西川和久の不定期コラム

ASUS「Fonepad 7」

〜7型なのに通話もできる3G対応タブレット

 ASUSは9月26日、「Fonepad ME371MG」の後継機となる、SIMロックフリーで通話も可能な7型のAndroidタブレット「Fonepad 7」を発表、10月中旬以降から発売開始する。従来モデルからプロセッサやストレージ、背面カメラをパワーアップした意欲作だ。発売前ではあるが、編集部から実機が送られて来たので試用レポートをお届けする。

Clover Trail+になってパワーアップ

 前モデルに相当するFonepad ME371MGは、2013年4月に発表された3G対応の7型タブレット。プロセッサは1コア2スレッド、クロック最大1.2GHzのAtom Z2420。コードネーム“Medfield”と呼ばれていたものだ。前面カメラ120万画素、背面カメラ300万画素、ストレージは8GBだった。

 それ対して、今回紹介する「Fonepad 7」は、2コア/4スレッド、クロック最大1.6GHzの Atom Z2560を搭載。コードネームはClover Trail+と呼ばれる。後ろに+が付くので一見Clover Tailの拡張版に見えるが、実はそうではなくAndroidを動かす場合、Windowsほど内蔵グラフィックスは3Dパワーを必要としないため、その分GPU性能を少し落とし、省電力化を施したバージョンとなる。

 Clover Trailプロセッサを使ったWindows機が何種類も出ており、パワーはそこそこだが、バッテリ駆動時間がARMに匹敵すると定評があるため、同様の長時間駆動が期待できる。

 前面カメラは120万画素のままだが、背面カメラが500万画素へ強化され、ストレージも16GBと倍増された。そのほかの主な仕様は以下の通り。

ASUS「Fonepad 7」の仕様
プロセッサ Atom Z2560
(2コア/4スレッド
クロック最大1.6GHz/)
メモリ 1GB
ストレージ 16GB
OS Android 4.2.1
ディスプレイ IPS式7型10点タッチ液晶ディスプレイ、
1,280×800ドット(216ppi)
ネットワーク IEEE 802.11a/b/g/n、Bluetooth 3.0、
micro SIMスロット
その他 Micro USB、
microSD(microSDXC対応)カードスロット、
120万画素前面カメラ/500万画素背面カメラ、
音声入出力、ステレオスピーカー
センサー GPS、電子コンパス、光センサー、
加速度センサー、近接センサー、磁気センサー
3G W-CDMA 800/850/900/1,900/2,100MHz
(SIMロックフリー、通話対応)
バッテリ駆動時間 最大約10時間
サイズ/重量 約120.1×196.6×10.5mm
(幅×奥行き×高さ)/340g
店頭予想価格 34,800円前後

 ディスプレイは、7型のIPS式、10点タッチ対応の液晶パネルを搭載している。解像度は、前モデル、そしてNexus 7(2012)と同じ1,280×800ドット(216ppi)だ。

 OSはAndroid 4.2.1でマルチユーザー対応版となる。Intelプロセッサで動くAndroidは互換性などで不安な面もあるが、以前別の機種で試用したところ、Dalvik上で動く一般的なアプリは問題なく作動していたので、あまり気にする必要はないだろう。メモリは1GB。Android機では一部2GBの機種もあるが標準的な容量だ。

 ネットワークは、IEEE 802.11a/b/g/n、Bluetooth 3.0、そしてmicro SIMスロットを搭載している。3Gデータ通信はもちろん通話にも対応しているのがこのクラスとしては珍しいところ。周波数はW-CDMA 800/850/900/1,900/2,100MHz。前モデルでは800MHzが無かったので、対応の幅が広がった。

 そのほかのインターフェイスは、Micro USB、microSDカードスロット、音声入出力、ステレオスピーカー。今回はmicroSDXCにも対応している。

 センサーは、GPS、電子コンパス、光センサー、加速度センサー、近接センサー、磁気センサーなどと、タブレットとして必要なものは一通り揃っている。

 サイズは約120.1×196.6×10.5mm(幅×奥行き×高さ)、重量340g。バッテリ駆動時間は最大約10時間。カラーバリエーションはホワイトとブラックの2種類。店頭予想価格は34,800円前後となる。通話にまで対応したSIMロックフリーの3G機で7型のタブレットと考えると、結構お買いの価格ではないだろうか。

前面。中央上に120万画素前面カメラ。上下にステレオスピーカー
背面。中央上に500万画素背面カメラ。カラーバリエーションはホワイトとブラック
上面。ヘッドフォン端子を装備している
底面にはMicro USBを搭載
右側面には、電源ボタン、音量調節ボタン、microSDカードスロットが見える
左側面にmicro SIMスロットを搭載
付属品など。USB式ACアダプタ、USBケーブル、イジェクトピン
Nexus 7(2013/左)との比較。Nexus 7(2013)の方が薄く質感も良いが、フットプリントはほぼ同じ(幅が若干広い)

 筐体は裏が光沢のあるホワイト、液晶パネルの周囲はブラックと、一般的なデザインだ。マット調でブラックのNexus 7(2013)と比較すると、見劣りしないでもないが、チープな感じはない。本体の上下にスピーカー用のスリットがあり、動画など横位置で観るとステレオ再生となる。筐体の構造上低音はあまり出ないもののパワーは十分ある。

 上部側面にヘッドフォン端子、下部側面にMicro USB、左側面にmicro SIMスロット、右側面に電源ボタン、音量調節ボタン、microSDカードスロットが配置されている。ただmicroSDカードスロットはフタが無く、何かの拍子で飛び出しそうだ。

 7型IPS式液晶パネルは、明るさコントラストともに良好でクオリティは高い。216ppiなので、細かいドットや文字のジャギなどはほとんど気にならない。タッチもスムーズ。更に後述するSplendidユーティリティを使えば色温度などを調整でき、好みの発色にすることができる。

 付属品は、USB式ACアダプタ、USBケーブル、SIMスロット用のイジェクトピン。もちろんPCなどのUSBポートからも充電可能だ。

 全体的にうまくまとめられており、特に不満のないタブレットに仕上がっている。ベンチマークテスト結果を後半に掲載しているが、実際アプリなどを使っても十分速く、ストレスなく快適に操作できる。

パフォーマンスはNexus 7(2012)以上! ドコモXi用micro SIMで3G通信/通話を確認

 初期起動時のホーム画面は、2/5画面は同社製のアプリ、3/5画面は時間や天気、メールや接続情報のウィジェット、4/5画面はGoogle系のアプリを配置している。ドックには電話、連絡先、メッセージ、カメラ、SuperNote、ブラウザと日頃使いそうなアプリがある。

 シンプルな構成で、そのまま使うにしても、カスタマイズするにしても、手間がかからないレイアウトと言えよう。

ホーム画面2/5。同社製のアプリが並ぶ
ホーム画面3/5。時間や天気、メールや接続情報のウィジェットを配置
ホーム画面4/5。Google系のアプリが並ぶ

 素のAndroid 4.2系は、クイック設定と通知エリアは別れているが、Fonepad 7は一体化したような1枚のパネルで構成されている。上半分がクイック設定、下半分が通知エリアに相当する。

 クイック設定は、Wi-Fi、モバイルデータ、自動回転、GPS、航空機モード。以降はスクロールし、省電力設定、辞書モード、インスタント辞書、ポータブルWi-Fi、Bluetooth、自動同期の項目がある。次の段は、ディスプレイの明るさ設定/Auto、その下は、Wi-FiのSSID選択、AudioWizard、Miracast(ワイヤレスディスプレイ)、設定が並んでいる。

 画面下のホームボタンがある位置の一番左端には、ミニアプリのメニューボタンがある。標準で電卓、AudioWizard、辞書、ビデオプレイヤー、単位換算、カウントダウン、ストップウォッチ、Compassが組み込み済。全画面表示ではなく、ウィンドウ表示なので、何かアプリを使っている時など、ちょっとした時に起動できて便利だ。

 仕様上のAndroidのバージョンは、4.2.1となっていたが、設定/タブレット情報では、4.2.2と1つマイナーバージョンアップしたものが使われていた。

クイック設定と通知エリアが一体化しているパネル。上のメニューは、航空機モード以降スクロールし、省電力設定、辞書モード、インスタント辞書、ポータブルWi-Fi、Bluetooth、自動同期の項目がある
ミニアプリ。一番左端のボタンを押すとミニアプリ一覧を表示する。電卓、AudioWizard、辞書、ビデオプレイヤー、単位換算、カウントダウン、ストップウォッチ、Compassが組み込み済だ
設定/タブレット情報。Androidのバージョンは4.2.2

 16GBのストレージは、実質約11.32GBの容量があり、空きは約11.14GB。クラウドやmicroSDカードにデータを逃がせば、実用面としては問題ないだろう。

 3G関連は、今回ドコモXiのSIM(ピンクSIM)を使って試用した。もともと4Gにも対応しているSIMなので、3Gでしか使えないのは残念だが、通話そしてWi-Fiによるテザリングも含め通信の作動を確認。またAPNは初めからmoperaUに設定済みとなっていた(自動かデフォルトかは不明)。

 設定済みのAPNは、「IIJmio」、「b-mobile 3G・4G 1GB/Fair」、「b-mobile 3G・4G U300」、「b-mobile カメレオンSIM」、「b-mobile アマゾン」、「b-mobile スマホ電話」、「b-mobile ヨドバシ」、「dm.jplat.net」、「moperaU」。設定で新規APNの追加も可能だ。

 Nexus 7(2013)もそうなのだが、設定/タブレット情報/規制情報にソフトウェア的に技適マークが入っている。これはiOSも同じ手法だ。筐体のリアなどに、別途シールなどを貼る必要もなく、手間もかからず、外観も損なわず、スマートな手法と言えよう。

設定/ストレージ。実質約11.32GBの容量があり、空きは約11.14GB
設定/その他/モバイルネットワーク/アクセスポイント名。moperaUなど、予めよく使われるものは登録済だ。新規で追加もできる。通知エリアにdocomoの文字
設定/タブレット情報/規制情報。Nexus 7(2013)やiOSの様にソフトウェア的に技適マークが入っている

 プリインストール済のアプリは」、「アプリのバックアップ」、「カメラ」、「カレンダー」、「ギャラリー」、「コミック・本」、「セットアップウィザード」、「ダウンロード」、「ナビ」、「ハングアウト」、「ファイルマネージャー」、「ブラウザ」、「ペアレンタルロック」、「マップ」、「ミラー」、「メール」、「メッセージ」、「メッセンジャー」、「ローカル」、「音声レコーダ」、「音声検索」、「時計」、「辞書」、「省電力設定」、「設定」、「天気」、「電卓」、「電話」、「連絡帳」、「Amazon Kindle」、「AOLink」、「App Locker」、「AudioWizard」、「BookLive!Reader for ASUS」、「Chrome」、「Facebook」、「Flipboard」、「Gmail」、「Google」、「Google+」、「Google設定」、「i-フィルター」、「LLHDAndroid」、「Movie Studio」、「MyBitCast」、「MyLibrary」、「Playゲーム」、「Playストア」、「Playブックス」、「Playミュージック」、「Playムービー」、「Press Reader」、「Splendid」、「Story」、「SuperNote」、「Tasks」、「WebStorage」、「YouTube」、「Zinio」。

 Android標準アプリに加え、同社製のアプリと有名どころのアプリをミックスした構成になっている。

工場出荷時のアプリ1/3
工場出荷時のアプリ2/3
工場出荷時のアプリ3/3

 ウィジェットは全部で8画面。アナログ時計」、「おすすめのコンテンツを楽しむ」、「カレンダー1〜2」、「デジタルクロック」、「バッテリー」、「ブックマーク1〜4」、「ミュージックプレイリスト」、「メール」、「近況アップデート」、「経路を検索」、「検索」、「再生-マイライブラリ」、「書籍」、「設定をショートカットとする」、「直接メッセージを送る」、「直接発信」、「電源管理」、「連絡先1〜2」、「連絡先ウィジェット」、「E-mail」、「Facebookボタン」、「Flipboard(小/中)」、「Gmail」、「Gmailのラベル」、「Google Now」、「Google Playブックス」、「Google Playミュージック」、「Google+投稿」、「Google検索」、「PhotoFrame」、「Playスストア」、「PressReader」、「SuperNote」、「Task Manager」、「Tasks」、「Weather」、「WebStorage」、「YouTube」、「Zinio」。

ウィジェット1/8
ウィジェット2/8
ウィジェット3/8
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ウィジェット6/8
ウィジェット7/8
ウィジェット8/8

 同社の特徴的なプリインストールアプリとしては、「Splendid」、「AOLink」、「省電力設定」があげられるだろうか。Splendidはディスプレイの色調をコントロールできるユーティリティ。色温度などの調整ができる。AOLinkはDLNAクライアント。試したところnasneにある普通のデータは再生可能だが、地デジなどDTCP-IP関連のデータは再生できなかった。

 省電力設定は超省電力モード/最適モード/カスタマイズモードの選択ができる。カスタマイズモードでは、電子メールを読む/書籍を読み/ビデオを見る/音楽を聞く/ウェブサイトの参照/電話・連絡先/IM/プッシュ通知を使用するIMとアプリの調整が可能だ。

Splendid
AOLink
省電力設定

 Fonepad 7で500万画素になった背面カメラは、カメラアプリでいろいろ楽しめる内容になっている(もちろん120万画素の前面カメラにも適応可能)。

 カメラの設定は、画像:ホワイトバランス、ISO感度、露出補正、ノイズ削減、カメラ解像度。シューティングモード:シャッター、セルフタイマー、連続撮影、ゼロ・シャッターラグ。フォーカス:フォーカスモード、タッチ自動露出、顔認識。

 ビデオの設定は、画像:ホワイトバランス、露出補正、動画の画質。フォーカス:タッチ自動露出。

 そのほか、表示:スマートな明るさ、ガイドライン、情報、レビュー持続時間、バーストレビュー、撮影時のシャッター画像。その他:カメラサウンド、場所サービス、ちらつき防止、省電力モードなど、さまざまなシチュエーションに対応可能だ。

 フィルターは、ナイトビジョン、バンパイア、ネガ、海の中、セピア、LOMO、ビンテージ、グレイスケール、ノスタルジア、スポイト、無しの設定が可能で、リアルタイムにプレビューで確認することができる。

 肝心の画質は、Nexus 7(2013)と同程度だろうか。悪くはないものの、最近のハイエンド・スマートフォンに内蔵しているカメラの方が画質は上のように思う。

カメラ/設定
カメラ/フィルター
ISO89、f/2.4、1/1,000秒(日向)
ISO89、f/2.4、1/300秒(日陰)。完全オートで撮影。回転だけ行なったオリジナル

 参考までに「AnTuTu 安兎兎ベンチマーク」の結果を掲載した(カッコ内はNexus 7(2013)の値)。総合 17869(19831)。Multitask 2842(3358)、Dalvik 1230(1404)、CPU Int 1350(2261)、CPU Float 1498(1948)、RAM Operation 1124(1113)、RAM Speed 1792(1465)、2D 1301(1627)、3D 5032(5065)、I/O Storage 1090(980)、I/O Database 610(610)。

 Nexus 7(2013)と比較して、ほぼ同等の部分も一部あるが、少し遅い感じだ。とは言え、Nexus 7(2012)よりは速く、実際使った感じもストレスは感じず、十分なパフォーマンスが出ている。一般的なアプリなら重い思うことはないだろう。

AnTuTu 安兎兎ベンチマーク1/2。総合 17869。Multitask 2842、Dalvik 1230、CPU Int 1350、CPU Float 1498、RAM Operation 1124、RAM Speed 1792、2D 1301、3D 5032、I/O Storage 1090、I/O Database 610
AnTuTu 安兎兎ベンチマーク2/2。チャートではNexus 7(2012)よりかなり速い結果で、Nexus 4に近い

 バッテリ駆動時間は、省電力設定/最適化モード、輝度50%音量50%に設定し、Wi-Fi経由でHD動画を繰り返し再生したところ、残10%で10時間を越えた。スペック上最大約10時間なので、作動条件を考えると予想以上の結果となった。

 以上のようにASUS「Fonepad 7」は、7型のタブレットとしては珍しく、3Gデータ通信と通話両方に対応したSIMロックフリー機だ。内容を考えると価格も手頃。ベンチマークテストから分かるように、Nexus 7(2013)と比較しても少し劣る程度で実用性は十分以上。Wi-Fiはもちろん、MVNOのSIMと組合わせ利用するのも面白そうだ。

 さすがに7型のタブレットを持って通話するのは少し抵抗があるものの、Bluetooth接続のヘッドセットなどを使えば、本体はカバンの中などへ入れたままでOK。主にネット、たまに通話ならこの組合わせの方が魅力的かも知れない。

 LTEに非対応なのは少し残念だが、スマートフォンでもタブレットもなく、7型でデータ通信と通話の両方試してみたいユーザーにお勧めの1台と言えよう。

(西川 和久 http://www.iwh12.jp/blog/