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バックアップ世界最速を謳うアクロニスが世界最速のF1とタッグ

~次期製品ではバックアップにも人工知能を搭載

アクロニス最高経営責任者のセルゲイ・ベロウゾフ氏(中央)と最高マーケティング責任者のジョン・ザニ氏(左)

 データ保護ソリューションプロバイダであるアクロニスは、2016年のハンガリーグランプリよりF1チームのスクーデリア・トロ・ロッソとパートナーシップ契約を結んでいる。先ほど開催された、鈴鹿サーキットでのF1日本グランプリに併せ、アクロニスCEO(最高経営責任者)のセルゲイ・ベロウゾフ氏が来日し、報道陣の質問に答えた。

鈴鹿サーキット
サーキット内
7日に行なわれたフリー走行の模様

 会見では、まずベロウゾフ氏が同社の近況や戦略などについて語った。ベロウゾフ氏によると、現在同社はアジア太平洋地域でのブランド訴求に努めているという。F1へのスポンサーシップもその一環だが、氏自身も私用のスクーター、自動車、ヨットにアクロニスのロゴを印刷しているという力の入れようだ。日本では六本木ヒルズに事務所を移すとともに、従業員数を2倍にし、クラウド分野での売上も2倍に伸ばすと意気込む。

スクーター
自家用車
ヨット
そしてF1カーにもアクロニスロゴが入った

 同社製品ラインナップの中で主軸となるのが、コンシューマ向けのバックアップソフト「True Image」と、法人向けのバックアップソフト「Backup」、データ復旧ソフト「Disaster Recovery」、ファイルアクセス・同期ソフト「Access」となる。

 ベロウゾフ氏は、「物理的な世界がますますデジタルの世界へと移行する中、デジタル世界の規模が物理世界の規模を超える“シンギュラリティ”も目前に迫っており、そのデジタルデータを保護する重要性も一層増している」とする。

 同社製品の特徴は、とにかく速いこと。同社によると、最新のTrue Image 2017は、バックアップ時間およびリカバリ時間において世界最速、Backup 12も競合製品の2倍の速度で世界最速を誇るという。また、企業向け製品では、オンプレミスではWindowsプラットフォームだけでなく仮想マシンや、Linux、macOS/iOS、Androidなど、パブリッククラウドではMicrosoft Azure、Amazon Web Services(AWS)などに対応というように、ハイブリッドで柔軟に対応でき、導入や運用が簡単な点も強みだとする。

デジタル世界は物理世界より大きくなりつつあり、データ保護の重要性はさらに増している
個人向けTrue Image 2017はF1同様世界最速
Backup 12は競合製品より2倍高速という

 前述のとおり、ストレージソフト企業としては唯一となるF1とのパートナーシップを活用し、ブランド価値向上を狙うアクロニスだが、F1を選択したのは、アクロニス製品の持つ最速・最高峰というイメージとF1が合致するからという。また、F1自体も毎週末のレースで3TBものデータを収集、分析し、車体開発やレース展開に活かすなど、ITを最大限活用しており、アクロニスはそのデータ保護でもトロ・ロッソと連携している。

 ベロウゾフ氏によると、数あるF1チームの中でトロ・ロッソを選んだのは、両者のコーポレートカラーが同じだったことに加え、オーナーのレッドブルが自動車企業でないにも関わらず、F1に2チームを抱えている姿勢に共感したからだという。実は、ルノーにも打診したが、車体を青くすることは断わられたという。

 10月9日の本戦については、トロ・ロッソはカーブの多い鈴鹿サーキットは得意なので、得点圏内に入れるのではとの期待を寄せていたが、残念ながら13・17位で終了しポイントは獲得できなかった。

F1レースでは毎回数TBのデータを収集、解析している

 質疑応答で、日本と諸外国とでバックアップの利用率に差はあるのかとの本誌の問いに対してベロウゾフ氏は、日本は台風、津波、地震、といった自然災害が多く、ほかの地域よりデータ保護について真剣に考えている人が多い。また、日本は組織立った国だが、実際に危機が発生するまで対応しないことも少なくないと指摘。実際、震災直後などが一番需要が高まるという。

 デジタルデバイスについて、その数だけでなく、IoTのように機器の種類も増える中、PCやスマートフォンなど以外についても取り組むのか? これについては、既にIoTも見据え、ストレージベースの機器用のSDKを提供しており、サードパーティが新たな種類の機器用に短期間でアクロニスの製品・サービスを利用できるようにしているとした。

 また、昨今では大規模なデータを扱う企業が、人工知能(AI)や機械学習(マシンラーニング)などを活用し、データに付加価値を与える取り組みを行なっているが、この点についてベロウゾフ氏は、「次世代の製品で機械学習などを使ったデータ分析を取り入れる予定。これにより、機械がデータの重要性を自動的に認識し、より重要なデータは高価だが高速なストレージ上に置き、そうでないデータは安価で低速なストレージに保存するなどの仕組みを導入する」と答えた。

トロ・ロッソ公式写真