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Intel、2018年にFab 2を3D NAND製造からOptane製造に完全移行

 インテル株式会社は16日、都内で記者会見を開催し、米国から来日した不揮発性メモリーソリューション・グループ(NSG)担当副社長 兼 ストラテジック・プランニング、マーケティング、ビジネス・デベロップメント担当のビル・レジンスキー氏が、同社のストレージおよびメモリ技術の展望を説明した。

 Intelは現在、クラウド、AI、ネットワーク用のプロセッサ技術のみならず、ストレージやメモリ、FPGA、5Gといった技術、そしてIoTなど、あらゆる技術を網羅する戦略を採っており、各々の技術の進化による好循環を企業の成長につなげようとしている。当然のことながら、データを保持するストレージとメモリは戦略のなかでも重要な位置を占める。

 それを担当するNSGとしては、最新技術を開発することもさることながら、CPUやマザーボードといったプラットフォームとの連結、そして顧客からのインスピレーションを得て成長していく戦略を採る。純粋な技術を、顧客の生産性向上につなげることが、同グループおよび同社の基本的な姿勢だ。

Intelの成長戦略
NSGの戦略

 さて、ストレージもメモリも、現在はコンピュータにとって欠かせない要素ではあるが、本来コンピュータにとって一番望ましいのはCPU上にすべてのデータがあることだ。データを加工するのがCPUの仕事であるため、CPUが直にデータにアクセスできたほうが望ましい。しかしそれは、現時点では技術的な観点でもコスト的な観点でも不可能であり、そのためメモリとストレージが分かれている。

 ストレージはCPUから一番遠く、アクセスに時間はかかるものの容量あたりの単価が安く、多くのデータを保存できる。一方メモリはCPUに一番近く非常に高速で、CPUが処理をする直前のデータを置くのに最適だが、容量あたりの単価が高く大容量化は難しい。

 そこでNSGではデータの種類を「コールド」、「ウォーム」、「ホット」に細分化し、コールドこそHDDが向いているが、ウォームは3D NAND、ホットは3D Xpoint技術を採用したOptaneメモリが最適とした。

 3D NANDを採用したデータセンター向けSSDとしては、Intel SSD DC P4500/4600/4501Oシリーズなどがある。PCI Express接続により、SATA 6Gbpsの製品と比較して最大で6倍の性能を実現している。

 Optaneを採用したストレージとしては、現在データセンター向けに展開しているOptane SSD DC P4800X」を投入。特に低レイテンシや高い応答速度、高い耐久性などの特性により、高いレスポンスを必要とするデータセンターに好適とした。

 コンシューマ向けには、Optaneはストレージとしてではなく、HDDと組み合わせて使うストレージキャッシュてきな使い方を提案している。HDDと組み合わせることとで、一般的なタスクの応答性が2倍以上、Webブラウジングが最大で5倍高速になるほか、ゲームの読み込みや起動といったエンスージアスト用途でも、60%以上高速化が見込め、単なるメール閲覧やファイル検索といったビジネス用途でも性能改善が見込めるとした。

データを「コールド」、「ウォーム」、「ホット」に分類し、ウォームには3D NAND、ホットにはOptaneが最適とする
3D NANDを採用したデータセンター向け製品
Optaneのデータセンター向け製品
コンシューマ向けのOptaneはM.2接続で専用のユーティリティやIntel Z270チップセットと協調して動作する
OptaneとHDDを組み合わせた場合の性能面の向上

 Intelは現在、Micronと共同でさまざまなメモリ技術を開発し、製造工場(ファブ)も一部共用している。このうちIntel側でメモリやNANDフラッシュを製造しているのは、米国にあるファブ2と中国・大連にあるファブ68だ。ファブ68については現在重点的に投資を行なっており、3D NANDフラッシュの製造キャパシティを拡大しているが、現在3D NANDを製造しているファブ2については2018年にもOptaneの製造へと完全転換するという。

 ご存知のとおり、Intelはすでにコンシューマ向けにNANDフラッシュを搭載したSSDを投入していない。ファブ完全転換でOptaneのさらなる大容量化と低価格化に期待がかかる。

Intelがメモリを製造しているファブ