.biz
落下2,000回や水没30分にも耐える4.7型「タフパッド FZ-N1」
(2016/2/23 18:25)
パナソニック システムネットワークス株式会社は23日、堅牢タブレットの「タフパッド」シリーズに小売や流通をターゲットにした4.7型サイズの端末「FZ-N1」を発表し、記者向けの製品説明会を開催した。
主な仕様は別記事にて掲載している通りで、1.8mの落下試験に耐えるような堅牢性を持たせつつ、275gという軽量さを実現した。OSは現状Android版のみだが、後述する通り、Windows版が登場する可能性は高い。
まず、パナソニック ITプロダクツ事業部 ターミナルシステムビジネスユニット営業部 部長の向坂紀彦氏が壇上に上がり、パナソニックの頑丈PC「タフブック」と、20型や10.1型などの頑丈タブレット「タフパッド」がともに頑丈モバイル製品のグローバルシェアが1位であることを述べ、前者はシェアの64%を、後者は45%を獲得していることから、順調にタフシリーズの拡大が行なわれているとした。なお、パナソニックでは今回発表した4.7型といった小型のタフパッドを“ハンドヘルド”として位置付けを分けており、上記タブレットシェアには含まれていない点に注意されたい。
向坂氏はハンドヘルドタイプの4.7型タフパッドとしては、2014年に発表した「FZ-E1」と「FZ-X1」でラインナップを展開しているが、今回同じ4.7型ハンドヘルドとしてさまざまなユーザーの要望を汲み取った「FZ-N1」を投入したことを伝え、堅牢タイプの4.7型ハンドヘルドとしては世界最軽量の275gを実現したことをアピール。ハンディターミナル、PDA、携帯電話の1台3役を担い、ユーザービリティを高めたバーコードリーダの搭載を特徴とし、モバイルワーカーのためにより軽く使いやすさを重視した製品であると述べた。
FZ-N1の製品紹介は、パナソニックシステム ネットワークス株式会社 ターミナルシステムビジネスユニット スマートフォン開発部 ハード総括の浦田康人氏が引き継ぎ、FZ-N1が備えている5つの特徴を紹介した。
1つ目に挙げたのはお家芸の“頑丈性能”で、タフパッドシリーズらしくさまざま耐久性試験をクリアしている。落下および衝撃では、1.8mの高さからコンクリートへの落下試験、1mの落下を2,000回行なうタンブル試験、MIL-STD-810G準拠の耐衝撃/耐振動試験、80cmの高さからディスプレイ面に300gの鋼球を落とす試験を行なった。また、防塵および防水のIP65/IP67に準拠しており、75μmの粉塵すら内部に入り込まない設計、噴流水や1mの水圧に30分耐える性能を備える。寒冷/炎暑での利用もでき、-10℃から50℃での動作を可能とし、非動作時は-30℃から70℃まで耐えることができる。
FZ-X1では堅牢性を高めるためにマグネシウムを使用したが、FZ-N1では軽量性も兼ね備えなければならないため、マグネシウムは使えなかったという。そのため、薄型板金と樹脂による一体成型を行ない、堅牢性と軽量性を両立させた。
2つ目は“バーコードリーダ”の搭載。冒頭で述べた通り、FZ-N1は主に小売や流通をターゲットにした製品であり、本体背面のスキャナを利用してバーコードを読み取ることができる。本製品を利用するであろう大多数のユーザーはバーコードリーダ機能を活用するため、特に使い勝手を高めたという。
こだわったのはその“位置”で、リーダ面が本体に対して斜めに配置されている。大抵のバーコードリーダはバーコード読み取り時にバーコードに対して水平に傾ける必要があり、その際にディスプレイが見づらく、タッチパネルの操作性に難があった。FZ-N1ではこれを改善すべく、バーコードリーダを斜め向きに配置。ユーザーは普段スマートフォンやタブレットを使用する時のように本体を斜めに傾けた状態でバーコードを読み取れるようになった。リーダ使用時は赤色のレーザー照射光がバーコード面に対して照らされるなど、ユーザーにとっての使いやすさも考えられている。
3つ目は“音声通話”で、LTE/3G通信と音声通話に対応し、VoLTEもサポートした。SIMはロックされているが、NTTドコモおよびauの回線に対応した機種を別々に用意しており、ユーザーに選択が委ねられている。騒音下でも通話を可能としており、ノイズサプレッサーの搭載によってクリアな音声を伝えることができる。このほか、3マイクと100dBAの2スピーカーを内蔵し、後者についてはハンズフリーの通話や電話会議での利用を想定しているようで、実際に音を聞いたところではかなりのボリュームだった。
4つ目は“視認性”と“操作性”。画面は500cd/平方mの高輝度バックライトと反射防止ディスプレイになっており、太陽光直下でも表示を読み取れる。また、雨天時などでの操作を想定し、手袋を付けたままでもタッチ操作可能な「高感度近接検知タッチパネル」を採用。画面に水滴が付いていても問題なく使用できる独自の「水滴誤動作防止機能」も備えている。
最後の5つ目は“長時間駆動”で、本体には3,200mAhの交換式バッテリを搭載。連続動作時間は約8時間、待ち受け状態で約700時間、連続通話約24時間、バーコード連続読み取りにおいては約12時間使用できる。興味深かったのはバッテリカートリッジを抜いた状態でも1~2分間通電状態が確保される点で、これにより電源を入れたままでのバッテリ交換を可能とする「ウォームスワップ」に対応。バッテリ取り外し時はスリープ状態に移行するが、バッテリを入れ直すことですぐに元の作業状態を継続できる。このほか、約1時間の充電で6時間分利用可能にする急速充電器といった充電アクセサリがあり、種類も豊富に取り揃えている。
冒頭に登壇した向坂氏は、FZ-N1をラインナップに加えることにより、2018年にはグローバルでのハンドヘルドのシェアを30%に伸長し、国内市場では2桁成長を目指すと強気の姿勢を見せており、堅牢デバイス市場において小型タフパッドシリーズでもシェアを大きく拡大していく構えだ。
質疑応答ではWindows搭載モデルの販売はないのかという質問が出たが、向坂氏は現在検討中であるとした。ただし、米Panasonicは22日付け(現地時間)Windows 10 IoT Mobile Enterpriseを搭載した「FZ-F1」を発表しており(記事へのリンク)、近いうちに日本で改めて発表が行なわれる可能性が高い。