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100万ファイルでは、データバックアップよりイメージバックアップの方が高速

~アクロニス、福岡開催のセミナーで自社技術を解説

「アクロニス次世代データ保護フォーラム in 福岡」会場

 「True Image」などのバックアップソフトを手がけるアクロニス・ジャパン株式会社は9日、福岡市博多駅近くの会場で「アクロニス次世代データ保護フォーラム in 福岡」と題したイベントを開催。同社技術の見所や、今後のロードマップなどについて解説した。

 今回のイベントは、システムインテグレータやISP、販売店担当者などを対象としたもの。同社のこういった地方イベントは、今年(2016年)の名古屋、広島に続く3カ所目となる。

 自身も北九州出身である同社代表取締役の大岩憲三氏は、企業が扱っているデータ量が2005年の1.6EB(エクサバイト=ペタバイトの1,000倍)から9年間で約9.3倍に伸びており、2019年には50EBを超える見込みだと指摘。そういった中、企業のバックアップ導入に対する意識や、バックアップ手法の傾向にも変化が現われてきており、特にクラウドバックアップに大きな注目が集まっているとした。

アクロニス・ジャパン代表取締役の大岩憲三氏

 と言うのも、昨今さまざまなクラウドサービスが登場しており、うまく活用することで、利便性や生産性を向上でき、またそのデータもサービス側で厳重に保持されるが、一方で複数のクラウドサービスを使うと、データが分散し、管理がしにくくなるという問題もある。

 そこでアクロニスが訴求するのが、同社のバックアップソリューションだ。「Acronis Backup」シリーズでは、マルチクラウドに対応しており、企業のオンプレミスや、個人ユーザー自前のHDD/NASなどのデータをバックアップし、一元的に管理できる機能を搭載している。

 また、アクロニス自身も同社が運営するクラウドへのバックアップサービスを提供しているが、2014年12月から日本にデータセンターを構えているため、海外データセンターよりも高速にアクセスできる。

物理から仮想、仮想からクラウド、そしてその逆と言った復旧が可能

 具体的にAcronis Backupは、どのような機能を持つのか? 同社セールスエンジニアマネージャーの佐藤匡史氏が解説した。

アクロニス・ジャパン セールスエンジニアマネージャーの佐藤匡史氏

 同社は、企業向けにエンドユーザー向けのAcronis Backupとサービスプロバイダ向けのAcronis Backup Cloudを展開している。基本的な機能やUIなどは共通だが、ここでは前者について取り上げる。

 バックアップには、必要なフォルダやデータだけバックアップする「ファイルバックアップ」とシステム全体をイメージとしてバックアップする「イメージバックアップ」がある。Acronis Backupは、その後者となる。

 必要なものだけをバックアップするファイルバックアップの方が、手軽そうなイメージを持つが、佐藤氏によると、ファイル数が増えた時、I/O処理が増え、バックアップ速度が著しく低下するという。また、ファイルバックアップの場合、ファイル名を修正といった僅かな変更であっても、そのファイル全体をバックアップ対象とみなすため、ファイルサイズの大きなデータだと、かなりの無駄が生じる。

 それに対し、イメージバックアップでは、利用し(変更され)ているブロックのみを転送するため、ファイル数に影響されることなく、高速なバックアップが可能だという。実際、100万ファイルのバックアップでは、イメージバックアップの方が7倍程度高速という検証結果も示した。

高速さがウリのAcronis製品
イメージバックアップし、そのまま復元したり、ファイル単位での復元も可能
ファイル数が多いと、ファイルバックアップはボトルネックが生じる
100万ファイルでのバックアップ時間の比較

 もう1つの大きな特徴が、さまざまなプラットフォームに対応する柔軟性。企業が運用しているシステムは、大きく、物理環境、仮想環境、クラウドの3つがある。Acronis Backupは、これら3つの全ての組み合わせで、相互のバックアップ/復旧ができる。具体的には、物理環境にあるバックアップイメージを、別の仮想環境に復元したり、クラウドのシステムイメージを物理環境に復元させたりということができる。

 バックアップイメージからの復旧の際、システム環境がことなると、ドライバなども変わるため、うまくブートできないこともある。しかし、Acronis Backupでは、システムが変更されたことを見知し、自動的に起動プロセスを修正する技術を導入しているため、ファイル単位ではなく、システムイメージをそのまま復旧できる。

 加えて、バックアップアーカイブから直接仮想マシンを起動できる。ダミーの仮想マシンにバックアップアーカイブをマウント、起動し、隔離された環境でウイルスやランサムウェアなどに感染していないかを確認と言ったことができる。

 クラウドについては、例えばMicrosoft Azureのバックアップを、Acronisのクラウドストレージに保存しておき、それをAWSに復元することもできる。

 バックアップの取り方も柔軟で、例えば1週間は毎日バックアップを行なうとする。その後は、4週間、毎週バックアップを行ない、さらにその後は半年間、1カ月ごとに増分バックアップといったスケジューリングが可能。最近のランサムウェアは狡猾で、数カ月かけてゆっくりとファイルを暗号化していくものもあるが、その場合も、半年前といった古いバックアップも保持しておけば、ある程度の変更は失われるにせよ、ファイル全体が奪われることは防げる。

物理、仮想、クラウド、相互でバックアップや復旧が可能
バックアップアーカイブから仮想マシンを起動することもできる
クラウド間でのイメージバックアップ&ベアメタル復元にも対応
バックアップの期間は柔軟に設定可能

コンシューマ向けのTrue Image 2017 New Generationを第1四半期に提供

 Acronis本社でGlobal Director, Product and Technology Positioningを担当するAlexander Ivanyuk氏は、2017年の同社製品ロードマップを説明した。

 同社は四半期ごとの製品バージョンアップを予定している。これにより、ユーザーは短期間で新たな機能を利用できるようになる。

 コンシューマ向けとなるTrue Imageについては、現行のバージョン2017の後継となる2017 New Generationが第4四半期に提供開始となるほか、第3四半期に2018が提供予定となっている。

Acronis本社Global Director, Product and Technology Positioning担当のAlexander Ivanyuk氏は