西川和久の不定期コラム

TSUKUMO「eX.computer note N1540J」

~GeForce GT 745Mを搭載したツインドライブの15.6型ノート

 株式会社Project Whiteは12月6日、TSUKUMOブランドのGeForce GT 745M搭載15.6型ノートPC「eX.computer note N1540J」シリーズを発売した。編集部から実機が送られて来たので、試用レポートをお届けする。

ハイパワーな15.6型スタンダードノートPC

 同社ノートPCのラインナップは、スタンダードノートPCの「eX.computer note」と、グラフィック搭載ゲームノートPCの「G-GEAR note」の大きく分けて2つあり、今回ご紹介するN1540Jシリーズは、前者の新型となる。

 そしてeX.computer noteには、14.1型の「N142J」シリーズ、15.6型の「N1500J」シリーズ、そして今回のN1540Jシリーズの3機種があり、後者の2機種に関してはどちらも15.6型で、外部GPUの有無が違いとなる。

 N1540Jシリーズは、プロセッサ/メモリ/ストレージの構成により3モデルあり、N1540J-720/Eは上位モデルに相当する。主な仕様は以下の通り。

「eX.computer note N1540Jシリーズ N1540J-720/E」の仕様
プロセッサCore i7-4702MQ(4コア/8スレッド、2.2GHz/Turbo Boost 3.2GHz、キャッシュ6MB、TDP 37W)
メモリ8GB(4GB×2/PC3-12800 DDR3L SODIMM)、2スロット(空き0)、最大16GB
チップセットIntel HM86 Express
ストレージSSD 128GB+HDD 500GB
OSWindows 7 Home Premium(64bit)
ディスプレイ15.6型液晶ディスプレイ(非光沢)、1,920×1,080ドット、ミニD-Sub15ピン×1、HDMI×1
グラフィックスIntel HD Graphics 4600、NVIDIA GeForce GT 745M(2GB)
ネットワークGigabit Ethernet、IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 4.0
その他USB 3.0×2(内1つはPowered)、USB 2.0×2、HD Webカメラ、マルチカードリーダ、音声入出力
サイズ/重量388×265×25.3mm(幅×奥行き×高さ)/約2.1kg
バッテリ駆動時間最大約2.5時間
価格107,980円

 プロセッサはHasell世代の Core i7-4702MQ。4コア8スレッドでクロックは2.2GHz。Turbo Boost時に3.2GHzまで上昇する。チップセットはIntel HM86 Express。

 メモリは、PC3-12800 DDR3L SODIMMを4GB×2の計8GB搭載している。スロットは2つあり最大16GBまで増設可能だ。OSは64bit版Windows 7 Home Premium。Service Pack 1適用済みとなっている。なお、注文時に64bit版のWindows 8.1にすることも可能だ。

 ストレージはメインドライブ用に128GB SSD、データドライブ用に500GB HDDを搭載。高速性と大容量性を両立している。

 グラフィックスは、プロセッサ内蔵Intel HD Graphics 4600とGeForce GT 745M(2GB)搭載し、NVIDIA Optimusによって両者はシームレスに切り替わる。GT 745MはKeplerアーキテクチャでノートPC用GTシリーズとしては上位に位置付けされている。

 ディスプレイは非光沢の15.6型フルHD(1,920×1,080ドット)。外部出力用にミニD-Sub15ピン×1、HDMI×1を装備。タッチには非対応だ。

 ネットワークは、有線LANはGigabit Ethernet、無線LANはIEEE 802.11b/g/n。Bluetooth 4.0にも対応。その他のインターフェイスは、USB 3.0×2、USB 2.0×2、HD Webカメラ、マルチカードリーダ、音声入出力を搭載し、2ポートあるUSB 3.0は内1つが電源オフ時でもスマートフォンなどを充電できるPowered対応となる。

 本体サイズは388×265×25.3mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約2.1kg。バッテリ駆動時間は最大約2.5時間と短いものの、用途的に室内の移動程度だと思われるので大きな問題はないだろう。価格は今回の構成で107,980円となる。

 カスタマイズでは、OS、Office製品、セキュリティ対策ソフト、CPU(下位のCore i5-4200Mのみ)、メモリ、ストレージの選択が可能になっている。

前面。画面上中央にWebカメラ。前側面左側に各種ステータスLED、その下にマルチカードリーダ
背面。ヘアライン仕上げのブラウン
底面。3本のネジを外せば、簡単にストレージやメモリにアクセスできる
左側面。電源入力、ミニD-Sub15ピン、HDMI、USB 3.0×2(手前がPowered)
キーボードはアイソレーションタイプで10キー付き。機能キーは[Fn]キーとのコンビネーション
右側面。ロックポート、USB 2.0×2、音声入出力
キーピッチは実測で19mm
バッテリとACアダプタ。ACアダプタはサイズ130×55×30mm(同)、重量349g
後ろにバッテリが入るものの、サイズの割りにスリムだ

 天板はヘアライン仕上げのブラウン、パームレストは少し薄めのブラウン。この2色は金属素材で、ほかはブラックとシンプルなデザインだ。ここのところ5~10型程度の小型デバイスばかり扱ってきたので、久々に15.6型を見ると、17型のように錯覚してしまう。重量が約2kgあるため、持ち歩けないこともないが、基本的に室内での移動が主となるだろうか。

 前面、液晶パネルの中央上にWebカメラ、前側面左側に各種ステータスLEDと、その下にマルチカードリーダがある。左側面は、電源入力、ミニD-Sub15ピン、HDMI、USB 3.0×2で、USB 3.0の手前がPowered。右側面は、ロックポート、USB 2.0×2、音声入出力を配置。また下はネジ3本で固定している大きなパネルがあり、開けるとメモリやストレージなどへ簡単にアクセス可能でメンテナンスも容易だ。ACアダプタのサイズは130×55×30mm(同)、重量349gとそれなりに大きい。

 15.6型の液晶パネルは非光沢で映り込みが少なく非常に見易い。明るさやコントラストも良好で、オールマイティに使えるクオリティだが、色温度は少し高めだ。IPS式ではないものの、比較的視野角は広い。ただ今回もテスト中にやってしまったが、Webブラウザを見ると、ついついタッチしてしまう。OSをWindows 8.1に指定した場合、タッチ非対応なのは残念なところか。

 キーボードは10キー付きのアイソレーションタイプ。若干たわみはあるものの、許容範囲。主要キーのキーピッチは約19mm。ただ、右下側手前のキーが全般的にピッチが狭くなっている。パームレストはもともと15.6型とフットプリントが広いので十分なスペースがあり、タッチパッドの面積も広い。タッチパッドは物理的なボタンが無く、1枚板タイプだ。

 発熱に関しては、右側と比較して左側が若干暖かい。ノイズや振動に関しては、試用した範囲では特に問題なかった。サウンドはかまぼこレンジであるが、十分な出力もあり、音楽も動画も楽しめる。スピーカーの位置はキーボード上スリット部分で、ダイレクトに耳へ音が届くので聴き易い。

ハイパフォーマンスでバランスの良い1台

 OSは64bit版Windows 7 Home Premium(64bit)。Service Pack 1が適応済だ。初期起動時のデスクトップは、壁紙が変更され、左側のショートカットは「カスペルスキー インターネット セキュリティ (90日版)」関連が2つ追加されている。

 ストレージは、C:ドライブのSSDは128GBの「SanDisk SD6SB1M-128G-1022i」、D:ドライブのHDDは500GB/5,400rpm/8MBの「WDC WD5000BPVT」が使われていた。

 C:ドライブは1パーティションで約119GB割当てられ、空きは83.7GB。若干少ないが、データ用にD:ドライブもあるため、プログラム専用と考えれば問題ない範囲だろう。Gigabit EthernetとWi-Fi、そしてBluetoothモジュールはRealtek製だ。

起動時のデスクトップ。左側のショートカットはカスペルスキー インターネット セキュリティ (90日版)のみ
デバイスマネージャ/主要なデバイス。SSDはSanDisk SD6SB1M128G、HDDはWDC WD5000BPVT。Gigabit EthernetとWi-Fi、BluetoothはRealtek製だ
SSDのパーティション。C:ドライブは1パーティションで約119GB割当てられている

 プリインストールされているアプリケーションは、「カスペルスキー インターネット セキュリティ (90日版)」と、(あえて書けば)「電源管理ユーティリティ」のみ。ほかは各種デバイスドライバとユーティリティとなる。非常にシンプルな構成で、素のWindows 7に近い。

 電源管理ユーティリティは、電源プラン/充電設定/ピークシフト/オプションなどの機能がある。

 [Fn]キーを単独で押すと、画面キャプチャにあるように、各ファンクションキーに割振られた機能がオーバーレイ表示され便利だ。

NVIDIAコントロールパネルと[Fn]キーを押すと表示されるオーバーレイ
電源管理ユーティリティ
Synaptics ClickPad V1.0

 ベンチマークテストはWindows エクスペリエンス インデックス、PCMark 7とBBenchの結果を見たい。CrystalMarkは4コア/8スレッドで条件的に問題があるものの、参考までに掲載している。なお、NVIDIA Optimusの設定は、BBench時Intel HD Graphics 4600、他はNVIDIA GeForce GT 745Mに固定して測定した。

 Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 7.0。プロセッサ 7.6、メモリ 7.7、グラフィックス 7.0、ゲーム用グラフィックス 7.0、プライマリハードディスク 7.9。PCMark 7は5494 PCMarks。CrystalMarkは、ALU 68055、FPU 57538、MEM 62594、HDD 38518、GDI 18372、D2D 15882、OGL 37585。

 どのベンチマークテストも4コア8スレッドのCore i7プロセッサとSSD、そしてNVIDIA GeForce GT 745Mの高い性能で、トータル的にハイパフォーマンスでバランスが取れている。これだけのパワーがあれば、動画編集も含めいろいろなジャンルの処理をこなすことが可能だろう。

 BBenchはバランスモード、バックライト最小、ストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残5%で13,598秒/3.7時間と、スペック上の最大約2.5時間を大幅に超えた。バックライト最小でも、薄暗い部屋であれば十分画面が見える明るさだ。

Windows エクスペリエンス インデックス。総合 7.0。プロセッサ 7.6、メモリ 7.7、グラフィックス 7.0、ゲーム用グラフィックス 7.0、プライマリハードディスク 7.9
PCMark 7。5494 PCMarks
BBench。バランスモード、バックライト最小、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、Wi-Fi/ON、Bluetooth/ONでの結果。バッテリの残5%で13,598秒/3.7時間
CrystalMark。ALU 68055、FPU 57538、MEM 62594、HDD 38518、GDI 18372、D2D 15882、OGL 37585

 以上のようにN1540J-720/Eは、15.6型フルHDの液晶パネルを搭載し、Core i7とSSD+HDDのストレージ、そしてGeForce GT 745Mのパワーと、高い性能を持っているスタンダードノートPCだ。パネルが非光沢なので、長時間作業しても眼が疲れることも少ない。

 Windows 8.1登場後、世の中は2-in-1のPCで盛り上がっているものの、仕事や業務用と考えるとスタンダードなノートPCは健在。従来のスタイルに拘りたいユーザーにとって、候補になりうる1台と言えよう。

(西川 和久http://www.iwh12.jp/blog/