Hothotレビュー

ソニー「VAIO Duo 13」

〜Surf Slider機構搭載のハイブリッドUltrarbookがさらに進化

ソニー「VAIO Duo 13」
6月29日 発売

価格:オープンプライス

 ソニーは、2013年夏モデルとして多数の製品を発表したが、その中でも特に注目したいのが、「VAIO Duo 13」と「VAIO Pro 11/13」の3製品だ。VAIO Duo 13は、その名称からも分かるように、2012年秋冬モデルとして登場した「VAIO Duo 11」の兄弟機であり、液晶サイズが11.6型から13.3型へと大型化されている。VAIO Duo 11は、独自のSurf Slider機構の採用によってタブレットモードとキーボードモードの2種類のモードで利用でき、さらに筆圧検知に対応したペンも利用できるハイブリッドUltrabookとして人気を集めた。新たに登場したVAIO Duo 13は、CPUの世代が新しくなり、液晶サイズが大きくなっただけでなく、Surf Slider機構が一新され、ペンの機能も強化されるなど、さまざまな点が進化している。

 今回は、VAIO Duo 13を試用する機会を得たので、早速レビューしていきたい。なお、今回試用したのは試作機であり、製品版とは細部や性能などが異なる可能性がある。

液晶が11.6型から13.3型になったが、重量は20gしか増えていない

 まずは、ボディから見ていこう。VAIO Duo 13は、タブレットとして使えるタブレットモードと、クラムシェルノートPCとして使えるキーボードモードという2つのスタイルで利用できることが特徴だ。タブレットモードでのサイズは、330×210×9.2〜19.5mm(幅×奥行き×高さ)で、重さは約1.325kgである。兄弟機のVAIO Duo 11のサイズは、319.9×199×17.85mm(同)で、重さは約1.305kgなので、液晶が11.6型から13.3型に大型化されたにも関わらず、横幅は10.1mm、奥行きは11mm、高さは1.65mmしか大きくなっておらず、重量に至ってはわずか20gしか増えていないことに驚かされる。VAIO Duo 11がやや液晶の周りの額縁部分が大きかったということもあるが、液晶が大きくなっても、携帯性はほとんど変わらない。なお、VAIO Duo 11では、オプションのシートバッテリを装着することが可能であったが、VAIO Duo 13は、標準バッテリでの駆動時間が公称約18時間と大きく延びているため(VAIO Duo 11は約7時間)、シートバッテリには対応しない。

 独自の変形機構「Surf Slider」も、VAIO Duo 13では構造が新しくなっている。液晶を手前にスライドさせてキーボードの上に移動することで、キーボードモードからタブレットモードへ変形するという、基本的な仕組みはVAIO Duo 11と同じだが、VAIO Duo 11では液晶を裏から支えているヒンジ部分が液晶の横幅一杯にあったのに対し、VAIO Duo 13では、ヒンジが中央部だけになっているため、外観がよりすっきりし、指などを挟む可能性も減った。キーボードモード時には、液晶を中央部だけで支えていることになるため、液晶がグラグラするのではないかと思ったが、本体の左右端に液晶部分をひっかけて固定するラッチが用意されているため、その心配はない。キーボードモードからタブレットモードへの変形やその逆のタブレットモードからキーボードモードへの変形は、どちらもスムーズに行なえる。ただし、構造上、キーボードモードでの液晶の角度は固定となる(VAIO Duo 11も同じ)。VAIO Duo 13は、キーボード部分がやや凹んだ形状になっているが、タブレットモードにしたときに、液晶背面の出っ張った部分がちょうどはまるようになっており、タブレットモード時の厚さをできるだけ薄くするための工夫である。Surf Sliderもより進化したといえるだろう。

 背面には、NFCリーダーやステレオスピーカー、ASSISTボタン、音量調節ボタン、リアカメラなどが用意されている。

タブレットモードでは、通常のタブレット(ピュアタブレット)とほぼ同じ感覚で使える。キーボードの上に液晶がスライドして重なるため、裏側にキーボードが露出せず違和感がない
「DOS/V POWER REPORT」誌とのサイズ比較。VAIO Duo 13のほうが奥行きで1mm、横幅で53mm大きい
VAIO Duo 13では、液晶を裏から支えているヒンジが中央部だけになり、外観もよりスマートになった
キーボード部分が凹んでおり、液晶を倒すことで、その部分に液晶裏の出っ張った部分がはまるようになっている
左右の端には、液晶を引っかけて固定するラッチが用意されている
【動画】タブレットモードからキーボードモードに変形させ、再びタブレットモードに戻す様子
【動画】画面を回転させているところ
VAIO Duo 13の背面。中央上部にはNFCリーダーが用意されている。手前にはステレオスピーカーやASSISTボタン、音量調節ボタンが用意されている
背面のNFCリーダー部分のアップ
背面のボタン部分のアップ
試用機の重量は、実測で1,302gであった

省電力機能が強化された第4世代Core iを搭載

 今度はPCとしての基本スペックを見ていこう。今回試用したVAIO Duo 13は、店頭モデルの「SVD13219CJW」であり、CPUとしてCore i5-4200U(1.6GHz)を搭載し、4GBのメモリを標準搭載している(メモリの増設はできない)。Core i5-4200Uは、開発コードネームHaswellと呼ばれていたIntelの最新CPUであり、省電力機能が大幅に強化されていることが特徴だ。

 ストレージとしては、128GBのSSDを搭載する。できれば256GBのSSDを搭載して欲しかったところだが、2013年夏モデルのUltrabookとしては標準的な仕様であろう。直販モデルのVAIOオーナーメードモデルでは、CPUとしてより上位のCore i7-4650UやCore i7-4500Uを選択できるほか、メモリも8GBにすることが可能だ。また、SSD容量も256GBや512GBを選択できる。

 液晶は13.3型で、解像度は1,920×1,080ドットのフルHD対応だ。解像度はVAIO Duo 11と同じだが、液晶が大きくなったため、より見やすくなっている。液晶パネル自体も、VAIO Duo 11のVAIOディスプレイプラスと呼ばれるものから、「トリルミナスディスプレイ for mobile」と呼ばれるものに変更されており、より色鮮やかな表示を実現している。もちろん、タッチパネルを搭載しており、タッチ操作も非常に快適だ。また、IPS液晶を採用しているため、視野角が広く、斜めから見ても色のずれが小さい。液晶上部には、有効画素数207万画素の「Exmor R for PC」CMOSセンサーカメラを搭載するほか、背面にも有効画素数799万画素の「Exmor RS for PC」CMOSセンサーカメラが搭載されている。なお、VAIO Duo 11では、背面カメラの有効画素数が207万画素であったため、VAIO Duo 13では、より高画素化されたことになる。

 OSとしてはVAIO Duo 11と同じく、Windwos 8 64bitが搭載されている。

液晶は13.3型で、解像度は1,920×1,080ドットのフルHDである。トリルミナスディスプレイ for mobileの採用により、色鮮やかな表示を実現
フロントカメラとして有効画素数207万画素の「Exmor R for PC」CMOSセンサーを搭載
リアカメラとして有効画素数799万画素の「Exmor RS for PC」CMOSセンサーを搭載

本体にペンを取り付けられるようになり、ペンを抜くとアプリが自動起動する

 キーボードはアイソレーションタイプで、キーピッチは約19mm、キーストロークは約1mmである。キーストロークがやや浅いため、多少底付き感はあるものの、配列は標準的で、快適にタイピングが可能だ。ただし、「め」や「る」などのキーのピッチはやや狭くなっている。また、キーボードにはバックライトが搭載されているので、暗い場所でもタイプミスを減らすことができる。

 ポインティングデバイスも、VAIO Duo 11から大きく変更されている。VAIO Duo 11では、オプティカル・トラックパッドと呼ばれる光学式のデバイスが搭載されていたが、操作にやや慣れが必要であった。VAIO Duo 13では、筐体サイズに余裕ができたこともあり、一般的なタッチパッドに変更された。ただし、パッドのサイズは80×25mmと小さめなので、特に上下へのポインター移動操作はやや敏感な印象を受けた。

 VAIO Duo 11は、筆圧検知対応のペン(デジタイザスタイラス)を備えていることが魅力の1つであったが、VAIO Duo 13ももちろんペンに対応している。VAIO Duo 11では、ペンを本体に収納することや、一体化することができなかったので、ペンを紛失してしまう恐れがあったが、VAIO Duo 13では、本体にゴム製のペンフックを取り付けることができるようになった。ペンフックを取り付ければ、ペンのクリップ部分を差し込んでVAIO Duo 13本体とペンを一体化できるので、ペンの紛失を防げる。

 また、新機能として、ペンに磁石が仕込まれており、ペンフックからペンが取り外されたことを磁気センサーによって検出できるようになった。デフォルトでは、ペンをペンフックから取り外すと、手書きメモソフトの「Note Anytime for VAIO」が起動するようになっており、素早くメモを取ることが可能だが、他のアプリが起動するように設定することも可能だ。さらに、本体右側面には、収納式のペンスタンドが内蔵されており、キーボードモードで利用する際に、ペンを立てかけておけるようになった。このようにVAIO Duo 13では、ペンの使い勝手がさらに向上しているのだ。

キーボードはアイソレーションタイプの全87キー。主要キーのキーピッチは約19mmだが、「め」や「る」などのキーのピッチはやや狭くなっている
キーボードにはバックライトが装備されており、暗い場所でも快適にタイピングが可能だ
ポインティングデバイスとして、タッチパッドを搭載。パッドのサイズは80×25mmと小さめだ
付属のペン(デジタイザースタイラス)。VAIO Duo 11に付属するものとは形状が変わっている
ペンは通称単6形電池と呼ばれる、細いアルカリ乾電池1本で動作する
固さが異なる2種類のペン先が付属しており、好みに応じて選べる
ゴム製のペンフックが付属する
ペンフックは、本体右側面の穴に装着する
ペンフックを本体右側面に装着したところ
このようにペンフックに、ペンのクリップ部分を差し込んで固定することができる
【動画】ペンフックからペンを取り外すと、自動的に指定しておいたアプリが起動する
【動画】本体右側面には、収納式のペンスタンドが内蔵されており、キーボードモードのときにペンを立てかけることが可能だ

有線LANとミニD-Sub15ピンは非サポート

 インターフェイスとしては、USB 3.0×2、HDMI出力、ヘッドフォン出力、メモリースティックデュオ/SDメモリーカードスロットを備えている。Ultrabookとしては標準的と言えるだろう。ただし、VAIO Duo 11に搭載されていた有線LANとミニD-Sub15ピンは省略されている。USB 3.0ポートのうち1つは、本体の電源がオフでも給電が可能なので、スマートフォンやデジカメなどの充電に便利だ。センサー類も充実しており、加速度センサー、ジャイロセンサー、地磁気センサーを搭載する。ただし、VAIO Duo 11で搭載されていたGPSは、VAIO Duo 13では非搭載となっている。

 ワイヤレス機能としてはIEEE 802.11a/b/g/n準拠の無線LANとBluetooth 4.0+HSをサポートするが、VAIO Duo 11でサポートされていたWiMAXは非対応となっている(その代わり、VAIO Duo 11は5GHz帯を利用するIEEE 802.11a/nに非対応)。また、NFCにも対応している。さらに、VAIOオーナーメードモデルでは、auの4G LTEモジュールの搭載も可能だ。

後面には、メモリースティックデュオ/SDメモリーカードスロットやHDMI出力、USB 3.0×2、ヘッドフォン出力(ヘッドセット対応)が用意されている
後面のコネクタ部分のアップ
左側面には、電源スイッチが用意されている
右側面には、収納式のペンスタンドが用意されているほか、ペンフックを取り付けることができる
VAIOオーナーメードモデルでは、auの4G LTEの搭載が可能で、SIMスロットはここに用意される(店頭モデルではSIMスロットは搭載されておらず、LTEなどへの対応はできない)

ACアダプタでUSB給電が可能に

 VAIO Duo 13は、付属のACアダプタも一新されており、新たにUSBポートが用意されている。このUSBポートは、USB給電を行なうためのポートであり、VAIO Duo 13に電力を供給しながら、同時にUSB経由でスマートフォンなどの充電が可能である。また、このACアダプタとドッキングして使うワイヤレスルーター「VGP-WAR100」も、オプションとして用意されている。VGP-WAR100は、このACアダプタのUSBポートから電源の供給を受けて動作する製品であり、有線LAN環境しか用意されていないホテルの客室などでも、VAIO Duo 13を無線LAN経由で接続できるようになる。VAIO Duo 13では、有線LANが省略されているが、VGP-WAR100を利用すれば、その代わりとなる。

ACアダプタもコンパクトで軽く、携帯性は良好だ
新たにUSBポートが用意され、USB給電が可能になったことも嬉しい

Ultrabookながら高いパフォーマンスを実現

 参考のために、ベンチマークテストを行なってみた。利用したベンチマークソフトは、「PCMark05」、「PCMark Vantage」、「PCMark 7 v1.4.0」、「3DMark03」、「3DMark」、「FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3」、「ストリーム出力テスト for 地デジ」、「CrystalDiskMark 2.2」である。比較用として、ソニー「VAIO Duo 11」、「VAIO Fit 15」、ASUS「TransAiO P1801」のスコアも掲載した。

 結果は下の表の通りで、第3世代のCore i5-3317Uを搭載したVAIO Duo 11と比べて、ストレージ性能を除けば、基本的にスコアは高い。Core i7とHDDを搭載したVAIO Fit 15と比べても、スコアはVAIO Duo 13の方が上であり、パフォーマンスは十分だ。

 また、バッテリベンチマークソフトのバッテリベンチマークソフトの「BBench」(海人氏作)を利用し、1分ごとに無線LAN経由でのWebアクセス、10秒ごとにキー入力を行なう設定でバッテリ駆動時間を計測したところ、内蔵バッテリで12時間58分もの長時間駆動が可能になった(電源プランは「バランス」、液晶輝度は「中」)。この駆動時間は、Ultrabookとしてトップクラスであり、同条件のVAIO Duo 11+シートバッテリの9時間57分よりも長い。

VAIO Duo 13 VAIO Duo 11 VAIO Fit 15 TransAiO P1801
CPU Core i5-4200U (1.60GHz) Core i5-3317U (1.70GHz) Core i7-3537U (2GHz) Core i7-3770 (3.4GHz)
ビデオチップ Intel HD Graphics 4400 Intel HD Graphics 4000 Intel HD Graphics 4000 GeForce GT 730M
PCMark05
PCMarks N/A N/A N/A N/A
CPU Score 8203 7885 9453 14047
Memory Score 7302 7825 8082 11721
Graphics Score 2590 2527 2777 N/A
HDD Score 36043 48050 9939 8844
PCMark Vantage 64bit
PCMark Score 13238 N/A 9038 11323
Memories Score 7758 7951 5666 7165
TV and Movie Score Failed Failed Failed Failed
Gaming Score 10782 10248 8348 10339
Music Score 13969 14890 12051 8585
Communications Score 15330 N/A 12300 15585
Productivity Score 17391 N/A 7223 7891
HDD Score 40338 45577 11431 4424
PCMark Vantage 32bit
PCMark Score 12335 N/A 8809 10190
Memories Score 7517 7609 5029 7050
TV and Movie Score Failed Failed Failed Failed
Gaming Score 9670 9199 7121 9252
Music Score 13198 14047 10609 8012
Communications Score 11095 N/A 10611 14139
Productivity Score 15487 N/A 6915 7075
HDD Score 40919 45380 10711 4407
PCMark 7 v1.4.0
PCMark score 4468 未計測 3971 3708
Lightweight score 3145 未計測 2276 2573
Productivity score 2418 未計測 1785 2031
Entertainment score 3316 未計測 2910 3467
Creativity score 8039 未計測 7614 7109
Computation score 11219 未計測 15773 11906
System storage score 5075 未計測 3251 2182
Raw system storage score 4387 未計測 1192 670
3DMark03
1024×768ドット32ビットカラー(3Dmarks) 8677 12635 13486 29062
CPU Score 1560 1658 1980 計測不可
3DMark
Ice Storm 15150 未計測 37436 63692
Cloud Gate 4399 未計測 4184 8120
Fire Strike 654 未計測 587 1143
FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3
HIGH 6397 4206 4565 6687
LOW 8882 6190 6760 計測不可
ストリーム出力テスト for 地デジ
DP 99.97 100 100 99.73
HP 99.97 100 100 100
SP/LP 99.97 99.97 100 99.97
LLP 99.97 100 100 99.97
DP(CPU負荷) 21 14 12 4
HP(CPU負荷) 15 6 4 1
SP/LP(CPU負荷) 10 3 3 1
LLP(CPU負荷) 7 2 1 0
CrystalDiskMark 2.2
シーケンシャルリード 477.9MB/s 458.0MB/s 146.0MB/s 171.4MB/s
シーケンシャルライト 134.3MB/s 260.3MB/s 87.86MB/s 167.9MB/s
512Kランダムリード 418.7MB/s 315.3MB/s 114.6MB/s 62.95MB/s
512Kランダムライト 132.4MB/s 240.1MB/s 78.06MB/s 52.86MB/s
4Kランダムリード 22.47MB/s 19.67MB/s 11.22MB/s 0.951MB/s
4Kランダムライト 48.69MB/s 40.69MB/s 19.64MB/s 0.894MB/s
BBench
Sバッテリ(標準バッテリ) 12時間58分 5時間18分 4時間17分 N/A
Lバッテリ なし 9時間57分 なし N/A

変形ノートPCとしての完成度は高い

 VAIO Duo 13は、独自の変形機構「Surf Slider」を採用したコンバーチブルUltrabookであり、兄弟機のVAIO Duo 11をベースに、ペンの取り外し検出や、タッチパッドの搭載など、さまざまな改良が施されている。無線LAN有効時で約13時間近くも動作することは、VAIO Duo 11と比べた際の大きなアドバンテージである。ペンが付属しているので、タブレットスタイルでお絵描きしたいという人にも最適。製品としての完成度も高く、さまざまな用途に使えることが魅力だ。タブレットとしても使えるノートPCを探している人にお勧めしたい。

(石井 英男)