東芝電池、ニッケル乾電池「GigaEnergy」を2002年3月に投入
~アルカリ電池の約5倍のデジカメ撮影が可能に

GigaEnergyのメリット

2002年3月発売

標準価格:240円/1本



 東芝電池株式会社は、同社が次世代一次電池と位置づけるニッケル乾電池「GigaEnergy(ギガエナジー)」の発表会を都内のホテルで開催した。

シュリンクパック単3形
「ZR6G 4S」
 「GigaEnergy(ZR6G)」は、高出力特性に焦点を絞り開発された次世代一次電池。正極に二次電池に使用されているオキシ水酸化ニッケルを採用し、これに高密度重墳、整然とした層状構造の結晶開発や粒子表面の改質など独自の設計を取り入れることで、高出力特性を向上させたという。

 このことにより、デジタルカメラなど、高出力特性の要求されるデジタル機器での持続時間が、従来のアルカリ乾電池比で約5倍と大幅に伸びたという(東芝Allegretto PDR-M60 単三型4個使用時)。また、アルカリ電池で問題とされる低温条件化での特性変化も少なく、気温0度での撮影時にはアルカリ電池の約17倍長持ちするという。ラインナップは単三形のみで、発売時期は2002年3月。価格は240円/1本で、4個パック「ZR6G 4SP/4BP」が各960円、2個パック「ZR6G 2BP」が480円。

 発表会では、同社の鈴鹿芳朗社長が挨拶に立ち、「GigaEnergy」を先頭に、新市場創造のリーディングカンパニーとなる、と意気込みを語り、山本正夫 技術・開発担当取締役が「GigaEnergy」について解説した。



山本正夫 技術・開発担当取締役
 まず、「ADSLなどのブロードバンド化が進み、誰もが画像データを素早く送信できる環境が整いつつある。デジタルカメラなどのデジタルイメージングの分野がますます伸張していく」との見通しを示した。

 そうした中で電池の置かれている状況について「各社から大電流対応のアルカリ乾電池が商品化されているが、デジタルカメラの使用では十分な顧客満足が得られていない。アルカリ乾電池の延長技術では不可能な高出力特性(大電流パルス特性)が要求されている」と、次世代の電池の条件を提示して見せ、高出力特性に優れたGigaEnergyが、マンガン→アルカリに続く次世代のスタンダードとなるという見通しを示した。


 また、現在のデジタルカメラの使用電池の36.4%がアルカリ電池であるが、そのうち半数のユーザーが不満を持っているとの調査結果を例に挙げ、ユーザーニーズを解説した。「特に、不満を持っているのがコストパフォーマンスと長時間使用できないことで、逆に入手のしやすさなどは多くのユーザーが評価している。また、機器メーカーのアルカリ電池への評価は、入手性には満足しているもの低温特性や大電流特性などに不満を抱いている」と述べ、「ユーザーは高出力な一次電池を求めている。GigaEnergyは“長時間使用”、“低温特性”、“コストパフォーマンス”などでアルカリ電池との差別化を果たしつつ、“入手性”や“利便性”、“低価格“といった二次電池との差別化もできている」とし、GigaEnergyが市場の要求に適した電池であることを解説した。

マンガン→アルカリ電池の後にGigaEnergy アルカリ電池では不可能な高出力特性が要求される ユーザーニーズを解説
GigaEnergyは一次電池と二次電池の長所を融合したものと解説 アルカリ電池と比較して放電電圧の落ち込みが少ない GigaEnergyの技術説明

 質疑応答では、ニッケル水素の二次電池などと比較した際の持続時間についても質問が及んだが、「ニッケル水素二次電池と同等以上で、3Vのリチウム電池には及ばない(山本取締役)」と説明された。また、GigaEnergyを利用する際にデジカメなど機器側での対応が必要か? との質問には、「特に必要はなく、いままで多くの機器でテストしたが問題は出ていない」と回答した。

 なお、GigaEnergyは主に高出力特性を強化した電池であるため、携帯ゲーム機などの特に高い出力特性を必要としない機器で利用した際には「アルカリ電池とほぼ同等の特性」とのことで、大幅な駆動時間の伸びなどはないという。

 また、販売目標について加納修 営業担当取締役は、「当初月産1,000万個だが、GigaEnergyへの認知が高まる頃には、月産3,000万個を目標にしている」とし、「GigaEnergyではデファクトスタンダートを目指しており、他社へのライセンス供与なども検討している」と語った。なお、GigaEnergyを利用した電池は単4形でも実現可能だが、製品の特性上、単3形から最初に投入することになったという。

 発表会後にはGigaEnergyの駆動時間の長さを示すデモが行なわれた。デモは、オリンパスの200万画素単焦点機、ソニーの211万画素単焦点機、富士写真フイルムの240万画素単焦点機をそれぞれ並べ、従来のアルカリ電池とGigaEnergyの撮影枚数を比較するというもの。全機種ストロボON状態で撮影開始し、アルカリ電池では9~16枚程度で撮影不能となってしまったが、GigaEnergyを使ったカメラでは100枚以上撮影できた機種もあった。

店頭ディスプレイ例 デモの画面

□東芝電池のホームページ
http://www.tbcl.co.jp/

(2001年12月5日)

[Reported by usuda@impress.co.jp]

I
最新ニュース
【11月30日】
【11月29日】
【11月28日】

【Watch記事検索】


【PC Watchホームページ】


PC Watch編集部 pc-watch-info@impress.co.jp

Copyright (c) 2001 impress corporation All rights reserved.