WORLD PC EXPO 2001アップルブースレポート

予告どおりにMac OS X 10.1のプレビューを披露したアップル
サードパーティによる対応ソフトの出荷時期にはやや不透明感も

会期:9月19日~22日

会場:幕張メッセイベントホール



 アップルコンピュータは、展示ホールに隣接するイベントホールに「Apple Mac OS Xパビリオン」を出展した。このイベントホールは、例年2月に開催されているMacworld Expoでは、基調講演に利用される場所でもある。周囲には、WORLD PC EXPOの来場者抽選・アンケートコーナーや、アクティブ・シニアゾーンなどが位置することもあって、ホール内には展示ホールの喧噪とはまた違った雰囲気が漂っている。しかしこのパビリオンは、展示ホール側から来場者抽選コーナーへと向かう動線上に位置するため、決して悪くはないロケーションだ。

イベントホールの中央にドンと構えたMac OS Xパビリオン。全出展者のなかでもかなり大規模なブースである。展示ホールとは離れていることもあって、MacintoshやMac OS X、そして対応ソフトなどについて、明確な目的意識を持って訪れる来場者が目立つ
 展示内容は、あらかじめ予告されていたとおりにMac OS Xに特化した内容となっている。ハードウェアの新製品はなく、既存の製品もMac OS Xのデモ機以外の目的では使用されていない。こうした環境で、ニューヨークで開催されたMacworldで披露されたMac OS Xの最新版「Mac OS X 10.1」(以下、10.1)を、国内でははじめて不特定多数の一般来場者に向けてプレビューしている。

 このプレビューに利用されているアップルコンピュータの機材は合わせて四台。10.1を二台、「Mac OS X Server 10.1」と「iDVD2」それぞれ一台と、意外に地味な出展だ。製品版へ向けていまも改良が続けられている10.1だが、プレビューにはビルド番号こそ明らかにされていないが、極めて新しいビルドが利用されているようである。

 今回のパビリオンでは、デモエリアの1コマ1コマを、Mac OS Xに対応するアプリケーションを作るサードパーティに提供。各々が自社製品のデモンストレーションを行なうのが、パビリオンの中心的な展示になっている。定番ソフトウェアのMac OS X対応版から初登場のソフトまで、知名度、ジャンルともに幅広い。


アップルコンピュータによるMac OS X 10.1のプレビュー。日本で一般公開されるのは初めてということもあって、デモ機の周りには常に人が集まっている こちらは、10.1を前提とした「Mac OS X Server 10.1」と「iDVD2」のデモ。Serverについては、新たなサーバ機能の追加などは行なわれないが、Mac OS X自体のバージョンアップによりRAID対応の充実など、全体的な機能アップが図られる パビリオン中央のシアターステージでは、Mac OS X 10.1、iDVD2、そしてマイクロソフトのOffice10(仮称)のプレゼンテーションが繰り返し行なわれている

 いずれのサードパーティも、Mac OS Xへの期待と言うことで足並みは揃っているかのように思えるが、ことOSのバージョンに関してはシビアなコメントに終始した。

デモエリアの一角は、ソリューションエキスパートのコーナー。Server製品をはじめとするさまざまなビジネスソリューションを各社が展示している
 例を挙げれば、これまでジョブズ氏の基調講演のなかでキラーアプリケーションとして何度も紹介されている「Maya4」は、9月末の出荷を予定している。推奨されるOS Xのバージョンは既存の10.0.4。10.1については、正式な動作確認が取れていないとして、トラブルの発生こそないが、当面動作保証は行なわない方針という。一方で、マイクロソフトの「Office10(仮称)」は、10.1が必須だ。ちなみにマイクロソフトは、サードパーティのなかで唯一、10.1がインストールされたデモ機を利用している。

 ほかのブースもほぼ同様の反応で、ともあれ10.1が正式出荷されないことには、展示ソフトの動作が確認できないと口を揃える。Carbon化された「Shade R5」を参考出展していたエクス・ツールスなどは、ソフトそのものは完成に近いが、OSのバージョンが落ち着かないうちは製品化のしようがないと口にする。現状では10.1対応を打ち出した直後に、10.2の声を聞く可能性も捨てきれないというわけだ。2月に同じ幕張メッセで開催されたMacworld/Tokyoのレポートでも同じようなサードパーティの声を伝えたが、“正式な製品版の出荷待ち”という状況は、改善されているとは言い難い。

 しかし位置的な条件もあって、このパビリオンを訪れる来場者には、しっかりとした目的意識を持って展示を見るユーザーが目立つ。展示されている各社のアプリケーションに対して技術的な質問をしたり、興味津々にデモンストレーションに見入る光景が目立った。これはもちろん、Mac OS Xに対する期待の表われだ。

「Office10(仮称)」をデモするマイクロソフトのコーナー。サードパーティで唯一、10.1がインストールされたデモ機を使用している。Mac OS X対応のEntourageのデモは日米を通じてこれが初公開となる Mac OS X対応のAOLクライアント。Windows版よりバージョンは1つ下がった5.0で、プレビュー版が配布されている。OS Xへのバンドル、ハードウェアへのプリインストールなども、積極的にアップルコンピュータと交渉していきたいとのことだ

 既報のとおり、Mac OS Xを大々的にフィーチャーするイベントと宣言されていたパリでのApple Expo 2001は、米国における同時多発テロの影響で残念ながら中止ということになった。ヘビーユーザーであればあるほど、Apple Expoの開催まで10.1に関する正式なアナウンスはないものと理解していたことであろうが、開催の中止で不透明さは増した。一部では、同時期にサンフランシスコで開催されるSEYBOLDへ注目が集まりつつある。ブースのスタッフによれば、7月のニューヨークでのジョブズ氏の言葉どおり、9月中には10.1に関して何らかのアナウンスが行なわれるということだが………。

□アップルコンピュータのホームページ
http://www.apple.co.jp/
□World PC Expo 2001におけるアップルコンピュータの出展情報
http://www.apple.co.jp/hotnews/wpc2001/index.html
□WORLD PC EXPO 2001のホームページ
http://www.wpc-bp.com/

(2001月9月19日)

[Reported by 矢作 晃(akira@yahagi.net)]

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