Hothotレビュー

エプソンダイレクト「Endeavor TN20E」

~Windows 8.1 Pro搭載でコストパフォーマンスに優れる10.1型タブレット

エプソンダイレクト「Endeavor TN20E」

 エプソンダイレクトの「Endeavor TN20E」は、2014年12月9日に発表された10.1型スレートタイプのWindows搭載タブレットPCだ。従来より販売されていた「Endeavor TN10E」のシリーズにラインナップされるモデルで、「TN10E」が11.6型で液晶解像度が1,920×1,080ドットだったのに対し、「TN20E」は10.1型で液晶解像度は1,280×800ドットと、画面サイズを一回り小さくして液晶解像度を下げた、下位モデル的なポジションの製品となる。

 ちなみに、本体サイズと液晶解像度をそのまま継承した純粋な後継モデルとしては液晶着脱式2-in-1の「Endeavor TN30E」が用意されている。ただしTN20Eには、TN30Eにはない、単体でLTE回線に接続可能な「Xi対応無線LANモジュール」がBTOオプションとして選択できるのが優位点だ。

 「TN30E」は事務職や個人向きの仕様だが、「TN20E」は、野外や工場、店舗といった、ネットワーク回線が必須かつPCによる操作が必要な業種向けの端末という位置付けだ。そのため、OSは64bit版のWindows 8.1 Proを搭載しており、企業の端末管理には不可欠なActive Directoryを使用したドメイン参加や、BitLockerによるドライブの暗号化といったセキュリティ対策も万全だ。

 また「TN20E」は税込みで62,640円と、Windows 8.1 Proを搭載しつつ安価な部類に入るのもポイントだ。そこそこの性能のWindows搭載タブレットを大量に投入しようという法人にはうれしい価格と言えるだろう。法人利用がターゲットであれば、液晶解像度を無理に上げて価格を上げるよりは、解像度を1ランク落としても購入しやすい価格の方がメリットがある。

 さらに、アームスタンドやスタンド、防滴・防塵ケースといったオプションも用意されており、法人のタブレット需要にしっかりと応えようというメーカーの姿勢が伺える。なお、本体色はベーシックなダークシルバー1色となる。

 さらに、TN10EのプロセッサがAMDのA4-1200だったのに対し、TN20EはCeleron N2807、TN30EはCeleron N2940と、本世代の製品群より、採用アーキテクチャがIntelの「BayTrail-M」に切り替わっている。

 今回は、Xi対応無線LANモジュールなしのベーシックモデルを試用する機会を得たのでレビューしていく。

【表】Endeavor TNシリーズの仕様比較
型番Endeavor TN20EEndeavor TN30EEndeavor TN10E
(旧モデル)
直販価格
(※原稿執筆時)
64,260円/LTEモジュールなし時
(※3月31日まではキャンペーン適用で58,860円)
86,940円71,820円
プロセッサCeleron N2807(2コア/1.58GHz)Celeron N2940(4コア/1.83GHz)AMD A4-1200(2コア/1.0GHz)
メモリ2GB4GB
内蔵ストレージ64GB64GB(本体側)
500GB(オプション)
128GB
液晶サイズ10.1型ワイド11.6型ワイド
解像度1,280×800ドット1,920×1,080ドット
タッチパネル10点静電容量式タッチパネル
無線LANIEEE 802.11b/g/nIEEE 802.11ac/a/b/g/nIEEE 802.11a/b/g/n
BluetoothVer.4.0
カメラ背面500万画素/前面100万画素背面103万画素背面500万画素/前面200万画素
センサーGPS、ジャイロ、地磁気、加速度、照度ジャイロ、地磁気、加速度ジャイロ、地磁気、加速度、照度
本体サイズ
(幅×奥行き×高さ)
258×173×11mm300×194×11mm
(タブレット単体)
297×192×11mm
重量約690g約720g
(タブレット単体)
約780g
バッテリ駆動時間
(JEITA測定法2.0)
約4.6時間約4.7時間
(タブレット単体)
約5.3時間
OSWindows 8.1 Pro(64bit)Windows 8.1(64bit)
LTE/3G
(オプション)
LTE: バンド1/3/8/19
3G: 900/2,100MHz

法人用途ならではのベーシックな本体設計

 まずは外観を見ていこう。個人向けの特徴あるモデルではなく、あくまで法人向けの実用性重視の設計のため、外見やインターフェイスは必要最低限かつシンプルな構成だ。

 インターフェイス類は、左側面に音量ボタンと音声入出力端子、Micro USB 2.0、Micro HDMI、microSDカードスロットが集中して配置されている。片側に集中しているのは、工場などでの設置のしやすさを考慮したものと思われる。また、USBが2.0と個人向けには物足りない仕様だが、WindowsタブレットではまだまだUSB 2.0が主流であるのに加え、本製品の主要ターゲットの1つである工場などでの制御機器を接続する場合ではUSB 3.0の速度は、それほどニーズが高くないと推察される。

 ディスプレイは先述の通り1,280×800ドット表示の10.1型で、光沢タイプとなる。外光の映り込みは避けられないが、輝度を上げれば視認性に問題はなく、発色も良好だ。

 なお、使用中に、本体のインターフェイスが集中している左側面寄り裏面が、ほんのりと熱くなる。左手で本体を保持して、右手でタッチ操作するようなケースでは、ちょうど熱を持った部分を保持することになるため、少し気になるかも知れない。

正面には100万画素のカメラと照度センサー、Windowsボタンというシンプルな構成。液晶は10点静電容量式タッチパネル
背面も500万画素のカメラとスピーカーのみ
インターフェイス類は左側面に集中。音量ボタンと音声入出力端子、Micro USB 2.0、Micro HDMI、microSDカードスロットを配置
天面には電源ボタンとマイクのみ。電源ボタンは手袋をはめたまま押すことも想定しているためか、やや突起しており、押した際の感覚も固め
底面はインターフェイスはない
同じく右側面もインターフェイス類はない
付属のACアダプタとUSBケーブル。ACアダプタは2A出力
本体のみの実測重量は687.5g

Webラウザやテキストベース処理向けの性能

「艦これ」は快適にプレイ

 Celeron N2807は2コアで、動作クロックは1.58GHzとある程度の性能が出そうなイメージだが、やはりタブレット端末であるため、性能は限定的だ。ベンチマーク結果は下記の通りとなるが、石井英男氏がレビュー記事を執筆しているAtom Z3735F、1,280×800ドット表示液晶搭載の富士通「ARROWS Tab QH33/S」シリーズの結果と比べてみると、一般アプリケーションのベンチマークでは似たようなスコアが出ているが、グラフィックス系ベンチマークでGPUの性能差が表れている。

【表】ベンチマーク結果
PCMark 8 v2
Home 3.0(Accelerated)1044
Creative 3.0(Accelerated)854
Work 2.0(Accelerated)1222
3DMark
Ice Storm8735
Ice Storm Extreme5075
Cloud Gate661
Sky Diver217
FINAL FANTASY XIV 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編
1,280×720ドット
高品質(ノートPC)
414
1,280×720ドット
標準品質(ノートPC)
612
CINEBENCH R15
CPU11Cb
OpenGL2.46fps

 Windowsタブレットとしては可もなく不可もなくといった性能だが、Windows搭載PC全般からすると、やや低めの成績となっているのは仕方ないだろう。エクスプローラーを開く際もワンテンポ動作が遅れるため、やや動作が鈍いイメージを受けてしまう。

 とは言え、Webブラウザのスクロールやクリック時の反応速度は速く、Webページを見たり、Webメールを書くなどの用途には問題ない。また、Flashゲームの中でも比較的重い「艦これ」をプレイしてみたが、ややアニメーションがカクカクするシーンはあるもののプレイは快適に行なえた。また、動作自体は常に安定しており、堅実に動いている印象を受けた。

 バッテリの駆動時間は、BBenchを用いて測定したところ6時間44分と、JEITA測定法2.0による公称値を2時間ほど上回る結果となった。ビジネスにおいて実用的な駆動時間を期待できそうだ。

堅実な作りのWindowsタブレット

 ほかのWindowsタブレットと比べると、USBが2.0である点などややスペック面に物足りなさは残るが、シンプルな構造と堅実でいつも安定した動作が求められるビジネス向けそのものという端末だ。また、色やデザインも日本人好みでどこで使っても違和感は出ない。

 価格的なメリットもあるため「主用途はブラウザやメール」というケースであればコストパフォーマンスに優れている。堅実な買い物がしたい人にお勧めの端末だ。

(シバタススム)