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富士通、大幅な下方修正。今年度は赤字転落の見込み7月27日発表
「富士通のマーケティングの甘さを認識している」(富士通・高谷卓副社長)-富士通は2001年度第1四半期(4~6月)の決算を発表するとともに、2001年度業績の大幅な下方修正を発表、今年度は赤字決算となる見通しを明らかにした。 第1四半期の売上高は、前年同期比1.7%増の1兆897億円となったものの、営業利益はマイナス423億円、経常利益はマイナス637億円、当期純利益はマイナス554億円の赤字決算となった。 事業別に見ても、ソフトウェア・サービス、情報処理、通信、電子デバイスなど、同社の主軸事業がすべて赤字決算となる緊急事態。特に情報処理関連では、サーバー需要は堅調だったものの、欧米でのパソコン需要の衰退に伴って小型ディスク(HDD)の需要が減速、さらに国内のパソコンの売上減少が影響し、39億円の赤字となった。 今回の業績悪化に伴い、同社では2001年度業績予測の大幅な下方修正を発表した。 修正予想では、売上高は5兆4,000億円とし、4月時点での予想に比べて4,000億円という「巨額の修正」(高谷副社長)を見込む。 営業利益は800億円(4月期の発表時点に比べて1,900億円の下方修正)を見込むものの、経常利益でマイナス200億円(1,800億円の下方修正)、特別損益マイナス3,000億円(2,650億円の下方修正)、当期利益マイナス2,200億円(2,700億円の下方修正)とし、「グループ全体で初の赤字決算を見込むことになる」(同)という。 情報処理関連では、引き続き小型ディスクの需要減退が続くと予測、2,600万台の当初予測を1,700万台まで減産、2000年度実績と比較しても28.5%減とした。 通信分野では、北米のキャリア向け光伝送システムの需要が急速に悪化しているのが原因。電子デバイスでは、化合物半導体以外は利益がとれないとして、なかでもフラッシュメモリの価格低下が収益の悪化につながるとした。同社の予測では、16Mフラッシュメモリは第1四半期には前年度比で28%下落したものの、上期トータルでは40%の下落率になると予測、さらに下期は53%と下落率が高まるとしている。 特別損益の3,000億円に関しては、「早急にリストラを行なわなければ、さらに業績は悪化するだけ」として、リストラ費用として計上、上期に集中する形でこれを実施する。「基本的には今後1年間は市況は回復しないだろう。通信キャリア向けビジネスなどは2年間は市況が回復しないものもある」と危機感を強めている。 具体的なリストラ費用の内訳としては、「グローバルベースでの開発、製造体制の見直し」に1,800億円、「コアビジネスへの集中」に1,000億円、「グローバルなソフトサービスビジネスの体制構築」に200億円を予定、「物づくりに関しては、すべてのものをもう一度チェックし、大幅な整理統合を行なう」として、「国内におけるサーバー、パソコンの工場に関しても再編が必要だと考えている」とした。 今回の大幅な下方修正が迫られた背景には、富士通・高谷副社長が指摘するように、市況の読みの甘さがあったといえる。とくに半導体の需要の読みに関しては、わずか3カ月で1,400億円もの修正を行なうという状態に陥っている。前年度の決算発表前にも大幅な修正を加えていた同社だけに、決算内容とは別に、市場の動向を予測するマーケティング力の強化が早急の課題といえるだろう。 高谷副社長は、「今期は、2002年度につながる利益体質の改善を目指したい」と、来年度以降の業績回復に期待を寄せている。
□富士通のホームページ (2001月7月27日)
[Reported by 大河原克行] |
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