Hothotレビュー
2万円台半ばでアプリ同時表示機能が使える10.1型ハイコスパタブレット
~ファーウェイ「MediaPad T2 10.0 Pro」
2016年7月15日 06:00
ファーウェイ・ジャパンから、10.1型Androidタブレット「MediaPad T2 10.0 Pro」が登場した。実売25,000円前後と低価格ながら、オクタコアCPU、解像度1,920×1,200ドットの10.1型液晶を搭載、IEEE 802.11ac準拠無線LANなど、スペック面が充実していることから、注目を集める存在となっている。
今回は、このMediaPad T2 10.0 Proを取り上げ、仕様面や使い勝手などをチェックしていく。
このクラスの製品として標準的なデザイン
「MediaPad T2 10.0 Pro」(以下、T2 10.0 Pro)は、ファーウェイが発売するAndroidタブレット「MediaPad」シリーズの最新モデル。従来モデル「MediaPad T1」の後継モデルと考えていいだろう。
製品の位置付けは、コストパフォーマンスを追求したミドルレンジモデルとなる。後ほど紹介するように、ハイエンドモデルと比べるとスペックはやや抑え気味だが、必要十分な機能が詰め込まれており、メインストリームタブレットとして申し分ない仕様となっている。
その反面、本体デザインは、コスト追求モデルらしくやや地味で、樹脂製筐体を採用していることもあり、少々安っぽさも感じられる。ただ、筐体色はホワイト基調で目立つような装飾もほとんどなく、比較的すっきりとしたデザインなので、このクラスの製品としてはまずまず好印象だ。
本体サイズは、259.1×156.4×8.5mm(幅×奥行き×高さ)。ファーウェイ製タブレットでは、液晶ベゼルを狭めた製品が多くなっているが、T2 10.0 Proに関してはベゼルはそれほど狭くはなく、10.1型液晶搭載タブレットとして標準的なフットプリントとなっている。厚みもこのクラスのタブレットとしては普通だ。
重量は公称約495g、実測では482.5gだった。10.1型タブレットの最軽量モデルでは400gを切る軽さを実現する製品もある。タブレットは常に手に持って使うのがほとんどということを考えると、軽いに越したことはないが、価格などとのバランスを考えると標準的だろう。
なお、本体デザインは、auから発売されている「Qua tab 02」にかなり近い。細かな違いは見られるが、スペック面もかなり似ていることから、T2 10.0 ProはQua tab 02をベースとして一部機能を省いたモデルと言えそうだ。
10.1型WUXGA(1,920×1,200ドット)液晶を搭載
T2 10.0 Proでは、1,920×1,200ドット表示対応の10.1型液晶を搭載している。コストパフォーマンス追求モデルではあるが、フルHD超の高解像度液晶を搭載する点は嬉しい。また、アスペクト比も16:10と縦の幅が広い。最近では、アスペクト比4:3の液晶を搭載する製品が増えているが、アスペクト比16:9の液晶を搭載する製品と比べると、T2 10.0 Proは電子書籍を表示する場合でも有利となるだろう。
パネルの種類はIPSで、視野角は十分に広い。どの角度から見ても色合いや明るさの変化はほとんど感じられない。バックライトの輝度も高く、こちらも必要十分だ。
表示品質に関しては、特別優れるわけではなく、発色の鮮やかさなどは標準的といったところで、ハッとするような鮮やかさは感じられない。それでも、このクラスの製品として満足できるレベルの品質はクリアしており、デジタルカメラの写真やWeb動画などを表示する場合でも、大きな不満を感じることはないだろう。
また、電子書籍閲覧時などに目の疲れを低減する、ブルーライトカット機能「Eye careモード」や、バックライト輝度を高めて野外での視認性を高める機能など、同社の上位タブレットに搭載されている機能も盛り込まれている。ブルーライトカットは色合いが変わるため、利用シーンは限られるが、文字だけの電子書籍を閲覧する場合などには便利に活用できそうだ。
なお、液晶パネル表面は光沢仕様となっており、外光の映り込みはやや気になる。加えて、液晶面に指紋の痕が残りやすい点もかなり気になった。定期的に液晶面の指紋の痕を拭うなどのメンテナンスは不可欠だろう。
画面を分割して2つのアプリを同時利用可能
T2 10.0 Proには、画面を2分割し、2つのアプリを同時利用できる「画面分割」機能が用意されている。この機能は、画面下部のアプリ履歴ボタン(□ボタン)を長押しすることで呼び出せる。
画面分割機能を呼び出すと、画面中央に分割線が表示され、表示領域が2分割される。そして、それぞれの領域に任意のアプリを起動して同時利用が可能となる。一部スマートフォンやタブレットでは、”スモールアプリ”と呼ばれるアプリを活用して、2種類のアプリの同時利用を実現しているものもあるが、T2 10.0 Proの画面分割機能では、専用アプリではなく、通常のアプリを2つ同時利用できるという点が大きな特徴となっている。
例えば、ChromeとGoogleマップを同時に開いて利用したり、YouTubeアプリとTwitterクライアントを同時に開いて利用する、といったことできる。また、各アプリの表示領域も自由に調整可能。分割線中央に領域調整アイコンがあり、その部分をドラッグすることで表示領域を調整できる。もちろん、縦画面、横画面どちらでも利用可能だ。機能的には、Windows 8以降で搭載された「スナップ」機能に近いものと考えると分かりやすいかもしれない。
画面分割機能を呼び出して画面が分割されると、それぞれの領域に利用できるアプリのアイコンが表示される。その中から利用したいアプリを選択すれば、各領域でそのアプリが起動し利用可能となる。また、特定のアプリ利用時に画面分割機能を呼び出した場合には、起動中のアプリが片方の領域に表示され、もう一方の領域に異なるアプリを起動することになる。
実際に使ってみたが、同時に起動した2つのアプリは、同時に操作できるわけではない。操作したいアプリ側をタップすると、その領域を囲む青いラインが表示され、ラインが表示されているアプリを操作可能となる。つまり、操作したいアプリを切り替えながら利用することになる。
とは言え、実際に2つのアプリを同時に操作することはないため、この点は大きな問題はない。また、操作していない側のアプリも動作が止まるわけではなく、横で動作を続けている。YouTubeのライブ動画を視聴しながらTwitterでツイートするといった場合でも、Twitterクライアントを操作している時にライブ動画の再生が止まることはない。
ただし、全てのアプリが画面分割機能で利用できるわけではない。画面分割機能で利用できるアプリは、あらかじめファーウェイが動作検証したアプリのみとなっている。サポートアプリのリストは本体に登録されており、そのリストにないアプリは利用できないという。現時点で200を超えるアプリをサポートしているそうで、今後は国内で人気のアプリを中心として動作検証を行ない、ソフトウェアアップデートのタイミングでリストを更新していく計画とのことだ。
また、利用可能なアプリでも、画面分割機能利用時に表示が崩れる場合もある。例えば、Twitter公式アプリでは、縦画面での利用時には問題なかったが、横画面での利用時にはツイート表示領域が極端に狭まり、まともな利用は不可能となってしまう。
このように、アプリによって挙動が異なり、全てのアプリが利用できるわけではないが、画面分割機能は思った以上に便利に活用できるという印象。Web動画視聴中でもTwitterなどのSNSを常にチェックしたいという場面などで、かなり威力を発揮してくれそうだ。
IEEE 802.11ac準拠無線LANに対応もLTE/3G通信機能は備えず
では、基本スペックを確認しておこう。SoCは64bitオクタコアのSnapdragon 615(MSM8939)を採用。メモリは2GB、内蔵ストレージは16GB。この辺りのスペックはミドルレンジ向けタブレットとして標準的だが、内蔵ストレージ容量はやや少ない印象。ただそれも、microSDカードスロットを備え、ストレージの拡張が可能なので、大きな問題はないだろう。OSはAndroid 5.1.1を採用する。
通信機能としては、標準でIEEE 802.11a/b/g/n/ac準拠の無線LANと、Bluetooth 4.1を搭載。最近は、スマートフォンでも802.11ac準拠の無線LANを搭載する製品が多くなってきているが、コストパフォーマンスを追求した製品ではまだ802.11n準拠に留まるものも少なくない。そういった中、T2 10.0 Proは802.11ac準拠無線LANを標準搭載している点は、特徴と言えるだろう。1×1で速度は最大433Mbpsとなるが、5GHz帯域のため安定して高速な通信が行なえ、Web動画なども安定した視聴が可能だ。
それに対し、LTE/3G通信機能は備えない。ファーウェイは、スマートフォンやモバイルルーターなど、LTE/3G対応機器を多数送り出していることを考えると残念な部分だ。とは言え、LTE/3G通信機能を搭載するとなると、コスト的にこの価格帯での発売は難しくなるだろう。自宅にインターネット回線があり、無線LAN環境も用意済みであれば、自宅での利用時にLTE/3G機能がなくても問題はないし、外出先での利用も、スマートフォンを持っている場合には、スマートフォンのテザリングで対応すればいい。価格を考えると、こういった割り切りが必要な部分も、それほど大きな欠点とはならないはずだ。
センサー類は、加速度センサーと環境光センサーのみを搭載する。カメラは、背面に800万画素のメインカメラと、液晶面に200万画素の前面カメラを搭載。背面のメインカメラにはLEDフラッシュも搭載しているので、暗い場所での撮影も可能だ。
側面のポートとしては、左側面にオーディオジャック、上部側面にmicroSDカードスロット、右側面にMicro USBポートを備える。内蔵バッテリの充電は、付属のACアダプタを利用してMicro USBポート経由で行なうが、一般的なUSB ACアダプタやモバイルバッテリなどを利用した充電も可能だ。
最後に、ベンチマークテストの結果をまとめておく。結果は、スペック相応といった感じで、特別優れるということはない。実際に利用してみても、アプリの切り替え時などに一瞬待たされるような感覚があるなど、上位SoCを搭載するタブレットやスマートフォンと比べて、やや動作が緩慢と感じる場面もあった。それでも、Webブラウザや動画再生、電子書籍アプリを利用した電子書籍の閲覧などといった、タブレットで普段よく利用する作業中には、動作の重さを感じる場面は少なく、この価格帯のタブレットとしては満足できる性能を備えていると言っていいだろう。
AnTuTu Benchmark v6.1.4 | |
---|---|
総合 | 37,511 |
3D | 5,210 |
3D[孤立] | 3,571 |
3D[ガーデン] | 1,639 |
UX | 15,340 |
UXデータセキュリティ | 4,507 |
UXデータプログレス | 2,240 |
UX戦略ゲーム | 2,581 |
UX画像処理 | 2,802 |
UX I/Oパフォーマンス | 3,215 |
CPU | 13,260 |
CPU 算数 | 2,910 |
CPU共通のアルゴリズム | 3,999 |
CPU マルチコア | 6,350 |
RAM | 3,705 |
PCMark for Android Benchmark 1.4.3539 | |
---|---|
Work performance score | 3,642 |
Web browsing score | 3,544 |
Video playback score | 3,919 |
Writing score | 3,760 |
Photo Editing score | 3,371 |
3DMark 1.5.3285 | |
---|---|
Ice Storm Extreme | |
Ice Storm score | 5,366 |
Graphics score | 4,902 |
Physics score | 8,023 |
Graphics test 1(FPS) | 26.7 |
Graphics test 2(FPS) | 17.7 |
Physics test(FPS) | 25.5 |
Sling Shot using ES 3.0 | |
Score | 128 |
Graphics score | 103 |
Physics score | 996 |
Graphics test 1(FPS) | 0.3 |
Graphics test 2(FPS) | 1.4 |
Physics section 1(FPS) | 17.6 |
Physics section 2(FPS) | 11.4 |
Physics section 3(FPS) | 5.3 |
また、バッテリ駆動時間も検証してみた。T2 10.0 Proには、容量6,660mAhのリチウムポリマーバッテリが搭載され、動画再生時で約13時間の駆動が可能とされている。そこで、内蔵ストレージにフルHDのH.264動画を保存し、液晶輝度を50%に設定して連続再生させたところ、約10時間18分の駆動を確認した。バックライト輝度をさらに下げると、公称に近い駆動時間も実現できると思うが、それでもバックライト輝度を50%に設定した状態で、フルHD動画の連続再生が10時間を超えるなら申し分ないだろう。
家庭内で利用するコストパフォーマンス重視のタブレットとしてお勧め
T2 10.0 Proは、2万円台半ばとエントリークラスの価格帯ながら、10.1型UWXGA液晶を搭載し、必要十分な性能が詰め込まれた、コストパフォーマンスに優れる製品に仕上がっている。機能面や性能は、上位製品にやや劣る部分も見られるが、価格帯を考えると十分納得できる範囲内。家庭内で、Webアクセスや動画の視聴、電子書籍の閲覧などに活用するタブレットを探しているなら、検討に値する製品だ。