AMD、Athlon MPでサーバー/WS分野に殴り込み

会期:6月4日~6月8日
会場:Taipei International Convention Center(TICC)
   Taipei World Trade Center(TWTC) Exhibition Hall
   Taipei World Trade Center(TWTC) Exhibition Hall 2




 AMDは台北市内のホテルで発表会を開催し、同社としては初めてのサーバー/ワークステーション向けCPUであるAMD Athlon MPプロセッサと、それに対応しデュアルプロセッサ構成をサポートしたAMD-760MPチップセットを発表した。


●サーバー向けブランドはAthlon MP!

 最初に壇上に立った、AMDのコンピュテーションプロダクトグループ ワークステーション&サーバー担当副社長のエド・エレット氏は「今回発表するサーバー/ワークステーション向け製品により、当社はすべてのセグメントの市場に製品を投入することになる」とのべ、AMDがサーバー/ワークステーション向けCPUの市場に参入したことを高らかに宣言した。

 かねてよりAMDが開発を続けていたサーバー/ワークステーション向け製品のブランド名が、Athlon MPプロセッサ、AMD-760MPチップセットであることを明らかにし、「Athlon MPは強力なマルチプロセッサ向けCPUで、チップセットのAMD-760MPは既に使われていて信頼性のあるSocket Aプラットフォームの上で成り立っており、Smart MP、DDR SDRAM、AGP 4Xなどの採用により高い競争力を発揮する」(エレット氏)とそのメリットを強調した。

 さらに、AMDがサーバー/ワークステーション向けCPUに参入するメリットとして「IT業界は、これまで激しい競争を行なうことにより発展してきた。競争はある時は失うときもあれば、逆に得るときもあるだろう。しかし、総合的に見てその結果業界全体やユーザーに大きな利益をもたらす」とし、AMDがIntelに競合することが業界全体のメリットになっているというと主張した。

 また、エレット氏は「台湾で再びこうした発表(筆者注:昨年AMDはやはりCOMPUTEXでSocket AベースのAthlonを発表している)が行なうことができて嬉しい。当社は台湾にあるマザーボードベンダ、チップセットベンダなどと協力して製品展開を行なっており、こうしたパートナーの協力があったこそ今回のような発表会が行なえた」と、マザーボードベンダなどコンポーネントメーカーが集中する台湾で発表会を行なう意義を強調した。

AMD コンピュテーションプロダクトグループ ワークステーション&サーバー担当副社長 エド・エレット氏 発表されたAthlon MPのロゴ


●Smart MPテクノロジにより大幅なパフォーマンスアップ

 引き続き壇上に立ったAMDのコンピュテーションプロダクトグループ ディビジョンマーケティングマネージャのマーク・ボディ氏はAthlon MPとAMD-760MPについての技術的な説明を行なった。

 仕様は以下のようになっている。

●AMD Athlon MPプロセッサ

・システムバス:266MHz(AMD SmartMPテクノロジ対応)
キャッシュ:L1(128KB)、L2(256KB)、エクスクルーシブキャッシュ、ハードウェアプリフェッチ対応
拡張命令:3DNow! Professional
・パッケージ:CPGA(462ピン、Socket A)

●AMD-760MPチップセット

ノースブリッジ:AMD-762
・システムバス:266MHz、デュアルプロセッサ(AMD Smart MPテクノロジ対応)
・メモリ:DDR SDRAM(PC2100 Registered、ECC対応、最大4GB)
・AGP 4x
・PCIバスインターフェイス(33MHz、32/64ビット)
・949ピン、PBGAパッケージ

●サウスブリッジ:AMD-766

・IDE:2チャネル、Ultra ATA/100
・USB:4ポート
・LPC
・システムマネジメントインターフェイス
・272ピンBGAパッケージ

Athlon MPとAMD-760MPのシステム構成図
 ボディ氏によれば、Athlon MPのシステムバスではAMDが「Smart MPテクノロジ」とよぶ技術により大幅な効率アップが図られているという。

 IntelのPentium IIIやXeonが複数のCPUが1つのシステムバスをシェアするシェアードバスを採用しているのに対して、Smart MPではポイントツーポイントのバスが採用されており、2つのCPUにそれぞれ2.1Gバイトのバス帯域が確保される。また、スプリットトランザクションと呼ばれるコマンドとデータが分離して転送される方式がとられており、コマンドを送りながらデータの送信を行なうことも可能になるなど、マルチプロセッサ時のオーバーヘッドをできるだけ減少される仕組みがとられているという。

 これらにより「Athlon MP/1.2GHzは2ウェイ時に、Pentium III/1GHzに比べて、WebBenchにおけるデータスループットが27%も向上した」(ボディ氏)という。

 システムバス以外の仕様は、先日発表されたモバイルAthlon 4とほぼ同等で、266MHzのシステムバス、ハードウェアプリフェチ対応のL2キャッシュ、SSE互換の命令が追加された3DNow! Professionalに対応などとなっている。クロックは、1.2GHz、1GHzの2製品が用意されており1,000個ロット時の価格は以下のようになっている。

・Athlon MP/1.2GHz 265ドル
・Athlon MP/1GHz  215ドル

 すでに、OEMメーカーに対する出荷も開始されており、AMDによれば20のOEMメーカーがAthlon MPを採用する予定があるということで、対応するマザーボードもTyan以外に、ASUSTeK Computer、MSI、GIGA-BYTE、ABIT Computerの4社からリリースされる予定となっている。

AMD コンピュテーションプロダクトグループ ディビジョンマーケティングマネージャ マーク・ボディ氏 AMDが示したAthlon MP/1.2GとPentium III/1GHzの比較その1

比較その2 比較その3


●「機構的にはDuronも使えるはず」とボディ氏

 その後、ボディ氏は同社のサーバー/ワークステーション向けCPUのロードマップも更新した。それによれば、1ウェイや2ウェイのサーバー/ワークステーション向けには今回のAthlon MP(Palominoコア)の0.13μmへのシュリンク版であるThoroughbredが2002年の前半に追加され、さらにそのSOI版であるBartonが2002年の後半に追加される。さらにロードマップにはバリュー/アプライアンスサーバー向けとしてMorganコアのCPUが用意されており、こちらもMPに対応することになるという。さらに、質問でMorganベースのDuronもAMD-760MPで利用できるのか?ときいたところ「機構的にはイエスだ。ただし、実際にはサーバーやワークステーションの市場ではバリデーション(動作検証)が重要なので、実際に動作するのと保証されるのは別問題だ」とのべた。

 なお、発表会終了後にはTyanやOEMベンダによるデモが行なわれ、TyanのAMD-760MPマザーボード(Thunder K7)などが展示されていたほか、AMDのリファレンスマシンによるデュアルプロセッサ対応アプリケーションのデモが行なわれた。なお、既にCOMPUTEX TAIPEIの会場でも、AMD-760MPを搭載したマザーボードが展示されていた。そちらに関しては別記事(http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010605/comp03.htm)に詳しいので、参照していただきたい。

AMDが示したサーバー/ワークステーション向けロードマップ 展示されていたAMD-760MPのノースブリッジであるAMD-762

□AMDのホームページ(英文)
http://www.amd.com/
□ニュースリリース(英文)
http://www.amd.com/news/prodpr/21034.html

(2001年6月5日)

[Reported by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング]

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