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マイクロソフト、Windows XP第二回テクニカルセミナーを開催 |
製品マーケティング本部Windows製品部 部長 御代茂樹氏 |
7月5日 開催
マイクロソフト株式会社は5日、「Windows XP第二回テクニカルセミナー -Inside Windows XPアプリ&周辺機器編-」を開催した。今回は、主にWindows XPにおけるハードウェアやソフトウェアの互換性問題などに関する内容となった。
冒頭では製品マーケティング本部Windows製品部 部長の御代茂樹氏が挨拶した。そのなかでWindows XP RC1日本語版のリリースについてふれ、日本では7月下旬ごろからの配布になるという。また、ユーザーにRC1を配布して評価を受ける、プレビュープログラムも実施するが、今回はWindows 2000のように、雑誌への添付や一般公募は行なわず、主に企業を中心としたビジネスユーザー向けに配布されるという。
また、Windows XP日本語版の発売日については、引き続き英語版の発売から2週間前後遅れて発売すると発言するにとどまった。
○In-Boxドライバの充実
これまでのWindowsでは、マイクロソフト側でテストしていない、メーカー独自のドライバが多くなってしまい、それが原因で発生するトラブルが多かった。システムクラッシュの約50%はそれら不完全なデバイスドライバが原因であるという。たとえば、パワーマネジメントをサポートしないドライバなどがあった場合、そのドライバが原因でシステム全体に影響を及ぼしてしまうことも多い。
このため、Windows XPではドライバのクオリティを向上していくことが重要とされ、これらの問題を解決するため、いくつかの改善がされているという。
まずあげられるのがIn-Boxドライバの充実だ。In-Boxドライバとは、Windowsにあらかじめ搭載されたドライバのこと。Windows 2000やMeの発売時にクレームの多かったものや、ベンダーなどの意見を採り入れて大幅に拡充を図っているとし、現時点で約1万のデバイスドライバを搭載しているという。
ただし、未だにカバーしきれていないハードウェアがあるのも事実で、スキャナ、プリンタ、ビデオキャプチャなどには対応しきれていないとしている。
また、Windows XPのリリースに間に合わず、In-Boxドライバとして搭載されなかったものについても、サードパーティ側がWindows 2000対応として開発していれば、互換性の問題は起こりにくいという。基本的にXPはWindows 2000と同じカーネルで動作しているため、「Designed for Windows 2000」のロゴを取得している製品は、Windows XPでの動作も保証される。もし、ロゴを取得している商品がXPで動作しない場合は、XP側のバグということで処理していくという。
Designed for Windows XPロゴ | ロゴ取得メーカーの製品が掲載される予定のカタログページ |
これについてもいくつかの例外があり、Designed for Windows 2000ロゴを取得しているものでも、ディスプレイカードやIEEE 1394、USB、赤外線アダプタなどについてはアップデートが必要なものがあるが、In-Boxドライバとして含まれているものであれば問題なく動作するという。
2つめは、Windows Updateでのドライバの提供で、従来も同様のサービスは行なっていたが、XPでは積極的に提供していきたいという。
さらに、Windows XPの機能として「Windows Driver Protection」が追加される。これは、過去にリリースされたドライバで、システムに悪影響を与えることが確認されているものについて、システム側がそのドライバのインストールを拒否するというもの。基本的にシステムの停止やブート不能など、非常にクリティカルなものだけが対象となるとしており、問題のあるドライバについてはWindows Updateを通じて情報を随時更新していく。問題が解決されたドライバがある場合にも、同様にWindows Updateで提供していくという。
また、Windows XP対応ドライバのガイドラインをより明確にメーカー側に提示し、それらのガイドラインをクリアした製品には「Designed for Windows XP」のロゴを提供する。ロゴ取得については従来も行なっていたが、今回から、同社のWeb上のカタログにロゴ取得製品を掲載するなどの販促支援も行なっていく。これによって、メーカー側にはロゴ取得による付加価値が得られ、エンドユーザーにとってはXP対応製品を選択する際の目安になるという。
無線LAN接続を自動的にセットアップする機能「Zero-Configuration Wireless」も紹介された。これはインフラストラクチャモード、アドホックモードの順で、利用可能なものへ自動的に切り替える機能。その時点で有効なインフラに自動的に切り替わり、ユーザー自身が手動で切り替える必要がないという。Windows XPでは、ルーセント・テクノロジー、3Com、シスコのチップに対応する。
そのほかにも、DVのサポートや、PPPoE、CD-RWのOSレベルでのサポートなどがデモを交えながら紹介された。なお、Video for Windowsフォーマットのサポートは今回のXPが最後になるという。
○LUNAは官能的でシンプルなものを目指した
Windows XPは、官能的かつシンプル |
Windows XPで最大の特徴ともいえる、新GUIの「LUNA」を採用したその大きな理由としては「(従来のデザインが)古くなったから」という。また、「今回のWindows XPへのバージョンアップが重要なものであるということを、視覚的にユーザーに理解してもらうため」とも語り、今回のデザインがマイクロソフトのマーケティング戦略とリンクしていることをアピールした。
このGUIのデザインコンセプトについては、官能的、理論的、装飾的、シンプルの4つのダイアグラムを用いて解説が行なわれた。旧Windowsは理論的かつシンプルに位置するとし、同様のカテゴリにMac OSを当てはめると官能的、装飾的ということになるという。
Windows XPでは官能的かつシンプルを目指したとし、ユーザーテストを繰り返した結果、選ばれたのが、現在のLUNAおよびクラシックだったという。
○ソフトウェアの互換性を維持する「アプリケーション互換ツール」
マイクロソフトでは、Windows XPがリリースされる時点でのアプリケーションの最新版は、XPで必ず動作するようにメーカーに呼びかけているという。ただし、すべてを徹底するのは現実的に難しいため、以下のような措置もとっている。
アプリケーションの互換性で最も問題となるのはKernel Mode Driversの問題で、非互換アプリケーションの35%を占める。これはプラグ&プレイやパワーマネジメントアーキテクチャの変更に起因しているという。また、アンチウイルスソフト、CD-Rのライティングソフトなどハードウェアに依存するもの、16bitアプリケーションなどで問題が発生する場合があるという。
これらの問題を解決するために「アプリケーション互換ツール」が用意される。このツールには約150種類のパッチが用意されており、最適と思われるパッチを選別してアプリケーションに適用し、互換性を維持することが可能としている。
既存アプリケーションとの問題点 | アプリケーション互換ツールを使ったデモ | ログオフすることなく複数ユーザーの切り替えが可能なマルチユーザー機能のユーザー選択画面 |
○Windows Updateでのドライバ提供は大丈夫?
セミナー終了後の質疑応答で、「これまでもDesigned for ~というロゴは存在したが、取得に時間がかかるなどの原因でなかなか普及しなかったが、対策はあるのか?」という質問をうけ、「現在90%のカテゴリについてセルフテストが可能で、テストにかかる時間も1週間程度、平均では3~4日程度で取得できる」と答え、これまでよりも取得件数が増えるという見解を示した。
さらに、「これまでもWindows Updateによるドライバ提供が謳われていたが、まったくうまく行っていない。今回は本当に提供できるのか?」という質問には、「そのために新機能としてダイナミックアップデートやオートアップデートなどの機能を追加している。そのためベンダー側がWindows Updateを利用するメリットが増えてきており、環境としてはかなり整ってきている。ただし、今後もベンダー側の理解を得るようにしていきたい」と答え、あくまでOS自身の機能によってアップデートを提供できるようにしていきたいと説明した。
□マイクロソフトのホームページ
http://www.microsoft.com/japan/
□製品情報
http://www.microsoft.com/japan/windowsxp/
□関連記事
「Windows XP」関連記事リンク集
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/link/winxp_i.htm
(2001年7月5日)
[Reported by kiyomiya@impress.co.jp]
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