WDLC、夏商戦向けに共同で「アイ.ハコブ」キャンペーン
~女性層をターゲットに携帯電話とPCの連携提案

4月23日 発表



 ウィンドウズデジタルライフスタイルコンソーシアム(略称・WDLC)は、2011年までの3カ年に渡る中期方針を策定。その第1弾として、PCメーカー、周辺機器メーカー、ソフトウェアメーカー、インターネットサービスプロバンダー、メディア、家電量販店など37社が参加する2009年夏商戦向けの合同販促キャンペーン「アイ.ハコブ」を、4月下旬から開始する。

WDLCの堂山昌司会長

 WDLCの堂山昌司会長(マイクロソフト代表執行役副社長コンシューマー&オンライン事業部担当)は、「現在、500万台のコンシューマPCの出荷規模を、2011年には1,000万台にしたい。日本は、1家庭におけるPCの所有数が北米に比べて少なく、日本のコンシューマPC市場はまだまだ広がるポテンシャルがある。そのための数々の仕掛けをWDLCで展開していく。総合力によって、多くのユーザーに対して、PCを購入するきっかけが広がることになる」とした。

 2010年~2011年にかけては、地上デジタル放送の普及にあわせて、PCとTVとの連携提案を中心に展開していく方向性などを示した。今後の具体的な取り組みについては、シナリオ開発分科会、共同マーケティング分科会での活動の中で、共同での訴求していくためのシナリオ、マーケティング施策を検討していくという。

 WDLCは、2007年11月に、PCを利用した新たな利用提案を行なうことを目的に、PCメーカー、周辺機器メーカー、ソフトメーカーなどのほか、放送局をはじめとするコンテンツホルダー、家電量販店、TV通販会社など、業界の枠を超えた参加企業を得て設立。これまでに、2008年春からの夏商戦向け共同販促キャンペーン「PC de TV」、同年秋からの年末商戦向け共同販促キャンペーン「PC de 旅」を実施し、PCを活用したTV視聴や、旅を楽しむためのPC利用提案などを行ない、PCおよび関連製品の販売促進につなげてきた。現在、89社が参加し、分科会活動や共同販促キャンペーンを展開している。

 3カ年計画の第1弾として実施する「アイ.ハコブ」キャンペーンは、主に女性を対象に展開する夏商戦向けの共同キャンペーンで、WDLCに加盟している企業のうち、37社が参加。「PCとケータイ」をテーマに、携帯電話を中心に利用している女性に対して、PCとの連動によって、新たなデジタルライフスタイルを訴求することを目指す。WDLCによる共同キャンペーンとしては3回目のものとなる。

 コアターゲットをF1層(20~34歳の女性)とし、会社でのPC利用経験があったり、家族で共用のPCを利用しているが、自分のPCを持っていないユーザーや、がんばった自分にご褒美消費を惜しまない女性ユーザーなどに訴求する。

WDLC事務局 ・笠原健司事務局長

 「F1層は1,250万人いるが、そのうちキャンペーンの対象となるのは、400万人程度だろう。これらのユーザーは婚活志向型などと呼ばれる層で、情報を欲しており、同時に、同僚や家族、友人への口コミによる波及効果などをもたらす人たち。前回のPC de 旅では40万人の需要喚起を実現したが、今回のキャンペーでは、30万人の需要を喚起したい」(WDLC事務局・笠原健司事務局長=マイクロソフトコンシューマ&オンライン事業部パートナーマーケティング本部本部長)とした。

 キャンペーンの期間は、4月23日から9月30日までで、とくに6月下旬から7月にかけて訴求を強化する。テーマを、「もっと人とつながりたいと思うアナログなキモチを、PCやケータイ、周辺機器、インターネットなどのデジタルのチカラで応援するプロジェクト」とし、具体的な取り組みとして、「オンラインを利用した写真共有」、「おサイフケータイを使ったPCでの安心ネット決済」を掲げている。

 「ハートの大切さを訴求し、人だけでなく、車や趣味、旅などといったところにも、PCと携帯電話を使うことでの豊かさ、楽しさを感じてもらう。ハートには、ときめきやしんみりなどといったメッセージ性がある。今回の施策は、F1層に対して、細かいところにまで行き届いたものとなっていると自負している」とした。

 「オンラインを利用した写真共有」では、インターネットの写真共有サイトを利用して、PC、携帯電話、デジタルフォトフレームなどのさまざまなデバイスから閲覧できること、多くの写真を家族や友人と共有でき、また限定した人とだけ共有できること、携帯電話で撮影した画像を、PCやデジタルフォトフレームで閲覧できること、写真に手を加えた楽しさを提案できるといった訴求を行なう。

 「日本人の68%が写真を好きだと回答している。また女性の7割以上が携帯電話で写真を撮影している。携帯電話で撮影した画像は、携帯電話に留めて利用しているケースが多く、これを共有するといった使い方を促進したい」(笠原事務局長)という。

 「おサイフケータイを使ったPCでの安心ネット決済」では、FeliCaポート搭載PCやFeliCa対応リーダ/ライタがあれば、おサイフケータイを使って手軽にネットショッピングが楽しめること、クレジットカードを持っていないユーザーでもPCでネット決済ができること、手数料が無料であること、ポイントを貯めることができるといったメリットを訴求する。

 「現在、携帯電話の約7割におサイフケータイ機能が搭載されているが、利用しているのはわずか18%に過ぎない。また、ノートPCにFeliCaポートが搭載されていても、あまり使われていない。グループインタビューでは、使ってみると便利である、とくに少額決済には適しているという声があがっている。気づきを与えれば、もっと使ってもらえると考えている」とした。

 4月23日からは、「アイ.ハコブ」プロジェクトのサイトを公開。anan、@cosme、Woman.excite、OZmaIl、シティリビング、ぐるナビなどのメディアとのタイアップによって、ライフスタイルにあわせた「アイ.ハコブ」シチュエーション別特集を順次展開する。

 また、シンガーソングライターの秦基博氏と、アカデミー賞を受賞した「おくりびと」の脚本家である小山薫堂氏の協力を得て、音楽や映像を織り交ぜて、プロジェクトを盛り上げるという。

 具体的には、写真を掲載しながらブログ形式で秦氏と小山氏が参加し、ユーザーとコミュニケーションを行なう「アイ.ハコブ」フォトレター、一般から選ばれた「アイをハコビたい」という思い出のエピソードを小山氏の監修のもと、秦氏が奏でる音楽とともに映像化する「アイ.ハコブ」ストーリー、「アイ.ハコブ」をテーマにユーザーの写真を集めて秦氏の楽曲に乗せて創るミュージックビデオ「アイ.ハコブ」オンガクを提供する。

 会見にビデオメッセージを送った小山氏は、「誰かとつないがりたいという、アナログな普遍的なものを、デジタルで支援することに興味を持った。今回の活動が、仲間とのつながりを深めたり、日常につながるためのきっかけになることを期待している」とした。

 そのほか、協賛スポンサー企業が、それぞれにサイトなどを通じて訴求する。協賛スポンサーであるスターツ出版のOZmallでは、80万人の東京OLがユーザーである特性を活かして、横浜を舞台にした女友達との一泊おでかけシーンの紹介や、それを利用したオンイランフォトアルバムづくりを提案。ワコムでは、PCとタブレットを利用した写真への書き込み利用などを提案していくという。

 なお、「アイ.ハコブ」キャンペーンの量販店店頭での展示については、参加企業がそれぞれ個別に展開し、5月下旬から順次展開されることになりそうで、全国約200店舗で展示ブースが設けられることになりそうだ。

ビデオメッセージを送った小山薫堂氏合同販促キャンペーン「アイ.ハコブ」への参加企業が一堂に会したいつもはライバルのハードメーカー各社も共同で取り組む

(2009年 4月 23日)

[Reported by 大河原 克行]