西川和久の不定期コラム

世界初のWindows Phone 7.5搭載スマートフォン「au IS12T」
~人とつながるPeopleハブが最大の魅力



 8月25日、世界初のWindows Phone 7.5、コードネームMangoを搭載したスマートフォン、「au IS12T」が発売となった。iOS、Androidに続く注目のスーマートフォン用OSの国内参入だ。短期間であるが、実機を試用することができたのでレポートをお届けする。これまでになかった切り口のOSでなかなか魅力的な環境だ。

●ハードウェア編/薄くてコンパクトなスマートフォン

 スマートフォンと言えば、iOSを搭載するiPhone、そして数多くのAndroid機が市場を賑やかせており、既に従来のフィーチャーフォンから乗り換えた方も多いのではないだろうか。だが、振り返ってみると、ブームのきっかけとなったiPhone 3Gが出てからまだ3年しか経っていない。そこに遅れて登場したのがWindows Phone 7.5。コードネームMangoだ。ネーミングからも分かるように、このOSはMicrosoftが開発している。

 Microsoft自体は、Winodws CEをベースにしたWindows Mobile(バージョン6.xまで)をかなり前から出しているのだが、ご存知のようにイマイチ、パッとしなかった。そこで新しいカーネルを採用し、一から作り直したOSがWindows Phone 7だ。ベースとなっているバージョン7と最新版の7.5の一番大きな違いは各国語対応で日本語もOKとなり、万全を期して国内で実機に搭載し出荷された形となる。出荷のタイミングからau IS12Tが世界初のWindows Phone 7.5搭載機だ。主な仕様は以下の通り。

【表】au IS12Tの主な仕様
OSWindows Phone 7.5(Mango)
ディスプレイ/解像度約3.7型/WVGA(800×480)
プロセッサQualcomm Snapdragon MSM8655(1.0GHz)
メモリRAM 512MB、ROM 32GB(ユーザー領域28GB)
背面カメラ1,320万画素/CMOS(AF、LEDフラッシュ)、写真4,128×3,096ピクセル/動画720p
Wi-FiIEEE 802.11b/g/n
Bluetooth2.1+EDR
バッテリ容量1,460mAh、連続通話時間約400分/連続待受時間約280時間
外部端子ヘッドフォンコネクタ、MicroUSB
その他防水防塵、FMラジオ
サイズ/重量約59×118×10.6mm(幅×奥行き×高さ)/約113g

 ディスプレイは約3.7型。iPhone 4が3.5型なので、若干サイズは大きくなる。解像度は800×480ドット。プロセッサにはQualcomm Snapdragon MSM8655(1.0GHz)を使用し、メモリはRAM 512MB、ROM 32GB(ユーザー領域28GB)を搭載している。プロセッサのクロックやメモリ容量に関しては、OSが違うので他と比較しても意味は無いが、ROMに関してはユーザー領域28GBほど使えるので、それなりの容量だ。ただし、microSDカードなど外部ストレージには対応していない。

 ネットワークは、WIN HIGH SPEED、IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 2.1+EDR、グローバルパスポートGSM/CDMAそしてFMラジオに対応。バッテリ容量は1,460mAhで、連続通話時間約400分、連続待受時間約280時間となる。残念ながらテザリングには非対応だ。

 カメラは背面にあり1,320万画素のCMOSセンサーを搭載。AF、LEDフラッシュ、手振れ補正などに対応している。カメラとして使う場合の最大解像度は4,128×3,096ドット。動画は720pで撮影できる。少し試した感じでは割と素直な画質だった。

 外部端子は、ヘッドフォンコネクタとMicroUSBのみ。microHDMIなど映像出力系は無い。加えてワンセグ/おサイフケータイ/赤外線通信など、フィーチャーフォンで一般的な機能も非搭載。

 サイズは約59×118×10.6mm(幅×奥行き×高さ)、重量約113g。iPhone 4が58.6×115.2×9.3mm(同)、重量137gなので、結構近いことが分かる。逆にAndroidを搭載したスマートフォント比較すると、それなりに薄く軽い方だろう。カラーバリエーションは「ブラック」、「シトラス」、「マゼンタ」の3種類。防水・防塵対応でラフな使い方もOKだ。

 価格は発表当初新規一括で73,500円。2年間の契約で毎月割適用後の実質支払総額は35,100円だったが、この原稿を書いている時点ではもう少し安くなっているケースもあるようだ。

表。「シトラス」モデル。下のボタンは[戻る]、[ホーム]、[検索]裏。カメラの部分が結構出っ張っているヘッドフォンコネクタ、MicroUSB、電源スイッチ、ボリューム、シャッターボタン
箱や付属品など。一番手前にあるアダプタは、ACアダプタのコネクタ→MicroUSB変換ケーブルiPhone 4との比較/サイズ。幅はほぼ同じで若干長さがあるiPhone 4との比較/発色。少し斜めからなのでIS12Tは不利だが発色の傾向は似ていることが分かる

【動画】Webブラウザ表示比較→ピンチジェスチャーによる拡大縮小など。レンダリングしているエリアが少し違うものの、どちらも約8秒と同じ。反応もかなり良くiPhone 4と互角。IEはバージョン9でHTML5にも対応している

 PCとのデータ同期は、Windowsは「Zune」、Mac OS Xは「Windows Phone 7 Connector」を使う。どちらも無料だ。デフォルトで、前者はMy Documents下の写真や動画、音楽。後者はiTunesが管理しているライブラリがその対象となる。見掛けのUIは随分違うもののできることは大差なく、意外と言っては失礼だが、Mac OS X用のWindows Phone 7 Connectorの完成度が高いのには驚いた。App Storeからインストールでき、アップデートの管理なども容易だ。

 データをWindows Phoneへ転送する時、例えば1080pの動画などは、リアルタイムで再生可能なフォーマットへエンコードしているため母艦にしているPCの性能によって時間がかかるケースもある。また実機のファームウェア・アップデートもこれらを使って行なう。iPhoneに対するiTunesのイメージに近い雰囲気で、特に難しいところもなく、簡単にデータをハンドリングできる。この辺りはさすがと言ったところ。

WindowsではZuneを使いデータと同期MacではWindows Phone 7 Connectorを使いデータと同期

 実機を触った印象は、軽くて手に馴染み扱いやすい。背面のカメラが出っ張っている関係上、テープルに置いた時など傾いた形となる。液晶ディスプレイはIPSパネルではなく、視野角は狭いものの、正面から見る限り、黒がしまり、コントラストも高く、発色も良好で悪くない。タッチパネルの感度も良好だ。

 タッチパネルを使ったキー入力は、通常のEN/ローマ字入力に加え、日本独自の「カーブフリック入力機能」を搭載している。これは「は」をタップすると上下左右に「ひふへほ」、さらに「ひ」をフリックで斜め上に「び/ぴ」の濁音付きが表示され、入力できるというものだ。ただ筆者の場合、普段はケータイ打ちは使わずローマ字入力なので評価する資格がない。

 またデフォルトではENキー入力モードはセットされておらず、半角英数の入力が面倒。この点に関しては、設定/キーボードで「英語(英国)」にチェックを入れれば、キーボード上で日本語とENをワンタップで切替可能となる。日本語の変換効率はわりと良く、特にイライラするようなケースは無かった。

 音質はヘッドフォンが付属しないため、筆者が所有する「SENNHEISER MM 50」で視聴したところ、最大出力はiPhone 4の80%程度だろうか。割とミッドレンジ中心で聞きやすいサウンドだが、中~高域の抜けやレンジの広さ、低音の迫力、音離れの良さはiPhone 4に軍配が上がる。またFMラジオはヘッドフォンのケーブルがアンテナになる関係で、内蔵スピーカーで聴けないのは残念なところ。

 バッテリは電話を使わず、Peopleハブを主に使った限りは丸2日ほど大丈夫だった。音楽や動画、通話などを行なえばもっと短くなると思われるが、1日程度は持ちそうな雰囲気だ。

 以上のようにハードウェアだけ見るとIS12Tは、防水・防塵で、IEなどの動きはサクサクしているものの、ワンセグ/おサイフケータイ/赤外線通信、外部映像出力は無しと平凡なスペック。申しわけないが、特にコレと言って物としての魅力は薄く、新OSをのぞけば衝動買いする要素は少ない。しかし、実際に使い出すとその印象は一変する。

●ソフトウェア編/Peopleハブが最大の魅力

 数日感の試用だったこともあり、あまり細かい部分までは触れなかったが、できるだけiPhoneを使わず、IS12Tのみでこの期間を過ごしてみた。

 まずホーム画面の確認。2列にタイルが並び(もしくはタイル2つ分の横ボックス)、タップするとMetro UIと呼ばれるこれまでには体験したことのなかった動きをするページが現れる。言葉では書きにくいので、動画を参考にして欲しい。イメージ的には横に長いページのビューポートを端末の画面サイズで移動している雰囲気となるだろうか。項目の移動は横スクロールだが、情報は縦スクロール。しかもデフォルトでは背景黒で文字は白。昔のDOSを拡張したのかと思うほど動きはとてもスムーズでなかなか好印象。また、ホーム画面のタイルを長押しすると、移動/削除モードになる。

 戻るは実機の左下にある[戻る]ボタン、ホーム画面へは真ん中の[ホーム]ボタン、検索は右下の[検索]ボタンを押せばいい。また、[戻る]ボタンを長押しすると、タスク切替になる。ただし4つまでの限定のようだ。いずれにしても直感的に分かりやすいインターフェイスで少し触れば直ぐに慣れると思われる。

ホーム画面1。いろいろレイアウトなどを変えているのでデフォルトではないホーム画面2。アプリによってタイルのサイズや表示しているものが変わる検索画面。検索エンジンはbing
第2階層画面。ホーム画面に無いアプリがここへ配置されているタスク切替。[戻る]ボタンを長押しする設定。次のページには各アプリケーションの設定がある

【動画】基本操作。ホーム画面にしろ、Metro UIにしろ、これまでには無かった斬新かつシンプルなものだ

 基本的な操作が分かったところでセッティング開始。ホーム画面の第2階層に[設定]があり、それを使う。項目は、着信音&サウンド/テーマ/フライトモード/Wi-Fi/Bluetooth/メール&アカウント/ロック&壁紙/位置情報/携帯ネットワーク/バッテリーセーバー/日付&時計/画面の明るさ/キーボード/地域&言語/音声/電話を探す/電話の更新/情報/データ提供/SIMセキュリティ/音質設定/ワイヤレス設定。

 まず面食らったのは、ロック画面の日付曜日が「縦書き&漢字固定」で変更できないこと(例えば“九月六日[改行]火曜日”となる)。その下に表示している時計はデジタルで横書きだ。「まぁこれはこれでいいか……」と諦め、次はアカウントの設定を行なった。いずれにしてもカスタマイズできる項目は他の2つのOSと比較して少なく、逆にその分あっさりしていて、扱いやすい面もある。

 対応しているのは、Windows Live、Outlook、Google、Facebook、Linkedin、Twitter、その他(POP及びIMAP)。さっそく、Windows Live、Google、Facebook、Twitterを登録した。GoogleはGoogle for your domainで独自ドメインだったが問題無し。しばらく「同期中……」と表示され、終わると様子が一変する。

 なお、掲載した写真や動画は、リアルな筆者のアカウントを入れた場合、友人などのデータが丸見えになるため、便宜上、Facebookは無し、Twitterはこの記事専用でImpress Watch関連のアカウントのみフォロー、加えて個人のGmailアカウントの無難な部分のみとしている。あらかじめご了承頂きたい。

 まずPeopleハブのタイルは、関係しているユーザーのプロファイルに使われている写真がダイナミックに切り替わる。Picturesハブのタイルには、実機で撮影した写真以外にも、友人などが公開している写真がスクロールしながら入れ替わり立ち替わり表示。そしてGmailのタイルには未読数、スケジュールもGoogleカレンダーのがそのままインポートされ近い予定が表示される。ウィジェットは置けないものの、これならある程度ホーム画面だけで情報は見れそうだ。

 Peopleハブへ移動すると、友人一覧が現れる。縦一列に並ぶこともあり、筆者の実アカウントでは100人ほどなので問題無かったが、数百人、数千人の友人を持つユーザーの場合、どうなるのか気になる点ではある。またグループを作り、該当者を登録、一括りにして、ホーム画面に置くと、タイルの上に最新情報がリアルタイムに表示される。デフォルトでは「家族」が設定済。

 その横は、FacebookとTwitterの「新着情報」がタイムライン上に並んでいる。全てのアカウントだけなく、Facebookだけ、Twitterだけを「全てのアカウント」をタップすると切替可能だ。この状態でコメントしたり、「いいね!」を押したりすることもできる。縦書きになっている名前をタップすると、該当ユーザーの新着情報や、プロファイル、やり取りした履歴などへアクセスと、人をキーに情報を取り出せる。加えて、Facebookでは実名、Twitterではニックネームで運用している同一人物が居た場合、両者を関連付ける機能も持っている。

 さらに横に行くと「最新」となり、最近やりとりしたユーザーの写真が並んでいる。長押しして、ホーム画面へ置いたり、編集することも可能だ。ただし編集に関しては、既にユーザーが登録してある情報は変更できず、追加情報のみが対象となる。

 自分が何か情報を発信する時は、ホーム画面の「ME」へ移動。書き込んだ内容を何処へ送信するのかも選択できる。

 Picturesハブも同様に、自分が撮ってローカルに保存している写真はもちろん、ソーシャルネットの友人・知人がいろいろ公開している写真を“まとめて/人毎/日付/アルバム”などで分類し見ることができる。撮った映像の公開もワンタッチだ。

 以上からわかるように、PeopleハブやPicturesハブはこれまでFacebookはFacebook上の付き合い、TwitterはTwitterの付き合いで、別々にアプリを起動して見ていた人達の情報をまとめて扱え、さらに同一人物が双方に居る場合、履歴も含め一元管理もできる便利な機能。iOSやAndroidではアプリ中心だったが、Windows Phoneは人中心に考えられたOS。いわゆる「逆引き」の発想だ。もちろん個別に専用アプリを立ち上げれば、従来通り「正引き」も可能。ありそうで無かった環境で、ソーシャルネットが日課のユーザーであれば、目から鱗ではないだろうか。

 Music+Videosハブは、PCから転送した音楽や動画を再生。FMラジオも含まれる。また後述する「LazyTube(無料版)」で再生した動画の履歴も表示される。ジャケットの見せ方や再生時の見栄えもなかなかカッコよく、いいプレーヤーだ。

 OfficeハブはWindows Phoneもう1つの売りで、Excel/Word/PowerPoint、そしてOneNoteと、Microsoft Officeの機能が使え、さらにSkyDriveやOffice 365などとも連動できる。ビジネス用途の場合は強力な助っ人となるだろう。

 筆者の下手な説明より、端的に分かりやすい動画が同社の正式なプロモーションビデオとしてYouTubeに掲載されているので、興味のある人は、ぜひ見て欲しい。例にしている題材が題材なので、賛否両論はあるようだが、Windows Phoneの確信をついている。これを見れば従来のiOSやAndroidと何が違うのか一発で理解、面白そう! となるだろう。個人的には結構お気に入りのスマートフォン用OSであり、Microsoftの本気度が分かる。

Peopleハブ
Music+Videosハブ
Picturesハブ
Gamesハブ
Officeハブ
Marketplaceハブ
【動画】Peopleハブなどを操作しているところ

□YouTube
・キャバ嬢のかしこいWindows Phone活用術
http://www.youtube.com/watch?v=wOfGYDiKryA
・げんママの華麗なWindows Phone活用術
http://www.youtube.com/watch?v=5hmaX2YCFWc

 カメラやFMラジオなど、まだ紹介していない標準装備の機能はあるのだが、スマートフォンを語るにおいて忘れてはならない肝心なアプリの現状は、Marketplaceハブをアクセスするとまだまだ。ほかの2つのOSとは比較にならない程数は少なく、日本語対応版となるとさらに少ない。またGREEのようにMetro UIを採用せず、一般的なUIのままで公開しているアプリも多い。Windows Phoneが登場してからあまり時間が経ってないのが主な原因だろう。

【お詫びと訂正】初出時、Windows Mobileのアプリ数を記載しておりましたので削除しました。お詫びして訂正いたします。

 ただMicrosoftが用意しているSDKがかなり強力、iOSのXcodeに匹敵する出来栄えだ。市場的にこれは行ける! となった途端に一気に広がりそうな予感がする。いずれにしても今後に期待したい。

MSNニュース for au(標準アプリ)Metro UIに対応した見やすいニュースアプリマップ(標準アプリ)流石に使えないのでGoogleマップベースのgMapsを使うFacebook。Peopleハブで非対応の機能はこれで補う
GREE。従来のUIでMetro UIには非対応gMaps(無料版)十分な機能を持っているので問題無いLazyTube(無料版)Flash Player非対応なので必須アプリだ

 出来たてのOSなので気になる点は多岐に渡る。例えば掲載した画面からも分かるように、HTMLメールの画像は非表示。ONにする方法が無い。文字サイズの変更ができない(さすがにこの歳では少し辛い)。細かい部分では、ホームなど多くの場所で自分は“ME”と表現しているのに、Peopleハブのタイムラインでは“自分”になるなど、大小書き出せばきりがない。記事を書くにあたって画面キャプチャを撮る方法が無いのにも苦労した(あるにはあるのだが、実機を開発用にレジストレーションし、非公式のツール/Windows Phone Device Managerを使う必要があるため今回は全て写真撮影している)。

 Peopleハブを使っている時、一番困ったのは、Facebookで特定の個人だけ情報が全く出なくなることだ。もちろんWebや他のアプリからは普通に見える友人だ。加えてコメントしたユーザーへのリンクが無く、知らない人がコメントした場合、確認のしようが無い(筆者の場合友人の友人まで公開)。さらに友人リクエストやメッセージで頻繁にやり取りしている友人がいても、これらのFacebookの機能には未対応。履歴にも残らないし、承認もできない。結局Facebookアプリのお世話になる。また困るほどでは無いものの、「最新」に並ぶ写真は、その人のプロファイルをアクセスしただけで表示される。メールするなり、コメントするなり、もっと具体的なアクションを起こした時に限って表示して欲しい。

 もう1点は、TwitterでWindows Phoneのアカウント設定以後フォローしたユーザーのプロファイルへ移動できないケースがあったこと。通常タイムライン上の名前の部分をタップすると、そのアカウントのプロファイルへ行けるのだが、何をどうしてもつぶやいた内容の画面しか出てこなかった。この点は設定/メール&アカウント/Twitterを長押しして再同期しても変わらず。結局、一度Twitterアカウントを削除して、再度接続すればOKとなった。

GmailはHTMLメールの画像表示に非対応文字サイズの変更ができず、流石にこの歳では少し辛い(影の部分は1円玉)多くの部分で自分は"ME"なのにPeopleハブのタイムラインでは"自分"

 これらの不都合で多くの部分は単にバグっぽいので、アップデートで直りそうであるが、最大の課題は、Peopleハブが、Windows Live、Facebook、Twitter、Google、Outlook、Linkedinしか接続できないことだ(POP/IMAPを使ったメールアカウントはOK)。Windows Phoneの魅力は、Peopleハブ。ワールドワイドで見れば上記の対応のみで問題無いのだろうが、我が国にはmixiやGREEなど規模の大きいソーシャルネットが存在する。多分ほかの国でもローカールユーザーが多いソーシャルネットはあるだろう。

 これらがPeopleハブに接続できず、従来通りの別アプリで(Metro UIになったとしても)外付けではその魅力は半減する。もちろんFacebookとLinkedin以外のソーシャルネットは本名でないことが多く、対象にできないという理由も分からなくもないが、ニックネームだけど本名を知っている友人/知人、ニックネームしか知らないし、実際に会ったことも無いが、頻繁にやり取りしているネット上だけの知人も存在する(後から会ったり名前が分かったりする場合もある)。今のネット社会はバーチャルとリアルが混在する世界だ。これら全てPeopleハブへ接続できれば、さらにWindows Phoneの魅力が増すと思われる。ぜひ実現して欲しい。

SDKに付属するWindows Phone Emulator。IEと第二階層に[設定]しかない。またVM上で動いているため、VMwareやParallels Desktopなどとは併用できないWindows Phone Emulator上の設定画面。実機よりかなり項目が少ない。Peopleハブ、PicturesハブがあればWindows Phoneを体感できそうだ日本独自の「カーブフリック入力機能」。ただし普通にキーボードからの入力はできず、仮想キーボードからのみとなっている

 最後に余談になるが、人とつながるのが最大の魅力であるWindows Phone。iOS、Androidから遅れて登場しているだけにまだまだ情報も利用者も少ない。またPeopleハブなど各ハブは、量販店の実機を触っても自分のアカウントで体感しない限り実感がわかず、効果は薄いと思われる。

 そこでMicrosoftに提案なのだが、現在Windows Phone SDKに含まれるWindows Phone EmulatorへPeopleハブなど主要コンポーネントを有効にし(現在はIEと設定のみ)、実際使える状態でフリーにして単独公開する手はどうだろうか。もちろん代替アプリケーションがあるのならそれでもいい。FacebookやTwitterクライアントは山ほどあるものの、Peopleハブに該当するものは無く、PC上で体感、その楽しさを分かってもらい、実機購入のきっかけにするのはプロモーションとして良い手ではと考えている。


 以上のようにWindows Phone 7.5を搭載したau IS12Tは、これまでアプリ中心だったiOSやAndroidとは全く性格の異なる人を中心としたスマートフォンだ。フィーチャーフォンの初期を考えればむしろこちらの方が自然な流れとも言える。PCとの同期もWindowsそしてMac OS X両サポートと環境を選ばない。ハードウェア的には平凡だが、軽くて薄く、防水・防塵。ライトな用途に向いている端末だ。

 一方Windows Phone 7.5自体は、荒削りの部分やアプリ不足など、まだまだのところはあるものの、ソーシャルネット中心のユーザーなら現時点でも非常に魅力的な環境であり、例えばフィーチャーフォンとiPhoneの2台持ちの筆者でさえ、フィーチャーフォンの買い替えはiOSと似たり寄ったり(実際はかなり違うが)のAndroidではなくWindows Phoneがいいなと思うほど。是非量販店などで触れて欲しい逸品と言えよう。