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メルコ緊急インタビュー大幅値下げはメモリ市場再編のため
本日公開されたメルコのメモリ製品の値下げは、単なるメモリ素子の値下がりに追随する範囲を越えた、大きな値下げ幅であった。
●Windows XPに備えるにしては早すぎるとおもうのですが? またこの夏モデルからは各社とも128MBのメモリを標準装備しており、もう増設の必要はないのではありませんか。 □カーネルがWindows 2000系に変わるWindows XPでは128MBではまだ不十分で、メモリの増設の必要は増えると思います。ただ、今回の値下げは、Windows XPに備えてという以外に、“メモリ市場の再編をめざす”という目的があります。 ●具体的にはどういうことですか □以前のメモリ市場は、弊社とアイ・オーさんが各PCに向けてパッケージ化された製品を供給し、両社で市場をほぼ二分していました。しかし、PC/AT互換機が市場の中心となり、自作ユーザーが増加する過程で、ユーザーが持っていたバルクなどへの抵抗感が低くなってきました。従来はごく一部の上級者だけが使用していたものが、中級者レベルまで下りてきているのです。 ●たしかに、PC Watchのメモリ価格調査でも、メーカー保証のないバルク製品やショップオリジナルの製品が対象になっています □市場は(バルクなどの)低価格の製品と、メルコやアイ・オーのパッケージ製品に二極化しており、低価格の製品の存在を無視できなくなっています。今回の値下げにより、変化した市場の中心にもう一度打ってでようということです。 ●バルクのPC 133 SDRAM DIMM(CL=3)の秋葉原店頭での最低価格は5,000円前後の水準にあります。今回の大幅な値下げでも、バルクの水準にはまだ差がありますよね。まだ正面からぶつかれるというわけではないですね。 □しかし、これまでは、バルクと弊社のパッケージとはまったく違う価格帯にあったわけです。ある意味、比較対象としてすら見てもらえなかった場合もあったわけですが、これからは価格以外の安心感やサポートなどの要素も含めて検討してもらえる水準になったと思います。 ●この価格では販売店側も利益が減ると思うのですが、抵抗はありませんでしたか □新価格は販売店などにもご了解いただいており、ご迷惑もおかけしません。 ●現在はメモリチップの市況が下がっており、この価格がつけられますが、市況が変わったときに、また値上げする必要があるのではありませんか。 □大幅な値上がりがあった場合は別ですが、ある程度の動きであれば、この価格が維持できると考えています。メルコは、主要なメモリ製品のメーカーとして長い歴史を持ち、メモリメーカーをはじめとする供給元とも、よいおつきあいをさせていただいています。 ●値下げをすることによって、従来通りの取り扱い数量であれば、売り上げ高が下がるわけですよね。 □取り扱い数量がそのままであれば、そうなりますが、今回の値下げによって大きく増えると想定しています。 ●DDR SDRAMやRDRAMについても今回のような値下げが行なわれますか。 □もちろん、さまざまなケースを想定していますが、流通量などの問題もあります。前向きに検討しているとご理解ください。
インタビューからも明らかなように、今回は単なる値下げではなく、戦略の大きな転換である。メルコは、もう一度、メモリ市場の中心へ返り咲こうとしているのだ。もちろん、現状でも大手のメモリ製品メーカーではあるのだが、自社の製品が市場の中心からはずれかけているという危機感を持ち、市場の中心的な存在へ復帰しようという積極的な意志が伺える。 また、インタビューでは触れられなかったが、現在の市場では、バルクと大手二社の間の価格帯にプリンストンテクノロジーやグリーンハウスなどの新興勢力の進出が進んでいる。これらのライバルに対抗するという意味合いもあるだろう。 販売店の了解や、価格変動に対するコメントから、今回の価格がぎりぎりのものではなく、ある程度の期間維持できる設定となっていることが伺える。その裏付けがメーカーとのパイプであり、マスの大きな取り扱い数量なのだろう。同じ部品であっても、取扱数量によって価格は大きく変わる。 メルコは、バルク品やショップブランド品などの低価格市場からはやや離れた立場にいた。しかし今回は、これまで見えにくかった価格競争力を武器に、現在のメモリ製品市場の中心をめざして打って出たのだ。今回のメルコのカケが市場にどのような影響を及ぼすか注目される。
□メルコのホームページ (2001年6月1日)
[Reported by date@impress.co.jp] |
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