西川和久の不定期コラム

ノートPCなのにデュアルディスプレイ!
工人舎「DZシリーズ(DZ6KH16E)」



 デュアルディスプレイと言えば、以前ご紹介した「ThinkPad W700ds」を思い出すが、この時はメインパネル17型とサブパネル10.6型と言う形で、サイズが異なっていた。しかし、今回ご紹介する「DZシリーズ(DZ6KH16E)」は、10.1型ワイドカラー液晶パネルがデュアル! なかなか使い勝手は良さそうだ。早速使用レポートをお届けしたい。

●ネットブックよりパワフル

 10.1型の液晶パネル搭載と言うこともあり、一見ネットブックと同じカテゴリに見えそうだが、使用しているコンポーネントは、ネットブックのそれより上となる。

 CPUは「AMD Athlon Neo プロセッサ MV-40」。シングルコアでCPUクロック1.6GHz、cacheは512KB、消費電力値15W、PowerNow!(電圧とクロックが可変)対応だ。CPU単体で見るとIntelのAtomプロセッサと比較してどうなのか微妙なところであるが、チップセットは「AMD RS780MN+SB710」。メモリは最大4GB搭載可能、内蔵のGPU「ATI Radeon HD 3200」は、Microsoft DirectX 10やHD動画にも対応する。Atomプロセッサ搭載機の場合、どうしてもグラフィックスが弱いと言うイメージがあるものの、ATI Radeon HD 3200ならバランス的に、ちょうど良い感じだ。

 そしてDZシリーズ(DZ6KH16E)の最大の特徴は、10.1型1,024×600ドットの液晶パネルをデュアルで備える。用途はいろいろあるだろうが、同じサイズ解像度のパネルが2枚あるので、例えば、Webや資料を参考にしながら、文章を書いたりなどという作業も効率良くこなせる。加えて、コンバーチブルタブレットPCのように、ヒンジを180度回転させ、キーボード側に倒すことも可能だ。この時、シングルでもデュアルでもモニタは使用できる。ただ残念ながらタッチパネル機能は備わっていない。

DZシリーズ(DZ6KH16E)仕様
CPU AMD Athlon Neo プロセッサ MV-40(シングルコア、1.6GHz/cache 512KB)
チップセット AMD RS780MN+SB710
メモリ 1GB/PC2-5200(DDR2-667 SO-DIMM)×1(2スロット/空き1、最大4GB)
HDD 160GB
OS Windows 7 Home Premium(32bit)
ディスプレイ 10.1インチワイドTFTカラー液晶×2、1,024×600ドット、内蔵GPU ATI Radeon HD 3200、アナログRGB出力
ネットワーク Gigabit Ethernet、IEEE802.11b/g/n、Bluetooth(V2.1+EDR)
その他 USB 2.0×3、Webカメラ、3in1メディアスロット、microSDカードスロット、オーディオIN/OUT、ワンセグチューナ
サイズ/重量 280or521(パネルを並べた場合)×210×19〜42mm(幅×奥行き×高さ)/約1.84kg
バッテリ/駆動時間 標準バッテリ/約4.5時間

 インターフェイスもかなり豊富だ。一般的な、USB 2.0×3、Webカメラ、3in1メディアスロットに加え独立同時使用可能なmicroSDカードスロット、GbE対応、IEEE802.11b/g/n、Bluetooth(V2.1+EDR)、指紋センサー、そしてワンセグチューナまでも内蔵している。デュアルモニタなので、片方でワンセグを表示しながらの操作も全く問題ない。ディスプレイのデジタル出力は無いものの、もともとデュアルディスプレイと言う、本機の特殊性から、特に問題にはならないと思われる。

 気になるとすれば、Windows 7搭載機で標準メモリが1GBと言うことだ。以前ネットトップの「Endeavor NP12-V」の記事でメモリを1GBから2GBへ増設すると、メモリとグラフィックスに関してパフォーマンスにかなりの差が現れた。仕様によると1GBメモリ搭載時、内蔵GPUは最大384MBものメモリを必要とする(メインメモリ2GB以上搭載時、最大896MB)。この減りはOSにとって決して小さくない値だ。手元に届いた実機は2GB搭載していたので、以下の評価や感想は、標準仕様に合わせ1GBへ戻している。

上/天板。模様などは無く、同社のロゴのみとシンプルな仕上げだ 上/液晶パネル。ヒンジを180度回転させ、キーボード側にパネルを倒すとこのようになる。デュアルも可能だ。左側にマウスボタン、Webカメラ、右側にローテーションボタン、マルチファンクションボタン、光学式ポインティングデバイス、内蔵マイク、指紋センサーを備える 正面/シングル。この状態だと10型液晶パネルを搭載したネットブックのようだ。ボディ正面・側面には、音量ボリューム、ヘッドホン端子、マイク端子、3in1メディアスロット、microSDカードスロットが並ぶ
正面/デュアル。本機最大の特徴となる10.1型デュアルモニタ。パネル間は約15mm。若干V字でパネルが内側に傾いている 本体底面。ネジ1本外すだけで、HDDそしてメモリへアクセスできる 左側。電源入力、USB 2.0×2、無線スイッチ
キーボード。仕様上、キーピッチ17.45mm、キーストローク1.7mm。タッチパッドはマルチタッチ対応 右側。GbE、収納式ワンセグ用アンテナ、外部アンテナ端子、アナログRGB出力、USB 2.0×1、電源スイッチ キーピッチは実測で約18mm
バッテリとACアダプタ。バッテリは、11.1v/5,200mAh, 57.72Wh。コネクタはメガネタイプだ 重量。バッテリ無しで1,534g。バッテリは333gなので、通常は1,867gになる
【動画】変幻自在の液晶パネル

 サイズは、280×210×19〜42mm(幅×奥行き×高さ)/シングルモニタ時、521×210×19〜42mm(同)/デュアルモニタ時と、10.1型の液晶パネルを搭載したネットブックとフットプリントに関しては大差ない。但し、2枚のパネルが重なっている分、厚みは倍近くある。重量は1.84kg。標準的にこのクラスのノートPCは、最大でも1.5kg程度なので結構重い。実際持ち上げて見るとズッシリしている。感覚にもよるだろうが、普段持ち歩くノートPCとしては少し厳しそうだ。

 ノイズに関しては、ボディに耳を付けると振動音などがするものの、通常使用では気にならないレベルだろう。熱に関してはファンやスリットがある左側がほんのり暖かくなる程度だった。

 タッチパッドはマルチタッチに対応し、拡大・回転などもできる。パームレスト部分と共に、面積はあまり大きくないものの、筆者としては許容範囲。ボタンは軽めで指に負担がかからない。キーボードはアイソレーションタイプだ。キーピッチ17.45mm、キーストローク1.7mm。変則的なキー配置やたわみも無く、扱い易いキーボードとなっている。

 本機最大の売り、デュアルモニタになる液晶パネルは、グレアタイプであるが、それほど強烈に映り込まない。開くと、パネルとパネルの間は約15mm。この程度の間隔であれば、違和感なく、2つのモニタを見ることができる。また、若干であるが中央に向くようV字になっており、視野角などの問題も最小限だ。このデュアルモニタにした時の雰囲気は、好きな人はハマるのではないだろうか。

 ヒンジを180度回転させ、コンバーチブルタブレットPC風にした時は、タッチパネルではないものの、液晶パネルの淵に、マウスボタンやローテーションボタン、マルチファンクションボタン、光学式ポインティングデバイスなどが配置され、文字入力をしない限り、快適に操作出来る。また、指紋センサーもパネルの淵右下側に付いている。

 ヒンジとキーボードの間の長細い黒いメッシュ部分にステレオスピーカーを内蔵。音量はそれなりに出ているが、音質は、この中に入ると言うこともあり、直径が小さいのだろう。かなりシャリシャリして低音は出ていない。

●快適なデュアルモニタ環境

 OSはWindows 7 Home Premium 32bitを搭載している。もちろん内蔵GPUのATI Radeon HD 3200は、Direct X 10に対応しているのでAeroはON。スペックを考慮すると、起動・終了は結構早めで待たされ感はあまり無い。メモリ1GB搭載時、使用可能なメインメモリは766MBとなっている。

 プリインストールのソフトウェアは、Microsoft Office互換の「EIOffice」、ワンセグ「Presto!PVR」、マルチメディアプレーヤー「CyberLink PowerDVD for KOHJINSHA」(MP4は音声のみ)、「Motorola Bluetooth Stack」、指紋センサーのパスワード一括管理「DigitalPersona Personal」、電子書籍リーダー「ebi.BookReader Version 3J」、「マカフィー・PCセキュリティセンター 90日間限定版」、「i-フィルター 5.0 30日間お試し版」と、豊富だ。

起動時のデスクトップ。縦が600ドットと短めとは言え、2,048×600ドットのデスクトップは圧倒的
デバイスドライバ/主要なデバイス。HDDはWD1600BEVT。ワンセグチューナデバイスが見える。CPUはシングルコアだ HDDのパーテーション。Cドライブ約99GB、Dドライブ約42GBの2パーティション

 起動時のデスクトップは、本機の特徴であるデュアルモニタが映える2,048×600ドットのパノラマ写真になっている。写真は同社のある、横浜のランドマークタワー周辺だ。

 デバイスドライバの主要なデバイスに関してはワンセグチューナのドライバ以外は特に特殊なものは無い。CPUがシングルコアのAMD Athlon Neo プロセッサ MV-40なので、CPUの部分は1つになっている。ネットワーク関連は、IEEE 802.11n対応のAtheros AR928XそしてRealtek PCIe GBE Familyが使われている。タッチパッドのドライバはSynaptics TouchPad V7.1。画面キャプチャから分かるように、つまみズーム、回転にも対応している。

 HDDドライブはWD1600BEVTが使われ、Cドライブ約99GB、Dドライブ約42GBの2パーティション構成だ。また、Generic STRORAGE DEVICEとして見えている5つのドライバは、3in1メディアスロット、microSDカードスロットに相当する。双方、同時にアクセス可能だ。

画面の解像度 Synaptics TouchPad V7.1 CATALYST Contorol Center(CCC)
EIOffice Presto!PVR CyberLink PowerDVD for KOHJINSHA

 ベンチマークテストは、Windows エクスペリエンス インデックスの総合は2.7。内訳はプロセッサ3.1(3.1)、メモリ3.9(4.8)、グラフィックス2.7(2.7)、ゲーム用グラフィックス4.4(4.4)、プライマリハードディスク5.4(5.4)となっている(カッコ内は2GB搭載時)。グラフィックスの2.7以外は結構頑張っている値と言えよう。

 また冒頭に懸念事項としてあげた「メモリ1GBと2GBで差がでるか」に付いては、カッコ内の値を比較しても異なるのはメモリだけ。これはシングルチャンネルかデュアルチャンネルかの違いによるものだろう。また、姉妹機に当たる2GBを標準搭載したオンキヨー「DX1007A5」のレビューを見ても、Windows エクスペリエンス インデックスはほぼ同じなので、メモリ増設によるスコアの向上はメモリの項目に限られるようだ。

 バッテリベンチマークBBenchは、デュアルモニタ、バックライト最小、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、WiFi/ONでの結果は2.3時間と、このクラスのノートPCとしては、液晶パネルが2つある関係もあるだろうが、バッテリ駆動時間は短い。オプションで大容量バッテリも用意されていない事や、本体重量を考えても、外で使うのがメインと言った用途には向かないと思われる。省スペースでデュアルモニタ、そしてたまに外出などの使い方になるだろうか。

メモリ1GB時のWindows エクスペリエンス インデックス。総合2.7。プロセッサ3.1、メモリ3.9、グラフィックス2.7、ゲーム用グラフィックス4.4、プライマリハードディスク5.4 CrystalMark。CPUやメモリに関しては、Atom 230プロセッサより上、デュアルコアのAtom 330プロセッサよりは下と言った感じか。GDI/D2D/OGLはかなり数値が高い BBench。デュアルモニタ、バックライト最小、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、WiFi/ONでの結果。バッテリの残6%で8575秒(2.3時間)だった

 実際使った感じとしては、デスクトップのデュアルモニタ環境とは違い、モニタのセッティングなどもなく、必要な時にパッと開いて気楽にデュアルモニタを楽しめる。これはノートPCならではと言えよう。縦600ドットと、少なめであるが、横が2,048ドットもあるので、あまり狭さは感じない。例えばこの原稿を書く時は、PDFの資料や関連するWebページなどを参考にしながら書いているが、このような用途にはピッタリで、右側に資料、左側にエディタを配置し、スッキリした感じで作業ができる。

 またWindows エクスペリエンス インデックスのCPUの値が3.1と言うこともあり、メモリ1GBでも作動が特に重い雰囲気ではなかった。ワンセグを観ながらネットをアクセスしても普通に操作できるレベルだ。とは言え、比較的規模の大きいアプリケーションなどを扱う時には、メモリ増設も容易なので1GB加え計2GBにで運用することをお勧めする。


 既に姉妹機に相当する、同じパネルサイズで高解像度版オンキヨー「DX1007A5」も同時に出荷されていることもあり、どちらを選ぶかは悩ましい問題だ。ダイレクトショップでの価格差は5,000円。この差でHDD+160GB、メモリ+1GB、解像度は1,024×600ドットから1,366×768ドットへ。その代わりにバッテリ駆動時間が若干短く、ワンセグチューナを内蔵していない。いずれにしてもこの「DZシリーズ(DZ6KH16E)」は、工人舎とオンキヨーはノートPC分野などでの協業による製品。今後ますます面白いPCが出てくることを期待したい。

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