笠原一輝のユビキタス情報局

MVNO無制限データ通信サービスで変わるモバイルブロードバンド選択

 MVNO(Mobile Virtual Network Operator、仮想移動体通信事業者)と呼ばれる通信キャリアの回線を利用して自社ブランドの通信サービスを提供する通信事業者から、データ容量無制限のデータ通信サービスが相次いで発表されている。ここ最近では、MNO(Mobile Network Operator:移動体通信事業者、自社で無線回線サービスを提供する通信キャリア)が提供するデータ通信サービスは、1カ月で7GB、3日間で1GBを利用すると速度制限が入るプランがほとんどで、ユーザーの利用モデルを通信キャリアが制限するという状況が当たり前になっていただけに、ユーザーにとっては朗報と言える。

 そこで、本記事ではそうしたMVNOのデータ容量無制限のデータ通信サービスを契約してみて、実際に使ってみた感想などを交えながら、PCユーザーにとってこの冬に契約すべきデータ通信サービスはどれなのかを考えていきたい。

モバイルPCユーザーに必要なのは無制限データプラン

 筆者自身は、昔からノートPCを持ち運んでおり、仕事なりプライベートなりに活用している。その意味で、PCを持たない瞬間がないほどのモバイルPCユーザーだが、筆者にとって最も頭が痛いのは、インターネット回線をどうするかという問題だ。PCはスタンドアロンでも使えるのが大きな利点だが、今時クラウドストレージと組み合わせて使うのが当たり前になりつつあり、いつでもどこでもネットワークに接続されていなければ不便だ。

 筆者は以前より、DDIポケット(その後ウィルコムとなり、現在はY!モバイルに吸収合併されている)のデータ通信サービス(αDATA、その後AirH")やドコモやauなどが提供していたデータ通信サービスなどを利用していたが、2007年にイー・モバイル(現在のY!モバイル)3Gサービスに乗り換え、その後2009年にUQコミュニケーションズのWiMAXサービスに乗り換えて、今年(2014年)に入ってからWiMAX 2+に乗り換えて今に至る。なぜこうした変遷を経ているのかと言えば、PCで使う以上は速度や転送データの制限なく使いたいからだ。

 ただ、ここ最近は通信会社の方で転送データの容量に制限を設けたり、定額と言っても7GBまでという制限が付いたりと、“無制限”を求めるPCユーザーにとっては厳しい御時世になった。現在UQコミュニケーションズ以外のMNOが設けている制限は大きく2つある。1つは月間のデータ容量で7GB、もう1つは直近3日間のデータ通信の合計が1GBという制限で、これを超えると、128Kbpsなどの極端に遅い速度に制限される。

 確かに無線の帯域というのは有限の資源だ。このため、仮に現在有線で行なわれている通信をすべて無線、しかもセルラー回線で行なうとなるとパンクしてしまうのは明らかだ。過去にはWinnyのような大容量のデータをバックグランドで転送するP2Pサービスが流行したこともあり、通信キャリアにとってはその時の“悪夢”が忘れられないとすればこうした制限が入るのはある程度は仕方がない面もある。しかしその制限によって、ユーザーは使い方を考えながら使わなければならなくなった。例えば、データ通信を最小限にするために、動画は見ないとか、クラウドストレージの同期はオフにするなどの使い方を強いられる。“新しいライフスタイル”を提案すべき通信キャリアがユーザーの使い方を制限するのはブラックジョークでしかない。

 そうした中でMNOとして唯一“無制限”を提案し続けてきたのが、UQコミュニケーションズが提供するWiMAXおよびWiMAX 2+の通信サービスだ。現在UQではWiMAXからWiMAX 2+への乗り換えキャンペーン(別記事参照)を行なっており、現在WiMAXを利用しているユーザーも含めてWiMAX 2+へ乗り換えやすい環境が整っている。WiMAX 2+は、月間7GBという制限があるが、契約から2年間はその制限が適用されない。実際には多くのユーザーが2年経過後に解約して新しい契約に乗り換えることになると思うので、実質的にはないのと同じだ。また、直近の3日で1GBを超えた時の制限も、2015年4月1日以降に導入されると告知されているが、今のところは導入されていない。

 WiMAX 2+には3つの通信モードがある。

(1)ハイスピードプラスエリアモード(au LTE、WiMAX 2+の自動切替)
(2)ハイスピードモード(WiMAX 2+とWiMAXの自動切替)
(3)ノーリミットモード(WiMAXのみ)

 月間7GBの制限が付かないのは(2)と(3)のみ利用している場合。(1)のモードはau LTE/WiMAX 2+合せて7GBまで通信できるが、これでいったん7GBを超えてしまうと、(2)のWiMAX 2+通信まで制限が入ることになるので注意したい。筆者は「HWD15」というこの3つのモードすべてサポートするWiMAX 2+ルーターを利用しているのだが、(1)のハイスピードプラスエリアモードは常時オフにして利用している。こうしておくと、月間7GB、3日間1GBどちらの制限も入らないで利用できるからだ。筆者は毎月10〜15GB程度をPCのデータ通信で利用しており、7GBではまったく足りないとしか言いようがなく、これまでは事実上WiMAXないしはWiMAX 2+一択という状況だった。

【お詫びと訂正】初出時に、「(1)ハイスピードプラスモード(au LTE、WiMAX 2+、WiMAXの自動切替)」としておりましたが、正しくは、ハイスピードプラスエリアモード「(au LTE、WiMAX 2+の自動切替)」となります。お詫びして訂正させて頂きます。

 だが、その“ノーリミッ党”(by UQ)の命も後3カ月だ。というのも、既に述べた通り来年の4月1日からはWiMAX 2+の通信にも3日間で1GBの制限が導入されるからだ。正直これは困る。というのも、出張で地方に出たりすると、自宅からデータをダウンロードしたり、撮影した写真をクラウドにアップロードしたりで、3日で1GBなど簡単に達してしまうことが、これまでも何度かあったからだ。一方、ほかのキャリアも検討してみたが、もっと厳しい制限が掛かっている。さてどうするか、と来年の4月に向けてずっと色々な選択肢を検討してきた。

MVNO各社がデータ容量無制限のデータ通信プランを提供開始

 そうした筆者の前に登場したのが、冒頭で紹介したMVNOによるデータ容量無制限のデータ通信サービスだ。ここ数カ月で3社(NTTぷらら、U-NEXT、日本通信)から続々と登場しつつある。この3社と主なキャリアサービスを比較してみると、以下のようになる。

【表1】各社の通信サービス比較(価格はいずれも税別)

ぷららモバイルLTE 定額無制限 U-mobile データ専用 LTE使い放題 b-mobile SIM 高速定額 NTTドコモ(データ) Y!モバイル(データ) UQ WiMAX 2+
基本料金 - - - 1,700円 - -
インターネット接続サービス - - - 300円 - -
2GB - - - 3,500円 - -
5GB - - - 5,000円 - -
7GB - - - - 3,696円 4,701円*1
8GB - - - 6,700円 - -
10GB - - - 9,500円(シェアパック) - -
15GB - - - 12,500円(シェアパック) - -
容量制限なし 2,980円 2,480円 1,980円 - - 3,696円*2
速度制限 3Mbps ベストエフォート ベストエフォート あり*3 あり*3 あり*3
3日間1GB制限 なし なし なし あり あり なし*4
最低料金 2,980円 2,480円 1,980円 5,500円 3,696円 3,696円
契約拘束期間 なし なし なし 2年 2年 2年
*1=au LTEオプションを利用した場合
*2=au LTEオプションを使わない場合
*3=月間容量ないしは3日間1GBに達した場合
*4=2015年3月末まで

 こうして見ると、MVNO各社のデータ通信サービスの月額料金の安さが飛び抜けていることが分かる。一番高いNTTぷららのぷららモバイルLTE 定額無制限でも2,980円(税別、以下同)で、NTTドコモのデータ専用回線が2GBで5,500円(実際にはドコモの通話回線を持っていればデータ量を共有できるのでもう少し安くなる)であるのと比較すると圧倒的に安価になる。12月に入って登場した日本通信のb-mobile SIM 高速定額は1,980円と、さらに安価に設定されている。

 また、これらのサービスのもう1つの特徴は、7GBなどの月間容量の制限が無いだけでなく、直近3日間で1GBという制限もないことだ。つまり、ユーザーがどれだけ使おうとも、そうした制限は掛からない。

 ただ完全に保証されているかと言えばそうでもない。例えばU-NEXTの「U-mobile データ専用 LTE使い放題」の場合には「他のお客様のご利用に影響を与えるような短期間での大容量データの送受信は、公平なサービス提供のため、一時的に通信速度の制限を行なうことがあります」と記載されているし、日本通信の「b-mobile SIM 高速定額」も「ファイル交換(P2P)アプリケーション等に制限を設ける場合があります。また、大容量のダウンロード及びストリーミングでの連続通信については、時間帯によって制限をかける場合があります」と記述されている。

 NTTぷららの「ぷららモバイルLTE 定額無制限」にはそうした注意書きがされていないが、通信速度が3Mbpsに制限されているので、そもそも大容量のデータを一度に送ることができないため、そうした注意書きを入れておく必要が無いということだろう。そうした点に留意すれば、どれだけのデータ通信をしようとも基本的には速度規制が入らず、ユーザーとしては悪くない選択肢だ。

 なお、MNOの通信サービスとは異なり、MVNOの場合にはSIMカードだけの提供になり、端末は自分で用意しなければならないことが多い。ただ、最近MVNOでは端末となるWi-Fiルーターとセットで提供している場合もあり、セットとして提供されているのをよく見るのがNECプラットフォームズ(旧NECアクセステクニカ)の「MR03LN」だ。MR03LNはモバイルルーターとしては異例のBluetoothテザリングに対応しているなど、PCと組み合わせて利用するには最適な選択肢で、特に理由が無ければこちらを選択しておくのが吉だ。

MVNOのデータ容量制限なし定額データ通信SIMカードのパッケージ。左が日本通信のb-mobile SIM 高速定額、右がU-NEXTのU-mobile データ専用 LTE使い放題のパッケージ
MVNOのSIMカードパッケージにはあたり前だがSIMカードが入っている。このSIMカードを、SIMロックされていない通信機器に入れて利用する。PCで利用する場合にはWi-Fiルーターなどに入れて利用する
NECプラットフォームズ(旧NECアクセステクニカ)のMR03LN。通販サイトや家電量販店などで取り扱われているほか、MVNOのキャリアを通じても販売されている。2万円強という価格が多い
MR03LNにはMicro SIMを入れて利用する形になっている

試して分かったMVNOのプランの特徴、鍵は“ベストエフォート”にあり

 それでは、こうしたMVNOのデータ容量無制限を謳っているデータ通信サービスはどの程度使えるのか、実際に「ぷららモバイルLTE 定額無制限」と「U-mobile データ専用 LTE使い放題」を、10月下旬から11月上旬にかけて相次いで契約して、約1カ月利用してみた。なお、「b-mobile SIM 高速定額」に関しては販売開始が12月中旬で、記事作成には間に合わなかったので今回はテストしていない。

 こうしたテストでは一般的にはブロードバンドの速度を計測するサイトを利用して回線速度を測るというのが一般的だ。もちろん今回筆者もそうしたサイトを利用して計測したが、1つだけお断りしておきたいのは、こうした回線速度の試験というのは、その時点、その地点での結果であって、あくまで点での結果でしかないという点だ。本来であれば、テストを行なう場所と時間を増やし、その結果を解析して傾向を見る正しいやり方だ。しかし、1個人ユーザーである筆者には限界がある。従って、筆者の行動範囲内と時間で複数のデータを取った結果であることをあらかじめお断りしておく。あくまで参考として見て欲しい。

 今回テストをするにあたり、テストに利用したのはスマートフォンの回線速度テストとして一般的に利用されているspeedtest.netだ。スマートフォン用にはアプリが用意されているが、PC環境ではFlashベースのテストツールが提供されているので、これを利用した。

 なお、すべてのキャリアに対して同じデバイスが用意できれば最も公平なテストとなったのだが、回線も含めてすべて筆者の私物のため、それも叶わず、キャリアによって利用しているデバイスが異なるため差がある可能性もある。ただ、その中でもできるだけ揃えるために、筆者のPC(ソニー VAIO Duo 13)に内蔵されているau LTEの回線を除き、PCからWi-FiまたはUSBを利用して接続してテストしている。

 用意した回線は、NTTドコモのLTE回線(Samsung Galaxy Note Edge/SC-01Gのテザリング)、au LTEのデータ専用回線(PC内蔵)、WiMAX 2+(HWD15、HS=ハイスピードモードとNL=ノーリミットモードそれぞれでテスト)、ぷららモバイルLTE 定額無制限(MR03LN)、U-mobile データ専用 LTE使い放題(ASUS MeMO Pad 7/ME572CLのテザリング)という5つだ。それぞれUSBで接続した場合も計測しているので参考にして欲しい。

 テストを行なった場所は4カ所で、いずれも東京都内となる。秋葉原駅周辺の建物1階(13時頃)、品川駅構内(15時頃)、港区虎ノ門のビルの1階(16時頃)、上野駅周辺の建物2階(22時頃)という4カ所で、いずれもテストは12月の上旬に行なった。テストは連続して3回行ない、その3回の結果を上り下りで数字(単位はMbps)と、グラフでは平均値で示している。テスト環境は以下の通りだ。

SpeedTest.netを利用して回線速度をチェックした
【表2】テスト環境
プラン デバイス
U-mobile データ専用 LTE使い放題(Wi-Fi) ASUS MeMO Pad 7/ME572CL
U-mobile データ専用 LTE使い放題(USB)
ぷららモバイルLTE 定額無制限(Wi-Fi) NEC MR03LN
ぷららモバイルLTE 定額無制限(USB)
WiMAX 2+(HSモード/Wi-Fi) ファーウェイ HWD15
WiMAX 2+(HSモード/USB)
WiMAX 2+(NLモード/Wi-Fi)
WiMAX 2+(NLモード/USB)
au LTEフラット for DATA ソニー VAIO Duo 13
NTTドコモ Xi(Wi-Fi) サムスン Galaxy Note Edge/SC-01G
NTTドコモ Xi(USB)
【グラフ1】秋葉原駅周辺の建物1階(13時頃)の結果(単位:Mbps)
【表3】秋葉原駅周辺の建物1階(13時頃)の結果(単位:Mbps)

1回目 2回目 3回目 平均

下り 上り 下り 上り 下り 上り 下り 上り
U-mobile データ専用 LTE使い放題(Wi-Fi) 1.24 3.25 1.07 2.77 1.01 3.24 1.11 3.09
U-mobile データ専用 LTE使い放題(USB) 1.2 1.75 0.66 3.25 0.84 1.08 0.90 2.03
ぷららモバイルLTE 定額無制限(wi-fi) 2.35 2.75 2.64 2.47 2.51 2.54 2.50 2.59
ぷららモバイルLTE 定額無制限(USB) 2.68 2.36 2.57 2.49 2.7 2.97 2.65 2.61
WiMAX 2+(HSモード/Wi-Fi) 18.58 2.65 18.66 2.88 20.65 2.96 19.30 2.83
WiMAX 2+(HSモード/USB) 28.04 2.31 18.46 2.59 21.72 2.97 22.74 2.62
WiMAX 2+(NLモード/Wi-Fi) 0.7 2.54 1.06 2.85 1.76 2.37 1.17 2.59
WiMAX 2+(NLモード/USB) 2.35 2.64 1.16 2.97 0.5 1.7 1.34 2.44
au LTEフラット for DATA 11.21 7.75 11.01 7.32 18.86 7.64 13.69 7.57
NTTドコモ Xi(Wi-Fi) 7.37 3.01 4.52 1.8 8.51 3.21 6.80 2.67
NTTドコモ Xi(USB) 7.63 7.45 10.15 10.58 9.48 4.83 9.09 7.62
【グラフ2】品川駅構内カフェ(15時頃)の結果(単位:Mbps)
【表4】品川駅構内カフェ(15時頃)の結果(単位:Mbps)

1回目 2回目 3回目 平均

下り 上り 下り 上り 下り 上り 下り 上り
U-mobile データ専用 LTE使い放題(Wi-Fi) 4.27 4.58 4.67 4.61 5.05 3.92 4.66 4.37
U-mobile データ専用 LTE使い放題(USB) 0.8 1.05 1.74 1.61 1.65 1.88 1.40 1.51
ぷららモバイルLTE 定額無制限(wi-fi) 2.61 2.39 2.81 2.59 2.72 2.01 2.71 2.33
ぷららモバイルLTE 定額無制限(USB) 2.75 2.33 2.88 2.1 2.75 2.17 2.79 2.20
WiMAX 2+(HSモード/Wi-Fi) 20.77 5.86 28.57 6.46 34.12 6.62 27.82 6.31
WiMAX 2+(HSモード/USB) 36.21 6.37 36.06 5.94 25.29 6.29 32.52 6.20
WiMAX 2+(NLモード/Wi-Fi) 5.55 1.68 8.24 2.56 9.87 2.28 7.89 2.17
WiMAX 2+(NLモード/USB) 10.83 3.39 10.65 3.14 10.34 3.85 10.61 3.46
au LTEフラット for DATA 22.79 5.68 40.87 6.32 42.58 5.49 35.41 5.83
NTTドコモ Xi(Wi-Fi) 8.92 2.2 5.01 1.39 3.55 1.07 5.83 1.55
NTTドコモ Xi(USB) 5.68 2.24 2.01 1.47 0.94 0.62 2.88 1.44
【グラフ3】港区虎ノ門のビルの1階(16時頃)の結果(単位:Mbps)
【表5】港区虎ノ門のビルの1階(16時頃)の結果(単位:Mbps)

1回目 2回目 3回目 平均

下り 上り 下り 上り 下り 上り 下り 上り
U-mobile データ専用 LTE使い放題(Wi-Fi) 2.4 5.89 3.22 5.57 2.55 4.96 2.72 5.47
U-mobile データ専用 LTE使い放題(USB) 2.91 3.89 3.31 3.69 5.26 5.7 3.83 4.43
ぷららモバイルLTE 定額無制限(wi-fi) 2.81 2.89 2.83 2.8 2.88 2.6 2.84 2.76
ぷららモバイルLTE 定額無制限(USB) 2.99 2.92 2.87 2.93 2.81 2.92 2.89 2.92
WiMAX 2+(HSモード/Wi-Fi) 27.3 6.98 18.01 6.66 33.8 6.52 26.37 6.72
WiMAX 2+(HSモード/USB) 36.7 6.72 40.43 6.97 41.99 5.92 39.71 6.54
WiMAX 2+(NLモード/Wi-Fi) 10.99 2.52 9.5 2.89 13.06 2.82 11.18 2.74
WiMAX 2+(NLモード/USB) 13.22 2.99 11.25 2.26 11.98 3.23 12.15 2.83
au LTEフラット for DATA 44.6 3.9 39.96 3.68 43.64 4.69 42.73 4.09
NTTドコモ Xi(Wi-Fi) 8.23 3.99 8.2 3.76 11.3 3.14 9.24 3.63
NTTドコモ Xi(USB) 7.79 3.46 9.64 3.66 8.12 3.77 8.52 3.63
【グラフ4】上野駅周辺の建物2階(22時頃)の結果(単位:Mbps)
【表6】上野駅周辺の建物2階(22時頃)の結果(単位:Mbps)

1回目 2回目 3回目 平均

下り 上り 下り 上り 下り 上り 下り 上り
U-mobile データ専用 LTE使い放題(Wi-Fi) 3.05 3.2 3.23 4.65 3.26 3.91 3.18 3.92
U-mobile データ専用 LTE使い放題(USB) 2.99 3.28 3.04 3.45 3.28 1.92 3.10 2.88
ぷららモバイルLTE 定額無制限(wi-fi) 2.8 1.06 2.65 1.81 2.61 2.85 2.69 1.91
ぷららモバイルLTE 定額無制限(USB) 2.61 2.81 2.7 2.05 2.67 2.95 2.66 2.60
WiMAX 2+(HSモード/Wi-Fi) 1.96 5.27 2.77 5.68 5.77 4.78 3.50 5.24
WiMAX 2+(HSモード/USB) 30.4 7.48 23.66 7.3 22.47 7.52 25.51 7.43
WiMAX 2+(NLモード/Wi-Fi) 12.04 3.46 12.22 2.73 13.01 2.67 12.42 2.95
WiMAX 2+(NLモード/USB) 8.92 2.69 11.5 2.76 2.9 3.13 7.77 2.86
au LTEフラット for DATA 13.06 9.22 10.5 10.5 11.63 9.24 11.73 9.65
NTTドコモ Xi(Wi-Fi) 4.88 4.37 7.55 6.5 15.08 5.19 9.17 5.35
NTTドコモ Xi(USB) 18.31 4.93 21.01 7.4 25.57 3.52 21.63 5.28

 4点とそれぞれ異なる時間という限られたデータでしかない結果だが、傾向として規定の3Mbpsに近い回線速度を実現していた。一般的にこうした通信回線というのはベストエフォートと言って、利用しているユーザー数が少なければ理論値に近い通信速度が出るが、ユーザーが多ければ多いほど速度は出なくなる。しかし、ぷららLTEは確実に2〜3Mbpsの結果を出しており、期待値通りの速度が出ている。これから先は筆者の体感に過ぎないが、実際ぷららLTEをPCの回線として使っても何も不満は感じなかった。大容量のデータをダウンロードしたいなどの用途に使わない限りは、かなり使えそうな印象だった。

 これに対してU-mobile データ専用 LTE使い放題の方は、時間と場所によって速度がかなり変わる。グラフ2のように場所によっては4Mbpsを超える結果を出しており、今回のテストには含まれないが、個人的に速度をチェックしていた時には一度7Mbpsとか8Mbpsとかいう結果を見たこともある。ただ、場所や時間によっては1Mbpsに満たない結果しかでない場合もあり、時間と場所に左右されるなというのが感想だ。常に下りよりも上りが速いという傾向からも、ユーザー数が増えてきて回線速度が低下していると想像できる。

 これに対してMNOの回線は、常にある程度の速度が確保されており、余裕があると考えることができる。この辺りが、MVNOの回線が安価に設定されている秘密でもあり、トレードオフと言えるのではないだろうか。ただ、MVNOでも常時1Mbpsは確保されており、Webを見る程度であれば十分使える速度だ。

 WiMAX 2+に関しては、とにかくWiMAX 2+で繋がれば速い。ただ、現実的には地上では問題ないが、地下鉄などではWiMAXでしか繋がらないところもまだまだ多い。都心に関しては改善されそうだが、郊外に関してはまだ課題がある。“WiMAX 2+が入れば”という前提条件は付けざるを得ないというのがここ数カ月の筆者の感想だ。従って、WiMAX 2+やWiMAXが入らないところでは、スマートフォンのテザリングなどで凌ぐというのが使い方ということになるだろう。

 こうした結果から、月間7GB/3日間1GB制限があってもかまわないというユーザーであればMNOのLTE回線が最適と言えるし、制限がなくてかつ速度が速い回線が欲しいと思うならWiMAX 2+だし、速度はそれなりでかまわないから安価で制限のない回線が良いと思うならMVNOの無制限回線というように用途で棲み分けられると言えるのではないだろうか。

健全な市場の形成にはユーザーの論理的な選択も重要

 ただ、この棲み分けも2015年3月末までの話で、2015年4月以降はUQのWiMAX 2+は、ハイスピードモードでも直近3日間1GBの制限が開始される予定だ。となると、制限なしというWiMAX 2+のメリットの1つが無くなることになり、その後ユーザーがどのような選択をするのかは話が変わってくる。個人的にUQはこの方針を見直してくれることを心から願っている。

 WiMAX 2+のハイスピードモードは、TD-LTEという方式の通信技術が利用されている。その意味ではNTTドコモやauなどが提供しているFDD-LTEと大きな技術的な差は無くなっており、帯域当たりのデータの効率には大きな違いはない(TD-LTEの方が上り下りの帯域バランスを調整できるなどの利点はあるが……)。これに対して、キャリア各社が3Gだった時代のWiMAXは、データ通信の帯域利用の効率で3Gに比べてアドバンテージがあり、それが理由でWiMAXでは総量制限なくデータ通信サービスを提供できていた。NTTドコモやauと同じLTEを使って回線を提供し、しかも帯域の割り当てはドコモやauよりも少ないとなれば、WiMAX 2+で同じような制限を設けなければビジネスとして成り立たないというのは当然だ。

 もちろんそれは理解できるのだが、ではなぜMVNOはそれができているかというのはもう一度UQだけでなく、他のMNOもぜひ自問して欲しい。ぷららLTEのように3Mbpsに制限するプランを用意するのも1つの手だし、U-Mobileのようにベストエフォートのバランスをどこに置くかをもう一度考え直してみるのも1つの手だ。我々ユーザーが使いたいのは、キャリアに押しつけられた回線の使い方ではなく、ユーザーそれぞれがやりたいことをやれる環境だ。改めて言うまでもないが、通信キャリアの本質は快適な、あるいはユーザーが必要としている回線を提供することであって、端末にインセンティブを付けて売ることが本業では無いはずだ。MNOには本業でもっとやれることがある、MVNOのこうしたプランはそうしたことを浮き彫りにしていると言っていいはずだ。

 そして、ユーザーとしても今回紹介したような新しい選択肢を検討してみる、そうした姿勢が、健全な市場を形成することに繋がるのではないかということを指摘してこの記事のまとめとしたい。

(笠原 一輝)