COMPUTEX TAIPEI 2001開幕レポート

NVIDIAがNV-CrushことnForceを発表。Athlon/Duron対応

会期:6月4日~6月8日
会場:Taipei International Convention Center(TICC)
   Taipei World Trade Center(TWTC) Exhibition Hall
   Taipei World Trade Center(TWTC) Exhibition Hall 2




 ビデオチップベンダーのNVIDIAは同社としては初のチップセットとなるnForceをCOMPUTEX TAIPEI 2001の会場近くのホテルで発表した。nForceはこれまで「NV-Crush」のコードネームで知られていたAthlon/Duron用の統合型チップセットで、GeForce2相当のグラフィックスコアを統合した強力な統合型チップセットだ。このレポートではnForceの発表会の模様と、nForceの概要についてお伝えする。


●従来の統合型チップセットの5倍は高いパフォーマンス

 nForceの詳細について語ったNVIDIAのシニアプロダクトマネジメントディレクタのトニー・タマシ氏は、nForceの3D描画性能について「これまでの統合型チップセットに比べて5倍から10倍のパフォーマンスを実現している」と述べ、その3D描画性能の高さを誇らしげに語った。

 タマシ氏の指摘するように、これまで統合型チップセットと言えば、数世代前のグラフィックスコアを統合しており、3D描画性能はあまり高くないものがほとんどだった。これに対して、今回発表されたnForceではそれを大幅に上回る3D描画性能が実現されているという。確かにNVIDIAのプレゼンテーションで示されたスライドではIntel 815やVIAのProSavage KM133などと比較して、5倍以上の3D描画性能を実現しているというベンチマーク結果が示された。

nForceについて説明を行なうNVIDIA シニアプロダクトマネジメントディレクタ トニー・タマシ氏 nForceのベンチマーク結果。VIAのProSavage KM133に比べて大きなパフォーマンスアップをしているのがわかる

 nForceがこうした高い3D描画性能を実現した秘密は内蔵されているグラフィックスコアにある。nForceにはNVIDIAのGeForce2相当のグラフィックスコア(実際にはGeForce2 MX相当となる)が内蔵されているのだ。

 しかもそれだけではない。通常統合型チップセットでは、メモリの一部をビデオメモリとして利用するUMA(Unified Memory Architecture)、SMA(Shared Memory Architecture)と呼ばれる仕組みが採用されているが、この場合CPUとグラフィックスコアでメモリの帯域幅を取り合いになり、いくらグラフィックスコアの性能が優れていても結局メモリの帯域幅がボトルネックとなってしまいパフォーマンスを発揮できないことが多い。

 nForceではこれを避けるために、ビデオメモリの帯域幅に余裕を持たせている。具体的にはメインメモリにDDR SDRAMを採用し、さらにメモリのバス幅を128bit幅にすることにより、最大で4.2GB/secの帯域幅を実現しているのだ。ほかの統合型チップセットがSDRAMで64bit幅であるため、PC133を利用した場合、1.06GB/secであるのに比べると、実に4倍の帯域幅を実現している(NVIDIAではTwinBank Architectureと呼んでいる)。

 これらにより前述のような高いパフォーマンスを実現することが可能になっているのだ。なお、nForceは外部AGPバスもサポートしている。


●ノース・サウス間にはHyperTransportをサポート

 このほかにも、少しでもパフォーマンスをあげる工夫がされている。nForceではノースブリッジであるIGP(Integrated Graphics Processor)とサウスブリッジであるMCP(Media and Communications Processor)という2チップで構成されており、それぞれ以下のような仕様となっている。

○IGP
・CPUバス:EV6バス(200/266MHz)、DASPサポート
・メモリバス:SDRAM(100/133MHz)/DDR SDRAM(200/266MHz)、64bit/128bit幅
・GeForce2コア内蔵(350Mピクセル/秒、2パイプライン)
・外部AGP 4X
・HyperTransportインターフェイス(800MB/sec)

○MCP
・HyperTransportインターフェイス(800MB/sec)
・IDEインターフェイス:2チャンネル、Ultra ATA/100
・オーディオ機能:APU、192音(2D)/64音(3D)、ドルビーデジタル対応
・USB:USB 1.1、6ポート
・Ethernet/HomePNA/モデム
・PCIバス:PCI2.2互換、最大5スロット
・AC'97コーデック対応
・LPCインターフェイス

 注目したいのは、ノース・サウス間のバスにAMDのHyperTransportが採用されていることだ。これまでのPCIバスではバス帯域幅が133MB/secであったため、実に6倍近い帯域幅アップになっており、USBやPCIなどに高速なデバイスを接続した場合でも、ノース・サウス間がボトルネックにならない。また、内蔵のオーディオ機能はドルビーデジタル5.1チャネルの出力にも対応しており、5.1チャネルのアンプを利用してホームシアターの構築なども可能となっている。

nForceのブロック図。ICPとMCPの2つのチップで構成されている nForceには420Dと220という2製品がラインナップされている

 なお、nForceには「nForce 420D」と「nForce 220」の2つの製品が用意されており、違いは以下のようになっている。

メモリバス幅最大容量オーディオ
nForce 420D128bit256MB3D/5.1チャネルサポート
nForce 22064bit128MB2Dのみ


●秋には搭載マザーボードが市場に登場する

 なお、本製品はチップ単体の価格などは明らかにはされていないが、ターゲットの市場について「VIAやSiSなどとはバッティングしない市場となる」(タマシ氏)と述べ、現在VIAやSiSがターゲットとしているローエンド市場よりは若干上のメインストリーム市場をターゲットとしていることを示唆した。また、登場時期に関しても「既にチップのサンプルは出荷しており、搭載マザーボードは秋頃に登場する」(タマシ氏)としている。

 発表会終了後には、マザーボードメーカーによる対応マザーボードが展示され、ASUSTeK Computer、ABIT ComputerなどのnForce搭載マザーボードのデモが行なわれた。

サンプルマザーボードに搭載されていたnForceチップ。まだコードネームのCRUSHのマーキングがされていた GIGA-BYTE TechnologyのGA-7NTM ABIT ComputerのNV22

ASUSTeK ComputerのA7N266-V MSIのMS-6157 実際に動作しているnForceのデモ。5.1チャネルのスピーカーで音声がならされていた

□NVIDIAのホームページ(英文)
http://www.nvidia.com/
□ニュースリリース(英文)
http://www.nvidia.com/view.asp?IO=IO_20010601_4331

(2001年6月4日)

[Reported by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング]

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