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「VAIO Zは武士にとっての刀。LaVie ZやLet'snoteとは方向性が違う」
~VAIO Z発表会レポート
(2015/2/16 19:43)
VAIO株式会社は16日、液晶フリップ型2-in-1「VAIO Z」の発表会を開催した。高性能モバイルの称号としてVAIO Zのブランドを受け継いでいるが、このZには「Zero」の意味合いも込められる。
最初に壇上に上った代表取締役社長の関取高行氏は、同社設立から今回の発表までを振り返りながら、VAIOのものづくりについて、「“ものづくりの常識を過程から変え”、“顧客視点”というより“個客視点”を持ちつつ、メーカーのお仕着せではないものをユーザーと“共創”していくもの」と説明した。
実際同社は、同日付けで製品化を決定したタブレットPC「VAIO Z Canvas」について、プロトタイプの段階で製品を公開し、著名なクリエイターに実際に使ってもらい、そのフィードバックを製品に反映。それ以外にも、InterBEEでキヤノンブースに出展したり、日本通信とスマートフォンを共同開発したりと、ソニー時代にはできなかった取り組みを行なっている。
プロトタイプとしての公開こそVAIO Z Canvasが先行したが、240人の社員が一丸となって作り上げたというVAIO Zは、“独創的であるか”ということを常に自問自答しつつ、ソニーからの分離後、ゼロから開発した初めての製品となる。関取氏は、「その意味で会社設立日ではなく、今日こそがVAIOにとって本当のスタートとなる」と述べた。
その具体的な独創性の部分については、同社商品プロデューサーの伊藤好文氏が説明した。
伊藤氏は、VAIO Zで目指した方向性について「最高のアウトプットを求める方の究極の道具でありたい」、「言うならば武士にとっての刀」と表現。スマートフォンやタブレットがノートPCの領域を浸食しつつある中、PCならではの高い性能を保ちながら、同社が持つ高密度実装技術や放熱技術を生かして、モビリティやスタイリッシュさを実現するという。
具体的には、近しい筐体を持つ「VAIO Fit 13A」の65%にまでマザーボードを縮小。その一方で、新規開発したヒートシンクとファンにより適切な冷却を行なうことで、28Wという高いTDPのCPU搭載に成功した。
VAIO Zは、回路やメカの設計から製造までを社内で行なっているが、各種の部材は国内のメーカーと協業し、本製品のために開発したものを多数利用している。これは、国産の部品を使うという前提でそうしたのではなく、微に入り細を穿ったVAIO Zを具現化するにあたり、莫大な数でなくとも品質が担保されることを考慮した結果、それを実現できるのが国内メーカーだったためだが、伊藤氏は「ただの国産ではない。日本代表」と言えるマシンだとした。
そのほか細部の詳細については、別記事を参照されたいが、発表会場には、これらの各部材の展示やデモも行なわれた。
質疑応答では、VAIO Zが狙う市場の規模について、店頭での実売結果を見ると小さいが、直販では大きなボリュームを占めているほか、同社がこの分野をさらに拡大していく意気込みで臨みたいとした。
また、パナソニックの「Let'snote」やNECパーソナルコンピュータの「LaVie Z」シリーズなどの競合とどのように競争していくのかという点について、伊藤氏は「VAIO Zはそれらの製品とは同じ方向を向いていない。それらの製品は、薄さや軽さなどを重視したもの。VAIO Zが対象とするのは、最高の生産性を求める人であり、そのニーズに応えるため、高密度化で圧倒的性能を実現。その上で、冷却技術によって可搬性を追求していった」と回答した。
また、同日、「VAIO Z Canvas」の製品化も発表された。こちらは、完全にクリエイター向けとなるが、プロのクリエイターに使ってもらった実例として、2月21日発売のモーニング・ツーにて、中村光氏が同製品で描いた「聖☆おにいさん」のイラストが表紙を飾ることも発表された。