PCゲームグッズLab.

Razerのゲーマー向け無線マウス「Mamba」の性能を見る
〜マイクロソフト「X8」と比較も



Mamba Wireless Laser Gaming Mouse

発売中
価格:129.99ドル


 米Razerは2009年2月、ゲーマー向けを謳うワイヤレスマウス「Mamba Wireless Laser Gaming Mouse」(以下Mamba)を発売した。価格は129ドル。今回のPCゲームグッズLab.では、ワイヤレスでありながら1,000Hzで動作し、レイテンシを抑えてゲーミングに耐えると謳う性能をチェックする。併せて、マイクロソフトが3月に発売したゲーマー向けワイヤレスマウス「SideWinder X8 Mouse」と比較する。

●Mambaは無線と有線の2モードで使える
ロゴ部分は光沢感のある塗装

 まずはMambaの仕様をおさらいする。

 ボタン数は左右クリック、ホイール、左サイドボタン×2、マウス左肩のdpi変更ボタン×2の計7ボタン。左右クリックはごく一般的な感触だが、サイドボタンはややストロークが深く、好みが分かれるかもしれない。ホイールクリックは非常に柔らかく、クリック感は小さい。総じてクセは少ない方だろう。

 いずれのボタンも設定が可能で、マクロを登録することができる。センサーは「Razer Precision 3.5G Laser sensor」で、最大5,600dpi、毎秒200インチの速度、50Gの加速に対応するという。

 無線方式は2.4GHz帯を採用。インターフェイスはUSB。対応OSはWindows 2000/XP/Vista。電源はカートリッジ型のバッテリで、駆動時間は持続的なゲームプレイで14時間、普通のゲームプレイで72時間としている。バッテリのメモリは3段有り、おおむねフル充電から4時間前後のゲームプレイで、バッテリの目盛りが1つ減り、同様にフル充電から7時間のオフィスワークで1つ減る感じだった。

 また、特徴的な機能として、無線と有線を切り替えて利用できる機能、オンボードメモリへのプロファイル記録といった機能が利用できる。さらに無線状態でも、一般的なゲーミングマウスと同等の、1,000Hzのポーリングレートによる高速なレポートレートを実現しているという。この件については後述する。

 本体サイズは70×128×42.5mm(幅×奥行き×高さ)、重量は実測で約132g。バッテリの重量は約20g。

●高級志向、グリップ感は良し

 仕様を押さえたところで、実際にMambaのパッケージをチェックする。

 右図の通り、Mambaは台座にパーツで固定されたパッケージになっている。台座部分には、クレードルとなるCharging Dockや、USBケーブル、バッテリ、各種ドキュメントなどが格納されている。各パーツも紙のケースに収められているなど、非常に手が込んでいる。上部のケースを取り外すのに少々苦労したが、全体的に高級志向だ。

Mambaはディスプレイされたパッケージになっている 台座を取り外す
台座部分にケーブルやパーツが格納されている 内容物一覧。ケーブルはファブリックタイプ

 マウス本体の形状は、非対称の右利き用で非常にコンパクトだ。ホイール付近の切れ込みが特徴的だが、ここにUSBケーブルを接続しマウスの電源をOFFにすると、有線モードに切り替わる。その場合には、随時バッテリが充電される。

 無線モードに戻すには、背面のスイッチをスライドさせ切欠をはずし、ケーブルを引き抜く。かなり抜きづらいため、頻繁に切り替える使い方はお勧めできない。

 筐体は、マットに仕上げられたボタン部分から背中にかけてのパーツと、サイドから底面を覆うブラックのクリアパーツからなる。クリアパーツの部分は傷がやや目立つので取り扱いには注意した方が良さそうだ。

 薬指で右クリックを押す3本指の持ち方は可能だが、右ボタンの位置が高めで、小指だけで右側を押さえるため、少し不安定に感じた。中指で右クリックを押す方が自然に持てるだろう。だが、後者の持ち方をした場合に、薬指がマウス側面の光沢のある部分に常に触れてしまい、非常に汗をかくのが難点である。親指と小指が触れる部分はくぼんだ形状で、ラバーでカバーされており滑ることはない。

 右側面薬指の問題は、テーピングやグリップの貼り付けでケアしたほうが良いだろう。とはいえ、サイドの底面側のくぼみなどによる引き締まった形状は、非常にグリップ感が高い。

右側面 正面。ホイール部分の切れ込みが特徴的 左クリックのそばにdpi変更ボタン
左側面 底面。クリアなパーツで内部が透けて見える

●無線のゆらぎがおしい、有線はハイエンドクラス

 では、焦点の性能について見てみよう。

 まずは、「DirectX mouserate checker」でレポートレートを確認した。レポートレートとは、マウスが読み取り演算したカーソルの動きを報告するタイミングのことだ。これによって、報告の遅延が決まってくる。

 比較対象にSideWinder X8(無線)とG9x(有線)を用意した。結果は下表の通り。dpiは標準で設定されているものの中程を適宜用いた。

【表1】レポートレートとレイテンシのまとめ(ピーク値)


マウスレート設定値 分解能の設定 レポートレートの計測結果 レイテンシ
Mamba(無線モード) 500Hz 1,800dpi 515Hz 1.94ms
1,000Hz 1,800dpi 852Hz 1.17ms
Mamba(有線モード) 500Hz 1,800dpi 516Hz 1.94ms
1,000Hz 1,800dpi 1,049Hz 0.95ms
G9x(有線) 500Hz 1,600dpi 515Hz 1.94ms
1,000Hz 1,600dpi 1,054Hz 0.95ms
SideWinder X8 (無線) デフォルト設定 1,500dpi 518Hz 1.95ms

 表から分かる通り、1,000Hz設定のMamba(無線モード)は、実際のレポートレートが設定を少々下回った。レイテンシを見ると、500Hz動作の製品よりは段違いに高速だが、有線のG9xの1,000Hz設定には今一歩及んでいない。Mambaの有線モードは、有線のみのG9xと同等の性能を発揮し、ハイエンドクラスに達している。

 ゲーマー向けの無線マウスとして、Mambaのライバルと目されているSidewinder X8を見てみると、レポートレートは518Hz、レイテンシは1.95msということで、Mambaよりも一段階劣っている。ハイエンドクラスには及ばないが、ゲーマー向けマウスでは1世代前にあたる500Hz動作のマウス程度の性能はあるようだ。

 ピーク性能を確認したところで、もう少し長いスパンの性能を見るべく、シグマA・P・Oシステム販売が提供しているツールでチェックした。設定は前述のテストと同一だ。なお、下図に赤字で表示されているReport Rateは瞬間的なもので、平均ではないので注意されたい。また、下図の拡大画像は1,920ドット×1,168ドットある。

Mamba 無線モード 1,000Hz 1,800dpi Mamba 無線モード 1,000Hz 1,600dpi Mamba 有線モード 1,000Hz 1,800dpi
SideWinder X8 1,500dpi G9x 1,000Hz 1,600dpi G9x 500Hz 1,600dpi

 まずMamba(無線/1,000Hz)の結果を見ていると、予想以上に安定していることに驚くが、3回または2回毎に“間”があるようだ。ただ、SideWinder X8と比較した場合、隙間の幅やタイミングのスキップの少なさなど、安定性でMambaが大きく上回る。実際にMambaをゲームで使ってみても、その“間”は小さすぎてほとんど感じ取れなかった。

 次いで、Mamba(無線/1,000Hz)を有線のG9xと比べると、G9xはより細かなラインが描けていて、有線によるレポートレートの高速さがはっきりと現われていている。Mamba(有線/1,000Hz)とG9xを比較すると、双方にスキップが散見されるものの、ほとんど同じレポート性能を備えていると考えて良さそうだ。このテストからも、Mambaの有線モードはハイエンドクラスあると考えて間違いないだろう。

 総じてMamba 無線モードは、やはりレイテンシや安定性で有線に劣る。500Hzの有線よりも、Mamba 無線モードのピーク性能が高いものの、無線故のゆらぎが気になる。それは体感できないレベルではあるが、ドット単位のコントロールを要求するユーザーにとってはまだまだと言ったところかもしれない。

●ゲーマー向けワイヤレスではトップの性能

 以上見てきたとおり、無線モードのMambaは500Hz設定の有線マウスよりは高速なレポート性能を持つが、ややゆらぎがある。一方、1,000Hz設定の有線マウスと比較すると、それには劣るという結果になった。

 個人的な印象を述べると、Mambaの無線モードにおけるカーソル移動スピードのゆらぎは知覚できるレベルではない。また、レイテンシについてもSideWinder X8のようにカーソルがぬめる感覚はない。だが、PCでFPSを嗜むようなエンスー系のゲーマーにとって、カーソルの進みが一定ではないという、一点だけで致命的だろう。

 とはいえ、クセのない形状や、比較的軽量であることは評価できる。無線マウスとして、精妙な操作が不要なゲームやオフィスワークなどで快適に使うことができる。対抗のSideWinder X8と比較すると、その独特の形状に思い入れがある場合を除いて、全体的な完成度はMambaが遙かに上だ。

 加えて有線モードでは、ハイエンドレベルの品質がある。有線モードでは、バッテリを取り外しても使えるため、重量が約110という比較的軽量なマウスとして利用できる。バッテリの劣化が不安になるが、そうした場合にも有線マウスとして使える。この辺りの作り込みは素晴らしい。

 これらを含めて考えると、ゲーマー向けのワイヤレスマウスとして、現状ではMambaがトップにあることは間違いないだろう。ただ、相変わらずソフトウェアの挙動が少々おかしく、レポートレートの設定と表示が食い違ったり、ソフトウェアがクラッシュすることがあった。利用には問題ないレベルなので、今後の改善に期待したいところである。

 なお、Mambaは、Lachesisに搭載されていたPhilips製センサーと同等の物を搭載していると思われる。そのため、特に布系のマウスパッドなどで、カーソルの揺動が発生することがあるので注意されたい。

バックナンバー

(2009年 5月 1日)

[Text by 松山 靖之]

【PC Watchホームページ】


PC Watch編集部 pc-watch-info@impress.co.jp
お問い合わせに対して、個別にご回答はいたしません。

Copyright © 2016 Impress Corporation. All rights reserved.