ジャストシステム、大阪弁に対応した「ATOK15」を発表
~日本語手書き機能に対応した「ATOK for Palm」も発表

2002年2月発売予定

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 株式会社ジャストシステムは、「方言」変換機能を備えた日本語入力システム「ATOK15」を2002年2月に発売すると発表した。価格は未定。対応OSはWindows 98/Me/NT 4.0/2000/XP。

 方言対応の第一弾として、「話し言葉関西モード」を搭載し、通常の「一般モード」、「話し言葉モード」と切り替えて使用することが可能。

 従来の変換エンジンでは、「一緒に行かへん?」と入力した場合でも、「一緒に以下変?」などと、正しく変換されないケースが多いが、話し言葉関西モードを使用することで、これらの言葉がスムーズに変換できるようになるという。これは、「聞-か-へん」、「高-い-ねん」のように、付属語処理を中心とした言い回しの処理や、語彙レベルで対応するものを辞書に登録することで可能になったという。

 大阪弁を採用した理由としては、共通語に次ぐ位置づけの言語であり、ユーザーからのニーズも高かったためとしている。また、方言は基本的に音声ベースの言語であり、文字化が難しいものもあるが、大阪弁は文字化しやすい言語であったことも理由に挙げている。

 同社では今後も対応する方言を増やしていく意向だが、一社だけであらゆる方言に対応するのは不可能と認識しており、ユーザー参加型のWebサイトを製品発表と同時に立ち上げ、そこで方言辞書や、地域ごとのローカルな地名などに対応した、ご当地辞書などを募集していく予定という。

 方言を採用した経緯について同社では、「パーソナルコミニュケーションの形態が変化しており、携帯電話やメール端末など、ビジネス用途以外でのコミュニケーションツールが増加している。そのなかで、さまざまな地域の人々が、自然にコミュニケーションできる日本語入力システムとしたかった」と説明している。

 従来から搭載されている推測変換機能も強化されており、慣用表現データ、経済・ビジネス用語データ、コンピューター・インターネット用データなども搭載し、より幅広い推測変換が可能になっている。

 そのほか、ビジネス向け機能も強化されており、新たに「ATOK LAN Extension」を搭載する。ネットワークで接続したPC同士でお互いの辞書データをやりとりするシステムで、専用の配信用ツール「辞書ディストリビューター」と取得用ツール「辞書ゲッター」を使って行なわれる。

 マイクロソフトのExcelと連携する「Excel関数入力支援機能」も搭載。Excelのセル上で「切り捨て」や「平均」などと日本語を入力することで、自動的に該当する関数が入力される機能で、Excelに搭載された300以上の関数すべてに対応する言葉が登録されている。また、1つの関数に対して対応する複数の言葉が登録されており、入力の揺らぎにも対応する。

他社製品との大阪弁変換比較 推測変換も強化された 日本語を入力してExcelを表示したところ




■日本語グラフィティ入力対応「ATOK for Palm」

 会場では、Palm OS用日本語グラフィティ入力対応版「ATOK for Palm」も同時に発表された。発売は2002年3月。価格は未定。対応OSはPalm OS4.x。

 グラフィティ入力エリアで、「ひらがな」での入力が可能になった。また、ユーザーの書き文字パターンを学習し、使えば使うほど文字認識率が向上するという。推測変換機能も備え、日本語グラフィティ入力との組み合わせによって、入力の手間が大幅に軽減できるとしている。

ひらがなで直接入力が可能 日本語グラフィティの流れ 会場ではクリエのエミュレータを使ってデモが実施された




取締役社長 浮川和宣氏

 発表会冒頭では、代表取締役社長 浮川和宣氏が「ジャストシステムでは、PCに限らず、携帯電話、PDA、メール端末、情報家電など、さまざまな分野にビジネスを広げていきたいと考えているが、PCこそが一番リッチな環境を提供できると考えている」と挨拶。

 「今回のATOK15は、方言が使えるのが目玉。なぜ方言をやるのかというと、これまで日本語入力システムと言えば、ビジネス文書を書くのが大きな役割だった。現在はインターネットのチャットなどで話し言葉を使うことが多くなってきている。ユーザーに満足してもらうには、一人一人のユーザーが自分にあった変換スタイルを使えるようにすることが重要だ」と、ATOK15のコンセプトについて語った。

 「現在は、ユーザーが高速なインターネットに常時接続できる時代になった。ネットワークにつないでいても、手元にハードディスクがあるのとほとんど変わらない。それならば、ジャストシステムがコアとなるシステムだけをクライアントに提供し、ユーザーが欲しいオプションだけをネットワーク経由で使ったり、共通の辞書を利用したりすることも可能なのではないか」と、同氏の将来的なビジョンについても語った。

 最後に、「人間としてのアイデンティティと言葉は非常に密接に結びついている。ATOKはそこにも大きな意味を持っている。これからも日本人の多くの人たちが満足するものを作っていきたい。そこにジャストシステムらしさ、存在価値、そして企業としてのアイデンティティがある」として締めくくった。

 発表会後の質疑応答では、「従来はATOK Pocketという製品があったが、この製品とATOK for Palmの明確な線引きはあるのか?」という質問を受け、「ジャストシステムは、今後、あらゆるプラットフォームにATOKテクノロジのすべてを提供したい。そのため、今後はすべてATOK for ~というネーミングにしてATOKシリーズに集約していく」と回答した。

 また、「Windows XPに対応する新機能などは搭載するのか? また、今後、グローバル展開の予定はあるか?」という質問に対しては「XP固有の機能については現在のところ予定はない。ただネットワークにつながるという想定であればWindows XPにこだわらなくともいろいろなことが提供できると思う」と説明した。グローバル展開については、「現在、中国語バージョンを計画中で、世界最高峰のものを作るべく努力をしている」としたが詳しいコメントは避けた。

□ジャストシステムのホームページ
http://www.justsystem.co.jp/index.html
□ニュースリリース (ATOK15)
http://www.justsystem.co.jp/news/2001l/news/j10252.html
□ニュースリリース (ATOK for Palm OS)
http://www.justsystem.co.jp/news/2001l/news/j10251.html

(2001年10月25日)

[Reported by kiyomiya@impress.co.jp]

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