■西川和久の不定期コラム■
少し前に13.3型でフルHD解像度のIPSパネルを搭載したASUSTeK ComputerのUltrabook「UX31A-R4256」をご紹介したが、今回は11.6型のUltrabook「UX21A-K1256」が編集部から送られて来た。筆者も興味のある1台だ。早速試用レポートをお届けする。
●11.6型非光沢IPSパネルでフルHD解像度のUltrabook
冒頭で触れたが、少し前に13.3型非光沢IPSパネルを採用したUltrabook「UX31A-R4256」をご紹介した。解像度はフルHDの1,920×1,080ドット。前モデルと比較して液晶パネルはもちろん、特にキーボードの質感、そしてバックライト搭載など、非常に魅力的なUltrabookに仕上がっていた。
そして今回ご紹介するのは、そのまま11.6型にスケールダウンした「ZENBOOK Prime UX21A-K1256」。プロセッサやメモリ、SSD容量などは全く同じ。しかも11.6型なのにフルHDと、現時点では唯一の液晶パネルを採用したUltrabookだ。主な仕様は以下の通り。
【表】ASUSTeK「ZENBOOK Prime UX21A-K1256」の仕様CPU | Core i7-3517U(2コア/4スレッド、1.9GHz/Turbo Boost 3.0GHz、 キャッシュ4MB、TDP17W) |
チップセット | Intel HM76 Express |
メモリ | 4GB |
SSD | 256GB |
OS | Windows 7 Home Premium(64bit)SP1 |
ディスプレイ | 11.6型液晶ディスプレイ(非光沢)、1,920×1,080ドット |
グラフィックス | CPU内蔵Intel HD Graphics 4000、miniVGA、microHDMI出力 |
ネットワーク | IEEE 802.11a/b/g/n、Ethernet(USBアダプタ)、Bluetooth 4.0 |
その他 | USB 3.0×2、音声入出力、92万画素Webカメラ |
サイズ/重量 | 299×196.8×3~17.5mm(幅×奥行き×高さ)/約1.1kg |
バッテリ駆動時間 | 最大約5.1時間 |
直販価格 | 129,800円 |
プロセッサはCore i7-3517U。2コア4スレッドでクロックは1.9GHz。Turbo Boost時3GHzまで上昇する。TDPは17Wの超低電圧版だ。キャッシュは4MB搭載。チップセットはIntel HM76 Express。メモリは4GB搭載済みでOSは64bit版のWindows 7 Home Premium SP1。
ネットワークはIEEE 802.11a/b/g/n、Bluetooth 4.0、そしてUSB接続のEthernetアダプタが付属する。Gigabit Ethernetでは無いのは好みが別れそうだ。
そのほかのインターフェイスは、USB 3.0×2、音声入出力、92万画素Webカメラ。13.3型の「UX31A-R4256」にあったSDカードスロットが省かれている。サイドのスペースの問題だろう。余談になるが、比較対象となるであろうAppleのMacBook Airも13型はSDカードスロットがあるものの、11型には非搭載と、同じ構成なのが興味深い。
ビデオ出力は、miniVGAとMicroHDMI。miniVGAからミニD-Sub15ピンへの変換アダプタが付属する。コネクタがシュリンクされているため、用途によっては使いにくいかも知れない。グラフィックスはプロセッサ内蔵のIntel HD Graphics 4000。
サイズは299×196.8×3~17.5mm(幅×奥行き×高さ)、重量約1.1kg。非常に薄くコンパクトでしかも軽い。バッテリ駆動時間は最大約5.1時間。直販価格で129,800円と、13.3型と比較して1万円安価な設定だ。
そして何と言っても圧巻なのが、11.6型の液晶パネルでフルHDに対応していることだろう。加えて視野角が広いIPSで映り込みが少ない非光沢も魅力的。この1点だけでも「UX21A-K1256」をチョイスする大きな理由となる。
トップカバーや筐体は、13.3型のUX31Aがそのままスケールダウンしている感じで、多分相対的なサイズを同じになるよう、写真を撮って並べると見分けが付かないほどそっくりだ。これまでいろいろなノートPCの同じシリーズで液晶パネルサイズ違いのモデルは何台も触ってきたが、ここまでそっくりなのはあまり見たことが無い。もちろんUX31A同様、チープさは皆無。クール&シャープなイメージでカッコいい。
左側面にはUSB 3.0×1と音声入出力。SDカードスロットは無く、UX31Aでは右側面にあったminiVGAポートがこちら側に移動。右側面は、電源入力、USB 3.0×1、MicroHDMI、そしてパワーLEDが並んでいる。今回、miniVGAからミニD-Sub15ピンへの変換アダプタとUSB接続のEthernetアダプタの写真は掲載していないが、UX31A付属のものと同じだ。
11.6型の液晶パネルは、IPS式で視野角は非常に広く、加えて非光沢なので映り込みも少なく快適に操作できる。発色や最大輝度などは見る限りUX31Aと同じ特性と思われる。またバックライト最小でも明るいのも同様。
11.6型のフルHD解像度は、今回初めて見たが、例えばWebブラウザでPC Watchなどを開くと、かなり文字が小さく、人によっては見にくいかも知れない。高解像度好きな筆者でさえも「少し小さいな!?」と思ってしまう程だ(標準設定ではコントロールパネル/ディスプレイ/中-125%。小-100%にすると更に小さくなる。画面キャプチャは全て前者)。この辺りは個人差があるので何とも言えない部分。もちろん解像度が低くスカスカに見えるよりは全然良いのだが……。
キーボードもUX31A同様、前モデルから大幅に改善された。たわみも無く、4段階式のバックライトまでも追加。タッチした感触はソフトだがしっかりしており、いつもあれこれ書いている筆者から見ても合格点。パームレストはUX31Aと比較して液晶パネルのサイズ分狭くなっているものの、実用上は十分な面積で特に問題は無い。タッチパッドも感度が良く、先端が2つのプレートに分かれているボタンも丁度良い重さで押し易かった。
振動やノイズ、発熱に関しては使った範囲では気にならない(以下の)レベル。サウンドの傾向はUX31Aと同様のイメージで中域中心の抜けの良い音だ。最大出力も同程度だが、サイズが小さい分、UX31Aで聴くより迫力不足の感じはしない。
以上のように、UX21Aは、どれをとってもUX31Aを良い意味でそのままスケールダウンした印象が強く、フルHD解像度の13.3型のを選ぶか11.6型を選ぶか、チョイスする基準は、この1点につきそうだ。
●UX31Aと同パフォーマンスの11.6型UltrabookOSは64bit版Windows 7 Home Premium SP1。グラフィックスがメモリ共有型のIntel HD Graphics 4000と言うこともあり、4GBに加え8GBのオプションも欲しいところ。初期起動時のデスクトップは同社お馴染みの、「Instant On」と「Power4Gear Hybrid」のウィジェットが右側に並ぶ。
SSDは「ADATA XM11 256GB」。2パーティション構成で、C:ドライブがシステム用として約81GB、D:ドライブがデータ用として約143GB割当てられている。C:ドライブの空きは約56GB。ただし、UX31AはC:ドライブ約97GB、D:ドライブ約123GBと若干サイズが違っている。
その他のデバイスはBluetoothモジュールが「Intel Centrino Wireless Bluetooth 4.0+High Speed Adapter」、Wi-Fiモジュールは「Intel Centrino Advanced-N6235」。
プリインストールのソフトウェアは、「InstantOn for NB」、「ASUS Splendid Utility」、「LifeFrame3」、「ASUS Tutor」、「ASUS FaceLogon」、「ASUS Secure Delete」、「ASUS Virtual Touch」、「ASUS USB Chager Plus」、「ASUS AI Recoverey」、「ASUS Live Update」、「ASUS Power4Gear Hybrid」、「ASUS WebStorage」、「Kingsoft Office 2012」、「ウィルスバスター2012クラウド」など、UX31Aと同じ構成だった。
InstantOnの効果を実感したのは、いろいろテストした後フル充電し、撮影続きで約2日間スタンバイのまま放置、再度起動してもバッテリは99%残ったまま、しかも起動は瞬時と、ほとんどiOSやAndroidのタブレットを使っているのと変わらない操作感だったことだ。もちろんスタンバイに入るもの瞬時。PCの使い方も変わりそうな雰囲気だ。
AsusTools | Intel WiDi | Elan Smart-Pad |
ベンチマークテストはWindows エクスペリエンス インデックスとCrystalMark、BBenchの結果を見たい。カッコ内は参考までに「UX31A-R4256」の値を掲載した(同スコアの項目は省略)。
Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 5.9。プロセッサ 7.1、メモリ 5.9、グラフィックス6.4(6.5)、ゲーム用グラフィックス 6.4(6.5)、プライマリハードディスク 7.9(7.5)。仕様的にはUX31Aと全く同じだが、グラフィックスとハードディスクの結果が違っている。
CrystalMarkは、ALU 44229(44149)、FPU 43050(42206)、MEM 42105(42597)、HDD 44269(27958)、GDI 15411(15386)、D2D 2353(2319)、OGL 7354(7401)。こちらもほぼ同じ傾向で、グラフィックに関しては誤差の範囲。しかしHDDに関しては相当な違いだ。搭載しているユニットが「ADATA XM11 256GB」か「SanDisk SSD U100 256GB」かで物理的に違うため、同じ256GBでも個々の性能差が出たものと思われる。
BBenchは、Battery Saving、バックライト最小(キーボード込み)、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、Wi-Fi/ON、Bluetooth/OFFでの結果。バッテリの残5%で13,196秒/約3.6時間。最大約5.1時間には及ばなかったものの、予想通りの結果だ。参考までに前モデルの「UX21E」は約3.7時間だった。またUX31Aと約1時間の違いがある。
以上のようにZENBOOK Prime UX21A-K1256は、11.6型非光沢のIPSパネルを搭載し、解像度は現在唯一のフルHD。これだけで非常に魅力的な上に、重量約1.1kg、キーボードバックライトやIvy BridgeでUSB 3.0対応など、恐らく欲しいユーザーにはこれしかない逸品ではないだろうか。
Core i7の割りにメモリ4GBと少なく、有線LANがGigabit Ethernet非対応などが気になるものの、この点以外はマイナスポイントが見当たらないぐらい、良くできたUltrabookだ。