日本HP「HP Pavilion dv6-6000 Premium Line」
~AV性能に優れるスタンダードノート



日本HP「HP Pavilion dv6-6000 Premium Line」

4月中旬 発売

価格:49,980円~



 日本HPは、15.6型ワイド液晶を搭載するスタンダードノート「HP Pavilion dv6」シリーズの2011年春モデル「「HP Pavilion dv6-6000」シリーズを発表した。dv6-6000シリーズには、コストパフォーマンスに優れる「スタンダードライン」と、スペック面に優れる上位モデル「プレミアムライン」の2ラインが用意されているが、今回は上位モデルとなる「HP Pavilion dv6-6000 Premium Line」を紹介しよう。

●シンプルだが高級感のあるデザイン

 以前の日本HPのノートPCでは、「ZEN-design」と呼ばれる、かなり目立つデザインを天板に施す製品がかなり多かった。ただ、最近の製品では、ZEN-designの採用は減り、どちらかというとシンプルなデザインを採用する製品が多数を占めるようになっている。今回取り上げるHP Pavilion dv6-6000 Premium Line(以下、dv6-6000)も、目立つ部分は、天板部分の光るHPロゴぐらいで、非常に落ち着いたデザインが採用されている。とはいえ、天板やパームレスト部には、ヘアライン処理とアルマイト処理を施したアルミニウム素材が採用され、ダークアンバーのカラーリングと合わせ、シンプルながら高級感を感じさせるデザインとなっている。ZEN-designのファンもいるとは思うが、個人的にはdv6-6000の落ち着いたデザインは非常に好感が持てる。

 本体サイズは、378×250×32~39.5mm(幅×奥行き×高さ)。15.6型ワイド液晶を搭載するスタンダードノートとして、ほぼ一般的なサイズだ。また重量は、実測で2,564gだった。もちろん軽くはないが、家庭内で持ち歩く程度であれば、それほど苦にはならないだろう。

天板部分。特徴的なデザインでおなじみのZEN-designではなく、ヘアライン処理とアルマイト処理を施した、シンプルながら高級感のあるデザインを採用しているフットプリントは、378×250mm(幅×奥行き)と、15.6型ワイド液晶を搭載するノートPCとしてほぼ標準的なサイズだ本体正面。中央部のシルバーのラインが特徴的だ
左側面。高さは32~39.5mmと、手前が薄く奥が高くなっている。高さ自体は特別薄いということはなく、このクラスのノートとしてはほぼ一般的だ背面。中央下部にはバッテリが取り付けられている右側面。光学式ドライブはこちら側に内蔵されている
底面は、プラスチック素材が強く感じられる重量は、実測で2,564gだった

●ハイブリッドグラフィックス機能を搭載

 dv6-6000プレミアムラインでは、外部グラフィックス機能として、AMDのモバイル向けGPUである「Radeon HD 6000M」シリーズのミドルレンジモデル「Radeon HD 6770M」を標準搭載している。DirectX 11対応の優れた3D描画能力や、HD動画再生支援機能の最新版となるUVD3、映像処理以外の処理が行なえるGPGPU機能などをサポート。ゲーミングノートなど、ハイエンドGPUを搭載するノートには敵わないが、それでもこのクラスのノートPCとしてはトップクラスの描画能力を備えており、3Dゲームもかなり快適にプレイ可能だ。

 また、CPU内蔵のIntel HD Graphics 3000と、Radeon HD 6770Mを切り替えて利用できる、いわゆるハイブリッドグラフィックス機能にも対応。ACアダプタを接続して利用している時にはRadeon HD 6770Mを、ACアダプタを抜いてバッテリ駆動になるとIntel HD Graphics 3000に切り替える、といった運用が可能となっている。

 dv6-6000は、モバイル用途をターゲットとしたノートではないため、ハイブリッドグラフィックス機能はそれほど必要性が高いとは思わないが、Intel HD Graphics 3000を有効にできることで、内蔵のハードウェアエンコード支援機能「クイック・シンク・ビデオ」を活用できる点は嬉しい。また、広く節電を求められている現在、省電力性に優れるIntel HD Graphics 3000に切り替えて消費電力を抑えられるのも、大きなポイントと言える。

 液晶パネルは、1,366×768ドット表示対応の15.6型ワイド液晶だ。パネル表面は光沢処理となっているため、発色は非常に鮮やかで、表示品質は高い。ただ、外光の映り込みがかなり激しい点は気になる。また、表示解像度が1,366×768ドットとやや低い点も気になる。プレミアムラインとして、せっかく高性能な外部GPUを搭載しているのだから、フルHD表示対応の液晶パネルも選択できればよかったように思う。

CPU内蔵のIntel HD Graphics 3000に加え、外付けGPUとしてRadeon HD 6770Mを搭載しており、切り替えて利用が可能ACアダプタを抜くと、このようなポップアップが表示され、グラフィックス機能を簡単に切り替えられる
液晶パネルは、1,366×768ドット表示対応の15.6型ワイド液晶を搭載。光沢パネルのため発色は鮮やかだが、外光の映り込みは激しい。また、表示解像度がやや低い点も少々残念液晶パネル上部中央には、約92万画素のWebカメラ「HP TrueVision HD Webcam」を搭載

●「Beats Audio」テクノロジーを採用

 dv6-6000では、「ENVY」シリーズでおなじみの、高音質サウンドテクノロジー「Beats Audio」を採用している点も大きな特徴だ。ENVYシリーズのような、本体デザインや壁紙までも含めたカスタマイズは施されていないものの、本体正面右にはBeats Audio対応を示す「b」ロゴがしっかり印刷されている。

 スピーカーは、キーボード後方に2個、本体正面に2個と、計4個搭載。また、再生サウンドの細かなチューニングが行なえる、Beats Audioソフトウェアも、もちろん搭載。再生メディアのジャンルに合わせて、好みの音質にイコライジングできるため、サウンドにこだわる人にとって、大きな魅力となるはずだ。

 実際の再生音も、さすがに同クラスのノートとはランクの違う音質を実現しているように思う。力強い低音が再生されるだけでなく、中音から高音域も伸びがあり、クリアかつ力強いサウンドが再生される。これなら、よほど音質にこだわる人を除いて、外部スピーカーはほぼ不要と言ってもいい。また、ヘッドフォン出力も、Beats Audioテクノロジーによるチューニングが施されているので、音質にこだわるなら、外部スピーカーではなく、ヘッドフォンを利用するのもいいだろう。しかも、ヘッドフォン出力は2系統用意されているので、2人で音楽を楽しむことも可能だ。

本体正面左右にスピーカーを搭載キーボード奥にも2個のスピーカーが搭載され、合計4個のスピーカーが搭載される正面右スピーカー横に、Beats Audioのロゴが印刷されている
Beats Audioソフトウェアもインストールされており、細かなイコライジングが可能だヘッドフォン出力は標準で2系統用意されている

●基本スペックも充実

 dv6-6000のオンライン直販モデルでは、CPUやメインメモリ容量、内蔵ストレージデバイスなどを自由にカスタマイズできる。CPUは、Core i7-2630QMまたはCore i7-2720QMから選択可能。試用機ではCore i7-2720QMが搭載されていたが、基本的にCore i7のクアッドコアモデルが搭載されるため、処理能力は十分に優れると考えていい。メインメモリは、PC3-10600準拠DDR3 SDRAMを最大8GB搭載可能。試用機では、2GBモジュール×2枚の4GB搭載されていた。チップセットは、Intel HM65 Expressだ。

 内蔵ストレージは、2.5インチHDDまたはSSDが搭載可能。試用機では、Intel製の160GB SSD「SSDSA2M160G2HP」が搭載されていたため、OSやアプリケーションの起動が高速で、非常に快適であった。また、光学式ドライブは、DVDスーパーマルチドライブまたはBlu-ray Discドライブから選択可能だ。無線機能は、IEEE 802.11b/g/n対応無線LANを標準搭載し、Bluetooth 3.0はオプションとなっている。

 側面のポート類は、左側面にアナログRGB出力(ミニD-Sub15ピン)とHDMI出力、Gigabit Ethernet、USB 3.0ポート×2、マイク端子、ヘッドフォン端子×2が、右側面にUSB 2.0ポート×2と電源コネクタが、前面にSD/SDHC/SDXCカードおよびマルチメディアカードに対応する2in1メディアスロットがそれぞれ用意されている。

 キーボードは、キーとキーの間が開いた、アイソレーションタイプのキーボードを搭載している。キーピッチは縦横とも18.7mmと、ほぼフルサイズで、デスクトップ用キーボードとほぼ同等の操作性を実現。また、テンキーも標準で用意され、扱いやすさは申し分ない。

 ポインティングデバイスは、ジェスチャー機能に対応するパッド式のタッチパッドを搭載。パッド面は面積が広く、非常に扱いやすい。また、左上の隅をダブルタップすることで、タッチパッドの動作をON/OFFでき、外付けマウス接続時などに役立つ。そして、右パームレストには指紋認証用センサーも標準搭載している。

左側面には、アナログRGB出力とHDMI出力、Gigabit Ethernet、USB 3.0ポート×2、マイク端子、ヘッドフォン端子×2を用意右側面には、USB 2.0ポート×2と電源コネクタを用意前面左側に、SD/SDHC/SDXCカードおよびマルチメディアカードに対応する2in1メディアスロットを用意
光学式ドライブは、DVDスーパーマルチドライブまたはBlu-rayドライブを選択できる底面にはメインメモリ用のSO-DIMMスロットが2本用意されており、最大8GBまで搭載可能ストレージデバイスは、2.5インチのHDDまたはSSDが選択できる
アイソレーションタイプのキーボードを採用。いびつな配列はなく、テンキーも標準搭載され、扱いやすいキーピッチは、縦横とも18.7mmと、ほぼフルサイズ。デスクトップ用キーボードとほぼ同等の感覚で扱えるポインティングデバイスのタッチパッドは、面積が広く、ジェスチャーにも対応し、扱いやすい
パッドの左上角をダブルタップすると、タッチパッドの動作をON/OFFできる。動作がOFFになると、パッド周囲の光が消え、上部のみオレンジに光るようになるパームレスト右側には、指紋認証用センサーが標準搭載されている付属のACアダプタはかなり大きい

●オールラウンドに活躍できるメインノートとしておすすめ

 では、ベンチマークテストの結果を見ていこう。利用したベンチマークソフトは、Futuremarkの「PCMark Vantage Build 1.0.1 1901」と「PCMark05 Build 1.2.0 1901」、「3DMark Vantage Bulld 1.0.1 1901」、「3DMark06 Build 1.1.0 1901」に加え、カプコンの「モンスターハンターフロンティアベンチマーク【絆】」、「バイオハザード5ベンチマーク」の6種類。比較として、ソニーのVAIO F VPCF219FJ/BIと、NECのLaVie L PC-LL970DSの結果を加えてある。

 Pavilion dv6-6002TXVAIO F VPCF219FJ/BILaVie L LL970/DS
CPUCore i7-2720QM (2.20/3.30GHz)Core i7-2630QM (2.00/2.90GHz)Core i7-2620M (2.70/3.40GHz)
チップセットIntel HM65 ExpressIntel HM65 ExpressIntel HM65 Express
ビデオチップRadeon HD 6770MGeForce GT 540MIntel HD Graphics 3000
メモリPC3-10600 DDR3 SDRAM 4GBPC3-10600 DDR3 SDRAM 2GB×2PC3-10600 DDR3 SDRAM 4GB×2
ストレージ160GB SSD (SSDSA2M160G2HP)640GB HDD (HM641JI)750GB HDD (WD7500BPVT)
OSWindows 7 Home Premium 64bitWindows 7 Home Premium 64bitWindows 7 Home Premium 64bit
PCMark Vantage x64 Build 1.0.1 0906a
PCMark Suite1577975267654
Memories Suite815649244583
TV and Movies Suite600354014775
Gaming Suite1545772924904
Music Suite1697263346983
Communications Suite15516658710439
Productivity Suite1775659965166
HDD Test Suite2487834103762
PCMark05 Build 1.2.0
PCMark ScoreN/AN/AN/A
CPU Score1102690679820
Memory Score8968878110451
Graphics Score1102790015259
HDD Score2949051695893
3DMark Vantage Bulld 1.0.1 0906a 1,280×1,024ドット
3DMark Score645546021976
GPU Score526935951556
CPU Score199762877210339
3DMark06 Build 1.1.0 0906a
3DMark Score1209183114477
SM2.0 Score408433281520
HDR/SM3.0 Score532429421755
CPU Score575550523813
Windows エクスペリエンスインデックス
プロセッサ7.57.57.1
メモリ7.57.87.5
グラフィックス6.96.56.2
ゲーム用グラフィックス6.96.56.2
プライマリハードディスク7.75.95.9
モンスターハンターフロンティアベンチマーク【絆】
1,280×720ドット614643652248
1,920×1,080ドット353321631138
バイオハザード5ベンチマーク DX10
(AA:8X、モーションブラー:オン、影品質:高、テクスチャ品質:高、画面クオリティ:高)
1,280×720ドット53.438.7
58.542.4
1,920×1,080ドット31.921
35.824.1

 結果を見ると、CPUの処理能力はもちろん、Radeon HD 6770Mの優れた3D描画能力、SSD搭載によるストレージ性能の高さが際立っていることがよくわかる。これなら、ビジネス系アプリはもちろんのこと、動画や静止画などの映像処理作業、3Dゲームなども快適にこなせるはずだ。製品の位置付けはメインストリーム向けだが、ハイエンドモデルに匹敵するパフォーマンスが備わっている点は、大きな魅力となるだろう。

 バッテリ駆動時間は、カタログ値で約5.5時間とされている。モバイル機ではないため、長時間のバッテリ駆動時間はそれほど要求されないとは思うが、一応計測してみた。すると、省電力設定を「省電力」に設定し、バックライト輝度を40%、グラフィックス機能をIntel HD Graphics 3000に設定し、設定無線LANのみを有効にした状態で、BBenchを利用してキー入力とWeb巡回にチェックを入れて計測したところ、約5時間58分と、6時間近くも駆動した。これだけ持てば、家庭内で他の部屋に移動して利用する場合でも、ACアダプタを持ち歩く必要はほぼ無いだろう。ちなみに、省電力設定を「高パフォーマンス」にし、グラフィックス機能をRadeon HD 6770Mに設定した場合では、約1時間33分であった。

バッテリ駆動時間
省電力設定「省電力」、BBench利用時:約5時間58分
省電力設定「高パフォーマンス」、動画再生時約1時間33分

 dv6-6000 プレミアムラインは、メインストリームノートでありながら、ハイエンドノートに匹敵するパフォーマンスを実現するとともに、高性能GPU搭載による優れた3D描画能力や、Beats Audioテクノロジー対応の優れたサウンド再生能力など、AV性能にも優れる、オールラウンドに活躍できるノートだ。液晶パネルの表示解像度が1,366×768ドットと低い点に加え、高負荷時に空冷ファンの音が若干うるさく感じる点は少々残念だが、その弱点を補って余りある魅力が詰まっている。しかも、今回の試用機の構成で119,805円と安価な点も嬉しい。ビジネスからホビーまで、広い用途に活躍できるメインノートとして、広くオススメしたい。

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(2011年 4月 19日)

[Text by 平澤 寿康]