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西和彦氏ら、日本最大級の掲示板を目指す「1ch.tv」 |
1ch.tvのロゴ |
10月5日 試験開局
バリュー・エクスチェンジ株式会社と西和彦氏(株式会社アスキー特別顧問)などは、日本最大級のコミュニティ掲示板をめざし、「1ch.tv」を10月5日より試験公開する。
西和彦氏 |
有料化についての詳細は調整段階だが、運営はバリュー・エクスチェンジが担当し、課金システムには、同社の電子決済システム「マイクロペイメントシステム」が用いられる予定。西氏は個人として参加し、アスキーやほかの会社との提携や、大学など広くほかの機関と関わるための触媒として活動していくという。また、ホスティングは株式会社Eストアーが担当するほか、ポケットカード株式会社(現マイカルカード)と提携し、ICが付加された同社のクレジットカードに少額決済機能を組み入れていくという。
発表会では、西氏が冒頭に挨拶、「1ch.tvは日本最大級の掲示板を目指す。現在のインターネットの掲示板は、貸本屋が本を貸さないで、立ち読みだけされているような状態」と述べ、情報に対し適切な対価、尊敬が払われていないと指摘。「ただ現在のインターネットでの課金のシステムは高すぎるため、たとえば1ページ5円とか安価で簡単に購入できる仕組みであれば、皆その対価を払うのではないか」と有料コンテンツが必要な理由と、1ch.tvのコンセプトを解説した。
また、1ch.tvを立ち上げた間接的な理由として「ある掲示板(2ちゃんねる)で、根も葉もないこと、ひどいことをいわれた。頭に来たので、その掲示板で文句を付けて戦った。そこで、“自分でやってみろ”とあおられて、“じゃあやってやろう”と思った」と、1ch.tv立ち上げのもう一つの理由についても解説した。
有料化について西氏は、「出版などのメディアの究極の中抜きを起こす」とし、「現在、メディアは情報発信を独占しているが、本当のコンテンツは新聞社や出版社でなく、フィールドを走り回っているジャーナリストであり、そうした人が簡単に情報を発信できるシステムを用意する」と説明、例として、「フォーカスに写真を取られて載って、ひどいと思ったら、廃刊になった。フォーカスに200円は高いが、その中の1記事を読みたい人は多いはずだ。1記事が10円だったら、ある記事は300、400万部売れるかもしれない。その記事に価値があれば瞬間的に4,000万円になる」と説明した。
テスト公開された1ch.tv |
掲示板システムは、政治/経済などのトピックごとの「板」と、具体的な記事となる「スレッド」から構成される。1つの板ごとに編集長が置かれ、不適切な投稿は編集長により削除されることもある。原則として編集長が原稿を没にすると言ったことはなく、「市場原理にまかせる」という。削除については簡単なガイドラインを設けるが、「最終的なガイドラインは法律」(西氏)とのこと。
有料化後は、利用したい記者が記事を執筆し、スレッドを立ち上げ、それを読みたい読者が購読料を支払う形となる。支払いはコンビニエンスストアなどで「マイクロペイメントシステム」に対応したプリペイドカードを販売し、そのカードで決済可能とする予定。支払われた購読料は記者と板の編集長、バリュー・エクスチェンジで折半する。どのくらいの配分となるかは未定。また、1記事の価格については「基本的に記者に任せる」とのことで、「市場原理で大体の額は落ち着くところに落ち着くだろう」(清水氏)とのこと。また、編集長の待遇や具体的な人員については決まっていないが、基本的に給料制ではなく、板の充実度や人気により決定されるという。
なお、有料化以前は通常の掲示板として運営されるが有料化後は有料/無料で30ずつ、計60ぐらいの「板」が用意される予定だ。投稿は匿名でも実名でも可能だが有料コンテンツではアクセス用にプリペイドカードが必要となるため、システム上、同一投稿者は認識できるという。発行人にはバリュー・エクスチェンジの清水康司社長、編集人に西和彦氏が就任する。
また、バックボーンについては、当初10Mbpsの回線を用意してテスト公開していたが、公開後数時間でパンクしたため、100Mbpsに増強したという。
清水康司バリュー・エクスチェンジ社長 |
また、バリュー・エクスチェンジの清水社長は、「(こうした事業を立ち上げるときは)電卓たたいて、勝てるときしかしない。1度の決済が5円でもアクセス数が稼げれば勝てる」とし、「とある有名な元経済アナリストに1ch.tvを説明した際、“5万円前金払う”と言ったら“そんなに高くていいのか? 通常の経済誌ではページ2万円程度だ”といわれた。その後1ch.tvの仕組みを解説したら納得していた」と解説した。
また、1ch.tvの今後について、西氏は「たとえば「選択」という雑誌では、プロの新聞の編集委員などがアルバイトで寄稿した原稿がほとんどだ。そうしたプロを生かしていく仕組みも考えている」と述べたほか、「2002年には動画や音声をリアルタイムで配信するようにもしていきたい」とした。他言語への翻訳や各国での展開も頭にはあるが、まずは日本で展開していくという。
西氏は、「アスキーを作った時の興奮を1、週刊アスキーをPC雑誌にリニューアルした時を4~5とすると、今回の1ch.tvは10ぐらいだ。すぐにユーザーに届き、広がるという意味で、それくらい興奮している」と述べ、また「“情報の広場”でなく、“情報の狭場”がたくさんある1chとして広げていきたい。そしてその情報に対し、ありがとうという気持ちで対価を支払うような場にしていきたい」と述べた。
□1ch.tvのホームページ
(10月5日開設予定)
http://1ch.tv/
(2001月10月4日)
[Reported by usuda@impress.co.jp]
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