Hothotレビュー

VAIO「VAIO Z」

〜新生VAIO初の独自開発製品はフラッグシップモバイル

VAIO 「VAIO Z」

 VAIO株式会社から、設立後初となる独自開発製品が登場。事前に開発が表明されていたクリエイター向けタブレットPC「VAIO Z Canvas」に加え、ソニー時代からフラッグシップモバイルPCとして人気を集めていた「VAIO Z」の新モデルが発表された。本稿では、これら2製品の中から、フラッグシップモバイルPCのVAIO Zを取り上げ、ハード面を中心に紹介する。2月16日より直販サイト「ソニーストア」で受注が開始されており、直販価格は19万円前後から。

VAIO Fit同等の液晶回転機構で2-in-1仕様を実現

 VAIO Zは、VAIOのフラッグシップモバイルとして君臨してきたシリーズだ。常にライバルとなるモバイルPCよりも上位の高性能CPUや外部GPUを搭載することにより、モバイルPCの常識を覆す性能を実現し、携帯性と性能双方にこだわるユーザーから高い支持を集めてきた。2012年に登場した「SVZ13」シリーズを最後に新モデルの登場が途絶えていたが、新生VAIOの独自開発モデル第1弾として、満を持して復活することになった。

 従来のVAIO Zは、Windows 8登場前の製品ということもあり、タッチ対応モデルは存在しなかった。しかし、新VAIO Zは、OSにWindows 8.1を採用ということで、しっかりとタッチ対応を実現。それも、単純にクラムシェルスタイルでタッチ対応させるのではなく、天板中央部を軸に液晶が180度回転する機構を盛り込むことにより、タブレットスタイルでも利用できる2-in-1仕様を実現してきた。

 この液晶回転機構は、VAIO Fitシリーズで採用されたものと同等だ。液晶天板中央にラバー製のヒンジを備え、そこを軸に液晶が180度回転するようになっている。キーボード奥に用意されたスライドスイッチによって液晶のロックを開放することで、自在に液晶を回転できる。ただし、このラバー製ヒンジは任意の角度で液晶を保持する機構は備えないため、0度か180度のどちらかでの利用が基本となる。

 天板部の液晶回転機構に加えて、本体後方には通常のクラムシェルノード同様のヒンジも用意。液晶をロックした状態では通常のクラムシェルノート同等として利用できる。そして、液晶部を開いた状態でロックを開放し液晶を180度回転すると、磁石で液晶が固定され、映像鑑賞などに活用できるスタンドスタイルに変形。また、その状態で本体側のヒンジを閉じることで、タブレット相当として利用可能となる。タブレットモードではキーボードが完全に隠れるため、液晶部が360度回転する2-in-1モバイルとは異なり、手に持って利用する場合でも手にキーボードが触れず安心して利用できる。

 ところで、キーボード奥の液晶開放スライドスイッチは、Fitシリーズではロックと開放を切り替える仕様で、ロック時にスライドスイッチをロック側に戻す必要があった。それ対し新生VAIO Zのスライドスイッチは、開放時にのみスライドさせるだけで良くなり、液晶を元に戻すと自動でロックがかかるようになった。この仕様変更で、形状変更時の利便性が高まっている。

 このように、VAIO Fitシリーズと同等の2-in-1仕様を実現していることもあり、本体デザインは13.3型液晶搭載のVAIO Fit 13Aにかなり近くなっており、見た目にはほぼ同等といった雰囲気だ。ただ、本体サイズは324.2×215.3×15.0〜16.8mm(幅×奥行き×高さ)と、Fit 13Aよりもフットプリントは小さく、高さも低くなっており、携帯性は向上している。

 筐体素材は、天板とキーボード面はアルミニウム、底面にはカーボンを採用している。これによって、薄型軽量と優れた堅牢性を両立。重量は公称で約1.34kg、実測では1,327gだった。先代のSVZ13シリーズは約1.17kgだったので、新VAIO Zはそれより170gほど重くなったことになる。これは、性能や長時間のバッテリ駆動時間を犠牲にしない中で軽さを追求した結果とのこと。モバイルPCとしては大きな不満のない重量ではあるが、SVZ13シリーズのユーザーから見ると、重量増はやや残念に感じる。できれば、もう少し重量にもこだわってもらいたかった。

新VAIO Zの液晶を開いた状態。クラムシェルノートそのものとして利用できる
天板中央には、液晶を回転するラバー製のヒンジを備える
このように、液晶は天板中央のラバー製ヒンジを中心に180度回転可能
液晶を180度回転させるとマグネットで固定され、このようなスタンドスタイルで利用可能となる
液晶を180度回転させた状態で本体側のヒンジを閉じると、タブレットスタイルで利用できる
キーボード奥のスライドスイッチでロックを開放すると、液晶を回転できる
液晶を0度に戻すと自動でロックがかかるようになり、使い勝手が向上
本体側のヒンジは、約45度まで開く
液晶を回転させている様子
天板部分。素材はアルミニウムを採用し、優れた強度と質感を両立。天板の見た目はVAIO Fit 13Aに近い
フットプリントは324.2×215.3mm(幅×奥行き)。13.3型液晶搭載モバイルPCとしてはほぼ標準的なサイズだ
旧VAIO Z SVZ13(右)との比較。奥行きは新VAIO Zの方が約5.3mm大きく、幅はSVZ13の方が5.8mm大きいが、面積はほぼ同等だ
本体正面。中央のシルバーのラインはキーボード面となる
左側面。高さは15.0〜16.8mmで、前方から後方に向かって厚くなっている
背面
右側面。側面からの見た目もVAIO Fit 13Aに近いが、高さは1mmほど薄い
旧VAIO Z SVZ13(右)との高さ比較。SVZ13の高さは16.65mmと新VAIO Zよりわずかに薄いが、並べても差はほぼ感じられない
底面。底面にはカーボン素材が採用され、軽量化と強度を両立
重量は実測で1,327g。モバイルPCとして十分魅力的な軽さだが、13.3型の従来モデル、SVZ13シリーズより170gほど重くなった

TDP 28Wの第5世代Core “U”プロセッサやPCIe SSD採用で性能を強化

 新VAIO Zで最大の特徴となるのは、やはり性能面だ。省電力性の向上した第5世代Coreプロセッサの登場により、薄型軽量のモバイルPCが多数登場しているが、それらは基本的にTDP15Wの省電力版Coreプロセッサを採用している。それに対しVAIO Zは、上位版となるTDP 28WのCore ”U”プロセッサを採用。採用CPUは、Core i5-5257UまたはCore i7-5557Uで、処理能力はCore i5-5257U搭載時でもTDP 15W版Core i7搭載PCを上回る。

 しかも、第5世代Coreプロセッサが備えるcTDP(Configurable TDP)機能を活用し、クラムシェルモードで電源設定を「パフォーマンス優先」に設定した場合には、TDPを35Wに引きあげて動作する。これによって、標準電圧版CPU相当の性能が引き出される。タブレットモードでのパフォーマンス優先設定時にはTDP 28Wでの動作となる。また、空冷ファンの動作音を低減する「静かさ優先」設定時には、クラムシェルモードでTDP 15W、タブレットモードでTDP 10Wに引き下げられ、静音動作が実現される。

 ところで、従来までのVAIO Zとは異なり、外部GPUは搭載しない。ただ、CPU内蔵GPUがIntel HD Graphicsではなく、上位の「Intel Iris Graphics 6100」となるため、外部GPU非搭載でも優れた描画性能が発揮される。実際のCPUやGPUの処理能力に関しては後ほど検証するが、少なくともライバルとなるモバイルPCよりも優れた処理能力が発揮されるのは間違いないはずだ。

 この高TDPのCPUを安定稼働させるために、新生VAIO Zでは2個の冷却ファンを搭載してCPUを強力に冷却するようになっている。高負荷時には2個のファンによって左右側面の排気口からCPUの熱が放出されるため、高負荷時でもサーマルスロットリングの発生が抑えられ、常に高い処理能力が発揮される。しかも、2個の空冷ファンは共振による騒音増を抑えるために、左右で羽根の枚数が異なっているという。性能追求だけでなく、動作音まできちんと考慮されている点は、嬉しい配慮だ。

 また、CPUだけでなくストレージも高性能。従来のVAIO Zでは、SSDを2基または4基搭載しRAID 0仕様とすることで、非常に高速なアクセス速度を実現していた。それに対し新VAIO Zでは、標準でPCI Express接続のSSDを採用。それも、PCI Express x4接続の高速なものを採用している。実際にアクセス速度をCrystalDiskMarkを利用して計測すると、シーケンシャルリードが1,353MB/sec、シーケンシャルライトが1,488MB/secと、双方とも1GB/secを大きく凌駕。現役最高速のSATA SSDと比べても2〜3倍ほどの速度が発揮されている。そして、この高速SSDの採用により、OSの起動も非常に高速。電源オフからの起動は、ストップウォッチによる計測で約6秒ほど。もちろんアプリの起動も非常に速く、ストレスなく利用できそうだ。

TDP 28WのCore i5-5257U/i7-5557Uを搭載。空冷ファンを左右に2基搭載し、高性能CPUも安定して動作する
「VAIOの設定」に用意される電源設定で、CPUとファンの動作モードを「パフォーマンス優先」か「静かさ優先」のどちらかに設定することで、CPUのTDPやファンの動作音が変化する
PCI Express x4接続の高速SSDを採用。従来までのRAID 0構成ではないが、より高速なアクセス速度が発揮される
新VAIO ZのSSDアクセス速度。シーケンシャルリード、ライトとも1GB/secを大きく上回る、非常に高速ななアクセス速度を記録
こちらは、SSD×2基のRAID 0構成となるSVZ13のSSDアクセス速度。こちらも十分に速いが、新VAIO ZのSSD速度の前では霞んでしまう
【動画】電源断から起動までの様子

実測で12時間を超える長時間駆動

 新VAIO Zは、高性能CPU搭載による性能の高さに加えて、長時間のバッテリ駆動を実現している点も大きな特徴だ。一般的に、性能や軽さを追求したノートPCでは、どうしてもバッテリ駆動時間が犠牲になっている場合が多い。しかし新VAIO Zでは、高TDPの高性能CPUを搭載しつつ、公称で約15.2〜15.5時間(JEITAバッテリー動作時間測定法 Ver.2.0)とかなりの長時間駆動を実現。これは、もともと省電力性に優れる第5世代Coreプロセッサを採用していることに加え、液晶バックライトなど低消費電力化を突き詰めたり、高密度実装技術により内部基板の小型化を実現することで空間に余裕が生まれ、より大容量のバッテリの搭載することなどによって実現している。

 内蔵バッテリは、容量58Whと、VAIO Duo 13よりも大容量となっている。それでいてバッテリ自体の重量は28g軽く、高さも0.4mm薄くなっているという。これは、通常バッテリを覆う樹脂ケースを省き、本体と一体構造とした自社開発のバッテリを採用することにより実現しているとのことだ。

 では、実測の駆動時間はどうか。本体形状をクラムシェルモードの状態で、Windowsの省電力設定を「バランス」、VAIOの設定での電源設定を「パフォーマンス優先」、バックライト輝度を40%に設定し、無線LANを有効にした状態で、BBenchでキー入力とWeb巡回にチェックを入れて計測したところ、約12時間9分の駆動時間を計測した。VAIOの設定での電源設定を「静かさ優先」に設定したり、よりバックライト輝度を下げるなどすれば、さらなる駆動時間の延長が実現され、公称の駆動時間に近付くものと思われる。それでなくとも、実測で12時間を超える駆動時間があれば、1日の外出時にACアダプタの同時携帯はほぼ不要と言えそうだ。従来モデルのSVZ13では、単体での駆動時間がせいぜい5時間ほどと長くなかったことを考えると、大きな進化と言える。

バッテリを覆う樹脂を省き本体と一体構造とした自社開発のバッテリを採用。VAIO Duo 13のバッテリよりも大容量化ながら、28g軽く、0.4mm薄くなっており、長時間駆動を実現しつつ薄型軽量化を両立している

sRGB比100%の高画質WQHD液晶を採用

 液晶は、2,560×1,440ドット(WQHD)表示に対応する13.3型液晶を採用する。フルHD超の高解像度表示対応により、広大なデスクトップ領域を確保でき、快適な作業環境が実現できる。また、表示品質に優れる点も特徴で、パネルの発色性能はsRGBカバー率100%を誇る。加えて、バックライトの発光体を見なおし、従来よりも赤の輝度が高い“高演色バックライトLED”を採用することによって、非常に鮮やかな表示を実現。実際に液晶に表示される映像を見ても、特に赤の鮮やかさに驚かされる。これなら、デジタルカメラで撮影した写真のレタッチ作業なども快適に行なえそうだ。

 また、バックライトの光を必要な方向に集める「超集光バックライト」という独自技術を採用することにより、同じ明るさを実現しつつ、一般的な液晶に比べてバックライトの消費電力を大幅に低減しているという。これは、バッテリ駆動時間の延長に大きく貢献している。

 なお、パネル表面は光沢処理となっており、外光の映り込みは少々激しい。ただ、購入時にBTOで非光沢仕様の液晶保護フィルムを選択すれば、工場でフィルムが貼られて出荷されるので、非光沢仕様が好みならこのサービスを利用すればいいだろう。

 液晶表面には10点マルチタッチ対応の静電容量方式タッチパネルと、専用デジタイザペンによるペン入力の双方に対応する。タッチパネルは液晶パネルに空気層なく貼り付けられたダイレクトボンディングとなっており、ペン利用時の視差が少なく、思い通りのペン入力が可能となっている。

 専用デジタイザペンは、VAIO Duoシリーズなどに付属していたものとほぼ同等のもので、256段階の筆圧検知に対応。ユーティリティで筆圧カーブを自由に調節する機能も新たに用意された。デジタイザペンには2個のボタンが用意され、右クリックと消しゴム機能を割り当てられる。また、ペン対応アプリを起動していない状態でペンを画面に近づけてボタンを押すと、アプリが自動起動する機能も用意。上のボタンを押すとOneNoteが、下のボタンを押すと表示中の画面を切り取って取り込む「VAIO Clipping Tool」が起動する。そして、ロック画面表示時にペンを画面に近づけて上のボタンを押すと、OneNoteのノート作成画面が直接起動する「クイックノート」機能も用意する。ペンは直径が太く扱いやすいものの、本体に収納できないのは少々残念。それでも、ペンの利便性を高める仕様が盛り込まれている点は魅力的だ。

2,560×1,440ドット表示対応の13.3型液晶を採用。フルHD超の超高解像度で、デジタルカメラで撮影した写真も精細に表示できる
等倍表示ではホームページを2ページ以上並べて表示可能。等倍表示では文字サイズが小さくなり、文字の視認性が落ちるが、文字サイズの調整で視認性と情報量を自由に変更できる
sRGBカバー率100%を誇る広色域表示に対応。赤の成分が強いバックライトLEDを採用するなどにより、特に赤が非常に鮮やかに表示される。ただし、光沢仕様のため外光の映り込みは激しい
タッチパネルは、10点マルチタッチの静電容量方式のタッチパネルとデジタイザペン双方に対応。標準で筆圧検知256段階のデジタイザペンが付属する
タッチパネルは液晶パネルにダイレクトボンディングされ、ペン先との視差が少なく軽快なペン入力が可能
タッチペンには2つのボタンが用意され、画面にペンを近づけて上のボタンを押すとOneNote、下のボタンを押すとVAIO Clipping Toolが起動する
ペンの上のボタンを押してOneNoteが起動する様子
ペンの下のボタンを押してVAIO Clipping Toolを起動し画面を切り取っている様子
「VAIOの設定」で、ペンのボタン動作の設定を変更できる。ただし、起動するアプリの種類は変更できない
「VAIOの設定」ではペンの筆圧カーブを調整する機能も用意

静音仕様のキーボードを搭載

 キーボードは、従来のVAIOシリーズ同様、キーの間隔が開いたアイソレーションタイプのキーボードを採用する。タッチは軽めだが、クリック感はまずまずしっかりしている。ただし、薄型筐体ということもあり、ストロークは約1.2mmと浅い。従来モデルであるSVZ13のキーボードのストローク約1mmよりも0.2mm深くなってはいるが、できればもう少しストロークの深さが欲しいところだ。

 主要キーのキーピッチは約19mmとフルピッチで、タッチタイプも違和感なく行なえる。もちろん従来同様キーボードバックライトも搭載するため、暗い場所でのタイピングも快適だ。

 ところで、このキーボードは実際にタイピングしてみると、キー操作音が非常に小さいことが分かる。新VAIO Zのキーボードでは、キーキャップ裏のツメと稼働部金型の加工精度を高めることによって、キーのがたつきを最小限に抑え、カチャカチャという不快に感じる音を減少させているという。実際には、入力スタイルによって操作音は大きく左右されるが、他のモバイルノートのキーボードと比べると、明らかに操作音が小さく、図書館などの静かな場所でも安心してキー入力が行なえるはずだ。

 ポインティングデバイスは、クリックボタン一体型のタッチパッドを採用。パッド面積が非常に大きく、ジェスチャー操作にも対応しており扱いやすさは申し分ない。タッチパッドが本体の中央に配置される点も、従来までのVAIOシリーズ同様だ。

キーボードはVAIOシリーズおなじみのアイソレーションタイプ。キーボード面はアルミ素材で剛性が高く、キーボード部分を強く押してもほとんどたわまない
キーピッチは約19mmとフルサイズで余裕を持ってタッチタイプが可能
ストロークは約1.2mmと、従来のSVZ13より0.2mm深くなったが、それでもまだ浅い。クリック感はしっかりしているが、もう少しストロークの深さが欲しい
キーボードバックライトを搭載するため、暗い場所でのタイピングも快適だ
クリックボタン一体型のタッチパッドを搭載。面積が広くジェスチャー操作にも対応しており扱いやすい

800万画素の背面カメラを搭載

 では、基本スペックを確認していこう。CPUは先に紹介しているとおり、第5世代CoreプロセッサであるCore i5-5257UまたはCore i7-5557Uが選択可能。メインメモリは8GBまたは16GB。ストレージはSSDで、容量は128GB/256GB/512GBから選択でき、全てPCI Express x4接続となる。無線機能は、IEEE802.11 ac/a/b/g/n準拠の無線LANとBluetooth 4.0を標準搭載。無線LANの速度は11ac時で最大867Mbps。

 カメラ機能は、液晶上部中央に92万画素の「Exmor R for PC」と、本体裏面に799万画素の「Exmor RS for PC」を搭載。液晶面と裏面にカメラを備えることで、タブレットモードでの撮影も容易だ。また、ホワイトボードや紙資料などを撮影し、自動で台形補正しつつ取り込めるアプリ「CamScanner」がプリインストールされ、単なる撮影だけではないカメラの幅広い活用が可能。その場合でも、高画素カメラによって、細かな文字もくっきり取り込めるのは嬉しい。

 内蔵スピーカも特徴の1つ。本体底面にステレオスピーカーを搭載するが、モバイルノートとは思えないほどの大音量でサウンド再生が可能となっている。これは、広い部屋で動画を利用したプレゼンを行なう場合でも、隅々まで音が届くように配慮されたものだが、最大音量にしても音が割れることなく、クリアなサウンドさ再生される。音質も良好で、動画や音楽鑑賞にも十分に耐えられるだろう。

 側面ポートは、左側面に電源コネクタ、HDMI出力、ヘッドフォン/マイク共用ジャック、SDカードスロットが、右側面にUSB 3.0×2(うち1つは電源断充電機能をサポート)を用意。ポート類は必要最小限で、有線LANが用意されない点は少々残念。また、できれば左側面にもUSBポートを配置してほしかった。なお、新VAIO Zは2-in-1仕様となったことを受け、電源ボタンは左側面に配置され、後部側面にはボリュームボタンも用意されている。

 付属のACアダプタは、VAIO Proシリーズに付属するものに近く、側面に出力1WのUSB充電コネクタを備えるものとなる。VAIO Zへの充電と同時にスマートフォンなどの充電も同時に行なえるのは便利だ。また、USB充電コネクタ部に接続して利用する小型無線LANルーターもオプションとして用意される。出張時など、ホテルの有線LANを無線化して利用する場合などに重宝するだろう。このほかのオプションとしては、HDMI-VGA変換アダプタが用意される。

液晶上部中央に92万画素の「Exmor R for PC」カメラを搭載
裏面には799万画素の「Exmor RS for PC」カメラを搭載。タブレットモードでの写真撮影に活用できる
裏面カメラで実際に撮影した写真。なかなか高精細に撮影できている
カメラを利用してホワイトボードや文書を撮影して取り込める「CamScanner」をプリインストール
撮影した文書などは自動で台形補正される。またOCR機能も搭載しており、資料の取り込みなどに便利だ
底面に搭載されるステレオスピーカーは高音質で、音量も大きい
左側面には電源コネクタ、HDMI出力、ヘッドフォン/マイク共用ジャック、SDカードスロットを配置
右側面には、USB 3.0×2を配置。2-in-1仕様のため電源ボタンもこちらに配置されている
後部側面にはボリュームボタンを配置
液晶下部のWindowsボタンは物理ボタンだ
底面手前のフレーム部には「MADE IN AZUMINO JAPAN」の文字を刻印
付属のACアダプタ。VAIO Proシリーズに付属するものとほぼ同等でコンパクトだ
ACアダプタ側面には1A出力のUSB充電ポートを備え、スマートフォンなどの充電が可能
オプションとして、ACアダプタのUSB充電ポートに接続して利用する小型無線LANルーターが用意される
ACアダプタに小型無線LANルーターを取り付けた様子
ACアダプタの重量は、付属の電源ケーブル込みで実測210gだった
オプションとしては、HDMI-VGA変換ケーブルも用意される

性能はCore i7-5500U搭載モバイルPCを大きく凌駕

 では、ベンチマークテストの結果を見ていこう。利用したベンチマークソフトは、Futuremarkの「PCMark 8 v2.0.282」、「PCMark 7 v1.4.0」、「PCMark05 Build 1.2.0 1901」、「3DMark Professional Edition v1.4.826」、「3DMark06 Build 1.1.0 1901」、Maxonの「CINEBENCH R15」、スクウェア・エニックスの「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編」の7種類。比較用として、NECパーソナルコンピュータの「LaVie Hybrid Zero HZ750/A」と「LaVie Hybrid Advance PC-HA850AAS」の結果も加えてある。なお、今回利用した新VAIO Zは、CPUがCore i7-5557U、メインメモリが16GB、ストレージが512GBのSSDという仕様だった。

 結果を見ると、Core i7-5500Uを搭載する比較機種に対し、ほぼ全ての項目でスコアが上回っていることがわかる。中でも、特に好スコアとなっているのがストレージ関連で、比較2機種のスコアを軒並み圧倒している。先に紹介したように、新VAIO Zに搭載されるSSDは非常に高速で、その性能が素直にスコアに表れた形だ。そして、PCMark 8やPCMark 7の総合スコアが比較機種を大きく上回っているのは、CPUやGPUの処理能力の高さと合わせ、高速なSSDの搭載も大きく影響していると考えていいだろう。

 また、3D描画能力も十分に優れることが見て取れる。さすがにIris Graphics 6100を内蔵しているだけのことはある。ただ、HD Graphics 5500内蔵のLaVie Hybrid Zeroとのスコア差は2〜3割ほど上回るほどと、思ったほど大きくなかった。それでも、現役モバイルPCの中でトップクラスの描画能力を有しているのは間違いないだろう。

 なお、高負荷時の空冷ファンの動作音は、キーンというような金属音的な動作音で、やや耳障りだ。この動作音では、静かな場所での利用はややためらわれると感じる。その場合には、「VAIOの設定」で動作モードを「静かさ優先」に設定すればいい。その場合には、性能はやや低下するものの、ファンの動作音がほぼ気にならないレベルとなる。

【表】ベンチマーク結果

VAIO Z LaVie Hybrid Zero HZ750/A LaVie Hybrid Advance PC-HA850AAS
CPU Core i7-5557U(3.10/3.40GHz) Core i7-5500U(2.40/3.00GHz) Core i7-5500U(2.40/3.00GHz)
チップセット
ビデオチップ Intel Iris Graphics 6100 Intel HD Graphics 5500 Intel HD Graphics 5500
メモリ PC3L-12800 DDR3 SDRAM 16GB PC3L-12800 DDR3 SDRAM 8GB PC3L-12800 DDR3 SDRAM 8GB×1
ストレージ 512GB SSD 128GB SSD 256GB SSD
OS Windows 8.1 Pro Update 64bit Windows 8.1 Update 64bit Windows 8.1 Update 64bit
PCMark 8 v2.0.282
Home Accelarated 3.0 3442 2855 2813
Creative accelarated 3.0 4456 3692 3473
Work accelarated 2.0 4139 3795 4016
Storage 5065 4901 4942
PCMark 7 v1.4.0
PCMark score 5913 4950 4551
Lightweight score 3855 3098 3181
Productivity score 2902 2429 2210
Entertainment score 4241 3695 3378
Creativity score 11447 9017 8987
Computation score 20661 16834 12582
System storage score 5974 5081 5287
Raw system storage score 11398 4857 5464
PCMark05 Build 1.2.0
PCMark Score N/A N/A N/A
CPU Score 11751 10090 9897
Memory Score 8308 8778 7021
Graphics Score 4204 3713 3020
HDD Score 93003 32543 57415
CINEBENCH R15.0
OpenGL (fps) 31.84 31.27 22.06
CPU 322 297 255
CPU (Single Core) 136 121 94
3DMark Professional Edition v1.4.828
Ice Storm 60497 51176 32366
Graphics Score 68360 55588 39074
Physics Score 43134 40051 20219
Ice Storm Extreme 44761 36334 21660
Graphics Score 45482 35443 22635
Physics Score 42409 39843 18823
Ice Storm Unlimited 75603 62690 45970
Graphics Score 88745 71808 50279
Physics Score 49795 43403 35363
Cloud Gate 6207 5407 3560
Graphics Score 7672 6493 4064
Physics Score 3722 3411 2483
Sky Diver 3931 2803 1993
Graphics Score 3831 2637 1922
Physics Score 4683 4487 2564
Combined score 3767 2572 1892
Fire Strike 968 756 473
Graphics Score 1018 806 519
Physics Score 5245 4809 3204
Combined score 374 277 161
3DMark06 Build 1.2.0 1901
3DMark Score 9228 7812 5720
SM2.0 Score 3210 2705 2038
HDR/SM3.0 Score 3999 3315 2315
CPU Score 4275 3987 3223
ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編
1,280×720ドット 高品質(ノートPC) 2880 2514 1603
1,920×1,080ドット 高品質(ノートPC) 1345 1274 737

性能重視かつ長時間駆動のモバイルPCを探している人にお勧め

 新VAIO Zは、TDP 28Wの第5世代Coreプロセッサを搭載することによる優れた性能と、実測12時間を超える長時間駆動を両立する、モバイルPCとして非常に魅力的な仕様が特徴となっている。そのほかにも、クラムシェルモードでもタブレットモードでも快適に利用できる2-in-1仕様や、付属デジタイザペンによる軽快なペン入力、フルHD超の超高解像度かつ発色性能に優れる液晶、高解像度カメラ機能の搭載など、利便性を高めるさまざまな魅力が満載な点も、見逃せない部分だ。ストロークの浅いキーボードや、従来モデルより重くなった重量など、少々残念な部分もあるが、総合的な魅力は競合製品を圧倒していると言っていいだろう。

 価格はCore i5-5257U搭載の最小構成で約19万円からと、価格はやや高いが、それも仕様を考えると納得できる範囲内。多少コストをかけてでも、性能や長時間駆動、利便性を重視したモバイルPCを手に入れたいと考えている人にとって、現時点で最も魅力的な製品と言える。

(平澤 寿康)