西川和久の不定期コラム
ASUS「MeMO Pad 8」
~クアッドコアを搭載しNexus 7(2013)とほぼ同じパフォーマンスの8型タブレット!
(2013/12/24 06:00)
クアッドコアと8型1,280×800ドットIPS式液晶パネル搭載
同社のMeMO Padシリーズは、「MeMO Pad」(シングルコア、7型/1,024×600ドット、1GB)、「MeMO Pad HD 7」(クアッドコア、7型/1,280×800ドット、1GB)、「MeMo Pad Smart 10"」(Tegra 3、10.1型/1,280×800ドット、1GB)、「MeMO Pad FHD10」(Atom Z2560、10.1型1,920×1,200ドット、2GB)と、ローエンドからハイエンドまで4モデル用意されている。面白いのはTegra 3やAtom Z2560など、モデルごとにSoCが違うことだ。Windowsでは見られない、Androidならではの特徴といったところだろうか。
今回ご紹介する「MeMO Pad 8」は、ラインナップ上存在しなかった8型を埋めるもので、クアッドコアを搭載したAndroidタブレットとなる。主な仕様は以下の通り。
ASUS「MeMO Pad 8」の仕様 | |
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SoC | Cortex-A9(1.6GHz クアッドCPU+Mali-400 GPU) |
メモリ | 1GB(DDR3L) |
ストレージ | 16GB |
OS | Android 4.2.2 |
ディスプレイ | IPS式8型10点タッチ液晶ディスプレイ、1,280×800ドット(189ppi) |
ネットワーク | IEEE 802.11b/g/n無線LAN、Bluetooth 3.0+EDR |
その他 | Micro USB、microSDカードスロット、120万画素前面カメラ/500万画素背面カメラ、ヘッドフォン/マイクコンボミニジャック、スピーカー |
センサー | GPS、電子コンパス、加速度センサー、磁気センサー |
バッテリ駆動時間 | 最大約9時間 |
サイズ/重量 | 約212.8×127.4×9.9mm(幅×奥行き×高さ)/350g |
店頭予想価格 | 24,800円前後 |
プロセッサはクアッドコアのCortex-A9/1.6GHz。グラフィックスはMali-400 GPUとなる。SoCなので各種インターフェイスも含め1つにまとめられている。メモリはDDR3Lの1GBだ。ハイエンドのAndroid機は2GB搭載モデルもあるが、経験上、1GBで特に困ったことはないので大丈夫だろう。ストレージは16GB。
OSは、マルチユーザー対応のAndrroid 4.2.2。現在最新版は4.4.2であるが、仮想マシンの入れ替えやOSが使用するメモリの縮小など、ある意味、実験的なバージョンだ。4.2であれば実用上は問題ない。
ディスプレイは8型IPS式1,280×800ドットで10点タッチ対応の液晶パネルを搭載している。189ppiと、今となっては高い方ではないものの、価格相応と言ったところか。
インターフェイスは、IEEE 802.11b/g/n無線LAN、Bluetooth 3.0+EDR、Micro USB、microSDカードスロット、120万画素前面カメラ/500万画素背面カメラ、ヘッドフォン/マイクコンボミニジャック、スピーカー。センサーはGPS、電子コンパス、加速度センサー、磁気センサーと一般的だ。microSDカードスロットがあるのでメインのストレージが少ないのを補うことが可能。Micro USBは充電用も兼ねている。
サイズは約212.8×127.4×9.9mm(幅×奥行き×高さ)、重量350g。バッテリ駆動時間は最大9時間。カラーバリエーションは、グレー、ホワイト、ピンクが用意されている。店頭予想価格は24,800円前後で購入しやすいレンジにある。
背面はマット調のグレー、前面は液晶パネルの周囲が光沢のあるブラックになっているシンプルなデザインだ。9.9mmと今時のタブレットとしては少し厚みがあるものの許容範囲だろう。大きさはNexus 7(2013)と比較した写真をご覧いただきたいが、パネルサイズの違いで一回り大きいのが分かる。個人差もあるだろうが、片手で持つのはギリギリといったところ。
前面の上部中央に120万画素カメラ、背面も中央に500万画素カメラ、下側にスピーカー用のスリットがある。上面にはヘッドフォン/マイクコンボミニジャックとMicro USB、右側面には電源ボタンと音量±ボタン、左側面にはmicroSDカードスロットを配置。下側面には何もない。
IPS式8型10点タッチ液晶ディスプレイは、Nexus 7(2013)と比較すると若干コントラストは浅めだが、視野角も広く発色そして反応も良好だ。解像度が1,280×800ドット/189ppiなので、よく見るとドットやフォントのジャギーが見えるのは仕方ないところか。プリインストールされているユーティリティ「Splendid」を使って色温度などを調整可能だ。自分の好みに合わせられるのはポイントが高い。
サウンドはサイズのわりに出力も十分。迫力のある低音は望めないが、動画や音楽をそれなりに楽しむことができるクオリティだ。
長年いろいろなタブレットを作ってきた同社だけあって、ハードウェアとしては特に欠点などは見当たらず、完成度の高いデバイスに仕上がっている。
パフォーマンスはNexus 7(2013)とほぼ同等
初期起動すると「セットアップウィザード」が実行される。素のAndroidとはまた少し違った雰囲気だが、おおよそ設定する内容は変わらない。画面キャプチャを掲載したので参考にして頂きたい。
5画面あるホーム画面は、2画面にのみショートカットなどが置かれている。内容は、「Googleアプリフォルダ」、「ASUSアプリフォルダ」、「省電力設定」、「AudioWizard」、「Splendid」、「WebStorage」。そして、おすすめのコンテンツを楽しむウィジェットを配置。
Googleアプリフォルダには、「Gmail」、「YouTube」、「Playミュージック」、「マップ」、「ナビ」、「ローカル」、「Google+」、「メッセンジャー」、「音声検索」、「ハングアウト」、「Chrome」。ASUSアプリフォルダには「カレンダー」、「Tasks」、「ファイルマネージャー」、「アプリのバックアップ」、「Appl Locker」、「Story」、「MyLibrary」、「時計」が入っている。
通知エリアは、「Wi-Fi」、「省電力設定」、「読書モード」、「Bluetooth」、「GPS」、「サイレントモード」、「自動回転」、「航空機モード」、「自動同期」のほか、「明るさ」、「Wi-Fi設定」、「AudioWizard(省電力/音楽/動画/記録中/ゲーム/スピーチ)」、「ワイヤレスディスプレイ(Miracast)」、「設定」も利用できる。
左下の仮想ボタンはミニアプリ起動用。「電卓」、「AudioWizard」、「ビデオプレーヤー」、「単位換算」、「カウントダウン」、「ストップウォッチ」、「コンパス」を、画面にオーバーラップして表示することができ、ちょっとした時に便利だ。
ストレージの実容量は11.8GBで空きは11.5GBと少ない。音楽や動画、写真など容量を必要とするデータに関してはmicroSDカード側を使うなど運用で工夫した方がいいだろう。
省電力設定は、超省電力モード/最適モード/カスタマイズ、パフォーマンスモードと設定ができ、カスタマイズでは、電子メールを読む/書籍を読む/ビデオを見る/音楽を聞く/ウェブサイトの参照/電話・連絡先/IM(Skype)/プッシュ通知を使用するIMとアプリ……など、機能に応じて細かく調整可能になっている。
プリインストール済のソフトウェアは、「アプリのバックアップ」、「カメラ」、「カレンダー」、「ギャラリー」、「コミック・本」、「セットアップウィザード」、「ダウンロード」、「ナビ」、「ハングアウト」、「ファイルマネージャー」、「ブラウザ」、「ペアレンタルロック」、「マップ」、「ミラー」、「メール」、「メッセンジャー」、「ローカル」、「音声レコーダ」、「音声検索」、「時計」、「省電力設定」、「設定」、「天気」、「電卓」、「連絡先」、「Amazon Kindle」、「App Locker」、「AudioWizard」、「BookLive!Reader for ASUS」、「Chrome」、「Facebook」、「Flipboard」、「Gmail」、「Google」、「Google+」、「Google設定」、「i-フィルター」、「LLHDAndroid」、「Movie Studio」、「MyBitCast」、「MyLibrary」、「Playゲーム」、「Playストア」、「Playブックス」、「Playミュージック」、「Playムービー」、「Press Reader」、「Splendid」、「Story」、「SuperNote」、「Tasks」、「WebStorage」、「YouTube」、「Zinio」。
Android標準アプリに加え、同社製と有名どころのアプリで構成されている。もちろんPlayストアが使えるので、好みや用途に応じてアプリをダウンロード可能だ。
ウィジェットは、「アナログ時計」、「おすすめのコンテンツを楽しむ」、「カレンダー1/2」、「デジタルクロック」、「ブックマーク1/2/3/4」、「ミュージックプレイリスト」、「メール」、「Facebook近況アップデート」、「経路を検索」、「検索」、「再生・マイライブラリ」、「書籍」、「設定をショートカットとする」、「電源管理」、「連絡先1/2」、「連絡先ウィジェット」、「Battery」、「E-mail」、「Facebookボタン」、「Filpboard(小)」、「Filpboard(中)」、「Gmail」、「Gmailのラベル」、「Google Now」、「Google Playブックス」、「Google Playミュージック」、「Google+投稿」、「Google検索」、「PhotoFrame」、「Playストア」、「PressReader」、「SuperNote」、「Task Manager」、「Tasks」、「Weather」、「WebStorage」、「YouTube」、「Zinio」。
カメラに関しても試したところ、写り、アプリともに、以前ご紹介した「Fonepad 7」と同レベルなので、興味のある方は記事を参考にして欲しい。メーカーが同じということもあり、全般的にアプリの構成なども含め非常に良く似ている。
参考までにAnTuTu 安兎兎ベンチマークの結果を掲載した。カッコ内はNexus 7(2013) /Android 4.3.xの値だ。総合 19809(19831)。Multitask 3822(3358)、Dalvik 1364(1404)、CPU Int 2617(2261)、CPU Float 1857(1948)、RAM Operation 2008(1113)、RAM Speed 1135(1465)、2D 1535(1627)、3D 4157(5065)、I/O Storage 734(980)、I/O Database 580(610)。
現在Nexus 7(2013)はAndroid 4.4.xになっているので若干速くなっているが、Android 4.3.xと比較した場合、凸凹はあるもののほぼ同等の結果となった。画面解像度は違うが実際操作しても非常にスムーズで、ストレスなく使うことができる。
バッテリ駆動時間は、省電力設定/最適化モード、輝度50%、音量50%に設定し、ローカルのHD動画を繰り返し再生したところ、残16%で9時間を越えた。スペック上最大約9時間なので、ほぼその通りの結果だ。また輝度50%と音量50%は、結構明るく、音量もそれなりにあり、十分鑑賞できる状態だった。Wi-Fi経由だと駆動時間はもう少し短くなると思われる。
以上のようにASUS「MeMO Pad 8」は、クアッドコア、8型/1,280×800ドットのIPS液晶パネルを搭載したAndroidタブレットだ。同社はいろいろなAndroid機を作っているだけに、非常にこなれた製品であり、特に気になる部分もない。24,800円前後と安価に設定されているのも魅力的。
今月はWindows 8.1搭載の8型タブレットも多数出荷が開始され、8型だけに限定しても、OSそしてメーカー/機種と、どれをチョイスするのか悩む要素で山盛りだが、十分候補に残れる1台と言えよう。