Creative Technology CEOインタビュー
「Audigyは新しい強力なプラットフォームだ」

8月24日


 新しいSound Blaster Audigy発表のために来日したCreative Technology CEO SIM WONG HOO氏にインタビューを行なった。SIM氏は、新しいAudigy ADVANCED HDオーディオアーキテクチャーに基づく今回の製品について、身振りを交えて熱っぽく語った。


-新しいAudigyアーキテクチャーはどのような理由で採用されたのでしょう。

 私たちCreativeは、PCのサウンド機能を発展させていく責任を負っています。それはちょうどIntelがCPUのパワーをずっと強化し続けなければならないのと似ています。Audigyは、強力なDSPを核にしたアーキテクチャーですが、DSPだけではなく、今後のPCに必要とされる機能を受け止めるための、新しい強力なプラットフォームなのです。

-これまでフラグシップだったLive!ですらも、必要とされる能力は充分備えており、今回のAudigyはオーバースペックですらあると思うのですが。

 Audigyの機能はけしてオーバースペックではなく、これからのサウンド機能について必要なパワーなのです。一例をあげればインタラクティブミュージックという機能があります。

 普通のプレーヤで音楽を聴くユーザーは受け身な姿勢であることが多く、流れてくる音楽を受け止めているだけです。しかし、コントロールすることを好むアクティブなPCユーザーに対して、Audigyはさまざまなエフェクトを提供します。それを楽しむためには経験やテクニックを必要としません。手軽に、アクティブに音楽を楽しむことができるのです。

 PCのサウンド機能は、音が出ていればいいというユーザーとハイエンドのユーザーに二極化しています。Audigyは、ハイエンドのユーザーに向けた製品なのです。

-Audigyが出ることによってSound Blasterのラインナップはどのように変わるのでしょう。Live!がローエンドとなるでしょうか。

 Sound Blasterは大きく3つのレンジに分かれることになります。一番上がAudigy、次がLive!、そしてVibraなどのローエンド製品です。Live!はローエンドになるのではなく、ミッドレンジになります。ただし、パッケージなどはリニューアルされシンプルな構成になります。具体的には5.1chに対応した新しい製品と、先日発表したValueとの2つの製品が用意されます。それ以外のパワフルなオプションをセットしたパッケージはAudigyとなります。

 マザーボードに載るチップやローエンドの製品についてはコストが重要視されるので、Live!を搭載する予定はすぐにはありません。

-日本のPC市場では、ノートPCの比率が高いのですが、こちらに対応した製品を用意される予定はありませんか。IEEE 1394などをインターフェイスにして、外付けのボックス型の製品を作ることはできると思いますが。

 そういう製品も検討しています。期待してください。

-Sound Blasterはアナログ5.1chがベースの製品で、AVアンプやDVDプレーヤーとの接続性を考えると、不要な部分を多く抱え込んでいるようにも見えます。音声入出力などをデジタルに限定し、シンプルな製品にするという方向はないのでしょうか。

 Audigyは、AVアンプなどを別に必要とせず、強力なシステムをローコストに提供しています。デジタルへの接続という意味ではIEEE 1394の搭載が重要なポイントです。USBより高速でDVカメラなどとも親和性の高いIEEE 1394はデータのハイウェイです。これによって様々な機器が接続でき、新しい応用がみつかるでしょう。

 PCは今は未完成で、急に止まったり、使いにくかったりする機器ですが、これは発展途上の姿です。PCを使うことによってこそ可能な世界は確実にありますし、もっと使いやすい製品になっていくでしょう。


 インタビューを通じて感じたのは、SIM氏がPCの可能性を信じており、それを発展させる一翼を担っているという責任感を負っていると言うことだった。

 いわゆるデジタルハブのように周辺機器のコントロールをPCが行なうというよりも、もう少しPCでできることはPCでまかなってしまい、それによって必要とする機能がローコストに手にできるという考えを強く感じた(発表会のデモでも何十万円の専用楽器と同じクオリティがローコストに手に出来るという形の訴求が行なわれていた)。

 また、PCユーザーの楽しみ方として、アクティブに操作できるという点が強調されていたのも印象的だった。実際にそのようなユーザーがどれぐらいの比率で存在するかはわからないが、CDはPCでリッピングして聞くが加工は行なわず、DVDは専用プレーヤーで見るというスタイルに慣れてしまっているため、新鮮に感じたことは確かだ。

 Audigyは、決して安価な製品ではないが、さまざまな機能やエフェクト、高い音質を提供する。しかし、購入を検討する際には、何を、どこまで、PCで行なうかということが、問われる製品でもある。


□関連記事
【8月24日】クリエイティブ、新チップ搭載の「Sound Blaster Audigy」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010824/creative.htm

(2001年8月24日)

[Reported by date@impress.co.jp]

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