実録! 俺のバックアップ術
写真データを極力シンプルにバックアップ
~写真家 澤村徹編
2017年1月24日 00:00
ロケ中はポータブルSSDにバックアップ
「NASを買うお金があれば、レンズ買うよね」。それがカメラ写真愛好家の本音だろう。カメラマンである筆者も、NASとレンズを両天秤にかけると、ついレンズを優先してしまうダメな大人だ。そうは言っても、カメラマンにとって画像データは何ものにも代え難い。今回は主に画像データのバックアップについて述べていこう。
カメラマンの場合、ロケ先でのバックアップが欠かせない。地方や海外で撮った写真を、安全確実に仕事場まで持ち帰るためのバックアップだ。画像データは仕事の成果物そのものなので、移動中にロストしようものなら目も当てられない。泊まりの撮影は必ずSSD搭載ノートPCを持参し、メモリーカード上の画像データを毎日ノートPCのSSDに転送する。SSD搭載ノートPCを選んでいるのは、むろん耐衝撃を考慮してのことだ。
連日の撮影を終えたら次に、ノートPC上の全画像データをポータブルSSDにバックアップする。筆者は240GBのSanDisk「エクストリーム500ポータブルSSD」を使っている。筆者の撮影量だと、3~4泊なら240GBで十分だ。ちなみにこの製品は、主にアウトドアで写真/映像撮影を行なうユーザーを対象としたものだ。
ただし、カメラをより高画素なモデルに買い換えた時は、ポータブルSSDも、より大容量のものに買い換える必要があるだろうと思っている。
帰宅後はポータブルSSDから仕事用のメインPCにデータ転送する。USB 3.0経由なのでGB単位のデータ転送もスピーディーだ。このように、泊まりの撮影はノートPCのSSDとポータブルSSDにより、データを二重化して安全性を高めている。
画像データをバックアップと同時にアーカイブ化
メインPC上の画像データのバックアップを解説していこう。
画像データは基本的にHDD to HDDでバックアップしている。メインPCには内蔵HDDが4基あり、そのうち3基がデータドライブという位置付けだ。日常的なバックアップは外付けHDDで行なっているが、それとは別に、アーカイブ化という目的でデータドライブをHDD to HDDで丸ごとバックアップしている。
詳しく説明すると、画像データのみを保存したHDDの空き容量が少なくなったら、そのHDDのほぼ2倍の容量を持つHDDに換装する。PCに裸族のお立ち台を接続し、新しいHDDを装着。空き容量が少なくなったHDDの内容を丸ごとバックアップする。あとは筐体を開け、旧HDDと新HDDを換装するわけだ。
これで既存の画像データを保持したまま、さらに画像データのための領域を追加できる。ちなみに、PCは内蔵HDDベイにアクセスしやすいものを選んでいる。これは一定間隔でデータ用の内蔵HDDを換装するためだ。筐体のメンテナンス性は筆者にとって、PC選びの重要なポイントになっている。
取り外した旧HDDは、これまでの画像データのアーカイブとしてストックしておく。バックアップデータをそのままアーカイブとして活用できるのが、このバックアップ方法の利点だ。
反面、内蔵HDDが年々大容量化していくことを前提としているため、大容量化が頭打ちになるようだとこの方法は頓挫してしまう。こうしたことを考慮すると、NASの導入も何らかのタイミングで考える必要がありそうだ。
ロケ先にせよ、仕事場のメインPCにせよ、画像データのバックアップで常に心がけているのは、物理的にシンプルにする、ということだ。バックアップデータが役に立つ場面とは、OSやHDDがクラッシュするなど、緊急時にほかならない。
物理的にバックアップドライブを接続するだけなら、テンパった状態でも作業できるだろう。筆者はPCにさほど精通しているわけではないので、NASによる快適なバックアップ環境よりも、身の丈にあった分かりやすさを優先している。
クラウドは写真データに適切か?
最後に、クラウドについて触れておこう。
先日、写真仲間の間でクラウドへのバックアップが話題になったことがある。容量無制限のクラウドサービスに全ての画像データをアップロードしようというわけだ。実は筆者も試したことがあるのだが、容量が大きすぎて、丸1日たっても1カ月分の画像データすらアップロードできず、さすがに断念した。
早々に諦めた理由はもう1つある。写真は一生に渡って残しておきたいデータなので、バックアップに外部サービスを利用する場合、それが将来に渡ってどの程度続くものなのか見極めが必要だ。
この部分に不安をおぼえるようなら、ローカルでその時々の大容量ストレージにバックアップデータを移していくのが堅実だろう。