デジタルライフスタイルの浸透を目指すWDLCが設立
|
ウィンドウズデジタルライフスタイルコンソーシアムのロゴ |
11月9日 設立
マイクロソフト株式会社と国内のPCメーカー、周辺機器メーカー、ソフトメーカー、放送事業者、コンテンツプロバイダおよびサービスプロバイダなど48社は9日、ウィンドウズデジタルライフスタイルコンソーシアム(WDLC)を設立した。
同コンソーシアムの会長には、マイクロソフトの眞柄泰利執行役専務が就任。理事として、NECパーソナルプロダクツ、ソニー、東芝、富士通、マイクロソフトの5社が選出され、この5社に、MCJおよびオンキヨーの2社を加えた7社が運営委員会として、WDLCを運営していく。
「業界の枠を越えた連携による革新的なデジタルライフスタイルの創造と、利用者への提案を目指す」(眞柄会長)のが狙い。
ウィンドウズデジタルライフスタイルコンソーシアムに参加する48社 | 参加企業の一覧。PC業界に限らず広範囲に渡っている | 会長に就任したマイクロソフトの眞柄泰利執行役専務 |
各社が提供するPCをはじめとする情報デジタル機器と、情報やコンテンツサービスなどを相互に連携することで、デジタルライフスタイルの利用者へのシナリオ(利用形態)の開発および提案を共同で行なうほか、中高齢者や若年層などICT利用者層の拡大や、共同マーケティングおよび共同プロモーションを行なう。また、生活スタイルやトレンドの調査、分析、今後の動向予測に基づいた提言なども行なうという。
2007年中にコンソーシアムとしての具体的な活動内容を公表し、2008年春にはその活動成果に基づいた取り組みを開始する。これにより、停滞している国内コンシューマPC市場の活性化や、PCの普及促進を図るとともに、利用時間の拡大などを促進する考えだ。
コンソーシアム内に「シナリオ開発」および「共同マーケティング」の2つの柱を軸にした複数の分科会を設置し、「デジタル機器による可能性を掘り起こすとともに、これを顕在化する。シナリオを実現するための製品およびサービスの連携の在り方を検討し、改善や発展に向けた取り組みテーマを設定する。だが、その一方で、標準化作業や技術開発といったことはコンソーシアムではやらない」としている。
具体的なシナリオとして、コンシューマ向けノートPCの約7割に非接触型ICカードであるFeliCaが搭載されていることに着目し、この認証技術を活用した新たなビジネスモデルを模索するほか、地上デジタル放送チューナを搭載したPCにおけるTV視聴の活用において、放送事業者などとの連携を図っていくという。
ウィンドウズデジタルライフスタイルコンソーシアムの概要 | コンソーシアムの活動はシナリオ開発とプロモーションが柱になる |
米Microsoftのスティーブ・バルマーCEOは、「コンソーシアムが目指していることは大変重要である。また、その重要なテーマに、日本のIT業界のリーダーたちが参加していることに注目してほしい。私は、このコンソーシアムを通じて、コンシューマ分野におけるイノベーションを期待しており、さらに、その成果をグローバルに展開することも考えたい」とコメントした。
また、発足会見では、理事となったPCメーカー4社のPC事業責任者が挨拶した。
NECパーソナルプロダクツの高須英世社長は、「PC業界のメンバーだけに留まらず、多くの業界の知恵を集め、お互いに連携することで、デジタルライフスタイルによるユーザーの感動を実現できるようになるだろう」とコメント。ソニー業務執行役員 SVP VAIO事業本部 石田佳久本部長は、「ソニーはPCと携帯電話、家電、コンテンツを連携した提案を行なってきたが、もう一歩、踏み込んだところでの体験が必要。異業種を巻き込んで、コンテンツの楽しみ方を提案したい。携帯電話とPCを使うことで、どんな新しいことができるかを追求してみたい」とした。
発足式で挨拶するスティーブ・バルマーCEO | NECパーソナルプロダクツ 高須英世社長 | ソニー業務執行役員 SVP VAIO事業本部 石田佳久本部長 |
また、東芝PC&ネットワーク社の下光秀二郎執行役上席常務は、「魅力あるデジタルライフを実現するにはハードウェアだけでは限界がある。コンテンツ、サービスを組み合わせることで、新たな価値を提供し、市場を活性化したい」とし、富士通パーソナルビジネス本部本部長 五十嵐一浩経営執行役は、「モバイルシーンでは、リアルタイムアクティビティがキーワードになり、一方でデジタルホームでは、インターネットとPC、TVの融合が進んでいる。PCで何が出来るかという提案は、これからが大切。WDLCへの取り組みを通じて、新たなデジタルライフスタイルの提案に寄与していきたい」とした。
東芝PC&ネットワーク社 下光秀二郎執行役上席常務 | 富士通パーソナルビジネス本部本部長 五十嵐一浩経営執行役 |
ウィンドウズデジタルライフスタイルコンソーシアムには、販売店が参加しているのも特徴だ。
ジャパネットたかたの高田明社長 |
ジャパネットたかたの高田明社長は、「当社は、商品を販売していても、物を作ることができない立場にある。消費者に一番近い立場にある企業として、物を作る企業に提案していきたい。シニア向けのセット商品なども今後は用意していくことになるだろうが、PCは、なんでも教えます、サポートしますという形ではなく、自分が学ぶことに価値がある商品であるということに消費者が気がついてほしい。自分が欲しいというだけでなく、誰かに買ってあげたくなるPCが必要であり、それを期待している」とした。
ヨドバシカメラの加藤忠行常務取締役は、「業界全体のパイが広がっていくことを期待している。年末商戦では、PC売り場において既存店ベースで前年同期比で10%増を見込みたいが、そこまではいかない感じがある。だが、当店が出店している政令指定都市の店舗を活用していただき、訴求していきたい。秋葉原の店舗では、デジタルライフスタイルのコーナーを設置したが、年末商戦において、あれだけのスペースを店舗に割いたのは、Vistaに期待していることの証」とした。
また、ビックカメラの堀越雄常務取締役は、「WDLCでは、さらに業界の枠を越えてもらい、鉄道会社、航空会社、電力会社なども巻き込んでほしい。デジタルライフスタイルを実現するには、モバイル環境で、いかに電源を確保するかといったことも大きな課題。電車なかや飛行機のなかでも、多くの人がもっと簡単に電源を確保することがデジタルライフスタイルの実現には必要。コンソーシアムを通じて、さまざまな要望をメーカーにも提案していきたい」と語った。
デジタルライフスタイル対応の販売現場を視察するために9日午前にヨドバシAkibaを訪れたスティーブ・バルマーCEO。藤沢昭和社長と握手 |
□マイクロソフトのホームーページ
http://www.microsoft.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=3261
□関連記事
【11月9日】マイクロソフト、シニア層のICT活用推進に向けた新施策
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/1109/ms1.htm
(2007年11月9日)
[Reported by 大河原克行]