|
■特別企画■
写真と動画で見る
松下電器産業株式会社
●神戸工場名産はひとクセあるPCたち
11月20日、松下電器産業株式会社のパーソナルコンピュータ事業部プロダクトセンター(神戸工場)の一室。同事業部テクノロジーセンターの高木俊幸所長が報道陣を前に、神戸工場の新製品を説明していた。説明の途中で突然、高木所長は手にしていたその新製品「PRONOTE FG ハンディタイプ CF-P1」を床に放り出した。高木所長は床からCF-P1を取り上げると、画面を報道陣に向け、壊れずにきちんと動作しているのを見せた。
松下電器産業の神戸工場と聞いただけでは「ああ、どこにでもあるコンピュータ工場のひとつか」と、聞き流してしまうかもしれない。だが、ここで作っている製品のラインナップを知れば、ちょっと身を乗り出したくなるはずだ。CF-P1もそのひとつ。以下に神戸工場製の主なPCを並べてみよう。
どれも個性的というか、「かなり」特殊な用途にしか使えなさそうなPCばかり。だが、弊誌や僚誌ケータイWatchでのスタパ斎藤氏の連載でも、業務用PCながら何度も取り上げられているように、なぜかコンシューマにも魅力的に見えてしまうのが不思議なところ。 このひとクセあるPCの故郷・神戸工場を、見学する機会を得た。はたしてどんなふうに、これらの変り種PCたちが作られているのだろうか。読者のみなさんにも、写真と動画で筆者といっしょに見学コースを辿っていただく。
●法人向けビジネスには柔軟な生産体制が必須
見学コースに行く前に、会議室で神戸工場についてのブリーフィングを受ける。神戸工場で作る製品の2/3以上を業務用PCが占めていること、日本国内のほか北米、欧州へも出荷していることなどが説明される。 工場といえばベルトコンベヤーのラインを連想してしまう人が多いと思う(筆者もその1人だった)。ラインはいくつかの品種を大量に生産するのに効率がいいが、業務用PCの世界では、同じものを大量に作っていればよいわけではない。 例えば「メモリを384MBに、HDDを30GBにして、高輝度液晶を付けて、Windows 2000をプリインストールしたCF-28を300台」という注文と「メモリを192MBにしてWindows 98とアプリケーションソフトをインストールしたCF-M34を50台」という注文がいっぺんにやってきて、どれも納期は1週間後などという状況もありえる。 機種も台数も違うものを平行して生産しなければならない。そのためにはラインや工場内のレイアウト、部品の供給システムなどを組み替える必要もある。そして、この案件が終わればまた、まったく違う案件を処理しなければならない。ラインは小回りが利かない生産方式なのだ。
神戸工場では、これを解決するためにラインを廃し、'97年からセル生産方式を取り入れた。写真のような作業台1つに1人の作業者が付く。案件の規模により、この作業台を並べてラインのようにしたり、数人だけの小さなチームを作ったり、あるいは1人だけで1つの製品の完成/検査までを行なったりする。
●人が主役の製造フロア
ラインが無いとはいえ、マザーボードへのチップの実装ラインなど、自動化されている部分もあるが、フロア全体に占める面積は、自動化ラインよりも人が働くセルのほうが圧倒的に広い。セルとセルの間をロボットが動き回る、などということもない。セルへの部品供給は、人間が押す台車によって行なわれる。
なお、製造フロアで働く人の数は1カ月の間でも2倍以上変動するそうだ。たとえば海外向けを15日まで、国内向けを20日まで、といったように市場に出すタイミングにあわせて生産するため、1カ月の間でも生産量に大きなばらつきがあるからだそうだ。
●落とされ、冷やされ、揺さぶられるPC
環境試験室では、落下試験のほか、耐熱試験、耐寒試験、防滴試験、振動や熱が複合した「車載試験」のための施設がある。試作機はもちろん、製造された製品から抜き取られたサンプルもここで試験にかけられる。
□松下電器のホームページ (2001年11月26日)
[Reported by tanak-sh@impress.co.jp] |
I |
|