットの2台活用の提案では、Windows 8ベースの「VAIO Tap 11」、Androidベースの「Xperia Tablet Z」による利用提案を行ない、「PC、プロジェクタ、ビデオ会議システム、業務用蓄電池、デジタルカメラなどの製品群と組み合わせて、トータルソリューションを提案していきたい」と語った。

東芝の徳光重則氏

 東芝執行役上席常務デジタルプロダクツ&サービス社カンパニー社長の徳光重則氏は、まず2013年を振り返り、1985年に発売した同社初のラップトップPC「T1100」が、IEEEマイルストーンに認定されたことなどのトピックスを挙げながら、「これは、永年に渡るユーザーのご愛顧と、パートナーの支援によるもの」と切り出した。

 また、BtoB向けの製品ラインアップを、量、質の両面で強化したことに触れ、「量という点では、ワークステーションや8型タブレットを新規に投入しており、質としては、14型、15型ノートPCの大幅な軽量化や、タブレットの機能強化を図った。1月8日には、国内初となるWindows 8.1 Pro搭載の8型タブレットと、LTEモジュールを内蔵した2-in-1 PCを発表した。手書き機能を搭載したタブレットはペンを使って説明するコンサルティング営業や専門性のあるエンジニアのツールとして、教育現場での利用も見込まれる。8型タブレットは、より幅広いビジネスシーンでの利用が想定できる」などと述べた。

 そのほか、軽量、堅牢、長時間駆動を実現したRシリーズが、グローバル企業からの要望でトラックポイントを搭載したことを紹介したほか、デスクトップ並みのグラフィック性能と演算処理性能を実現するノート型ワークステーションを投入したことに続いて、2014年前半には4Kワークステーションを投入する計画を明らかにした。

 さらに、薄型筐体の13型からモバイルワークステーションまで利用できる共通のドッキングステーションを用意していることも強調。「これは、独自のBIOS技術と基板実装技術によって共通化できたものであり、次世代の製品でも共通利用が可能になる」とした。

レノボ・ジャパンのロードリック・ラピン氏

 グローバルでナンバーワンシェアを獲得したことを報告し、プレゼンテーションを開始したのが、レノボ・ジャパン代表取締役社長のロードリック・ラピン氏だ。「ついに世界ナンバーワンのPCメーカーに成長することができた。前四半期のシェアは18.6%。年間でも17.1%を記録した。これは、みなさんのご支援のおかげである」とお礼を述べた。

 だが、「第2四半期には、タブレットとスマートフォンを合わせた台数が、PCの台数を上回っている。市場が大きく変化する中で、レノボは、今年のCESで、法人向け8型タブレットをはじめとする『PC+』の製品群を発表した。キーボードの一部にタッチパネルを採用した『ThinkPad X1 Carbon』も発表し、合計で67のアワードを受賞した」とする。

 また、国内においては、「充実したラインナップを用意し、さまざまなニーズに応えることができるようになっている。レノボブランドでは、PC、ワークステーションはもとより、タブレット、スマートフォン、サーバー、スレトージ、サービス、クラウドソリューションでも革新性を追求する。一方で、NECパーソナルコンピュータでは、クライアント製品全般で、安心、簡単、快適を提供していく」と述べた。

 さらに、「2014年の方向性は、PCの基盤を守りながら、製品ラインナップを積極的に拡充していくことになる。法人向け製品では、タブレットはもちろん、サーバー、ストレージ、サービスなど、エンタープライズ領域を大幅に強化する。個人向けでは、『Miix 2 8』のほかに、テーブルPCなどのイノベーティブな製品を引き続き投入していく」と語った。

 そして、「スマートフォンやクラウドサービスについても検討中であるので楽しみにして欲しい」とし、国内でのスマートフォン投入の可能性に言及した。

 ラピン社長は、「ユーザーの用途は変わっている。それにしっかりと対応していく」としたほか、「旺盛なWindows XPの買い換え需要においても、製品が無くなることはない。安心して任せてほしい」などと語った。

 会場が盛り上がりをみせたのは、プレゼンテーションを行った7社の幹部に対して、公開質問が行なわれた時だった。同協会のセミナー委員会の委員長を務めるリコージャパンの窪田大介専務執行役員が進行役となり、矢継ぎ早に質問を行ない、それに対して、各社が○か×の札を挙げて回答する形とした。

セミナー会場は会員会社や業界関係者で一杯になった
公開アンケートの質問役を務めたリコージャパンの窪田大介専務執行役員。同協会のセミナー委員会委員長でもある
質問には各社の代表が○か×の札をあげて回答した

 「質問の7割くらいは事前に内容を伝えてあったが、いくつかの隠し質問がある」として、打ち合わせなしの質問も用意。さらに、「札に△を用意しなかったのは、回答を明確にしてもらうため」と窪田委員長は説明したが、「答えられない場合は、両方の札を挙げるとか、札を挙げないこともOK」という逃げ道も作った。

 2014年4月にサポートが終了するWindows XPに伴う買い換え需要が6月以降も続くという質問には、全社が○と回答。2015年7月のWindows Server 2003のサポート終了に伴う需要が2014年に見込まれるとした回答も、サーバー製品を投入している6社全社が○をあげた。

 また、タブレット向けOSとして最も成長するOSは何かという質問では、札が○と×しかないため、iOSを除いて、各社が投入しているAndroidとWindows 8に絞り込んだ結果、全員がWindows 8の札をあげた。

 だが、Surfaceに関して、「Surfaceは、各社のビジネスに脅威になるか」との質問には、NECだけが脅威になると回答。後の6社は脅威にならないとした。

 意見が分かれた質問もあった。Windows 8は企業向けの主役になるという質問には富士通とソニーが○。後のメーカーは、企業向けPCの主役は依然としてWindows 7であるとした。また、2014年に、タブレットがPCの出荷を台数を上回るという質問には、日立とレノボ・ジャパンだけが○。後の各社はPCの出荷台数が多いままだと回答した。

 一方、ウェアラブルデバイスを2014年中に発売したいというメーカーは、富士通、日立、ソニーマーケティング、レノボ・ジャパンの4社。東芝は○と×の札を挙げて、明確な回答を避けた。

 2014年に携帯電話の機能を搭載したタブレットである「ファブレット」の出荷計画については、NECが×、日本ヒューレット・パッカードが○と×の両方を掲げ、その他の企業は札を挙げずノーコメントとした。

 最後に、同協会の大塚裕司会長(大塚商会社長)からの質問として、2014年はPCが前年以上に売れるかとの問いには、全員が○の札を挙げた。また、JCSSAの加盟販売店への販売支援策を増やしたいと思っているかという質問に対して、全社が○の札を挙げると、会場からは笑い声とともに大きな拍手が涌いた。

(大河原 克行)