「Streaming Media West 2001」Real Networks Rob Glaser CEO基調講演

RealNetworks Rob Glaser CEO
会期:6月20日~6月22日

場所:Long Beach Convention Center


 ストリーミング メディア業界では、大きな勢力を誇るReal Networks CEO Rob Glaser氏の基調講演が20日の夕方6時(現地時間)から開催された。初日のコンファレンスの最後ということで、どれだけの人が集まるかと心配していたが、朝一番に行なわれたコンファレンスよりも人が集まっていた。さすが、ストリーミングメディア業界をリードしているキーパーソンの基調講演だ。

 Rob Glaser氏の基調講演では、デジタルメディアの配信システム「RealSystem Media Commerce Suite」が紹介された。Real Networksの今回の目玉ともいうべき製品だ。

 このシステムは、Real Networksが開発した著作権保護システムの言語「XMCL」(eXtensible Media Commerce Language)に対応する。XMCLはXMLベースで、著作権者のデータや再生回数などが記述されている。これにより、MicrosoftのDigital Rights Management Systemなどの独自フォーマットの著作権保護システムではなく、XMLをベースとしたオープンなシステムを構築できる。もちろん、特定のコーデック(データ圧縮)には依存しないため、MP3など、さまざまな音楽データやビデオデータに対応することができる。

 XMCLには、AOLやBertelsmann、Adobe 、EMI、MGM、Napster、Sony Pictures Digital Entertainment、Sun Microsystemsなど(つまりMicrosoftを除く各社)が賛同している。RealSystem Media Commerce Suiteでは、このXMCLをベースとして、オンライン上で音楽や映像を購入できる。

RealNetworks Ben Rotholtzマネージャー
 基調講演では、Ben Rotholtz ジェネラル・マネージャが、オンライン上でビデオを購入するデモを行なった。

 たとえば、オンラインショップ上にあるビデオファイルを購入するのに、1度だけ再生できるようにするか? 5日間のレンタルなのか? など、きめ細かく販売条件を決めることができる。

 あとは、ユーザーがビデオファイルをダウンロードすればOK。もし、期限が過ぎれば、ダウンロードしたビデオファイルは再生できなくなる。また、5日間レンタルしたユーザーが、もう一度見たいと思えば、5日が過ぎた段階でアクセスして、追加料金を支払い、レンタル期間を延長できる。このように、従来の売りっぱなし、ダウンロードしっぱなしの状態とは異なる、使用条件を厳密に規定した販売条件が設定できるのだ。

 すでに、AOL Time Warner、Bertelsmann、EMIが共同で設立する有料の音楽配信サービス「MusicNet」の配信システムとしてRealSystem Media Commerce Suiteが採用されており、デモが行なわれた。

オンラインでビデオを5日間レンタルし、その後追加で1日分だけレンタルする、といったことも可能になる MusicNetでは、MP3ベースの音楽を試聴してから、購入することができる

 著作権保護システムが確立しているためMusicNetでは、いったん曲をユーザーが試聴し てから、ダウンロードするというレコード店と同じようなシステムをオンラインで展開する。もちろん、試聴用のデータも販売用のデータも圧縮方式やデータのクオリティなどはまったく同じだ。視聴用のデータは、著作権保護がかかっており、1度しか再生できない。

 RealSystem Media Commerce Suiteは、大きく分けて、パッケージ化、ライセンシング、コンテンツ配信、再生ソフトの4つの製品から構成されている。

 コンテンツを暗号化して、パッケージ化する「RealSystem Packager」、ライセンス管理/認証を行なう「RealSystem License Server」。License Serverは、XMCLに対応したはじめての認証サーバーで、アクセス期間や回数、コンテンツの販売やレンタルなど、さまざまな条件のビジネスにマッチするように作られている。

 コンテンツのストリーミングおよびダウンロードと認証と絡めておこなうプラグイン「RealSystem Trusted Delivery Plug-in」、RealPlayer8をMedia Commerceに対応できるように、著作権保護機能を追加するアップグレードモジュール「Media Commerce Upgrade for RealPlayer」などによって構成されている。サーバーは、システムとして定評があるRealSystem iQに、著作権管理機能が追加されたものだ。

 「RealSystem Media Commerce Suite」の登場により、ストリーミング・メディアが本格的にコンシューマーに入っていく時代になるだろう」とRob Glaser氏は語った。

 たしかに、PCを中心としたストリーミング・メディアでは、RealNetworksのシステムはよくできている。しかし、MP3プレーヤー、PDAによる映像再生など単体のコンシューマー機器との連動という面では、Microsoftの方が一歩先んじている。今後は、どれだけ家電メーカーを引き込めるかが重要だろう。


□Streaming Media Westのホームページ(英文)
http://www.streamingmedia.com/west/

(2001年6月22日)

[Reported by 山本雅史]

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