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「ドローンによって人間の生活はより豊かになる」

~インテル、同社ドローン事業の最新動向説明会を開催

米Intel New Technology Group副社長兼UAV(無人航空機)担当事業本部長 アニール・ナンデュリ(Anil V. Nanduri)氏

 インテル株式会社は、同社のドローン事業の最新動向に関する記者説明会を開催した。

 説明会には、米Intel New Technology Group副社長兼UAV(無人航空機)担当事業本部長のアニール・ナンデュリ氏が登壇。

 ナンデュリ氏は、Intelの成長戦略において、ドローンは「モノとデバイス」分野に位置するものと説明。IoTによって2020年までに爆発的に世界のデータ量が増大する中、ドローンもその例外ではなく、さらに多くのデータを生み出していくと述べ、4Kビデオや高解像度写真などによって、1回のフライトで100GBものデータが生成されるとした。

 そういったデータを処理するためには、より高い処理能力が必要となり、どこへどのように飛ぶのかを判断し飛行するドローンは、まさに「空を飛ぶコンピュータ」であると同氏は述べ、ドローンはIntelのサイクルにフィットしたものであると説明した。

Intelの成長戦略
2020年のデータ量

 Intelのドローン事業の取り組みは、ドローン向けの開発キット、ライトショー、商用システム、エコシステムとのパートナーシップという4つのカテゴリに分けられるという。

 開発キットでは、UAV向けの「Aeroプラットフォーム」を提供。センサーやSSDなどを必要に応じて追加できるモジュラー設計で、プラグ&プレイのインターフェイスとなっているほか、Atomプロセッサを搭載し、Linux OSでオープンソースなのが特徴で、「Aero Ready To Fly」ドローンは、実際に製品の開発に利用されているという。

 また同氏は、厚さ4mmの薄型軽量な最新世代のRealSenseカメラを搭載しており、深度情報をオンボードでリアルタイムに処理し、ルートを指示しなくても衝突を回避して飛行できる点をアピールした。なお、日本からも開発キットは購入可能とのことだ。

ドローン事業の取り組み
Aeroプラットフォーム
Aero Ready To Flyドローン
RealSenseカメラを搭載
RealSenseカメラモジュールは薄型軽量
衝突回避技術
深度情報を把握
衝突を回避する

 ライトショーは文字通り「光のショー」で、大量のドローンを使った光のエンターテイメントを指す。Intelは「Shooting Star」ドローンを開発し、2月開催の「Super Bowl 2017」ハーフタイムショーでも利用されている(Super Bowlのハーフタイムショーにて300体のドローンを用いた演出)。

 2016年11月には、500台のドローンを1人で制御する記録を達成し、Intel自身が記録していた100台同時制御を上回る、新たなギネス世界記録を樹立している。

 同氏は、空をキャンバスにできる新たなエンターテイメントであるだけでなく、環境に優しく、公害の問題がないとアピールした。

DRONE 100
500台制御を記録
SHOOTING STARドローン

 商用システムでは、2016年10月発表のマルチロータードローン「Falcon 8+」(Intel、自社ブランドのドローン「Falcon 8+」)のほか、固定翼プラットフォーム「MAVinci SIRIUS Pro」も提供しており、特に建設や農業、調査点検業務といった分野に注力しているという。

 同氏は、ドローンを使って工場の点検や建設現場のマッピングを行なうことで、従来より高い安全性を実現するだけでなく、生産作業のダウンタイムをなくすことで、大幅なコスト削減に繋がるとアピールした。

UAV市場
商用システム
注力している分野
Falcon 8+
8個のローターを備える
カメラモジュール部は交換可能で赤外線と通常のカメラを同時に使うことも可能
MAVinci SIRIUS Pro

 エコシステムについては、AT&Tと組み5Gの検証にドローンを使用したり、エアバスと航空機の検査にドローンを使用する実験を行なうなど、パートナー企業と協力しているとしたほか、有人ドローンの「Volocopter」でもローター制御にIntelの技術が使われているとアピール。

 同氏は、FAAやNASA、欧州議会、DLR、CASAといった世界の規制当局などとも連携し、安全性や空域の効率的利用、人や資産の安全性確保、航空交通の制御と航行について取り組んでいると説明。ドローンは人間の生活をより豊かにしてくれるものであるとして説明会を終えた。

規制当局などと連携
Drone Advisory Council