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サンディスク、プロ向け外付けドライブでHDDからSSDへの置き換えを狙う
~耐久性・速度・持ち運びに特化した製品群を展開
(2016/1/18 20:52)
サンディスク株式会社は18日、新製品説明会を開催し、USB 3.1およびUSB 3.0に対応したポータブルタイプのSSD外付けドライブ3製品を発表した。各製品の説明は別記事に掲載しているので、そちらも参照されたい(製品の紹介記事)。
外付けSSDの市場規模は2018年には350万台に拡大すると予測
「2015年の外付けHDDの市場規模は世界で約5,500万台。外付けSSDは27万6,000台に過ぎないが、2018年には外付けSSDが350万台まで拡大するだろう」。この大胆な予測を立てたのは、米SanDiskのSSD/USB担当 プロダクトマーケティングディレクターであるフィリップ・ウイリアムス氏だ。
同氏はSanDiskが2015年にコンシューマ向けSSDで米国市場ではシェア第2位、日本では2015年下半期にシェア1位を獲得していることを述べ、SanDiskが25年以上も培ってきたSSD開発の実績とともに、常にイノベーションを行なってきたという同社の歴史を振り返った。
ウイリアムス氏は、1991年に世界初のフラッシュベースSSD(20MB)を発表したこと、1994年のCF(4MB)発表、1999年のMLC NAND発表と初のSDカード発表、そして2008年のMLCベースのSSD発売を例とし、SanDiskがフラッシュ業界を牽引している背景として、その根底にあるイノベーションの追求を強調した。
SanDiskでは垂直統合型のビジネスモデルが用いられており、フラッシュメモリの開発と生産、最終製品の販売まで一貫して自社で行なえることをメリットとしており、同社を支えるイノベーション以外の強みとして、日本国内で業界の約40%分ものNANDを生産していること(東芝との合併会社)、3D NANDを製造しており2016年に製品を出荷すること、マレーシアと中国工場でウェハから最終製品に至るまでの効率的なアセンブリが可能なこと、1日当たり約200万台の製品を中国工場より出荷可能とする生産力の高さを挙げた。
ウイリアムス氏はこういった同社の強みを示すとともに、世界で約5,500万台(2015年時点)という巨大な外付けHDD市場について言及、ここに同社の外付けSSD製品を投入していくという考えを語った。冒頭にあったように外付けSSD市場は2015年の段階では27万6,000台に過ぎないが、前年比では136%伸びており、2018年には350万台まで拡大するだろうとの予測を立てている。
プロカメラマンやビデオグラファーの要求を満たす外付けドライブ
今回発表したUSB接続の外付けSSDは以下の通りで、Extreme 500と510は小型と堅牢さをウリとし、ポータブルHDDよりも4倍高速、後者についてはIP55準拠の防滴・防塵機能を有している。そして、Extreme 900はUSB 3.1 Gen2による高速転送と最大1.92TBに達する大容量を特徴とし、ポータブルHDDよりも9倍速いとする。どの製品もSanDiskのデータ暗号化機能「SecureAccess」に対応している。
Extreme 500 | Extreme 510 | Extreme 900 | |
---|---|---|---|
容量 | 120GB 240GB 480GB | 480GB | 480GB 960GB 1.92TB |
リード速度 | 415MB/sec ※480GBモデルは430MB/sec | 850MB/sec | |
ライト速度 | 340MB/sec ※480GBモデルは400MB/sec | 850MB/sec | |
インターフェイス | USB 3.0(Type-A) | USB 3.1(Type-C) | |
出荷開始 | 2月 | 4月 | 4月 |
税別店頭予想価格 | 120GB: 15,000円 240GB: 20,000円 480GB: 35,000円 | 480GB: 38,000円 | 480GB: 45,000円 960GB: 75,000円 1.92TB: 120,000円 |
これらの製品のターゲットとして、ウイリアムス氏は、プロのカメラマンやビデオグラファーといったクリエイターに向けて開発したと明言。外付けのポータブルHDDがプロが必要とする「速度」、「耐久性」、「ポータビリティ」を備えていないことを指摘し、こうした切実なニーズを満たすために、今回の外付けSSDを投入したという経緯を説明した。市場規模を考えるのであれば、アマチュアを対象とした方がパイが大きいわけだが、SSDのメリットを訴求するにあたり、まずはプロから浸透させていくという戦略を採っているようだ。
実際に日本国内のプロカメラマンにこれらの外付けSSD製品を試用してもらい、その感想を紹介。海外カメラマンなどが要求していた耐久性、速さ、ポータビリティに関して、日本でも同じような要求があり、使用後のフィードバックでは高評価が寄せらていることから、プロの使用に耐え得る製品であることを示して見せた。
モータースポーツ写真家の熱田護氏が登壇し、外付けSSDの“スピード”の魅力を説く
発表会の後半には、1992年からF1の全戦取材を行なっているモータースポーツ写真家の熱田護氏が壇上に上がり、実際の使用感について語った。
熱田氏は普段の撮影ではMacBook Proと2台の外付けHDD(1TB)を持ち込んでおり、1台は撮影写真の保存用に、もう1台は過去の写真を保存して現地からの受注などに対応できるようにしているという。F1の撮影は4日間行なわれ、少なくて350GB、多い時は450GB分を撮るそうだ。取材後にはThunderbolt接続の外付けHDDにデータを移すのに多くの時間を要してしまうことから、夕飯が食べられなくなったり、睡眠時間が削られてしまうといったことが起きがちだという。年々カメラの画素が向上していくことからも、転送に要する時間は増える一方と述べた。
熱田氏は2015年の8月にサンディスクから提案を受けて「Extreme 500」を使い始めたということだが、最初に手渡された時、40gほどしかないそのあまりの軽さに製品見本かと思ったそうだ。そのコンパクトさにも驚かされたという。実際に写真を転送してみたところ、プログレスバーが今まで見たことがないくらいの速さで進んだことにも驚愕だった語った。
熱田氏は実際に自分で計測したベンチマーク結果を会場で披露し、870項目の写真データ(11.44GB)を普段使っている外付けHDD Aに転送した場合は1分35秒、外付けHDD Bでは3分46秒かかっていたのに対し、Extreme 500では43秒で済んだことを示して見せた。この速度の違いは取材において大きなメリットになるという。ただ、Extreme 500の容量では心許ないことから、今年(2016年)からの仕事ではExtreme 900を新たな武器として使用していくとのこと。
熱田氏は自分が外付けドライブに求めることとして、第1位に信頼性を挙げており、HDDは可動部品であることからいつ壊れてしまうかという恐怖心が常にあり、今までもいくつか使えなくなっているドライブがあるそうだ。外付けSSDを使うことでこうした恐怖から解放されるのは大変有り難いと感想を述べていた。